久々となる二宮和也の主演作品。今回彼が演じるのは、ロボットと心を通わせていく冴えない中年男性。彼らの友情が、見ている者の心を震わせる。この夏大注目の一作。
映画『TANG タング』の作品情報
- タイトル
- TANG タング
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年8月11日(木)
- 上映時間
- 115分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 三木孝浩
- 脚本
- 金子ありさ
- 製作
- 高橋雅美
池田宏之
藤島ジュリーK.
下田淳行
久保雅一 - 製作総指揮
- 濱名一哉
- キャスト
- 二宮和也
満島ひかり
市川実日子
小手伸也
奈緒
京本大我
山内健司
濱家隆一 - 製作国
- 日本
- 配給
- ワーナー・ブラザーズ映画
映画『TANG タング』の作品概要
2015年に、デボラ・インストールによって発表された児童文学書、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。国内外問わず高い評価を得た本作が、最新作の原題となっている。原作は日本でもファンが多く、あの劇団四季でも本作を題材とした公演が行われているほど。最新作の興味深い点は、イギリスから日本へと、舞台や設定を変更しているという点。どのように物語が再構築されているのか、監督や脚本の手腕が問われるところ。また、二宮和也にとっても久々となる映画主演。演技力の高さは既に周知の事実ではあるが、果たして二宮和也ここにあり、というところを世間に改めて見せつけることができるだろうか。
映画『TANG タング』の予告動画
映画『TANG タング』の登場人物(キャスト)
- 春日井健(二宮和也)
- 無職で、妻にも見放されたダメ男。タングと共に大冒険に出ることになる。
- タング
- なぜか健の庭にある日突然現れた。旧式のロボットで、記憶を失っている。
- 春日井絵美(満島ひかり)
- 健の妻。弁護士をしており、ゲームしかしない健を家から追い出した。
映画『TANG タング』のあらすじ(ネタバレなし)
毎日ゲームばかりしていて、妻に愛想を尽かされてしまったダメ男、春日井健。ある日、彼の家の庭に突如ロボットが現れる。その旧型ロボットは自らの名前をタングといい、全ての記憶を失っているという。一度はタングを手放そうとする健だったが、謎の勢力がタングを追っていた。実は、タングの失われた記憶には、世界を変えてしまうほどの重大な秘密が隠されていたのだった。共に、記憶を取り戻すための大冒険に出た二人。そんな大冒険の中で、タングは失われた記憶だけではなく優しさなど人間としての感情を、そして、健は忘れていた情熱や昔の自分を少しずつ取り戻していく。
映画『TANG タング』の感想・評価
俳優、二宮和也
一世を風靡したアイドルグループ『嵐』。嵐の素晴らしい点は、アイドルとしてのグループ活動は勿論のこと、個々人の活躍までも幅広いということ。その中で二宮は、主に俳優としての活躍が目覚ましかった。若くして『硫黄島からの手紙』に出演してハリウッドデビューを果たし、後述する『母と暮らせば』では、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を獲得した。そして、本作では久々となる映画主演。彼が映画主演を務めるのは、実は『嵐』休止以降初となる。これから更に個々人の活動に精を入れていきたい嵐のメンバー。果たして、二宮は本作の大ヒットを受け、その後押しとすることができるだろうか。
監督の熱意
本作の監督を務める三木孝浩は、過去に『ソラニン』や『僕等がいた』などを手がけた、今大注目の人物。三木監督が、本作にかけている情熱は並々ならぬものがある。本作には、二宮和也を始めとして、満島ひかりや武田鉄矢などの大物俳優が名を連ねている。彼らが出演を決めたのは、三木監督の熱意によるところが大きい。監督は各々に、複数枚に渡る手紙をしたため、熱烈オファーをかけたのだ。この時代において手紙を送る、というベテラン出演陣にとっても初めてとなる経験を経て、本作は作られた。そんな経緯で集ったメンバーのため、出演陣の絆も深い。結集した彼らが描く作品はどのように仕上がるのか。
タングとの撮影
タングとの撮影は困難を極めた。いかんせん、タングは無機物。スクリーンの中では自由自在に動き、感情を表現していたとしても、現実では動かないロボットなのだ。近年、技術の進歩に伴いCGが発展。微細な表情の違いまで描き出すことができるようになった。しかし、俳優陣は撮影時はその変化をあくまでも想像しながらの演技となる。さらに、本作ではフルCGではなく、腕などの一部分は実際に製作して、それを用いての撮影を行うなどの工夫がされている。出演陣の進化が問われる撮影現場。果たして、役者陣はその期待に応えることができるのか。
