映画『天使のいる図書館』の概要:吉井さくらは図書館の中で、レファレンスサービスの仕事に就いていた。真面目な性格で豊富な知識も持っていたが、人の気持ちを理解することが苦手だった。ある日、古い写真を持った老婦人と出会う。吉井はその出会いを通して、少しずつ変わり始める。
映画『天使のいる図書館』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ウエダアツシ
キャスト:小芝風花、横浜流星、森永悠希、小牧芽美 etc
映画『天使のいる図書館』の登場人物(キャスト)
- 吉井さくら(小芝風花)
- 図書館の中で、レファレンスサービスの仕事に就いている。人と接することが苦手。豊富な知識を持っているが、人の気持ちを読むのが下手。亡くなった祖母のことが大好きだった。
- 芦高礼子(香川京子)
- 若い頃は教師の仕事に就いていた。結婚後は東京で暮らしていたが、病を患い故郷の奈良へと戻ってくる。
- 芦高幸介(横浜流星)
- 礼子の孫。大学を中退し、あちこち旅をしている。親に頼まれ、礼子の様子を見るために奈良を訪れる。
- 田中草一朗(森本レオ)
- 吉井と同じ図書館で、嘱託職員として働いている。若い頃はカメラマンを目指していた。礼子の教え子。
映画『天使のいる図書館』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『天使のいる図書館』のあらすじ【起】
吉井さくらは図書館の中で、レファレンスサービスの仕事に就いていた。毎朝同じ時間に通うほどきっちりとした性格だったが、人と少しズレているところがあった。図書館の利用者に「泣ける本」がないか尋ねられたとき、吉井が勧めたのは拷問や処刑について書かれた本だった。上司のヒロミは吉井に、相手が何を求めているのか分かるようもっと勉強しなければならないと諭した。
吉井は人と接することが苦手だった。司書の仕事に就いたのは、偶然資格が取れたのと図書館が家から近くて通いやすいという理由からで、どうしてもなりたい訳ではなかった。本が好きだったが、地図や図鑑など知識を増やせる本が好きで、恋愛小説などの他人の感情のみで構成された創作物は苦手だった。同僚で嘱託職員の田中草一朗はパソコンで作業する仕事に就いており、吉井はそんな田中の仕事を羨んでボヤいた。
図書館に2時間ほど座っている老婦人(芦高礼子)がいた。後日、吉井は外のベンチで礼子の姿を見かける。何か困ったことがあるのかと思い声を掛けに行くと、礼子は古い写真を握り締めていた。吉井は礼子がその写真の場所が分からずに困っているのだと思い込み、話も聞かずに場所を教えて地図を貸し出した。
映画『天使のいる図書館』のあらすじ【承】
礼子が再び図書館を訪れた。礼子は以前とはまた少し違う古い写真を持っていた。そこに写っていた神社は、吉井の実家の神社だった。礼子は何か言おうとしていたが、吉井はそれを遮り場所を教えた。
礼子が再び図書館を訪れるが、以前教えた神社には行っていない様子だった。吉井は地図だけでは場所が分からなかったのだと思い、次の写真を見せてもらってそこに写っている神社に案内した。礼子はお賽銭を入れ、願いごとをした。その願いごととは「あの人が長生きできますように」だった。あの人とは、礼子が思いを寄せていた相手だった。吉井はその神社で、図書館に何度か足を運んでいた青年(芦高幸介)を見かける。
吉井は図書館の外まで行って礼子を案内したことをヒロミに叱られる。再び礼子が図書館を訪れたとき、吉井は礼子が何かを言い出す前に外へと誘った。吉井の中では、先日ヒロミに叱られたときに許可を取ったということになっていた。ヒロミや同僚はそんな吉井に呆れることしかできなかった。
