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映画『小さいおうち』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『小さいおうち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『小さいおうち』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『小さいおうち』の結末までのストーリー
  • 『小さいおうち』を見た感想・レビュー
  • 『小さいおうち』を見た人におすすめの映画5選

映画『小さいおうち』の作品情報

小さいおうち

製作年:2013年
上映時間:136分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:山田洋次
キャスト:松たか子、黒木華、橋爪功、吉行和子 etc

映画『小さいおうち』の登場人物(キャスト)

松たかこ(平井時子)
平井家の妻。平穏に暮らしていたが、板倉という男と出会ってから人生が少しずつ変わっていく。
布宮タキ(黒木華)
平井家に女中として働く女性。時子に気に入られるが、彼女の秘密に気付いてしまってから葛藤の日々を送ることとなる。
板倉正治(吉岡秀隆)
平井と同じ会社で働く男性。時子との仲が徐々に縮まっていく。
荒井健史(妻夫木聡)
タキの大甥。タキが残したノートから、タキや時子の過去について知ることなる。
平井恭一(米倉斉加年)
時子と一番目の夫との間にできた子供。健史達がタキや時子に起こった出来事を知った時にも存命だった。
平井雅樹(片岡孝太郎)
時子の二番目の夫。おもちゃ会社に勤める有能なサラリーマン。

映画『小さいおうち』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『小さいおうち』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『小さいおうち』のあらすじ【起】

健史の大叔母にあたるタキが亡くなり、タキの葬儀が開かれることとなった。そして、健史はタキの自宅にて、残された一冊のノートを見つける。そのノートの内容は、タキの人生を綴った自叙伝になっていた。

最初の執筆は、昭和11年から始まっていた。山形から東京へ来たタキは、最終的におもちゃ会社で働く平井家に女中として奉公することとなる。女中とはいえ、平井家の夫人、時子はタキのことを気に入り、タキは幸せな毎日を送っていた。

しかし、その生活に陰りが見え始めてきたのが昭和13年ごろだった。平井の会社の板倉という男が、新年の挨拶のため平井家を訪れたのだ。そしてそれから、時子と板倉の仲が少しずつ縮まっていくことにタキは気付いていた。

ちょうどその頃、日本では支那事変が起こっていた。その影響で平井の会社はやや苦しくなり、時子と夫の間には溝ができていく。会社を立て直すべく、板倉には縁談の話が舞い込んでくる。そして、板倉にその縁談を受けるように説得してほしいと命を受けた時子が、板倉の家へと通うことになるのだった。

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映画『小さいおうち』のあらすじ【承】

そして、そういった現状もあり、時子と板倉の仲は更に急速に縮まるのだった。ある時、板倉の元から帰ってきた時子の帯の結び目が、行きの際と変わっていることにタキが気づく。このことから、タキは二人がとうとう肉体関係を結んだと考えるのだった。女中としては家主にこのことを伝えるべき、しかし時子のことも尊敬していたタキは、自分がどう行動すべきか悩む。

しかしそれを言い出せないまま、時は流れ昭和16年。日本はアメリカとの戦争を始めていた。その頃には、タキ以外の何人かの人間も、時子と板倉の関係に疑問を持ち始めていた。平井家のメンツや時子のことを考えたその人たちは、タキにひっそりと忠告するだけに留める。しかしそういった忠告や板挟みの立ち位置が、タキを益々悩ませることになる。

しかし、とうとう板倉も兵隊として召集されることになったのだ。そして板倉は、時子に出兵前の別れを告げにくる。時子と板倉は、主人がいない家でこっそりと抱擁を交わすのだった。

映画『小さいおうち』のあらすじ【転】

しかし、時子はどうしても板倉を忘れることができなかった。そして出兵前の板倉にもう一度会おうと、自ら彼の下宿へ向かおうとするのだった。しかし、タキはそんな時子をそのまま見送ることができなかった。時子のことを思う身としては彼女を見送ってやりたいという気持ちもあったが、しかし、彼女が破綻の道を歩むことも望んではいなかったのだ。

そこで、タキは時子にある提案をする。会いたいという旨の手紙を時子に書かせ、自分がそれを板倉に届けるというのだ。時子は迷うが、タキの提案を受け手紙をタキに託した。

そして、それから戦争は激化し、日本の敗北という形で終戦を迎える。板倉の一件以降、時子とタキの間柄もギクシャクし始め、戦争が悪化したこともありタキは実家である山形へと戻っていた。そして戦争が終わった頃、平井と時子は戦火に巻き込まれ帰らぬ人となっていた。板倉は戦争をなんとか乗り切り戦地から戻ってくる。そして、漫画家として成功を収めるのだった。

