映画『ツレがうつになりまして。』の概要:サラリーマンの夫、ツレが鬱病になった。妻のハルさんは漫画家。2人のゆったりとした闘病生活がはじまった。鬱病を通して、変わらない夫婦の絆を描くハートフルな闘病映画。
映画『ツレがうつになりまして。』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:佐々部清
キャスト:宮崎あおい、堺雅人、吹越満、津田寛治 etc
映画『ツレがうつになりまして。』の登場人物(キャスト)
- ツレ(堺雅人)
- 几帳面な性格。毎日お弁当を作って、決まったネクタイを選ぶ。会社で無理をして鬱病になってしまった。自分の病気に戸惑いながらも毎日を過ごす。
- ハルさん(宮崎あおい)
- 漫画家。自称、マイナス思考の怠け者。ツレが鬱病になっても普通に接する優しい妻。ツレを漫画に書く事で自身のスランプも脱出した。
映画『ツレがうつになりまして。』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ツレがうつになりまして。』のあらすじ【起】
スーツ姿の男、ツレがお弁当を作っている。また眠れなかったらしい。妻のハルさんは今日も寝坊だ。携帯を忘れている事に気づき追いかけた。ゴミを見つめて動かない。結婚5年目の夫、ツレは几帳面だ。
ツレの会社にクレーマーから電話が入った。小さい事を指摘してしまう。ハルさんは漫画家だ。アンケートの結果が厳しくて、来月号で打ち切りになってしまうらしい。
ツレは食欲がない。同僚にお弁当をあげるとおいしそうに食べ始めた。今日はお鍋だった。食欲がなくて体がダルいから早くお風呂に入って寝るという。お弁当箱の中に大好きなチーズが残っていた。どうした?ツレ。
朝起きるとツレがナイフを持って死にたいと言っていた。お弁当が作れないという。病院に行ったら鬱病と診断された。背中の痛み、頭痛、睡眠不足。鬱病は心のカゼと言われている。薬を飲んで治しましょうと言われた。
ツレとの毎日を描いたスケッチブックを見直すと、ツレからうつの症状が出ていた。
映画『ツレがうつになりまして。』のあらすじ【承】
鬱病なんかになってごめんね、とツレ。気づかなくてごめんねとハルさん。今日もツレは無理をして会社に行くらしい。
ツレは電車に乗る事が出来なかった。駅のトイレで吐いてしまう。社長の前で自分は鬱病だと言った。フロア全体が静かになる。社長は取り合ってくれなかった。
ツレ、会社辞めちゃえば。ツレが鬱病になった原因は会社にある。会社辞めないなら離婚する!次の日、ついにツレは辞表を出した。
マイナス思考でなまけもののハルさん。君には漫画家の才能がある。そう言ってくれたのがツレだった。ハルさん、漫画だけを書いて生活して、生活費は僕が稼ぐ。それがツレのプロポーズだった。
鬱病の治療には、卵とバナナ、そして納豆。納豆嫌いのハルさんは鼻をつまんだ。
しばらく休んだらツレが元気になった。薬が効いたらしい。今日はテンションが高くてよくしゃべる。医者に日記を書けと言われた。テンションが下がり、具合が悪い。日記にはつらいとだけ書いた。ツレに寄り添うハルさん。
映画『ツレがうつになりまして。』のあらすじ【転】
ツレとハルさんは勤務最終日に一緒に出勤した。満員電車に驚くハルさん。今までがんばったと褒めたらツレは泣き出してしまった。
ツレの新しい生活がはじまった。不眠症から一転、ツレはずっと眠るようになった。なにもできないツレはハルさんにいっぱい謝る。
なにか楽しい事考えてみなよ!料理、洗濯、掃除と答えたツレ。とりあえず料理に挑戦するツレ。味がわからないツレは料理がうまく出来ない。頭が混乱しているから段取りもめちゃくちゃでキッチンを汚してしまった。また泣きながら謝るツレ。
お母さんが心配して遊びに来た。ツレが鬱病になった原因じゃなくて、意味を考えたいとつぶやいた。ずいぶん成長したと頭をなででくれるお母さん。
「ツレがうつになりまして、仕事をください!」
編集部で大声で叫んだ。今の担当編集者の上司で彼も鬱病だったという。自己啓発本の挿絵を描いてくれと頼まれた。いろんな人が私たちを助けてくれる。私たちは世界でひとりぼっちじゃないんだ。
映画『ツレがうつになりまして。』の結末・ラスト(ネタバレ)
ツレの会社がつぶれたらしい。久しぶりに会った同僚から聞いた。ハルさんは締め切りが近くてピリピリしていた。細かい事を言うツレに辛く当たってしまう。
