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映画『永遠の0』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『永遠の0』の概要:百田尚樹の同名小説を2013年に山崎貴が映画化。お国のために死ぬのが名誉とされた第二次世界大戦時、生きて帰ることにこだわり続けた祖父が、なぜ特攻で命を落としたのか。孫の佐伯健太郎はその謎を解くため、生前の祖父を知る人々を訪ね歩く。

映画『永遠の0』の作品情報

永遠の0

製作年:2013年
上映時間:144分
ジャンル:戦争、ヒューマンドラマ
監督:山崎貴
キャスト:岡田准一、三浦春馬、井上真央、濱田岳 etc

映画『永遠の0』の登場人物(キャスト)

宮部久蔵(岡田准一)
昭和9年に海軍に入隊し、海軍航空隊の飛行兵としてゼロ戦闘機に搭乗する。凄腕の飛行兵でありながら生きて帰ることにこだわっており、仲間からは臆病者呼ばわりされていた。その後特攻隊員となり享年26歳で戦死した。健太郎の実の祖父。
佐伯健太郎(三浦春馬)
司法試験に4年連続で落ちた司法浪人。現在26歳。母方の祖母の松乃の葬儀で初めて宮部の存在を知り、姉に依頼されて宮部の過去を調べ始める。
大石松乃(井上真央)
健太郎の祖母。戦争中に宮部と結婚し清子(健太郎の母)という娘を出産。終戦後、宮部の教え子だった大石賢一郎と再婚する。
大石賢一郎(夏八木勲 / 染谷翔太)
宮部が航空隊の教官をしていた時の生徒。終戦後、松乃と清子の面倒を見るようになり、その後結婚した。誠実な弁護士。
井崎(橋爪功 / 濱田岳)
海軍航空隊時代の宮部の部下。臆病者とバカにされていた宮部の真意を知り、宮部の言葉に励まされて窮地を脱した。現在は末期ガンを宣告され、闘病生活を送っている。
景浦(田中泯 / 新井浩文)
海軍航空隊時代から宮部をライバル視していた飛行兵。現在はヤクザの親分。

映画『永遠の0』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『永遠の0』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『永遠の0』のあらすじ【起】

2004年、祖母の松乃が亡くなり、26歳の佐伯健太郎は母の清子と姉の慶子から松乃が現在の祖父の大石賢一郎と再婚していたという事実を初めて聞かされる。健太郎の実の祖父である宮部久蔵は特攻隊員として享年26歳で戦死していたが、それ以上のことは清子も知らなかった。

フリーのライターをしている慶子は宮部の過去を調べて本を出版することを思いつき、司法浪人としてフラフラしている健太郎にその手伝いを頼む。賢一郎もそれを了承してくれ、2人は生前の宮部を知る人物に取材を開始する。

しかし海軍航空隊時代の同僚たちは宮部のことを“海軍一の臆病者”と非難する。ところが5人目に訪ねた景浦に“祖父は臆病者だったんですよね”と言うと、強面の景浦は激怒して健太郎を追い返してしまう。慶子と健太郎は真実が見えなくて困惑する。

6人目に訪ねた井崎は海軍航空隊時代に宮部の部下だった。井崎は宮部を肯定的に見ており、じっくりと話を聞かせてくれる。井崎は“宮部ほど腕の立つ戦闘機乗りはいなかった”と語り、ゼロ戦についても詳しく教えてくれる。

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映画『永遠の0』のあらすじ【承】

昭和16年。宮部や井崎の所属する海軍航空隊はゼロ戦闘機に乗って真珠湾を攻撃。作戦の成功にみんなは沸き立つが、宮部だけはアメリカ軍の空母を一隻も攻撃できなかったことと仲間が死んだことで浮かない顔をしていた。

翌年の6月。宮部が心配していた通りの事態が起こる。ミッドウェー海戦と呼ばれるこの戦闘で、日本軍の空母は撃沈され、航空隊は母艦を失った。

昭和17年の夏。宮部たちはラバウルへ送られ、井崎は宮部直属の部下となる。井崎は毎晩自主的に厳しい鍛錬を続ける宮部が生きて帰ることに執着する真意がわからなかった。宮部は妻と娘のためにどうしても生きて帰りたいのだと語る。自分が死んで2人の人生を狂わせてしまうことを宮部は危惧していた。

