この記事では、映画『タイピスト!』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『タイピスト!』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『タイピスト!』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:111分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
- 監督:レジス・ロワンサル
- キャスト:ロマン・デュリス、デボラ・フランソワ、ベレニス・ベジョ、ショーン・ベンソン etc
映画『タイピスト!』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『タイピスト!』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『タイピスト!』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『タイピスト!』 あらすじ【起・承】
1950年代末ごろのフランス。田舎町の小さな商店で生まれたローズ・パンフィルは、父親が進める縁談から逃れて独り立ちしようと、ある保険代理店の秘書の面接を受ける。タイプライターの早打ちで、一週間の試用期間つきの条件で雇われる。
いざ働き始めると、ローズの取柄はタイプライターの早打ちだけ。秘書としての能力は低く、社長のルイは「このまま働き続けたいならタイプライターの早打ち大会で優勝すること」という条件を突きつけられる。
初めて参加した大会は、惜しい所で敗退してしまう。ローズの欠点は、人差し指でしか打つことができないことだった。
この時からローズのタイピストとしての特訓が始まる。ローズは下宿から出てルイの屋敷に住み込み、ルイと二人三脚で早打ちの練習をする。まずは両手10本の指を使いこなせるようになること。そしてブラインドタッチ。大会で出される文章がどんなに難解でもいいように、難しい文学書をいくつも使ってタイプの練習をした。
さらに、ルイの幼馴染で今はルイの友人ボブの妻になったマリーからピアノのレッスン設け始めた。

映画『タイピスト!』 結末・ラスト(ネタバレ)
ローズはルイと接する内、ただのスパルタコーチだと思っていたが次第に彼の内面に惹かれていく。
ローズは特訓の末、地方の大会で優勝する。一躍有名人となり、さらに上を目指すことになる。しかし、喜びを分かち合うはずのルイとは想いが通じ合わずにいた。
クリスマスの日、家族が来るからといってローズは実家に帰される。しかし実家とは折り合いが良くないローズは、マリーを頼って行った。マリーはルイとローズの関係を見かね、ローズを「ルイの婚約者」と言ってルイの家に連れて行った。ローズはルイの家族から大歓迎される。
ついに全仏大会。パリに出た二人は、大会前日に一夜を過ごす。
大会当日、ローズは強敵であるチャンピオンを打ち負かし、フランスで一番のタイピストとなった。元チャンピオンのスポンサーだったジャビー社はローズに目をつけ、彼女と契約を結ぶ。
ルイは強いスポンサーがいるほうが世界と戦うローズのためになると思い、彼女から離れる。
ローズは一躍フランスのスターとなり、テレビやCMに多く出演するようになった。ジャビー社はローズのために新型タイプライターを開発し、力をかけている。だが、ローズの心は晴れない。
同じく、ルイも行き詰っていた。ルイは、元々マリーを愛していた。しかしボブと戦うこともせず彼女を譲ったのだ。今の状況も同じ。これでいいのかと悩む。
ローズは世界大会に挑み、決勝戦まで残った。相手はアメリカのスーザン・ハンター。何度も世界記録を塗り替えた強敵である。3回戦の内1回戦は勝利するが、次の2回戦は負けてしまう。ジャビー社のPopulaireを使っていたが、キーが小さく、父が贈ってくれた古いタイプライターに取り換える。
その時、ルイが会場に到着した。ルイはローズに思いを告げ、思う存分やるように言う。思いが叶ったローズは全く負ける気がしない。猛スピードでキーをたたき、途中早すぎでタイプライターの方が追いつかずにトラブルが発生するが、見事勝利をおさめる。
これを見たルイは、以前から考えていたゴルフボール型のタイプライターのアイディアをアメリカに売り込むのだった。
映画『タイピスト!』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『タイピスト!』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
田舎娘のサクセスストーリー
主人公ローズは、田舎出身の少女。タイプライターの早打ちしか取柄がなく、しかし自立したい思いは強い。
何も知らない田舎少女が鬼コーチの手でスターになるというストーリーは、簡単に言えば『マイ・フェア・レディ』と同じである。元をたどればバーナード・ジョーの戯曲『ピュグマリオン』の元にもなったギリシャの伝説だが、今もピュグマリオン効果という言葉がある通り、教師が期待をかければ生徒の成績が向上する、これが主軸となっている。