映画『小さいおうち』の結末・ラスト(ネタバレ)

そして、健史はそのノート以外に、一通の手紙が入っているのを見つけるのだった。それは、あの日時子が板倉にあてた手紙だった。タキはあの時、二人の関係を終わらせるべく板倉に手紙を渡さなかったのだ。

そして、時子には前の夫との間に一人息子がいた。彼の名前は平井恭一。まだ存命だった平井恭一を求めて、健史は恋人とともに彼の居場所へと向かうのだった。そしてあの時渡されることのなかった手紙は、時を経て恭一に渡されることとなる。恭一も薄々時子と板倉の関係に気がついていたようで、手紙を読んだ彼は素直に事実を受け入れているようだった。

そして健史は、生涯を独身で終えた自分の大叔母に想いを馳せる。尊敬している人を思い板挟みになった大叔母、愛する者のために厳しい選択を選ばざるを得なかった大叔母。彼女が以前、「長く生きすぎたの」と涙を流した姿を健史は覚えていた。小さいおうちの中で起こった出来事を思いながら、健史は帰路につくのだった。

映画『小さいおうち』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

穏やかで文学的な映画だなと思う。
松たかこと黒木華の組み合わせは漂う雰囲気がとても素敵。
戦争という時代の流れに翻弄される小さなおうちの人々の心理描写が切なくなる。
意味ありげなタキおばあちゃんの部屋の「赤いお家の絵」は板倉が描いた絵なのかなと思い、戦後に会ったのか?何か秘密があるのか?と最後まで楽しみにしていたのだが何もなかった・・モヤモヤが残ってしまった。(女性 40代)


黒木華演じる元女中タキを通して描かれる、とある家族が小さなお家の中で一緒に過ごしたほんの一時の物語。当時の自分にとってはどうしようもなかった小さな思いが繊細に表現されていた。
終盤、晩年のタキの「長く生きすぎたの」という台詞には、時子と板倉の不倫を2人の傍らで知りながらも、生涯その”秘密”を胸に抱えて生きてきた重みや意味深さを感じた。
松たか子と黒木華の凛とした佇まいが、戦前の日本という作品の雰囲気をより一層深めており、原作を忠実に映像に落とし込んでいて見応えがあった。(女性 20代)


描かれている時代背景から反戦物かと思いきやそんなことはない。単純な不倫の話でもなく、それを見ていた人の話だった。もっと言えば、それを見ていた人の秘めた思いの話なのだろう。その秘めた思いが誰に対してのものだったのか最後まで判断がつかなかったのは、私の感性の問題だろうか。
時代考証がどこまで正確なのかは私には分からないが回想部分の雰囲気は、松たかこと黒木華のおかげもありとても味わい深かった。一方現代部分は少し唐突な印象が残った。体験者に「そんなはずはない」と言い放つ若者には若干の違和感を抱いた。(男性 40代)


色々と余白が感じられるストーリーで、登場人物それぞれの思いを考察しながら見ていた。板倉への手紙を渡さなかったことについて、タキはずっと重く苦しい気持ちを抱えていたのではないかと思う。手紙を捨てずに残しておいたところに、それが表れていたように思う
黒木華さんの素朴で芯のある雰囲気が、タキという役柄に合っていた。彼女以上に、合う女優さんはいないのではないかと思う。演技も素晴らしく、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞したのも納得である。(女性 30代)


印象的だったのは、時子の着物の帯の向きが出かけるときと逆になっていた場面。時子が想いを寄せる板倉に会いに行き、そこで起こったことを帯で表現するところがシャレてるなーと思いました。天真爛漫な時子を演じた松たか子は凛として綺麗だし、吉岡秀隆は純朴な青年、板倉にぴったり。品のある二人だから、許されない恋も素敵に見えてしまいます。
山田洋次監督というのもあるのでしょうが、俳優の演技に品があって昔の日本の美しさが感じられました。(女性 40代)


タキが死ぬまで抱え続けていた想いは一体なんだったのか私にはよく分かりませんでした。女中としてやらなくてはいけないことと、女として抑えきれない気持ちとの葛藤かと思って見ていましたが、タキの思いは時子に向けられているのかな…?とも感じられました。
久石譲の音楽が気持ちを高ぶらせるので思わず涙が零れてきてしまいましたが、何に対しての涙かは自分でもよくわからなかったのでもう一度じっくり見返したいなと思います。(女性 30代)


