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映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

イタリアの落ちこぼれインテリ教授たちが織り成す、風刺コメディ『いつだってやめられる』シリーズ堂々の完結編。インテリたちが最強の巨大テロの陰謀を暴き、イタリアの町を守る。前作同様のメンバーが勢揃いし、負け組たちによる抱腹絶倒のドラマが幕を開ける。

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映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の作品情報

いつだってやめられる 闘う名誉教授たち

タイトル
いつだってやめられる 闘う名誉教授たち
原題
Smetto quando voglio : Ad honorem
製作年
2017年
日本公開日
2018年11月16日(金)
上映時間
102分
ジャンル
コメディ
監督
シドニー・シビリア
脚本
シドニー・シビリア
フランチェスカ・マニエーリ
ルイジ・ディ・カプア
製作
ドメニコ・プロカッチ
マッテオ・ロベーレ
製作総指揮
不明
キャスト
エドアルド・レオ
バレリオ・アプレア
パオロ・カラブレージ
リベロ・デ・リエンゾ
ステファノ・フレージ
ロレンツォ・ラビア
ピエトロ・セルモンティ
マルコ・ボニーニ
製作国
イタリア
配給
シンカ

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の作品概要

2009年、ギリシャから始まった欧州危機により、ユーロ圏諸国は悉く不況に喘ぐ事態となる。イタリア・ローマの研究学者たちにもその流れは押し寄せる。この映画は、不況の荒波に呑まれてしまった落ちこぼれインテリ学者たちが、思いがけない方向でその才能を生かす風刺コメディ。生活に苦しむ神経生物学者・ピエトロ・ズィンニをエドアルド・レオが演じ、第1部のヒットで注目を得るシドニー・シビリア監督が再びレオとタッグを組む。

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の予告動画

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の登場人物(キャスト)

ピエトロ・ズィンニ(エドアルド・レオ)
神経生物学者。酸化剤・武装ギャングの罪で服役中。研究者の犯罪組織を結成したリーダー。
マッテリア・アルジェリ(バレリオ・アプレア)
解釈論的記号学者。殺人未遂の罪を持つ。ラテン語や、インド・ヨーロッパ語に精通している。暴力的な面がある。
アルトゥーロ・フランティーニ(パオロ・カラブレージ)
古典考古学者。国有財産の不正流用、誘拐の罪を持つ。道路や地域にとても詳しい。
バルトロメオ・ボネッリ(リベロ・デ・リエンゾ)
動学マクロ経済学者で、イタリアでは右に出るものはいない程のエキスパートでもある。グループの帳簿頭脳を担当している。
アルベルト・ペトレッリ(ステファノ・フレージ)
計算科学者。売春による搾取、危険運転の罪状を持つ。ピエトロ・ズィンニの右腕。研究熱心で、新しい薬物を自分で試しドラッグ中毒になる。現在はクリーンな体になったはず。
ジョルジオ・シローニ(ロレンツォ・ラビア)
ラテン碑銘学者。マッテリアと同じくラテン語を話し、インド・ヨーロッパ語に精通している。グループの軍事担当で、荒々しい一面がある。
パオラ・コレッティノ(グレタ・スカラーノ)
イタリアの警部。研究者ギャングたちを、陰で支えている。合法とされ、取り締まれないスマートドラッグの摘発に意欲を燃やす。
ヴァルテル・メルクリオ
グループが対峙することになる謎の敵。工業化学者。過去にいろいろあり、その類稀な頭脳を犯罪に使う。

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』のあらすじ(ネタバレなし)

不況な社会を生き抜くために、犯罪に手を染めてしまった研究者ピエトロ・ズィンニとその仲間たち。犯罪者となった彼らは、ひょんなことから警察の捜査に手を貸すことになる。警部のパオラ・コレッティノは、服役中のズィンニに捜査の協力を依頼する。

数々の犯罪歴を持つズィンニの同僚である研究者たちの、犯罪歴抹消を条件に、ズィンニは仲間を集める。生き延びるために超合法ドラッグを製造していたときの仲間7人が、ズィンニの元へ集まる。更に、凶悪な犯罪者たちを逮捕するためにコレッティノ警部と協力して、国外へ出て行ってしまった研究者たちを呼び戻し、10人のチームが完成する。

