この記事では、映画『ヴァイブレータ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヴァイブレータ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ヴァイブレータ』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ラブストーリー、青春
監督:廣木隆一
キャスト:寺島しのぶ、大森南朋、田口トモロヲ、戸田昌宏 etc
映画『ヴァイブレータ』の登場人物(キャスト)
- 早川レイ(寺島しのぶ)
- 頭の中の声と不眠、過食嘔吐に悩む31歳。職業はルポライター。コンビニに酒を買いに来て、トラック運転手のタカトシと出会う。トラックに乗っている最中にパニックを起こしてしまう。
- 岡部タカトシ(大森南明)
- 金髪のトラック運転手。学歴もなく、ヤクザ、ホテトルのマネージャーを経てトラック運転手になった。偶然入ったコンビニで謎の女レイを拾う。言葉遣いは悪いけど、とても優しい心を持っている。
映画『ヴァイブレータ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ヴァイブレータ』のあらすじ【起】
コンビニで怪しい女がふらふらしている。彼女の頭の中で声がする。彼女にとってアルコールは救いだ。彼女はワインを買いに来ていた。コンビニに彼女好みの金髪の男が入って来る。
「食べたい、あれ、食べたい。」
彼女の頭の中で、また声がする。金髪の男は彼女に少し触れた。コンビニを出ると雪が降っていた。金髪の男がトラックに乗っていて、口笛をふいて誘う。彼女はついふらふらとトラックに乗ってしまった。
そこに警官が現れて、ドアをノックした。住宅街でアイドリングをしていると通報があったのだ。免許証を確認した警官は、
「タカトシさん。希望の希と書いてタカ、珍しいね。」
公園の場所を教えて、警官は去って行った。
タカトシ(大森南明)はトラック歴7年。学歴がないからこの職業についたと言う。
「あのね、わたしあなたに触りたい。」
タカトシは彼女をトラックのうしろに誘った。
「私、レイ。」
レイ(寺島しのぶ)は自分の名前を、そう名乗った。そのまま朝を迎えた。そうして、タカトシとレイの旅は始まった。

映画『ヴァイブレータ』のあらすじ【承】
「おれ結婚してるんだ。」
タカトシは子供もいるそうだ。 彼は厄介なストーカーに悩んでいて、レイがそうなると困るから、先手を打った。 そのストーカーは昔トラックに乗せたことがある女で、手首を切って電話がきたこともあるという。
タカトシは電波遊びをはじめた。この遊びは強い電波が勝つ。トラックの無線は電波法に違反しているのであだ名を使うみたいだ。トラック仲間と電波遊びをしながら、彼らは孤独を紛らわす。レイもタカトシもどうしようもない孤独を抱えていた。
トラックは雪国に差し掛かる。
「船だ。」
目の前には海が広がっていた。納品までまだ時間があるから、二人は寝ながら待つことにした。その頃レイとタカトシは、何度も何度も体を重ねる関係になっていた。孤独を埋め合いながら旅は続く。
彼は元ヤクザ、ホテトルのマネージャーを経て、トラック運転手になっていた。シンナーが大好きで、逮捕歴もあるという。彼は今までの人生をレイに語り始めた。タカトシは彼女に聞き返す。
「アルコールと食べ吐きだけ。」
食べ吐きとは、過食嘔吐のことだ。眠る為にアルコールを飲んでいたレイは、太り始めた。吐けば痩せるから、それが辞められないという。
映画『ヴァイブレータ』のあらすじ【転】
「俺そろそろトラック運転手辞めようかな。」
クラブの幹部に誘われているが、ヤクザ関係なので気が進まないという。
重量検問注意の無線が入って、いつもより多めに載せていたタカトシのトラックは助かった。今日もいつもの電波遊びをはじめる。その電波遊びを今日はレイにやらせてくれるらしい。ボイスコンバーターを使ってタカトシのふりをしろと言う。最初は楽しく遊んでいたが、無線からいろんな声がした。彼女の顔色が変わった。
「なんなんだよ。」
「母ちゃんとやらせろ。」
彼女にしか聞こえない声がする。いろんないろんな声がする。頭の中で声がする。だんだんレイの顔色が変わっていく。この声はタカトシには聞こえないという。無線遊びをやめて、ラジオをつけた。それでもレイは涙を流しながらひざをかかえて、小さくなっていく。
「学校に行かないのはどうして?」
「精神科に行きたい。」
「私と学校どっちが大事なの?」
映画『ヴァイブレータ』の結末・ラスト(ネタバレ)
