映画『図書館戦争』の概要:有川浩による大人気シリーズ、「図書館戦争」をほぼ原作そのままに実写化。岡田准一と榮倉奈々がそれぞれキャラクターにハマっていると原作ファンからも人気を博し、続編も製作されている。
映画『図書館戦争』の作品情報
上映時間:128分
ジャンル:ラブストーリー、アクション
監督:佐藤信介
キャスト:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰 etc
映画『図書館戦争』の登場人物(キャスト)
- 堂上篤(岡田准一)
- 郁の上官で、やや堅物な一面もある鬼教官。郁よりも身長が低いことをネタにされているが、その実力は本物。
- 笠原郁(榮倉奈々)
- かつて自分を助けてくれた王子様に憧れ図書隊に入隊した。持ち前の根性と運動能力で、厳しい訓練に耐え抜いている。
- 小牧幹久(田中圭)
- 堂上の友人。常に笑顔を絶やさない人物で、腹で何を思っているかは誰も読めない。
- 手塚光(福士蒼汰)
- 郁の同期で、同期内でも群を抜いたエリート。有名な一家に生まれたおぼっちゃま。
- 玄田竜助(橋本じゅん)
- 堂上達の上司で、かなり豪快な性格。背中で部下達を引っ張る頼り甲斐の或る人物。
- 柴崎麻子(栗山千明)
- 郁の友人で、頭もキレる美人。その性質ゆえ周りからやっかみを買うことも多かったが、裏表のない郁と出会った事で彼女に心を許すように。
映画『図書館戦争』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『図書館戦争』のあらすじ【起】
表現の自由が尊ばれていた日本ですが、1988年に「メディア良化法」が制定された事でその権利が脅かされる事となりました。メディア良化法とは、様々なメディアに対しての取り締まりを合法化するというもので、例えば国が有害図書と認めたものに図書に関してはメディア良化隊という国の軍隊によって回収、焼却されてしまうのです。
しかし本来の権利を守るべく立ち上がった人々がいました。2006年に制定された、表現の自由を守る為の組織、「図書隊」です。図書隊は他の軍隊と同様に軍事訓練を受け、図書館の敷地内のみで発砲が許されるという特殊部隊です。
笠原郁は長年読み込んできた童話の最終巻を購入する為本屋を訪れていました。しかし何とその最終巻が国の定める有害図書認定を受けてしまい、本を回収するべく良化隊が雪崩れ込んできました。本を守る為、郁は咄嗟に本を隠しますが良化隊に見つかり争いとなってしまいます。そんな彼女の前を守るように立ちふさがったのは、1人の図書隊員でした。
映画『図書館戦争』のあらすじ【承】
自分を守り、そして本を取り返してくれた図書隊員を見た郁は、自身も図書隊員となる事を志しました。そして2019年に郁は晴れて武蔵野第一図書館の図書隊員として採用されるのでした。彼女の教官である堂上篤の指導はとても厳しく、男社会の中での身体的な不利もある中で、郁は持ち前の根性と運動能力、そして自分を助けてくれた「王子様」への憧れでへこたれる事なく乗り越えていきます。
そしてそんな彼女の努力が花を咲かせ、何と図書隊員の中でも精鋭ばかりが集められた「図書特殊部隊」に初の女性隊員として召集されるのでした。郁は堂上班の一員として、堂上の同期である常に笑顔を携えていて考えが読めない小牧、郁の同期でエリートの手塚と任務に当たる事となりました。
勿論戦闘だけでなく日々の図書館司書としての仕事も図書隊員の立派な仕事です。覚えることが多く郁は毎日を慌ただしく送っていました。そしてある時、凶悪犯が本を狙うという事件が発生し、その騒動で良化隊と図書隊との激しい闘争が生じます。
映画『図書館戦争』のあらすじ【転】
今迄郁が図書特殊部隊に採用された事を疑問視し、憧れの堂上に目をかけられることが多い彼女にライバル心を持っていた手塚も、今回の戦闘の中で郁の実力を認めます。そして少し生真面目すぎる手塚は、「わかり合う努力をしろ」という堂上の言葉を考え、何と郁に交際を申し込むのでした。郁は驚くものの、手塚の申し込みを断ります。
