映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』の概要:チューリップの球根の取引で活気づくアムステルダム。そこで商売をするコルネリアスは、跡継ぎを得るために修道院からソフィアという女を妻に迎える。なかなか妊娠しないソフィアは肖像画のために来た若い画家に恋をしてしまい……。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ラブストーリー、歴史
監督:ジャスティン・チャドウィック
キャスト:アリシア・ヴィカンダー、デイン・デハーン、ジャック・オコンネル、ホリデイ・グレインジャー etc
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』の登場人物(キャスト)
- ソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)
- 修道院で育った孤児。年頃を迎え、コルネリアスのところに嫁いでいく。子づくりに励むがなかなか妊娠しない。画家のヤン・ファン・ロースと出会い、恋に落ちていく。
- コルネリアス(クリストフ・ヴァルツ)
- 輸入業で財を成す富豪。前妻との間に二人の子供を授かるが出産時に死亡しており、妻も亡くなっている。出産時に、妻よりも子供の命が助かってほしいと願ったことから、自分は罰を受けているのだと自分を責めている。
- ヤン・ファン・ロース(デイン・デハーン)
- 若い画家。肖像画を描きにコルネリアスの屋敷を訪れ、ソフィアと出会って愛し合うようになる。大金を手に二人で駆け落ちしようと考え、チューリップの取引に手を出し始める。
- マリア(ホリディ・グレインジャー)
- コルネリアスの屋敷の女中。魚売りのウィレムという恋人がいる。ソフィアと仲が良い。ソフィアとファン・ロースの関係に気がつくが、表立った発言はしないでいてくれている。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』のあらすじ【起】
1600年代のアムステルダムは異国から来た珍しい植物チューリップへの投機に沸いていた。球根の値段は跳ね上がり、中でも縞模様のチューリップ“ブレイカー”はとても高値で取引されていた。
そんな中、修道院に住むソフィアに縁談の話が持ち上がる。輸入業を営むコルネリアスの妻となったソフィアは貧乏暮らしから救われるが、結婚の目的は跡継ぎを生むことだった。ソフィアは恩返しのためにも妊娠しようと励むが、三年経っても懐妊しない。
コルネリアスは子供の代わりに肖像画を残そうと考えだし、若い画家ヤン・ファン・ロースを雇う。だが、ファン・ロースはソフィアを一目見るなり惹かれてしまい、あっという間に恋に落ちてしまう。
心を動かされたのはソフィアも同じだった。彼女は最初ファン・ロースの熱い視線に危険を感じていたが、やがて彼に惹かれていることを認めるようになる。ファン・ロースは自宅で肖像画を描くためにチューリップを貸してほしいと手紙を残し、翌日、ソフィアはそれを届けに行った。二人は互いへの気持ちを抑えられなくなり、関係を持ってしまう。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』のあらすじ【承】
コルネリアスの屋敷にはマリアという女中がおり、ソフィアは妹のように可愛がっていた。マリアは魚の行商人ウィレムと愛し合っていた。ウィレムはマリアと結婚するために資金を得ようとチューリップの投機に手を出す。ソフィアのいた修道院で作っていたチューリップを18ギルダーで買ったが、その中からブレイカーが生まれたことで、売値は920ギルダーにまで跳ね上がった。ウィレムはこれでマリアと結婚できると喜んだ。
ソフィアは仮病を使い、コルネリアスに一人でトランプ遊びに行くように言った。彼がいない間にファン・ロースと密会するためだ。ソフィアは目立たぬようにマリアのローブを被って外出したが、その姿を見たウィレムはマリア本人だと勘違いして後をつけていった。その先で密会する二人を目撃したウィレムだったが、マリアが浮気したものだと思い込んでしまう。自暴自棄になった彼は酔って暴れた挙句、売春婦に金を盗まれ、強制的に海軍に入れられてしまった。
ウィレムに逃げられたと思ったマリアはショックを受ける。しかも、彼女は妊娠していた。妊娠がコルネリアスにバレたら解雇されてしまう。ソフィアにはどうすることもできなかったが、ソフィアとファン・ロースの関係に気がついていたマリアは、もしクビになるのなら二人のことをコルネリアスに話すと脅しをかけた。
コルネリアスは前妻との間に二人の子供を設けていたが、三人とも死別していた。これは自分への罰だと言う彼を見ていたソフィアは、ある考えが頭に浮かぶ。そして、彼にこう言った。秘密にしていたが遂に妊娠したのだ、と。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』のあらすじ【転】
ソフィアはある計画を立てた。それはマリアの妊娠を隠して自分が妊娠したことにし、彼女が産んだ子供を自分とコルネリアスの子として育てるというものだった。出産の際、自分が死んだことにすれば、後を追われることなくファン・ロースと駆け落ちできる。