映画『TANG タング』の公開前に見ておきたい映画
母と暮せば
これまで数多くの映画に出演し、高い評価を得てきた二宮和也だが、彼のキャリアを語る上で本作は外すことができない作品だろう。本作で二宮は、アカデミー賞主演男優賞を獲得。見事に彼の代表作となった。共演は、日本が誇る名女優、吉永小百合。さらにメガホンを取ったのは、数多くの家族愛をテーマとした名作を世に残した名匠、山田洋次。まさに完璧な布陣である。2人は作中で親子役を演じており、二宮は、原爆によって母に先立って亡くなってしまった青年を熱演。暖かくも切ない二人の交流は、見ている者を必ず涙させる。
詳細 母と暮せば
ベイマックス
絆を深めることができるのは、何も人間同士に限ったことではない。動物であったり、その対象は様々。そして、勿論、ロボットもその対象となり得る。旧型ロボットと新型ロボットの違いはあれど、両作品共に人間とロボットの交流、そして、傷ついた人間が立ち直っていく様子が描かれている。本作を手がけているのは、あのディズニー・スタジオ。流石のクオリティで、見事第87回アカデミー賞のアニメーション映画賞を獲得した。目を奪われる映像美は勿論だが、本作で注目したいのは感動的な絆の物語。傷ついたヒロとベイマックス、そして、友人らの交流には、思わず涙を誘われる。AIが歌う『STORY』も、作品をさらに盛り上げる。
詳細 ベイマックス
ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021
実は本作は、日本人にとって非常に馴染み深い作品となっている。本作が、とある日本の作品を彷彿とさせるというのだ。その作品こそ、この『ドラえもん』シリーズ。ドラえもんはタングとは異なり新型ではあるものの、耳をネズミに齧られたりと、どこか間の抜けたシーンも多い。そして、のび太も健同様、何かと物事がうまくいかない、いわゆるダメ人間。そんな2人が友情を育み、そして、互いの存在が互いにとって成長のキッカケとなっている両作品。『ドラえもん』シリーズが好きだという人であれば、最新作もきっと楽しめるはず。
映画『TANG タング』の評判・口コミ・レビュー
TANG感想。ほっこり前向きになれてちょっと涙が出ちゃう…大人も子供も楽しめる作品!
私の中では、林原信二がスピンオフ観たいレベルの超良キャラ!!
子供に人気あったタングにインスパイアされて激かわロボデザインして得意げにしてそう。続編期待してます!!#キミとならきっと大丈夫#映画タング— 🏝🥂hoyamo(ほやん)🎋🤖 (@hoyan69182374) August 14, 2022
8/14 「TANG タング」を観た。イギリスの小説が原作なのに、何故か日本映画。ストーリーはあちこち原作に近いものとなっていた。思っていたより、タングが可愛いと思えた。やや、演出なのか演技力なのか、しっくりこないところもあったが、小説同様に面白く観ることができた。 pic.twitter.com/uKShBN5rCe
— おじさま (神楽隊) (@xxxnoojisama) August 14, 2022
『#TANG 』
試写会で観賞した本作。公開してからTLに話題があがってこず苦戦しているようなので感想をあげてみる。ひと夏の大冒険として観るとたしかにワクワクするしタングがかわいいので癒される。しかし全編通して「ニノとタングの関係」をメインにして話が進むため他のキャラの印象が薄い。 pic.twitter.com/SHbh7HXehm— おのぶ (@onobujubilee) August 12, 2022
『TANG タング』感想。イマイチ。活劇がいちいち野暮ったい、主人公の問題がメインの冒険とあまり絡まない、AIを扱ったSFとしても表面的、展開そのものが説得力不足と、見せ方と脚本がよくない作品だった。日本映画でこうしたチャレンジは応援したいし、二宮和也の演技が素晴らしかっただけに残念。
— ヒナタカ@映画 (@HinatakaJeF) August 11, 2022
映画『TANG タング』のまとめ
本作は公開前より、国内外問わず高い関心を得ている。原題となっている小説が、あのベルリン国際映画祭で「映画化したい一作」に選ばれているということも理由の一つ。しかし、そもそも近年、邦画に対する世界の注目度が上がっているように思われる。元々日本のアニメ映画は高く評価されていたが、パルム・ドールを獲得した『万引き家族』を始めとし、同じく高い評価を得た『ドライブ・マイ・カー』など、近年実写化作品にも注目が集まっているのだ。本作も、既にファンタジア国際映画祭など、国際的映画祭への出展が決定している。果たして本作も、これらの先達に続くことができるだろうか。
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