その頃、莫大な私有図書を持つ野辺山宗八という人物が亡くなりました。彼は自身が経営していた情報歴史図書館の貯蔵本を、関東図書基地の指令である仁科に全て委ねるという遺言を残していました。そのコレクションの中には良化隊について赤裸々に記されたものもあり、今迄個人の私物ということで手を出せずにいた良化隊はこの機を狙い本の回収を試みます。それに対抗する為、図書隊も戦闘の準備を整えていきました。
しかしその中で唯一郁だけが戦闘から外され、野辺山宗八の葬儀に向かう仁科司令の護衛に回されたのでした。小牧と手塚はその判断は公平ではないと訴えますが、郁の身を密かに案じている堂上は上官の命令として聞き入れません。
映画『図書館戦争』の結末・ラスト(ネタバレ)
しかしその堂上の想いの裏目をかくように、なんと郁と仁科司令のいる葬儀場に良化隊を支持するという団体が雪崩れ込んできました。そして良化隊の敵とも呼べる仁科司令と郁を誘拐したテロリスト達は、2人の身の安全の代わりに野辺山宗八が遺した本を全て焼却する事を要求します。郁は機転を利かし友人の柴崎に自身が立山にいる事を伝えます。また、仁科司令の義足にはGPSが埋め込まれており、それをもとに図書隊は2人の救出作戦を練るのでした。
しかし、図書隊は図書館以外での発砲を許されていません。そこで堂上の上官である玄田は2人のいる廃墟を買い上げ、無理やり「図書館」にするという荒技に打って出たのです。図書特殊部隊が乗り込み、自由になった郁も加わり見事仁科司令を守りながらテロリスト集団を捕縛する事に成功します。
堂上は今回郁を部隊から外した自分の判断が誤っていた事を謝罪し、今回の郁の働きを褒めました。頭の上に乗せられた堂上の手の感触に、郁は覚えがありました。それはかつて自分を助けてくれた図書隊員の手と同じものでした。堂上こそが、郁の王子様だったのです。
映画『図書館戦争』の感想・評価・レビュー
個人的に本を良く読む方であり、昔は図書館へ行き本を借りていたため、もし映画の中の戦争が起きたらどう思うのか、また特殊部隊に入ったらどう動くのか、勝手に想像しながら楽しめた。戦争場面では、激しいアクションシーンや相手の動きを読み合う空間など、はらはらして緊迫した。それだけでなく、ラブストーリーもしっかり組み込まれており、違う面でもたのしめる作品だった。豪華なキャストが繰り出す演技力、アクション力も見所だ。(女性 20代)
有川浩による小説を映画化した作品。メディアの表現が厳しく規制される架空の日本で表現の自由を守るため戦う図書隊に入隊した女性の活躍と成長、上官との濃い模様を描いた作品。
この作品は幾つもの側面で楽しむことが出来る。
図書隊と良化隊の対立、堂上と笠原の恋愛模様、メディアを巡る社会ドラマなど、とりわけ、メディアを巡るドラマは現代の日本にも通じる重厚なストーリーとなっている。(男性 20代)
設定が歪な子供向けのお話。ではあるが舞台設定が国内映画向けで見栄えがする。ここは子供向けではなく自由な発想力と捉えるべきかもしれない。映画を成立させているのは原作のシンプルな面白さと主演の岡田准一による部分が大きく、特に岡田はアクションに説得力を持たせる役割を果たした。それが違和感のある設定を上手く隠したと思う。戦争映画としては少しストーリーが甘めな部分が気になるが国産の戦争映画を作るにはこのくらいが限界なのだろう。男が映画館にいかないからね。(男性 30代)
原作の小説でも設定的にはリアリティが無い話なのですが、ファンタジックな世界観になるわけでもなく日常的な演出になっていて、小説のイメージとかけ離れることなくよかったと思う。
小説が好きだった身としてはキャラクターと出演者のイメージが違うと思うことなかったので実写化でも心配なく観れたので良かった。
ストーリーの進み方は原作とほぼ同じだったので原作好きな私はほっとしました。
大事な物を全力で守ることの大切さを教えてくれる作品だと思う。(女性 20代)