ローズもまさに、ルイに才能を見出された原石だ。ルイがかならずチャンピオンになれると期待し特訓したおかげで才能を開花した。
『マイ・フェア・レディ』との共通点があるからか、ローズを演じたデボラ・フランソワがどことなくオードリー・ヘプバーンと重なる。おそらく、映画を製作する中で意識されていたのだと思う。オードリー自身、苦労した少女時代を持ち、世界のトップ女優に上り詰めたという経歴で、この時代の象徴でもあるのだから。
1950年代
この時代は、女性の社会進出が目まぐるしく、中でも秘書は人気の職業だったらしい。そんな中でローズは見事秘書の仕事を得るのだが、純粋に能力を買われる場合は少ない。
映画の中でも度々「秘書は恋人候補・花嫁候補」と言われる。つまり能力は二の次で、外見のかわいらしさ・女性としての魅力の方が重視されていた。
だから、金髪で花柄のワンピースを着たローズが採用された時、ルイの友人は邪推するのだ。それが当時の実情だった。
お洒落な映像が楽しめるフランス映画を求めてこの作品を鑑賞したが、良い意味で期待を裏切られた。上司ルイに猛特訓を強いられて練習に励むローズには心を打たれ、タイプライター早打ち大会のシーンでは、毎回ハラハラして目が離せない。パッケージからは想像がつかない、スポ根要素が強い作品である。
それでもやはり、ヒロインのローズ・パンフィル演じるデボラ・フランソワの可愛らしさに癒されるシーンも多い。
最終的には愛の力によって優勝を勝ち取るという、如何にもフランス映画らしい展開で、スッキリ爽快なラストである。(女性 20代)
タイピング早打ちで世界大会優勝を目指すサクセスストーリー。1950年代が舞台で、ファッションやインテリアがとてもキュートで魅力的である。おしゃれ映画の雰囲気ながら、スポ根とラブコメ要素が詰まって面白く、タイピングのように軽快なテンポ展開で見やすい。タイピングシーンはスポーツ大会のように白熱してワクワクするし、コーチと結ばれるシーンでは赤と青の照明がとてもロマンチックだ。気軽に見られてハッピーな気持ちになれる映画である。(女性 30代)
ジャケットの可愛さに惹かれて鑑賞した今作。50年代のレトロな雰囲気がファッション、ヘアスタイル、インテリアなど細かいところまでしっかりと作り込まれていて、当時をそのまま映し出しているかのようでした。
今の時代でこそ女性が社会で地位を築くことが認められつつありますが、50年代はまだ、女性が社会進出し始めたばかりの時代なので自分の能力を正しく評価して貰えないもどかしさも感じられました。
明るくキュートでテンポの良い作品なので、楽しい気持ちで見られると思います。(女性 30代)
カラフルでポップな映像美にまず惹かれました。1950年代のフランスを舞台に、田舎娘ローズがタイピングの才能を開花させていく姿は、王道ながらも胸が躍ります。師匠ルイとの関係性も、最初は師弟関係としての緊張感がありながら、次第に恋に変わっていく流れが自然でとても良かった。決勝大会での勝利と、彼女の成長には心から拍手を送りたくなります。(20代 女性)
単なる恋愛映画かと思って観たら、立派なスポ根モノで驚きました。ローズのタイピング訓練はほぼスポーツトレーニングのようで、ルイとのスパルタ指導も熱い展開。彼女が恋と勝利の間で揺れながらも、自分の道を選び取っていく姿はとても感動的でした。ラストの世界大会での優勝と、ルイへの告白は爽やかな感動に包まれました。(30代 男性)
とにかく衣装と美術が素敵で、映画の世界観に一瞬で引き込まれました。ローズのピンクのワンピースやオフィスのインテリアなど、細部まで50年代の空気感が再現されていて、観ているだけで楽しい。タイピングをスポーツのように描く演出も斬新でした。最後に彼女がルイを見つけ出すシーンでは、思わず涙が出ました。(40代 女性)
ルイという男がとにかく不器用で面白かった。ローズに惹かれていながら、自分の気持ちを素直に伝えられず、指導者として突き放してしまう。その葛藤が彼を人間らしく見せていて好感が持てた。ローズもただの恋に振り回されるのではなく、自分の目標を見失わないところが良かった。ラストの再会シーンは感動必至。(50代 男性)
フレンチラブコメとしての完成度が高く、全編に漂う軽やかさと色彩の美しさがとても印象的でした。テンポの良い会話、独特のユーモア、そして古き良き時代の再現など、細部まで丁寧に作られた作品。タイピングを通じて自己実現していくローズの姿に、多くの女性が共感できると思います。ラストのウィンクも最高にキュート!(30代 女性)
当時の時代背景も面白かった。女性の社会進出がまだ当たり前じゃなかった時代に、タイピングのスピードという一芸で世界を目指すローズの姿がまぶしい。彼女が勝つことで、周囲の女性たちにも勇気を与えていたのが素晴らしい。恋愛要素もほどよく、ラストの「私の夢はあなたなの」にはジーンと来ました。(40代 男性)
主人公ローズの成長物語が非常に気持ち良く、観終わった後に「頑張ろう」と思える映画でした。地味な特技に見えるタイピングを、ここまでドラマティックに描いたことに拍手。ルイとのラブロマンスも胸キュンポイントが多く、特に一度別れてからの再会シーンは涙腺が緩みました。何度も観返したくなる作品です。(20代 女性)
映画『タイピスト!』を見た人におすすめの映画5選
プラダを着た悪魔
この映画を一言で表すと?