多くのミッションをこなし、多くのドラッグを取り締まり、ズィンニたちはイタリア警察に多大な協力をする。だが、コレッティノが悲願としている大物ドラッグ“ソポックス”には辿り着けずにいた。

そんなとき、ズィンニは“ある物”がソポックスと深い関りがあることを突き止める。

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映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の感想・評価

痛快なイタリアン・コメディ

近年、日本では研究分野の予算が削減され続け、天才と呼ばれる人たちや才能ある人たちが日本での研究を断念する事態が増えている。海外の大学へ行くことのできない研究者たちが向かう先は、転職と言う普通の道であるが、これまで研究一本だった研究者たちがすぐに転職できるわけでも、転職したからと言って成果を上げられる訳でもない。

そうして、高学歴ワーキングプアが人知れず誕生する。

イタリアの新進気鋭の映画監督、シドニー・シビリアは、ある日新聞の片隅に「首席の学者がごみ収集員」との記事を発見したことで、この映画のテーマを思いつく。欧州危機から始まったユーロ圏の深刻な不況は、高学歴研究者をも関係なく巻き込み、教育機関の予算削減は著しく、人々は次々と職を失っていく。

もしも、そうして職を失った「天才」と呼ばれる人たちが、犯罪に加担することになったら。シドニー・シビリア監督の、社会への挑戦と問いかけが、ついに完結する。

合法ドラッグの前に、法は無力か?

不況にあおられ、生活に困窮した研究者は、お金を稼ぐために企業に就職したりはしない。ピエトロ・ズィンニのように、錬金術のように何かを作り出す発想に至る。そうして、ピエトロ・ズィンニは、合法ドラッグを生成して捕まってしまうのだが・・・

日本でも麻薬が「危険ドラッグ」と呼ばれ、厳しく取り締まられている。だが、「合法ドラッグ」や「脱法ハーブ」などの名前を変え、更に商品を一目では分からないよう「お香」や「バスソフルト」などの形にして販売されているのが実情である。

警察と、麻薬の密売人との攻防は、まさにいたちごっことも言える。アメリカでも、南米からの麻薬の密輸に悩まされ、その様子は多くの映画となり世に送り出されている。

麻薬取締部のコレッティノ警部が、研究者ギャングに秘密裏に手を貸しても、ドラッグを取り締まりたいのは、ドラッグの被害の大きさを知っているからであろう。

前作では、法の前に合法ドラックの生成は無力化されたが、今作では法を味方につけ、ドラッグを密売する売人のあぶり出しに、ピエトロ・ズィンニたちが奮戦する。

スピーディーかつ見識深いコメディ映画

イタリアン・コメディの代表作とも言えるほどの人気ぶりを博したこの映画は、全体的に物語はスピード感に溢れ、躍動感に溢れ、物語の中に散りばめられた笑いや伏線に驚かされ、抱腹絶倒の名の通りとなっている。

理系・文系を問わず、各分野のエキスパートが集まると、こんな会話になるのかと、専門用語ばかりで内容は全く理解できないまでも、彼らの熱心さに感服してしまう。

学問を追求した先にある、知性の醍醐味。

勉強が何の役に立つのかと、幼い頃に親に問いかけた子供もいるだろう。勉強が何の役に立つのかは、本人次第だ。だが、知識が人間の幅を広げることは間違いない。知識を得るために時間とお金を費やし、その結果として高みへ登っていく。これは本来、揺るぎようのないある種の真理でなければならなかった。

だが、現在の日本でも映画と同じようなことが起きている。「頭脳は流出したのではない。追放されたのだ」とは、まさに社会へ問いかける問題提起である。この難しい問題を、コメディという要素が、笑いに変え、物語を受け入れ易く、そして印象深くしてくれている。

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の公開前に見ておきたい映画

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

いつだってやめられる 7人の危ない教授たち/10人の怒れる教授たち

2014年、イタリアで製作された落ちこぼれインテリ研究者のコメディ映画は、イタリア全土を巻き込む大ヒットを記録する。

社会から弾き出された神経生物学者ピエトロ・ズィンニが、同じように路頭に迷っている経済学者・化学者・人類学者たちを集め、犯罪に手を染める。これまで、整備された法の下で、用意された研究施設で、国や世界中の人々のために研究し実を捧げてきた研究者たちが、反旗を翻す。