お風呂の中で泣くツレは服を着たままシャワーを浴び始めた。ハルさんが異変に気づいてお風呂に近づくと、首を吊ろうとしていた。必死でそれを止めるハルさん。ツレは自分がいらない人間だといった。ここに居ていいのか聞いた。「ごめんねごめんね」とツレを抱きしめた。
同窓会にツレは出席するという。そこで夫婦並んでスピーチをした。私はツレが隣にいてくれてよかった。素直な気持ちを発表した。終わった後ツレに、ツレの事を漫画にするよと言った。
ハルさんの漫画が軌道に乗って、ツレは自分でハルさんの漫画をプロモーションする会社を立ち上げた。薬は飲まなくなったけど、この病気はもっともっと長くかかるらしい。ツレに講演会をしてほしいとメールが入った。堂々としゃべるツレ。拍手に包まれた。
映画『ツレがうつになりまして。』の感想・評価・レビュー
鬱病になったツレの今までとは違う言動を、妻のハルが彼女らしく支えており、ほっこりした。現実では余裕さやたくましさを表すのはとても難しく、ハルの強さが際立っていた。鬱病と判明したツレのショックな気持ちや、何度も何度もハルに謝ってしまう気持ちが真っ直ぐ伝わってきた。夫婦として支え合う二人の姿に胸を打たれた。ツレの姿を漫画に書き下ろすシーンもハルらしかった。これから治ることは難しいといわれる鬱病だが、二人らしく前に進んでいく姿に勇気をもらえた。(女性 20代)
意外と知らない鬱病についてを描いた作品。ハルさんのキャラクターがマイペースなだけに、鬱病の事もライトに観られる内容なのだが、その実深刻な問題だと実感する。いつも隣にいる人間が、いつの間にか鬱病を発症していたら、ハルさんのように動けるのだろうか。自分には関係ないとは一概に言えないので、ただの映画作品として鑑賞するには少し重たい内容ではある。とはいえ、こういった映画作品の存在のお陰で、考える機会が出来るというのも大切な事なのだろう。(男性 30代)
劇中において、妻(宮崎あおい)は夫(堺雅人)のことをツレという愛称で呼ぶ。
旦那、夫というより人生の相棒といった言葉の雰囲気で、なんせ響きも大変心地いい。
相棒であるからこそ、二人の関係は対等だ。だから、ツレが弱ればツマが仕事をする。特殊な夫婦関係である彼らだからこそ、見ている側の心がぽかぽかするような、和やかな雰囲気を作りだせるのかもしれない。結婚っていいかもと思わせてくれる映画だった。(女性 20代)
このご時勢、他人事とは全く思えない題材で、現実的に感じました。元々が実話だからこそ、すべてがリアルで説得力があります。
宮崎あおい演じるハルさんも、描かれていないところできっと沢山泣いたり、辛い思いを抱えてしんどかった時もあっただろうなと思うと、感情移入してしまってすごく泣けました。
夫を支える器の大きさ、強さ、優しさの全てが、理想的な奥さん像です。考えたくないことだけど、自分の夫がもしも鬱になってしまったら、同じように支えてあげる奥さんになりたいなと思いました。(女性 20代)
うつ病になってしまった夫に休めとさらっと言ってしまう妻はかっこいいなと思いました。
動けなかったりすると本人はもちろん辛いが家族はもっとつらいだろうに、楽しそうにしていたり、一緒に休んだりしていて妻の心の広さにも感動しました。
ただ本当に家族がうつ病になってしまったらここまで上手くはいけないだろうと思いました。
うつになってしまう夫役の堺雅人さんの演技が素晴らしくて引き込まれました。
うつ病は怖いんだなと思いながら観れていろいろ考えさせられる作品でした。(女性 20代)
ナイーブな内容をふんわりと伝えてくれる実話ベースの作品である。ツレ演じる堺雅人さん、ハルさん演じる宮崎あおい、共にいい演技をしていて何度も観られる。しかしながら、現実この病は作品で描かれている何倍も苦しくヘビーなものだと思うので、それを考えるとこの作品で鬱を勘違いする人がいないか心配になる。そして滅多にハルさんのようなパートナーはいないだろうことも知ってほしい。普通の人ならこんな柔軟でおおらかというか、広い温かすぎるくらいの心を持ち合わせていないだろうに。(女性 20代)
昔はうつ病と言われても、どんな病なのかピンとこなかった。映画化されるということは、それだけこの病に苦しんでいる人が多いということなのかもしれない。
病について、正しい知識を持つというのは大事なことなんだなと改めて感じた。映画ということもあるかもしれないが、暗すぎず見やすい作品だったと思う。もしかしたら自分がうつ病を発症してしまうかもしれないし、ハルさんの立場になるかもしれない。その時は取り乱さず、この映画のことを思い出したい。(女性 30代)