戦況は激しさを増し、前線に送られた兵士は厳しい状況へ追い込まれていく。そんな中、“どうせ死ぬなら敵へ突っ込んで自爆した方がいい”と言った井崎を宮部は本気で怒る。“どんな時も最後まで生き延びる努力をしろ”という宮部の言葉は井崎の胸に突き刺さり、マリアナ沖海戦で死にかけた井崎の励みとなった。井崎はあの時代にそういう生き方を選んだ宮部こそ、強い人だったのだと話してくれる。

さらに井崎は宮部が前線へ送られる前、一度だけ横浜に戻って松乃と清子に会っていたという意外な事実も教えてくれる。その時宮部は“生まれ変わってでも2人のもとに戻る”と松乃に約束していた。

映画『永遠の0』のあらすじ【転】

井崎の話を聞いてから、健太郎はもっと宮部のことを知りたいと思い始める。一番の謎はそれほど生きることにこだわっていた宮部が、なぜ特攻に志願したのかということだった。

大企業の会長をしている武田は、昭和20年に学徒出陣で徴兵され、海軍航空隊予備学校の教官となっていた宮部の訓練を受けた。学徒生には特攻志願書が配布され、ほとんど全員が特攻を志願した。しかし宮部のクラスの学生は飛行訓練で「可」がもらえず、なかなか戦場へ出してもらえない。学生たちはそんな宮部に不満を抱く。

宮部は訓練中に亡くなった生徒を侮辱した上官に反論し、ひどい暴行を受ける。生徒たちは仲間の名誉を守ってくれた宮部に感謝する。そして宮部のことを尊敬するようになる。

健太郎は景浦を再び訪ねる。景浦は健太郎の変化を見抜き、宮部の話を聞かせてくれる。

景浦は宮部と同じ海軍航空隊に所属し、ラバウルでの激しい空中戦やマリアナ沖海戦を生き抜いてきた。剣豪に憧れていた景浦は乱戦を好み、いつも無傷で帰ってくる宮部に強い反感を持っていた。しかし自分の浅はかな挑発を見事にはねのけた宮部の腕前を景浦も認めざるを得なかった。

昭和20年、景浦は鹿屋基地で変わり果てた宮部と再会する。特攻隊員として敵陣にたどり着けないまま命を落としていく生徒を見続け、宮部は自分の無力さに打ちのめされていた。そしてついに自ら特攻を志願する。

宮部の出陣の日。宮部はある飛行兵と機体を交換してもらう。そして宮部と機体を交換した飛行兵は生き残って帰還していた。健太郎は生き残った飛行兵の名簿を見て衝撃を受ける。その飛行兵の名は大石賢一郎。つまり健太郎の祖父だった。

映画『永遠の0』の結末・ラスト(ネタバレ)

健太郎は慶子と清子とともに、賢一郎の話を聞きにいく。賢一郎は海軍航空隊予備学校で宮部に学んだ生徒だった。

賢一郎は空中戦の時に命がけで宮部を守り、重傷を負う。宮部は賢一郎を見舞った際、彼に自分の軍服を贈り、松乃と清子の写真を見せる。戦争が終わったら何をしたいかという宮部の問いに、賢一郎は“人のためになるような仕事をしたい”と語る。

その後、賢一郎は鹿屋基地で別人のようになった宮部と再会する。宮部は多くの若者の死によって自分が生き延びていることに耐えられなくなっていた。そして宮部と賢一郎は特攻隊員に志願する。

出発直前に宮部から機体の交換を頼まれ、賢一郎は宮部が搭乗するはずだった機体に乗り込む。しかしその機体はエンジントラブルにより海上に不時着し、賢一郎は九死に一生を得た。それは偶然ではなく、宮部はエンジンの故障に気づいた上で賢一郎と機体を交換していた。その証拠に、宮部は賢一郎へメモと松乃と清子の写真を残していた。

終戦後、賢一郎は“家族を助けてやってほしい”という宮部のメモに従い、松乃の行方を探す。横浜の家を焼け出された松乃は大阪へ逃げ延び、大変な苦労をして幼い清子を育てていた。賢一郎から宮部のメモを見せられ松乃は泣き崩れる。松乃は頑なに賢一郎の援助を拒んでいたが、賢一郎の誠実さにほだされ、徐々に心を許していく。松乃は宮部が約束を守り、賢一郎を自分のもとによこしてくれたのだと考えるようになる。そして2人は結婚する。