「夢と現実のはざまで成長する女性の、洗練されたシンデレラ・ストーリー!」
どんな話?
ジャーナリスト志望のアンディが、一流ファッション誌のカリスマ編集長のアシスタントとして働く中で、自分の価値観や人生と向き合っていく姿を描いたサクセスストーリー。華やかな世界と葛藤が交錯する。
ここがおすすめ!
『タイピスト!』と同じく、女性の成長や自己実現がテーマ。ファッションやオフィスの空気感、上司との緊張感ある関係など、共感ポイントが多数。軽快なテンポとセリフも魅力で、元気をもらえる作品です。
マイ・インターン
この映画を一言で表すと?
「世代も性別も超えて繋がる、優しさと再出発の物語。」
どんな話?
若きキャリアウーマン社長と、シニア・インターンとして入社した70歳のベン。最初はぎこちない2人が、やがてお互いを尊重し、支え合う関係へと変化していく。温かく爽やかなヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
『タイピスト!』のように、女性のキャリアや自立がテーマでありつつ、年齢や経験の違いを超えたパートナーシップが描かれる。観終わった後に心が温かくなる、大人のための成長物語です。
リトル・ミス・サンシャイン
この映画を一言で表すと?
「バラバラ家族がひとつになる、ちょっと風変わりな“旅と夢”の物語!」
どんな話?
ミスコンを目指す少女オリーヴと、彼女をサポートするため奔走するちょっと変わった家族が、古びたバンで大会会場へ向かうロードムービー。旅の中で家族の絆や個性がユニークに描かれていく。
ここがおすすめ!
『タイピスト!』のように、一人の少女が夢を叶えるために突き進む姿が眩しく、ユーモアと感動が絶妙にブレンドされた物語。小さな成功が大きな意味を持つことを教えてくれるハートフルな作品です。
ロシュフォールの恋人たち
この映画を一言で表すと?
「カラフルで音楽に満ちた、夢と恋のフレンチ・ミュージカル傑作!」
どんな話?
フランスの港町ロシュフォールに住む双子の姉妹が、芸術や恋を夢見てそれぞれの人生を追い求める姿を、歌と踊りとともに華やかに描いたミュージカル映画。ジャン=リュック・ゴダール監督作品。
ここがおすすめ!
1950年代のフランスらしい色彩感覚、ファッション、音楽、すべてが『タイピスト!』と相性抜群。軽やかで夢いっぱいの世界観に浸りたい人にぴったりの、幸福感にあふれた作品です。
ベイビー・ブローカー
この映画を一言で表すと?
「出会うはずのなかった人たちが育む、命と絆のヒューマンドラマ。」
どんな話?
赤ちゃんポストに預けられた子どもを“売る”男と、産んだ母親、彼らを追う刑事たちという一風変わった構図で、命の意味と家族の在り方を問う。是枝裕和監督が描く、繊細な人間関係の物語。
ここがおすすめ!
夢や目標に向かうヒロインの姿というより、周囲との関係性を通じて自己を見つけるという点で『タイピスト!』と共鳴します。対照的ながらも、深い“変化と選択”の物語を求める人におすすめです。
みんなの感想・レビュー