映画『食べる女』の概要:悩める現代女性の愚痴や恋愛模様を赤裸々に描きつつ、美味しい料理で彼女たちを癒す。様々な境遇で大変な思いをしている女性たちに向け、美味しい料理を食べて元気を取り戻そうという応援する作品。
映画『食べる女』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:生野慈朗
キャスト:小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス etc
映画『食べる女』の登場人物(キャスト)
- 餅月敦子(小泉今日子)
- 通称トン子。古書店を経営しつつ、雑文筆家でもある女性。おいしい食事を提供し、若い女性たちを元気づけるのが趣味。独身で悠々自適な一人暮らし。飼い猫のシラタマを可愛がっている。
- 小麦田圭子(沢尻エリカ)
- 書籍編集者。ドドと呼ばれており、男よりも貯蓄に邁進中。食べている間だけに幸せを感じている。恋愛に及び腰なのを隠しているが、料理上手な男性と良い関係になる。
- 白子多実子(前田敦子)
- 制作会社のAP。20代の女子で日々、良い出会いがないかを探している。現在、付き合っている男性からプロポーズされ結婚にしり込みしている。
- 本津あかり(広瀬アリス)
- 男にとって都合の良い女になってしまう女性。料理上手でひき肉料理が得意。失恋する度にいつもJAZZバーで酔っぱらっている。
- 茄子田珠美(山田優)
- JAZZバーの店員だが、別れた夫の店でもある。夫婦という枠に囚われず、夫との関係を継続させている。
- 米坂ツヤコ(壇蜜)
- 耳のパーツモデル。小学生の子供2人を育てるシングルマザー。別れた夫への未練を断ち切れず、元夫をピクニックに何度も誘っている。
- 豆乃・リサ・マチルダ(シャーロット・ケイト・フォックス)
- 通称マチ。料理ができない主婦で、夫に毎食冷凍食品を食べさせ家出される。美冬に拾われ料理の勉強を行うため、敦子の家に居候する。
- 鴨田美冬(鈴木京香)
- 敦子の親友で幼馴染。小料理屋を営んでいる。若い見習いのつまみ食いを楽しんでいる。
映画『食べる女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『食べる女』のあらすじ【起】
古書店を営む傍ら、雑文筆家でもある餅月敦子の家では度々、食事会を催す。その会には縁あって出会った年齢も様々な女性たちが集まり、恋愛話や私生活の相談などが展開されていた。いわゆる女子会である。
その夜も幼馴染で料理店を営む鴨田美冬と書籍編集者の小麦田圭子、通称ドド、制作会社のAPをしている白子多実子が集まり、料理に舌鼓を打っているのだった。
そんなある日、敦子の家に美冬がソラマメを持って訪れる。彼女は豆乃・リサ・マチルダ、通称マチというアメリカ人女性を伴っており、道端で拾ったと言う。美冬は見習いの若い男子をつまみ食いするため、自分の家には置けないと言って、敦子の家に居候させるつもりらしい。敦子は大分、渋ったものの行き場もなく身寄りのないマチを仕方なく居候させることにするのだった。
日中は美冬の店へ手伝いに向かうことになったマチ。彼女は料理が全くできず、味覚も欧米的。そのせいで夫に愛想をつかされ、離婚届を突き付けられていた。マチは敦子の家にある枯れ井戸を目にし、本当に枯れてしまったのかと問うのであった。
映画『食べる女』のあらすじ【承】
そこで、敦子は枯れ井戸の調査を業者に依頼。彼女はドドに締め切りを迫られても、どこ吹く風である。むしろ、来店したお客さんにも食事を提供する始末。
敦子の原稿を入手できなかったドドは、同じ会社に勤める料理上手な男性と良い関係を築いていた。彼女はおいしい料理に目がなく、何回か料理をごちそうになった後、とうとう男性と肉体関係を持ってしまうが、これがまた予想以上に良い夜を過ごすのであった。
耳パーツのモデルである米坂ツヤコは2人の小学生を育てるシングルマザーであったが、別れた夫を忘れられず、天気が良い日は子供達を連れて元夫をピクニックへ誘っていた。娘は母の不憫さや憂いを察して、自分もまた心を痛める。
そんなある日、同級生の友人に誘われ敦子の家へ。友人は猫を追いかけた折、敦子の家の古井戸を見つけ敦子やマチと仲良くなっていた。
1か月が経過。美冬の店の見習いだったマチは、とうとう見習い卒業にて給料を得る。彼女は1か月の修行で料理ができるようになり、敦子を唸らせるほどの味噌汁を作れるようになっていた。
映画『食べる女』のあらすじ【転】
男にとって都合の良い女になってしまう本津あかりは、失恋の度にいきつけのJAZZバーで深酒をする日々を送っていた。彼女は帰り道で出会った男性と酔った勢いでベッドを共にし、やはり今度の関係も都合の良い女になってしまう。それでも、あかりは自分の料理を上手そうに食べる男性を見つめては悦に入るのだった。