その後、賢一郎と松乃が宮部の話をすることはなかったが、宮部への感謝の気持ちを忘れることはなかった。賢一郎は宮部のことを健太郎たちに語り告げて良かったと話す。

宮部は特攻隊員として果てた。しかし宮部の存在は健太郎たちの中でこれからも生き続けていく。

映画『永遠の0』の感想・評価・レビュー

生きることを望んだだけで臆病者だと貶される。陳腐な言葉になってしまうが、あまりにも壮絶な時代だなと感じた。宮部久蔵は強い人だったのと同時に、人を思いやる優しい心を持った人物だなと思った。賢一郎に機体を交換したとき、彼はどんな思いを秘めていたのか、想像しただけで泣けてくる。
ただ過去を描いただけでなく、現代に生きる人達から話を聞くという設定が良かったと思う。今ある平和と死に怯えずに生きられることが、とても尊いものなのだなと改めて実感させてくれる作品だった。(女性 30代)


健太郎の実の祖父である宮部の最後の想いを受け継いだのが、育ててくれた賢一郎であることと、海軍航空隊としての仲間との絆、そして立派な腕前や、父親としての強い気持ちなどが、心にぐっと突き刺さった。特に、賢一郎に妻と子供を託すため、機体を交換させたシーンが悲しくもあり、男らしい勇気を貰えた。この映画では、戦争中の宮部の行動や気持ちが、周囲に影響を与える内容ではあるが、戦争中に特攻隊として、国のために戦う人々の想いを、改めて考えさせられる映画である。(女性 20代)


国のために死ぬことこそが正義であるという戦時中の日本において、家族に会いたい、死にたくないという宮部は強く美しい人間であると感じた。
宮部の他に戦争に参加した日本兵への焦点の当て方も素晴らしく、大変感情移入してしまう作品であった。観た後に自分の生き方や考え方について深く考える、決して軽い気持ちでは観ることのできない映画だったように感じる。
だんだん戦争について興味が薄れていくような、風化していくような現代こそ、全員が観て考えるべき映画ではないだろうか。(男性 20代)


戦争が題材なので賛否両論たくさんの意見が出た作品だがどんな意見が出されようがこの作品を残すことで、これから生まれてくる子供や自分も含め戦争を経験していない世代の人間が少しでも戦争とはなんだったのかという事を知り考えるために必要な作品だと思う。

今の日本になる道筋に太平洋戦争がありそこでは様々な人が命を落とし大切な人を亡くし苦しんだことを私たちは決して忘れてはいけないと改めて感じました。(女性 20代)


かなりわかりやすい英霊賛美の反戦映画。もはや童話の域でありファンタジーでもある。現代社会の価値観で当時の人々を批判することに全く意味はないし、当時に起こった出来事から現在への教訓にできる部分もわずかでしかない。現実に戦争を回避するために参考にするにしても当時と状況が違いすぎるからだ。戦争は絶対に避けなければいけないが、一番に覚えておくべきことは当時は多くの人間がそれが仕方なく正しいことだと認識してしまった。ということだろう。(男性 30代)


日本人ならみんな知っている戦争。しかし経験した人は現在多くはいない。だけどこの映画を視聴すると今生きている日本人の血には戦争を経験した人の血が流れている。自分が今生きているのは先人たちが戦争を戦い抜いたおかげであると強く思わせてくれる作品であった。

今の日本のテレビはコンプライアンスのせいで戦争について深く触れている番組はあまりに少ないため、なるべく多くの人に観ていただきたい作品。(男性 20代)


戦争映画はどうしても苦手で見るのを避けてしまうジャンルです。自分の国の過去のことを知らなければいけないという気持ちはありますが、どうしても負のイメージがあり気が進みませんでした。
今作で描かれるのはたった75年前のお話。日本という国のために「命」をかけて戦ってくれた人たちがいるということを改めて実感し、しっかりと知り、受け入れなければならないと感じました。
戦争というと「死ぬ気」で戦うというイメージで、悪くいえば「死にに行く」という勝手な思い込みがありました。この作品を見ると、戦争の時代を「生きる」という意味がとてもよく分かります。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. ぽすぽす より:

    戦争があり、多くの人が亡くなったということは知識として当然知っているが、実際にこの国でこの作品のようなことが起こっていたと知ると、戦争とは本当に恐ろしいことだと改めて感じました。
    いつの時代も、宮部のように常識を疑い信念をもって行動する人は強くかっこいいし、そういう生き方を出来るようになりたいと思いました。
    自分の祖先もきっと戦争を生き抜いた人たちのうちの一人であり、今私たちが安全に生きられているだけでも感謝しないといけないなと感じました。