この計画のためには協力者が必要だった。ソフィアは以前に紹介されたソルフという医師を抱き込み、この計画を実行していく。ソフィアは服の下からお腹に詰め物をして偽装し、身重のマリアを気づかって彼女の代わりに家事に勤しんだ。コルネリアスはすっかり騙されて気がつく様子がない。
金があればソフィアと幸せに暮らせると考えたファン・ロースは、チューリップ取引に手を出し始める。修道院から買った球根で投機を続け、その金額は着実に大きくなっていった。ファン・ロースはかつてウィレムが手にしていたブレイカーの球根を手に入れ、それを売り払って大金を得ようと取引所へと向かった。
マリアが産気づき始めた。ソフィアはコルネリアスに気がつかれないように寝室に彼女を運んだ。ソルフ医師と産婆の協力を得てマリアは女児を出産。ソフィアは出産時に感染のために死んだことにされた。何も知らないコルネリアスは落胆する。ソフィアの死体は焼かれることとなり、棺に入れられて運ばれていった。マリアは無事に子供を産み、屋敷にも残れることとなった。コルネリアスは他人の子と知らずに我が子として育てることになる。そして、ソフィアは屋敷を後にし、愛するファン・ロースと駆け落ちすることとなった。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』の結末・ラスト(ネタバレ)
ソフィアを失ったことはショックだったが、コルネリアスは産まれた娘に“ソフィア”と名付けて育てることにした。
棺と共に屋敷を抜け出したが、自分が恐ろしいことをしてしまったと気がついたソフィア。彼女はファン・ロースに熱は冷めたと伝えてほしいと伝言を残すと、屋敷へと戻って行った。だが、自分が仕出かしてしまった罪の重さを感じ、結局屋敷に戻ることはできなかった。
ファン・ロースのブレイカーはものすごい値段で売れた。だが、現物が無くては換金できない。今まで多くの金を借りていた彼は、借金取りたちに囲まれてしまう。ファン・ロースは修道院に球根を取りに行きたかったが、そのまま逃げるのではないかと思われて離してくれない。仕方なく、友人のヘリットに取りに行ってもらうが、大酒飲みの彼は球根を受け取った帰り道で酒を飲み、酔った勢いで球根を食べてしまう。ファン・ロースは無一文となり、借金だけが残った。
海軍の任期を終え、ウィレムが帰ってきた。彼はマリアに会いに行く。驚くマリアに浮気のことを問い詰めると、浮気はソフィアとファン・ロースがしていたのだとマリアは答えた。そして、産まれた子供は自分たちの子だと告げる。だが、そのやり取りをコルネリアスが聞いていた。彼はショックを受けるが、全て自分が招いたことだと考えてマリアを許した。彼は家を含めた全財産をマリアたち家族に譲ると手紙を書くと、インドへと旅立っていった。
ソフィアがいなくなったことを知ったファン・ロースは彼女を探すが、彼女が川に捨てたローブを見て水死したのだと勘違いし、泣き崩れた。チューリップ・フィーバーも終わり、多くの人が路頭に迷うことになった。
それから8年、絵の腕を評価されたファン・ロースは修道院の壁に絵を描く仕事を任された。そこで、ファン・ロースは修道女となっていたソフィアと再会する。コルネリアスはインドで幸せに過ごし、マリア夫妻はたくさんの子供たちと屋敷で暮らしながら、コルネリアスの家名を守り、彼の大切な“跡継ぎ”であるソフィアを育てていた。
映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』の感想・評価・レビュー
まるでシェイクスピアの作品を見ているかのような展開が面白い。悲劇と喜劇が面白いバランスで描かれているが、『チューリップ・フィーバー』というタイトルにしては、その部分がソフィアに影響を及ぼしていないのが少し残念。肖像画がソフィアの心を動かすアイテムとなったら面白かったと思うが、そこも少し弱かった。ただ、坂を転がり落ちるように転落していく様は、投資の恐ろしさと人生の浮き沈みをとても伝えており、とても良かったと思う。(MIHOシネマ編集部)
本作は、17世紀のオランダを舞台に、商売人コルネリアスの妻ソフィアと肖像画家ヤン・ファン・ロースとの恋模様を描いたラブストーリー作品。
2人が不倫関係となって駆け落ちした末に仕打ちが待っているのかと思いきや、ソフィアは罪の意識から熱が冷めて修道女になり、ロースは画家としてその腕が認められ教会で再会するシーンが素敵だった。
きっと、それぞれの幸せを掴んだに違いない。
高騰するチューリップに狂う人々と愛に溺れる2人、圧巻の映像美が美しい作品だった。(女性 20代)
画家のヤン・ファン・ロースを演じたデイン・デハーンが大好きなので、彼見たさに鑑賞しましたが想像以上にストーリーが面白くて掘り出し物の作品でした。
商人の夫がいながらも、若い画家と不倫をし駆け落ちしてしまうソフィアでしたが、すぐに事の重大さや自分が過ちを犯してしまったことに気が付き、生き方を改める点がとても良かったです。
だからこそ、ラストでソフィアは修道女として、ヤン・ファン・ロースは画家としてしっかり成功している姿を見ても嫌悪感を感じず、よかったねと祝福の気持ちを持つことが出来ました。(女性 30代)
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