同じ頃、ドドと多実子はJAZZバーで酒を飲んでいる。多実子は付き合っている男からプロポーズされ、踏み切れずに困っていた。店の店員でオーナーの元妻である茄子田珠子は現在、妊娠中。だが、彼女は元夫とも良い関係を築いており、離婚しても尚、肉体関係を続けている。故に、現在の子供も元夫の子供で4人目であった。そんな彼女の価値観にあかりは驚きを隠せない。
庭に水を撒いていた敦子の元に小学生の女の子2人がやって来る。マチは料理ができるようになったため、家を出て行ってしまった。故に、また一人暮らしである。井戸は未だに調査中であったが、誰かと一緒に住むのも悪くないと言う。そこで、小学生の1人が、自分が一緒に暮らしたいと手を上げるのであった。
仕事を終え帰宅したドドは、部屋のドアに紙袋がかかっているのを発見する。中に入っていた手紙には、料理上手な男性からのメッセージが書かれていた。なんと、彼は転勤にて北海道へ行ってしまうらしい。紙袋には重箱の弁当が入っていて、そこには彼の愛情が詰まった料理が入っているのだった。
映画『食べる女』の結末・ラスト(ネタバレ)
仕事上の付き合いから良い男性と巡り合ったあかり。ようやく都合の良い女からの脱却ができると大喜び。
その頃、美冬の料理屋で仕事を続けていたマチの元に夫が訪ねて来る。夫は上から目線で、マチが頼み込むなら帰ってやってもいいと言う。だが、彼女は黙って料理1品を提供。美冬仕込みの料理の腕は確かで、夫はその1品を夢中で平らげた。マチは1か月の修行を経て、自分が変わったことを夫に告げる。そして、正面から向き合う覚悟ができたら、また来て欲しいと言うのだった。
美冬の店を貸し切って食事会を開催。その日はいつものメンバーにマチと新人の男性が加わっていた。男性は小学生教師であったが、どうやらゲイの様子。それぞれに恋の話の続きを明かしたものの、急に多実子が今の彼氏にはときめかないので別れると言い出す。すると、敦子と美冬はそれぞれに恋の形があるので、いいじゃないのと笑って済ませるのだった。
現在、敦子の家にはツヤコ一家が居候している。一緒に住みたいと言った女の子が、実はツヤコの娘だったのだ。敦子は急に増えた可愛い同居人にめろめろで、ツヤコに隠れておやつを与えたいと笑う。
酔って寝てしまった教師を置いて、女性たちは敦子の家へ。彼女らとの様々な付き合いを経て、敦子はようやく原稿を書き上げる。そうして、いつしか古井戸には水が戻り、腹の虫が鳴る。敦子は卵かけご飯を食べ、至福の時を過ごすのだった。
映画『食べる女』の感想・評価・レビュー
恋や仕事や人間関係、自分の生き方に悩む女性たちの姿を赤裸々に描いている。作中には様々な料理が登場し、美味しい料理が女性たちの体も心も癒している。主人公とその幼馴染が一番の年長者と思われ、年齢の違う女性たちを穏やかに見守り聞き役に徹し、時にはアドバイスを授ける。
美味しい料理は手をかけ愛情をかければ、よりおいしくなる。様々に悩んで苦しみながら、自分の本心に素直に生きようとする女性たちへのエールを描き、なんだかほっこりしてしまう。ラストシーンは卵かけご飯で、そこからまた新たな日常がスタートするのだ。(MIHOシネマ編集部)
本作は、恋や仕事の悩みを抱える8人の女性たちと美味しい料理を描いた筒井ともみ小説原作のラブヒューマンドラマ作品。
ひと手間かけた手料理はどれも美味しそうで匂いがしてきそうな気がした。
食と性の問題や日常からの解放、8人の女性陣の関係性も素敵だが、何よりも食欲旺盛な女性たちが食べる姿に心が温まった。
特に、広瀬アリスのストーリーが印象的で、一人になった時の孤独と切なさに共感した。
そして、最後の満月の日に食べる卵かけご飯は真似したくなったのは私だけではないだろう。(女性 20代)
彩り豊かな食事が本当に美味しそうで、料理って見た目も大事なんだなと改めて感じた。適当にご飯を作るんじゃなくて、心が幸せになるようなご飯を作りたくなる作品だった。
出演しているキャストが豪華で、この人まで出ている!と驚きがあってワクワクした。
夢中になって見るというよりは、流し見ながらほっこりできる作品。女性の普通の日常を垣間見ているようで、興味深くおもしろい物語だった。彼女達の今後の人生も、見たくなった。(女性 30代)
女は悩みが絶えないし、悩んでいる自分ですらちょっと好きなんだろうなと思ってしまうような、女性のための作品でした。
恋や仕事、様々なことに悩みを抱える女性たちが食べることで心を解放させていくストーリーは、見ているこちらまで清々しい気持ちになり、幸せやパワーを貰えた気がします。
美味しいご飯は人を元気に、幸せにすると言うのは本当だと思います。一人で食べるよりも、誰かと食べるご飯は何倍も美味しく感じるのは事実かもしれませんね。(女性 30代)
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