本を読む事を禁止された世界で、本が大好きな図書館の職員達が本を巡って戦争をすり物語です。ストーリーがあまりないようなお話しで、アクションあり恋愛ありで観ている人が退屈しない物語になっています。
自由を求めて戦う姿は、学生運動などを思い出せます。キャストも豪華俳優人ばかりで演技は申し分ありませんでした。(女性 30代)
序盤の図書館が襲撃されるシーンはショッキングでした。
本のために武器を持って戦い、多くの人の血が流れるなんてぶっ飛んだ世界だけど、本が好きな人間としては違和感なく物語に入っていけました。
戦闘シーンは本格的で見応えがありますが、主人公と教官が意識し合っている感じは少女漫画みたいでちょっと恥ずかしかったです。テロリストのようなグループが出てきてからは「この人たち何のために戦っているの?」と思わず突っ込みたくなりましたが、「図書館戦争」という発想が面白いし、本が好きな人ならきっと楽しめると思います。
逆に本に興味がない人は感情移入しづらいかもしれません。(女性 40代)
みんなの感想・レビュー
原作が好きですごく楽しみにしていた映画です。主演のお二人は想像していた通りのキャスティングで、キャラクターがそのまま生きていると感じるほどでした。この方たち以外、今は考えられません。
映画ならではの派手でかっこいいアクションの数々が正に見どころであり、特に堂上役の岡田さんが繰り出す技には惚れ惚れしてしまいます。
原作好きからすると、物足りなさを感じてしまいました。もっと甘いラブコメ感が欲しい。小説を読めば出てくる、もう一つのこの映画の良さがあるので、読んでない方にはぜひ読んで欲しいです。
キャラの魅力を最大限に引き出す良キャスティング。
本や漫画を原作とした映画は、原作を知っている人にとっては、良いか悪いかがはっきりと分かれるのではないかと思います。それは、映画を見る前にキャラや作品に対して固定観念を持っているから。そのため、自分が思っていた世界観と違うとちぐはぐな感じがしてしまったり……。けれど、そんな原作好きも「これぞ正しく我々が思い描いていた図書館戦争だ」と言い張れるほどの再現性を持っています。
その世界観を発揮させているのが、主人公を初めとする俳優陣のベストキャスティングであると感じます。偶然にも、プロデューサーの辻本珠子が選んだ主役の岡田准一と榮倉奈々は、文芸雑誌『ダ・ヴィンチ』で「読者が選ぶ誌上キャスティング」において1位を獲得していたというように、原作のイメージと重なる二人を主人公にしたことで、実写映画ならではの魅力を吹き込ませることに成功しています。また、郁の同僚には栗山千秋や福士蒼汰、堂上の親友役には田中圭など、こちらも今を時めく俳優陣たちによって構成されており、お目当ての俳優を目当てに鑑賞するのにもおススメの作品となっています。
原作好きも、俳優のファンも、もちろん原作を知らない方でも大いに楽しめる映画だと思います。ただ、ストーリーの大前提である「図書館の本を守るために武力を行使する」というところに引っ掛かりを覚える方は、物語自体に違和感を感じてしまうかもしれません。
おススメなのは、堂上と郁の距離が縮まる野営のテントのシーンです。二人の自然な雰囲気に少女漫画を読んでいる気分になりました。
初見で見る人のために、図書館法などの解説が映画の冒頭でされていたりと、原作を知らない人でも楽しめるように配慮がされた作品だと思います。また、ストーリー展開においては原作の内容とそれほど異なる点はなく、無理な冒険をして原作ファンの不興を買うようなこともなかったのではないでしょうか。しかし、ただ単に原作をなぞっただけの作品ではなく、実写化だからこその迫力は持ち得ていると感じます。
自衛隊の全面協力の下で行われた撮影ということもあり、装備や戦闘など細部に至るまでクオリティは圧巻です。
『図書館戦争』は、SFやアクション、ラブストーリーといった様々な要素を含んでいますが、どの部分もおざなりにされておらず、それらが見事に融合され素晴らしい世界観を放つ作品だと思います。