吉井は礼子と街を巡り、色んな話をした。その時、自己紹介することになり、吉井は「さくら」という名前を褒められる。「さくら」は12年前に亡くなった、吉井の祖母が付けてくれた名前だった。好みの小説の話になったとき、礼子は司馬遼太郎の小説が好きなことを話した。だが、吉井は歴史小説は史実と異なる部分が気になるので、小説の中でも特に好きではなかった。礼子は事実と異なるから小説は良いのだと教えた。歩いているとき、礼子は好きな人に憎まれていることをポツリと漏らした。吉井はそれ以上何も聞かなかった。
映画『天使のいる図書館』のあらすじ【転】
吉井が司馬遼太郎の本を図書館で借りた帰り、幸介に声を掛けられ慌てて逃げ出した。幸介のことをストーカーだと思ったのだ。だが、慌てていたせいで、田んぼに落ちて本を1冊紛失してしまう。吉井はヒロミに謝罪して本を弁償しようとするが、お金を払って解決して欲しいわけではないと諭される。
幸介が紛失した本を持って吉井の前に現れる。田んぼに落ちていた物を、幸介は拭いて持って来てくれたのだ。吉井が戸惑っている間に、幸介は「いつもありがとうございます」という言葉を残して去っていった。渡された本は、よれてしまっていた。吉井はやはり弁償しようとするが、ヒロミは1ページ1ページアイロンを掛けて本を元に戻した。ヒロミは本を大切にする気持ちを吉井に持って欲しかったのだ。
秋祭りの開催が近づいていた。吉井は着たい着物があったため、礼子に着付けを教えてもらうことにした。礼子は吉井と出会えたことを喜んでいた。写真の場所を巡っていれば、いつか好きな人に許してもらえるのではないかという気持ちになっていた。吉井もまた、礼子と一緒にいることを楽しんでいた。
吉井でも場所が分からない写真があった。吉井は礼子から写真を1日預かって、場所を探すことにした。2人は明後日会う約束した。吉井は父の知り合いに写真を見せた。場所は分からなかったが、礼子と一緒に写っている若い男性が、文部大臣賞を取るほどのカメラマンだということが分かった。吉井はいつも邪険にしている父の知り合いに励まされ、町を巡って写真に写っている場所を特定した。その途中で、幸介が病院に入っていくのを見かける。
映画『天使のいる図書館』の結末・ラスト(ネタバレ)
約束の日になっても、礼子は図書館に現れなかった。後日、本を借りるために幸介がやって来て、礼子が入院していることを知る。礼子はもう先が長くなかった。吉井は亡き祖母のことを思い出した。大好きな人だったのに、何もできないまま失ったことを後悔していた。礼子に対しても何かしてあげたいという思いがあったのに、何も浮かんでこない自分に苛立っていた。
吉井は礼子と一緒に写っていた男性のことを調べ、その人が田中だと知る。礼子は田中に会うために図書館に通っていたのだ。吉井は田中に会いに行き礼子に会って欲しいと頼むが、人の気持ちを想像したことがあるのかと非難され拒まれてしまう。後日、吉井は「文部大臣賞を受賞」と書かれた新聞記事のコピーを田中に渡し、どうしても納得できない気持ちを訴えた。田中が文部大臣賞を受賞した写真は、礼子と一緒にいるときに撮ったものだった。
吉井は礼子に会いに行った。礼子は田中との関係について話した。礼子は教師で、田中は教え子だった。田中はカメラマンを目指していた。卒業後、田中が礼子に会いに来て、一緒に町を巡って写真を撮ることになった。手を繋がないような関係だったが、お互い思いを寄せ合っていた。田中はプロポーズしてくれたが、礼子はお見合い相手と結婚することを決めてしまう。
田中が礼子に会いに来た。田中は礼子との思い出の品である本を持ち続けていた。田中と礼子が微笑み合う姿を、吉井は涙を流しながら見守った。それからしばらくして、礼子は息を引き取った。吉井は祖母の着物を着て秋祭りに足を運んだ。そして、礼子が口遊んでいた歌を歌いながら、涙を流した。
理解できない気持ちはあったが、吉井は恋愛小説も読むようになった。吉井が図書館にいると幸介がやって来て、今度は写真の場所を自分と巡って欲しいという誘いを受ける。吉井が驚いていると、白い羽が1枚どこからともなく落ちてきた。
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