才能ある人物が犯罪集団を作り上げたら、社会はどんな反応を示すだろうか。彼らが作り上げた合法ドラッグに踊らされ、研究者たちの懐を肥やすための餌になるのか。

日本では2015年のイタリア映画祭で初公開され、話題に上る。その後、2018年5月に『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』が全国公開されると、前日譚として6月に『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』が公開された。

詳細 いつだってやめられる 7人の危ない教授たち
詳細 いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち

おとなの事情

ホームパーティーを楽しむ3組の夫婦と独身男。7人は、それぞれの悩みや秘密事を抱え、それでもお互いに円満に、友人・夫婦の関係を築いている。

『いつだってやめられる』シリーズの主演を務める、エドアルド・レオが出演している『おとなの事情』は、イタリアのアカデミー賞であるダビッド・ドナテッロ賞で脚本賞を受賞し、日本でも空前の話題作となる。

夕食を囲む7人が、スマートフォンに届く通話やメールの履歴を曝け出し合うゲームをきっかけに、友人・夫婦間に様々な疑惑が生じ、お互いの人間模様を痛快に描いたワンシチュエーション・コメディ映画。

食卓の上にそれぞれのスマートフォンを置き、メールは声に出して分を読み、電話はスピーカーにするというルールを決める。スマートフォンが普及した現代ならではの設定に、自分だったらこのゲームをやっても問題ないと思う人も、絶対に無理だという人もいただろう。

円満だと思っているからこそ起きる、7人の本当の姿が露わになるとき、「おとなの事情」を察してその先の全てを鑑賞するか、見逃すかは観客次第。

詳細 おとなの事情

見わたすかぎり人生

2009年日本のイタリア文化会館のイタリア映画上映会で上映された、イタリアの風刺ドラマ映画である。

田舎から上京した主人公マルタは、ローマの大学で哲学科を優秀な成績で卒業する。人生はこれから、自分の華々しい人生がまさにこれから始まるとばかりに浮き足立っている頃。

地下鉄の座席に腰を下ろし、何枚にも及ぶ不採用通知と対面するまでは。

高学歴であるがゆえに、すぐに仕事が見つかると思っていたマルタは、現実を突きつけられる。そんなとき、1人の少女と出会い、マルタはベビーシッターをすることに。更に、新しく住む部屋と、コールセンタースタッフの仕事まで手に入れる。人生はこれから、まさにそうだと浮かれんばかりに。新しい職場は陽気で楽しそうで、とても心地いい。

そう思っていたが、気付いてみるとこの会社が孕んでいる多くの問題に直面する。

大学を優秀な成績で卒業した女性が、非正規雇用を余儀なくされる、高学歴ワーキングプア物語は、不況のため職を失ってしまう才能ある研究者たちに通じるところがある。良い大学に入って、良い企業に就職すれば人生は円満ではない。

日本だけでなく世界中で、受け身のままの高学歴インテリたちは、職に就くどころか職についてもその職すら失う世の中になっている。

詳細 見わたすかぎり人生

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』の評判・口コミ・レビュー

映画『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』のまとめ

コメディ映画を撮影する際、役者たちのアドリブが効き、面白おかしくみんなで作り上げているのかと思いきや、監督のシドニー・シビリア氏はアドリブを一切許容しない。日本に来日した際のトークイベントでは“アドリブをされるとイラっとする”とまで話している。完璧に作り上げられた脚本に演出は、ただのコメディではなく現代社会への問題提起を孕む風刺映画として生まれるに必要な要素なのかもしれない。

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みんなの感想・レビュー

  1. yun より:

    前作と前々作は未鑑賞だったが、本作のクオリティが高くて十分楽しめた。1も2の内容は知っていたので見事な伏線回収と、登場人物たちの個性的な言い回しが素晴らしく面白いと思った。

    大学の教授というインテリの集まりなのに、ギャング団というギャップが意外にもマッチしている。とにかくテンポが良くて気軽に観れるコメディだった。これを踏まえて1作目と2作目を観てみたくなった。