昭和初期の空気感がとてもリアルに描かれていて、特にタキが抱えていた秘密に胸が締め付けられました。時子さんと板倉さんの淡い恋に、タキがどんな思いで関わっていたのかを想像すると、切なさがこみ上げます。タキの「小さいおうち」が、実は心の中の象徴だったことに気づき、深い余韻が残りました。(20代 女性)


小さいおうちが単なる建物ではなく、家族の理想や秘密の象徴であることに気付いた瞬間、胸が締め付けられました。時子さんの微妙な感情の揺れをタキがどれだけ理解し、守ろうとしていたかが伝わり、涙なしには見られませんでした。山田洋次監督の温かな眼差しが全編にあふれていました。(30代 男性)


戦争に向かっていく不穏な時代背景と、静かに進行する人間ドラマが対比的でとても印象に残りました。特に、タキが生涯守り続けた秘密の重さと、それを語る決意に胸を打たれました。倍賞千恵子さんの演技も圧巻で、静かな感動がじわじわと広がっていく作品です。(40代 女性)


若い頃には気づかなかった、「小さいおうち」に込められた郷愁や切なさが、年齢を重ねた今だからこそ深く刺さりました。タキの回想を通して見える昭和の家族像と、時子さんへの複雑な感情が丁寧に描かれていて、見終わった後もしばらく余韻が消えませんでした。(50代 男性)

映画『小さいおうち』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『小さいおうち』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

母と暮せば

この映画を一言で表すと?

「戦争が奪ったものと、それでも続く親子の愛を静かに描く感動作」

どんな話?

長崎で原爆により息子を失った母が、亡霊となって現れた息子と心の交流を重ねる物語です。生者と死者が交わすささやかな会話を通じて、喪失と再生、そして人が生きる意味を優しく描き出します。静かな感動が心に深く残る作品です。

ここがおすすめ!

吉永小百合と二宮和也が母子を演じ、親子の絆と戦争の悲しみを丁寧に表現。舞台演出のような静かなセットも、物語に独特の温かみを与えています。深いテーマを優しいタッチで包み込み、心がじんわりと温まる一作です。

東京物語

この映画を一言で表すと?

「時代を越えて心に響く、家族の距離と愛情を描く永遠の名作」

どんな話?

老夫婦が上京して子供たちと再会するも、都会の生活に忙しい子供たちとの間に生まれる静かな孤独を描いた物語。昭和の日本の家族像と、親子のすれ違いを淡々としたリズムで描きながらも、強い余韻を残します。

ここがおすすめ!

小津安二郎監督ならではの静かな演出と、美しい映像構成が魅力。家族との時間や、何気ない日常の大切さに改めて気づかされます。しみじみと心に染み入るような感動を味わいたい人にぴったりの映画です。

そして父になる

この映画を一言で表すと?

「血のつながりか、共に過ごした時間か——父親たちの葛藤を描くヒューマンドラマ」

どんな話?

病院で取り違えられたことで、6年間育てた息子が他人の子だと知った二組の家族。血のつながりと家族の絆の間で揺れる父親たちの葛藤を、是枝裕和監督が繊細に描き出します。家族とは何かを改めて考えさせられる物語です。

ここがおすすめ!

福山雅治の父親役が光り、親としての成長と葛藤がリアルに胸に響きます。無理に涙を誘わず、静かに心を打つストーリーテリングも魅力。『小さいおうち』の人間ドラマが刺さった人にこそ観てほしい一作です。

この世界の片隅に

この映画を一言で表すと?

「戦時下の日常を、優しく、そして力強く描いた珠玉のアニメーション」

どんな話?

広島・呉を舞台に、戦争中も懸命に生きる普通の女性・すずの姿を描いた物語。小さな幸せを見つけながら過酷な日々を乗り越えるすずの姿が、戦争の悲惨さだけでなく、人間の強さと希望を映し出します。

ここがおすすめ!

リアルな時代考証と、細やかな生活描写が圧倒的。アニメでありながら、戦時下のリアルな暮らしを真正面から描き、深い感動を呼びます。『小さいおうち』の昭和の空気感に惹かれた人には必見の作品です。

阿弥陀堂だより

この映画を一言で表すと?

「田舎の静けさと人々の温かさに心洗われる、癒しの映画」

どんな話?

東京から長野の田舎へ移り住んだ夫婦が、地元の人々と交流しながら心の傷を癒していく物語。静かな自然、素朴な人々とのふれあいを通して、都会の喧騒では得られない「生きる力」を再発見していきます。

ここがおすすめ!

自然の美しさと、老僧侶や村人たちとの心温まる交流に心癒される一作。大きなドラマはないけれど、小さな感動が積み重なり、観終わったあとに穏やかな気持ちになれます。『小さいおうち』の温かみが好きな人にぴったりです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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