「吐く……!」トラックはガソリンスタンドで急停車した。レイは助手席から飛び出して吐こうとする。パニック状態で、暴れる。介抱しようとしたタカトシを「きもちわるい!」と殴る。レイはパニックになりながら自分の頭を殴り続ける。
「きもちわるい。きもちわるい。きもちわるい。きもちわるい。きもちわるい。」
二人はラブホテルに入った。一緒にお風呂に入る。すこし落ち着いた彼女の体を流してあげる。
「なんでこのひとは、私にやさしくしてくれるんだろう。」
レイは、子供みたいにタカトシの胸の中で泣いた。トラックの旅でタカトシは彼女のことが好きになっていた。レイの心は穏やかに落ち着いていった。
定食屋でごはんを食べるタカトシとレイ。でもレイは食べようとしない。優しく諭されて、彼女は食べ物を口に運んだ。
「ずっと乗っててもいいよ。」
レイは孤独だった。タカトシも孤独だった。女房も、娘も、ストーカーも嘘だった。
「トラック運転してみない?」
レイはトラックを降りた。名残惜しそうに見つめるタカトシ。旅は終わった。
「彼を食べて、彼に食べられた。それだけのことだった。」
「でもわたしは、すこしだけいいものになった気がした。」
映画『ヴァイブレータ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
この作品を見る時には、世界観にどっぷり浸って見て欲しいです。客観的に見てしまうと「クサい」「小っ恥ずかしい」なんて感じてしまいますが、抱きしめたくなるような優しく暖かい2人のキャラクターに感情移入してしまうと、とにかく「エモい」作品でした。
寺島しのぶと大森南朋。この2人というだけで独特の雰囲気が漂いますよね。演技力がピカイチの役者が2人揃えば、多少雑なストーリーだって満足できます。しかしこの作品はストーリーも秀逸。2人の心模様がものすごく丁寧に、暖かく、そして少し切なく描かれていていい作品だなあと感動してしまいました。(女性 30代)
とにかく生々しい心理描写に引き込まれました。登場人物の会話も自然体で、ドキュメンタリーを見ているかのような感覚に。特に、主人公が抱える「生きづらさ」が痛いほど伝わってきました。ラストにかけての救いのようなものに、胸がじんわりと熱くなりました。(30代 男性)
最初はタイトルにドキドキしましたが、内容はとても繊細で、むしろ純粋な心の交流を描いた作品でした。心の奥の痛みに寄り添うような映画で、観た後しばらく考え込んでしまいました。何も劇的なことは起きないけど、それがこの作品の美しさだと思います。(40代 女性)
人生のどん底を感じる瞬間に、こんな出会いがあるかもしれない。そんな奇跡のような時間を描いていて心に刺さりました。トラックという密室で繰り広げられる会話劇も緊張感があって良かったです。寺島しのぶのリアルな演技力に脱帽。(50代 男性)
非常に静かな作品ですが、登場人物の心の揺れ動きが繊細に描かれていて、見応えがありました。ラストの「それでも生きる」という希望をかすかに感じさせる終わり方が好きです。暗い題材を扱いながらも、どこか温かさを感じる映画でした。(20代 男性)
この映画を観て、「孤独」という感情がいかに人を支配するかを改めて思い知らされました。特に、主人公が声にならない心の叫びを抱えながら、それでも誰かとつながろうとする姿が胸を打ちました。地味な作品ですが、心に深く残ります。(30代 女性)
主人公とトラック運転手の関係があまりにも自然で、演技を超えて本当に存在しているように感じられました。派手な展開はないけれど、心の襞をなぞるような丁寧な物語にじんわりと感動しました。寺島しのぶの演技力に引き込まれました。(40代 男性)
最初は暗くて重い映画かなと思ったけど、観終わってみると温かい気持ちが残りました。弱さを見せることの強さ、人と人がつながる奇跡をそっと描いていて、とても優しい映画だと思いました。孤独を感じる人にこそ観てほしいです。(50代 女性)
タイトルから想像する内容とはまったく違い、心の震えを描いた繊細なヒューマンドラマでした。主人公の痛みや迷いがひしひしと伝わってきて、ラストには希望の光が見える。決して派手な作品ではないですが、静かに心を打つ映画でした。(20代 女性)
「ヴァイブレータ」というタイトルに騙されずに観てよかった。これは心の震え、誰かと心が触れ合う瞬間を描いた映画でした。荒んだ世界の中で、たったひとりでも自分を受け入れてくれる人がいるだけで救われる。そんな気持ちにさせられました。(30代 男性)
映画『ヴァイブレータ』を見た人におすすめの映画5選
リリイ・シュシュのすべて
この映画を一言で表すと?
