1887年、ヴィクトリア女王在位50周年の記念式典が開催されることになった。ヴィクトリア女王はその式典で記念金貨「モハール」を献上する役目を担ったアラブの若者、アブドゥル・カリムに興味を抱く。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の作品情報
- タイトル
- ヴィクトリア女王 最期の秘密
- 原題
- Victoria and Abdul
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2019年1月25日(金)
- 上映時間
- 112分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- スティーブン・フリアーズ
- 脚本
- リー・ホール
- 製作
- ティム・ビーバン
エリック・フェルナー
ビーバン・キドロン
トレイシー・シーウォード - 製作総指揮
- リー・ホール
アメリア・グレンジャー
ライザ・チェイシン
クリスティーン・ランガン
ジョー・オッペンハイマー - キャスト
- ジュディ・デンチ
アリ・ファザル
エディ・イザード
アディール・アクタル
ティム・ピゴット=スミス
オリビア・ウィリアムズ
フェネラ・ウールガー
ポール・ヒギンズ - 製作国
- イギリス・アメリカ合作
- 配給
- ビターズ・エンド、パルコ
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の作品概要
シャラバニ・バス原作の著書『ヴィクトリアとアブドゥル:女王腹心の友 その真実の物語』を元に作られた作品。映画『Queen Victoria 至上の恋』(1997)でヴィクトリア女王を演じたジュディ・デンチが、約20年ぶりに同役を演じている。「第75回ゴールデン・グローブ賞・主演女優賞」にノミネートされている他、「第90回アカデミー賞・衣装デザイン賞」など数々の賞にノミネートされている。ヴィクトリア女王が実際に使用していたオズボーン・ハウスが撮影で使われており、その当時の雰囲気が体感できるようになっている。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の予告動画
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の登場人物(キャスト)
- ヴィクトリア女王(ジュディ・デンチ)
- 18歳のときにイギリスの女王に君臨し、1887年に在位50周年を迎えることになる。気難しい性格。深い孤独を抱えている。
- アブドゥル・カリム(アリ・ファザル)
- アラブの若者。ヴィクトリア女王に気に入られ、従者となる。ヴィクトリア女王に対して、1人の人間として接する。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』のあらすじ(ネタバレなし)
18歳の若さでイギリスの女王になったヴィクトリア。それから彼女は女王として君臨し続け、1887年在位50周年の記念式典が開かれることになった。アラブの若者アブドゥル・カリムは、その式典で記念金貨「モハール」を献上する役目を務めることになった。
式典では女王の目を見ることは御法度だった。しかし、アブドゥルはヴィクトリア女王の目を真っ直ぐ見て微笑んでしまう。退屈な周囲との交流や心休まらない日々にウンザリしていたヴィクトリア女王は、そんなアブドゥルの態度に興味を引かれる。そして、アブドゥルを従者として傍に置くことを決めた。
宮廷にいる者達は、異国の者であるブドゥルのことが受け入れられなかった。周囲の反対を他所に、ヴィクトリア女王はアブドゥルから教えてもらう異国の話を楽しそうに聞いていた。ヴィクトリア女王は次第にアブドゥルのことを友として大切に思うようになる。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の感想・評価
女王・ヴィクトリア
イギリスを統治していた期間に「ヴィクトリア朝」と自身の名前が付けられるほど、ヴィクトリア女王は国内外に大きな影響を与えた人物である。ヴィクトリアは18歳の若さで即位しながらも、未熟なことを言い訳にせず、国に対する義務を全うしようと強い心で奮闘していた。そのことは、即位してすぐ自身の母を遠ざけたことに顕著に表れている。さらに、1877年1月からは、初代インド皇帝としてインドを統治するようになった。
本作品はシャラバニ・バス原作の著書『ヴィクトリアとアブドゥル:女王腹心の友 その真実の物語』を元に作られている。シャラバニ・バスは新聞社で特派員として活躍している人物で、イギリスとインドの隠された歴史について調査を行い、2010年に本書を出版した。
晩年のヴィクトリア女王「真実」の姿
ヴィクトリアは女王としての役目を務め上げていながらも、周囲には気難しい人物として写っていた。しかし、彼女の心には、女王として居続けた者にしか分からない空虚さと孤独さが渦巻いていた。
ニュースや歴史で「ヴィクトリア女王」を見たとき、どんな功績を上げたのか、どんな人と関わってきたのか、上辺のことだけしか知ることはできない。この映画を通じて改めてヴィクトリア女王はどんな思いを抱いていたのか、どんな環境で生きていたのか、内面を感じることができると思う。
また、ヴィクトリア女王が友として心を通わせることになったのが、異国の従者(アブドゥル)というのがおもしろい。ヴィクトリア女王に対してのアブドゥルの気取らない態度が心地良い映画だと思う。
ジュディ・デンチの再演
ヴィクトリア女王を演じているのは、イギリスの大女優ジュディ・デンチである。ジュディ・デンチは名作映画『007シリーズ』で、イギリス情報局秘密情報部(MI6)の局長「M」を演じトップスターへの道を駆け上がった。2011年には世界的に素晴らしい業績を上げた芸術家に送られる、「高松宮殿下記念世界文化賞」が授与されている。