  2. googly より:

    普段は戦争の映画や、感動させる系の映画は苦手でおススメはしないのですが、これは色んな人に一度は見てほしい映画です。
    特攻隊という、人間兵器を採用し、国のためなら死ぬべきだとされていた時代に、家族のために戦い、生きて家族のもとに帰ることを貫こうとした一人の男の話です。
    その時代に、その考えを持っていたため臆病者だとも言われましたが、最高の操縦の腕を持つ彼は一目置かれた存在でした。そんな彼が、なぜ最後には死を選んだのか。
    彼の最後の決断や、行動には鳥肌が出るくらい感動しました。どんな思いで機体に乗り込んだのだろう。今しか知らない私たちには、想像することしかできないけれど、彼と同じような気持ちで命を落としていった人がたくさんいた事や、そんな時代が日本であった事を、今を生きる私たちも知らないといけないと改めて考えさせられます。

  3. ミヤナミ より:

    百田尚樹の小説を映画化した作品。戦争をテーマにした映画は今まで避けてきたが、評判が良かったため初挑戦した。国のために死ぬことが美徳という環境の中で「必ず生きて帰る」という言葉がとても美しく、力強く感じられた。
    お国のために死ぬことが美しいとされていたこの時代に生まれていなくて良かったと思ったが、こういった経緯を経て今があるということは忘れてはいけないと感じた。原作も良いと聞いているので、これを機に原作も読もうと思う。

  4. 匿名 より:

    ①交錯して展開する現代日本と戦時下の日本
    本作の内容は現代を生きる健太郎の視点でストーリー展開し戦時中の久蔵がメインである内容。展開が交互であり、健太郎と久蔵の心境の変化が見どころ。
    内容に納得のいくよう鑑賞者のスピードに合わせる意味合いとしての交錯感もあったと言える。途中途中で久蔵が実の祖父と感づきやすい内容ではあるがそれを含めても内容に感情移入してしまうほど久蔵の心境に感情移入できる。
    ただ登場人物が多い。そして、戦時中の内容が元々難しいというのがやはり戦争を題材にした要所である。

    ②戦時下の日本

    交錯していく登場人物の区別と心情に頭がこんがらがる人も多いと思うので、戦時下の日本について簡単にまとめて置く。
    戦時の明確な時期はないが本作は第二次世界大戦(1939~1945)の終期の内容。日本国内でも戦争時には沖縄空襲や東京空襲、そして原子爆弾の投下があったが、『永遠の0』を鑑賞するのに認識しておきたいのはゼロ戦による海軍の内容である事。
    作中で展開されるのは1941年の真珠湾奇襲、1942年のミッドウェー海戦、1942~1943のガダルカナル島の戦い。
    そして、明治憲法下(当時の日本)における思想は天皇陛下のため、お国のために命を捨てるという思想。詳しく説明すると現行の日本と違い「思想・良心の自由」が明治憲法では保障されていなかったので思想が強制状態。その現状で「死にたくない」
    「生きて帰りたい」と言う久蔵は臆病者、反日思想と捉えられる。

  5. 匿名 より:

    まず、戦時中の内容である事。フィクションでありながらノンフィクションの要素が濃い事。これらの理由からフィクションであっても戦争作品である認識を持ち作品を鑑賞すると良いと私は思う。
    内容は戦時中の視点から良い意味でも悪い意味でも感動させられる。つまり、深く考えさせられる作品である。観る人自身が戦時中の日本に対してどのような見解をもっているのか、どのような影響を受けるのか。戦時の日本と鑑賞者が向かいあう作品である。

    同時に現代社会の側面として現代を批判するのではなくしっかりと捉えられている作品だと感じた。重要なのは健太郎が司法試験での挫折状態からの心変わりは心境に近い現代人が多いという事である。
    総合的に観てほしいと思える作品。観た上でその人自身がどう感じたか。どう心境が変化したか。今後、自分自身がどうしていきたいのかと考える事も充実する作品である。とは言え、内容が戦時なので私自身あまり他者とみる事は進めない。しかし、内容は感動的に仕上がっているので他者と観ても非常に楽しめる作品だと思う。(私自身が内容の濃い作品や戦時作品は一人でみた方が映画の世界に入り込めるので…。)