痛みと孤独に支配された青春のリアルを描く衝撃作。
どんな話?
地方都市に生きる少年少女たちの心の闇と孤独、そして救いを描いた青春群像劇。ネットと現実、音楽と暴力が交錯する中で、若者たちはもがきながらも必死に生きようとします。切なくも美しい映像と音楽が心に突き刺さる傑作です。
ここがおすすめ!
岩井俊二監督による圧倒的な映像美と、繊細な心情描写が魅力。若者たちの壊れそうな感情をリアルに描いており、観た後には深い余韻が残ります。『ヴァイブレータ』同様、孤独や痛みに共鳴できる人に特におすすめです。
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
静かに進む絶望と、子どもたちのたくましい生。
どんな話?
母親に置き去りにされた4人の兄弟が、誰にも知られずにアパートで生き延びていく姿を描いた実話ベースの物語。誰も助けてくれない世界で、子どもたちは小さな喜びとともにたくましく日々を積み重ねます。是枝裕和監督による感動作です。
ここがおすすめ!
柳楽優弥の自然な演技が圧巻で、観る者の心をわしづかみにします。派手な演出は一切ないのに、静かに、そして確実に胸に迫る力があります。生きることの孤独と希望を、静かに見つめたい人にぴったりです。
海炭市叙景
この映画を一言で表すと?
寒々しい街に生きる人々の、静かな希望と絶望。
どんな話?
閉塞感漂う地方都市・海炭市で生きる人々の断片的な物語を、静かに繋ぎ合わせた群像劇。人生に行き詰まりながらも、誰もが小さな希望を胸に一歩を踏み出そうとする姿が描かれます。北国の冷たさが心に沁みる映画です。
ここがおすすめ!
圧倒的なリアリズムと、淡々とした中に浮かび上がる人間の温もりが魅力。『ヴァイブレータ』に共通する静かな中にも強い感情が感じられます。観終わった後、心の奥底に小さな火が灯るような、そんな作品です。
軽蔑
この映画を一言で表すと?
愛し合いながらも壊れていく二人の、苦しくも美しい物語。
どんな話?
作家を目指す青年とホステスの女性の、情熱的な出会いと破滅への道を描く恋愛ドラマ。お互いに強く求め合いながらも、すれ違いと自己嫌悪によって傷つけ合ってしまう二人の姿が胸に迫ります。人間関係の儚さと痛みを描いた作品です。
ここがおすすめ!
豊川悦司と寺島しのぶの繊細かつ激しい演技が見どころ。情熱と冷酷、愛と軽蔑が入り混じる複雑な心情をリアルに表現しています。『ヴァイブレータ』の空気感が好きな人には、きっと刺さるはずです。
愛の渦
この映画を一言で表すと?
欲望と孤独が交差する一夜を描く、大胆で繊細な人間ドラマ。
どんな話?
匿名の男女が集まる“乱交パーティー”を舞台に、性を通じて見えてくる人間の弱さ、孤独、滑稽さを描く群像劇。欲望の果てに垣間見える人間性が、鋭くも温かく描かれています。ワンシチュエーションの中で緻密なドラマが展開されます。
ここがおすすめ!
過激な題材ながら、むしろ人間の「孤独」と「本音」を巧みに描いています。登場人物たちのリアルな心の動きが鮮烈で、観る者の心をえぐる力があります。『ヴァイブレータ』のようなリアリティと人間臭さを求める方におすすめです。
みんなの感想・レビュー
お互いまだ30代。むし結ばれたとしても、その後何が起こるかわからない。ストーリー的にはそこで終わらせて良かったと思う。