実は、ジュディ・デンチは映画『Queen Victoria 至上の恋』(1997)でヴィクトリア女王を演じたことがある。『Queen Victoria 至上の恋』では、ヴィクトリア女王の秘められた恋についてスポットが当てられている。「第51回イギリス・アカデミー賞・主演女優賞」と「第55回ゴールデン・グローブ賞・主演女優賞 (ドラマ部門)」を受賞しており、本作での演技にも注目して欲しい。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の公開前に見ておきたい映画
Queen Victoria 至上の恋
ジュディ・デンチが約20年前にヴィクトリア女王を演じた作品。夫を亡くし塞ぎ込んでしまったしまったヴィクトリア女王と、彼女を救った使用人ジョン・ブラウンとの交流が描かれている。ジョン・ブラウンを演じたのは、イギリスでコメディアンとしても活躍するビリー・コノリー。
1861年、ヴィクトリア女王は夫のアルバート公を亡くした悲しさに耐えられず、3年間もオズボーン宮に籠もって喪に服していた。その間公務は滞っており、周囲は困り果ててしまう。そこで、馬の世話係として、アルバート公が信頼を寄せていたジョン・ブラウンを派遣することにした。ヴィクトリア女王はジョンの存在に救われていく。2人は交流を持つ内に、恋心を寄せ合うようになる。
詳細 Queen Victoria 至上の恋
クィーン
スティーブン・フリアーズ監督の代表作。「アカデミー賞・主演女優賞」や「イギリス・アカデミー賞・作品賞」など、数多くの賞にノミネートまたは受賞した作品。主演を務めたのは、舞台女優としても活躍しているヘレン・ミレン。脚本は『ブーリン家の姉妹』(08)を担当したことでも有名なピーター・モーガン。
1997年8月30日深夜、ロイヤルファミリーの元にダイアナ妃が交通事故に遭い、病院に搬送されたという知らせが入る。チャールズ皇太子は王室機を使ってダイアナの元に急ごうとするが、エリザベス2世から浪費を理由に使うことを禁止されてしまう。その間に、ダイアナ妃は亡くなった。エリザベス2世はダイアナ妃のことを、王室を去った者と見なしていた。だが、国民達は深くダイアナ妃のことを敬愛しており、エリザベス2世の冷淡な態度に不満を抱く。
詳細 クィーン
ワイルドスピード SKY MISSION
脇役ではあるが、アリ・ファザルがハリウッド映画デビューを果たした作品。カーアクション映画『ワイルドスピード シリーズ』の7作目に当たる作品。主演を務めたのはポール・ウォーカーなのだが、撮影中に事故で亡くなってしまい、撮れなかったシーンは彼の弟達が代役を務めている。本作品が彼の遺作となった。
ドミニクとブライアンはアメリカ外交保安部のルーク・ホブス捜査官に協力し、オーウェン・ショウ率いる国際犯罪組織を壊滅させることに成功する。ドミニクはオーウェンの元から取り戻した恋人のレティと、ブライアンは家族と穏やかな生活を送っていた。しかし、レティは記憶を取り戻すことができず、ドミニクとの間に溝が生じてしまう、そんな時、オーウェンの兄であるデッカードが襲撃してきた。
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』の評判・口コミ・レビュー
ヴィクトリア女王 最期の秘密 (原題 Victoria & Abdul)観終えました。
2010年に見つかった衝撃の事実。伝統と格式を重んじる大英帝国、何より有色人種に対する差別が当たり前のあの時代に、身分も人種も超えた絆が、しかも英国女王とインド人従者の間に…というのに驚きを隠せない…。 pic.twitter.com/259zq2Z52b
— 薔薇/AMADEA ROSALIA (@ROSALIA5252) 2019年1月27日
重責と孤独と老いで気力を失っていた女王が、イケメンの若い“異分子”と出会ってみるみる活気を取り戻す様子はグッときました。好奇心(恋心に近い)って活力ですね。好きなことあると人生楽しい。https://t.co/CbbajbKqOT
— ぼたん (@botanbbb) 2019年1月27日
ヴィクトリア女王 最期の秘密
女王とアブドゥルのやり取りにほのぼのして、彼らの関係にやきもきする王室の人達にクスクスして。
しかしこういう話はズルい。
死が迫る女王、病床での二人きりの会話。それまで楽しく観てた分、うっかり泣いた。どこまで事実かはともかく…https://t.co/ILDT8VxMFU pic.twitter.com/xz68Xe3VLx— wanda (@wanda2255) 2019年1月27日
ヴィクトリア女王 最期の秘密
新しい文化やイケメンインド人にうきうきしている女王がとてもキュート
前半は笑えるシーンも多い
女王の孤独と最晩年に見つけた生き甲斐?癒し?とは、が心に残った
アブドゥルに関しては見た人と語りたいっ
エンドロールのインド風音楽も〇 pic.twitter.com/x1rYy9L5QS— めぐねえ (@megunii) 2019年1月27日
『ヴィクトリア女王 最期の秘密』
美しいセットとキュートな女王、
そしてなによりイケメン・長身・ユーモア・知識と全てを兼ね備えたアブドゥルと魅力満点の映画!前半のコメディ展開は大好き!
終盤になるにつれ鈍重になっていったのが少し残念だったけど
トータルめちゃくちゃ面白かった
是非! pic.twitter.com/6PmuYxX7FW— パピプリオ ゆうだい (@JXVxhOTsluhpmxj) 2019年1月27日
映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』のまとめ
ジュディ・デンチの演技が特に素晴らしく目を引く作品である。物語の最初の方では、ヴィクトリア女王は周囲と接するとき、憂鬱そうでいつも厳めしい表情をしている。しかし、アブドゥル・カリムと出会った後は笑顔が溢れ、とても楽しそうにしている。それだけではなく、悲しそうな表情で、女王でいることに孤独を感じている胸の内を吐露する場面もある。どの表情もとても魅力的で、目が釘付けになる。ヴィクトリア女王と共に、ジュディ・デンチが改めて好きになる作品だと思う。
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