タイトルからどれだけ重いものが提供されるのだろうと内心心臓バクバクで見始めたのだが、内容は重くなりすぎず、でも、うつ病ってこんな感じだよと伝えてくれる優しくハートフルな物語で感動した。
もっと過酷で重いのが現実だろう。でも、できない自分でも頑張ろうと思える優しい映画だったので他の人にも勧めやすい。
それと、宮崎あおいと堺雅人の演技が達者過ぎる。堺雅人のお風呂場での演技で、思わずもらい泣きしてしまった。(男性 30代)
今作に登場する夫婦からは「夫婦」という言葉だけでは表しきれないような強い絆と思いやり、心の繋がりを感じ自分も大切な相手とこういう関係になれたら素敵だなと感動してしまいました。
「鬱」と言っても症状は人それぞれぞれで、長い時間をかけてゆっくりじっくりと付き合っていかなければいけないこと、周囲の人の支えが物凄く大切だということ、沢山のことをこの作品で知り学びました。自分のことに置き換えて考えるのはもちろんですが、周りに鬱の人がいたら何をしてあげられるのか考えるキッカケになりました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
今なお、多くの人が苦しむ現代病”うつ病”を取り扱った作品。
夫がうつ病を発症したことをきっかけに、自分たちの姿を見つめ直し共に手を取り合いながら前に進んでいくというラブストーリー。
今でこそこの病名は世間に知られているが、まだ理解のなかった時代にうつ病に苦しんだ人々はどれだけいたのだろうか。
ツレが憂鬱な気分にうなされて苦しむ姿に胸が痛むが、夫婦でうつ病とゆっくり向き合う姿と2人の強い絆に心が温まった。
妻の強さや夫婦の絆、劇中のこの夫婦は本当に素敵だ。
ツレの気持ちもよくわかる。自分が生活費を稼ぐとプロポーズしながら病気になり、妻に迷惑をかけてしまう。鬱病ならより一層申し訳なく思い、死んでしまおうとすら考える。そんなツレに優しく明るく寄り添うハルさんの姿。この2人に対してとても感情移入してしまい、涙が溢れた。
堺雅人は実に上手い俳優である。もはや演技ではなくツレが憑依していた。作品ごとに違った役を演じているが、堺雅人の演技には毎回感服させられる。
NHKの大河ドラマで夫婦役を演じた2人。
その演技は絶賛され私生活での恋愛スクープも期待されたほどだ。
本作品ではまちにまった俳優同士の共演ということもあり注目された。
年齢の割に非常に愛くるしい演技を見せる宮崎に対し、いつも泣き笑いをしているような顔立ちの堺雅人はなよっとしていてどこか頼りなさそう。
しかしこの映画はそこが見事にマッチしている。
マイペースなのに真が強そうな宮崎あおいもぴったりだった。
この2人が夫婦役をやるといっただけで見る気になってしまう作品である。
本来映画というものは鑑賞者側の捉え方次第で、感想が大きく変わってしまうものである。
見ている側のその時の心理状態やその日の出来事でも違うし、大きく言えば取り巻く環境で全く違うものとなるのである。
個人的にこの映画は良作ととれた。
マイペースだからこそ夫を支えられたのだろうし、普通の人なら責めたり怒ったりしながら自分自身のペースや信念を見失ってしまう。
それなのに彼女は漫画を書き続けたあげく、彼このとも暖かく見守り続けたのだ。
ここが本当にすごいところ。
しかしながらこんな意見もある。
彼女が彼をどんどんダメにしているのである。
なるほどそれも面白いと思う。
精神状態の病は一筋縄ではいかず、答えもでなければすぐに治る保証も薬もない。
だから怖いのである。
そのことへの価値観はまさに人ぞれぞれであるから、非常に難しいテーマであったとも言えるのである。
実際になってみたらこうはいかないだろう。
そのことだけは容易に想像がつくから怖いのだ。
自分のパートナーがうつ病を患い、こんなに気にせず支えていくことが自分には不可能である。
だからこそ興味深くみることができたし、またこのような病気は非常に身近なことなのだということも痛感させられた。
シリアスになってしまいがちな病のテーマを見事に明るくカジュアルに描いていることで、どんよりとした暗さを感じさせられず最後まで気楽に鑑賞することもできる。
明るければ良いとは思わないが、一般人向けに見やすく制作するというのも映画人の務めでありテーマだと感じる。
特定の人だけに見せるのではなく、あくまで全員を対象に今後も作ってもらいたいものである。