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映画『WALKING MAN』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『WALKING MAN』の概要:母子家庭で極貧生活を送っている主人公は、非常に暗い性格で他人と話すことが苦手。母親が事故で意識不明となったことをきっかけに、周囲から責められることになった彼は、不満や憤りを抱え込んだが、ラップと出会い言葉を吐き出すことで徐々に自信をつけていく。

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映画『WALKING MAN』の作品情報

WALKING MAN

製作年:2019年
上映時間:95分
ジャンル:青春、音楽
監督:ANARCHY
キャスト:野村周平、優希美青、柏原収史、伊藤ゆみ etc

映画『WALKING MAN』の登場人物(キャスト)

佐巻アトム(野村周平)
非常に暗い性格で常に俯きがち。他人と話すことが苦手でどもり癖がある。母親が入院したことをきっかけに周囲から責められ、ラップと出会い言葉を吐き出すことで自信を取り戻す。
佐巻ウラン(優希美青)
アトムの妹で女子高生。家が貧乏なせいで不満を溜め込み、母親が入院したことを機にデートクラブでバイトを始める。暗い兄を厭っている。
山本さん(柏原収史)
アトムと同じ職場の先輩。自身も多額の借金を抱えているが、腐ることなく懸命に働いている。何かとアトムを気にかけ食事を驕っては励ましてくれる。キムと同じアパートに住んでおり肉体関係はあるが、恋人ではない。
キム・ヘジョン(伊藤ゆみ)
日本語の勉強をするため、来日した韓国人女性。日本人男性に騙され所持金を持ち逃げされ、昼は汪さんの中華飯店で働き夜はドラッグの売り子をしている。
佐巻真由美(冨樫真)
アトムの母親。ダンサーとして働いていたが、舞台から転落して脊髄を損傷し、下半身不随となってしまう。
福本光代(渡辺真紀子)
日中は不用品回収の事務として働いているが、夜は汪さんと結託してドラッグの生成や販売、売り子の管理を行っている。
汪さん(石橋蓮司)
中華飯店の店主。実は中国から材料を輸入し店の奥で加工、袋詰めを行い法外な報酬を得ている。悪い人物ではなく、アトムに事情を説明し口を噤むよう告げる。

映画『WALKING MAN』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『WALKING MAN』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『WALKING MAN』のあらすじ【起】

引っ込み思案で影が薄く覇気のない佐巻アトムは母真由美と妹ウランの3人暮らし。だが、アトムはいつもウランにさえも暗いと言われるほど、活気のない青年だった。日中は不用品回収のアルバイトで働いていたが、ある日の夜、真由美が事故に遭って病院に担ぎ込まれたと連絡が入る。

真由美はダンサーだったが、舞台から転落して脊髄を損傷してしまったらしい。病院の手続きや保険の申請をしなければならないが、アトムは他人と話すことも苦手としている上に国保にも入っていない。入りたくても不安定な収入では支払いも満足にできず、加えて家賃支払いの請求も来てしまい、途方に暮れてしまうのだった。

翌日も仕事へ向かったアトム。先輩の同僚、山本さんは別件の現場へ向かってしまい、アトムはあるアパートの回収作業を1人でやることに。その部屋は非常に物が多く雑多だったが、元住人は数日前、ふらついた足取りで歩いていた男性であることが分かる。柄の悪そうな男性だったが、アパートの階段から転落死したらしい。アトムは部屋にあった真新しいシューズを見つけ、試しに履いてみた。すると、気分が少しだけ上向きになるのだった。

高校生のウランは自分だけスマホを持っていないことを不満に思っている。そんなある夜の帰宅中、壁に落書きをしている青年たちを発見。彼らはすぐに警察に捕まってしまったが、アトムは青年たちが落としたキャップを拾ったことで仲間と思われ捕まってしまう。聴取された後、急いで病院へ向かったが、真由美はまだ意識が戻らない。妹は翌月に修学旅行を控えている。帰宅後、アトムは当面の生活費や必要経費などを書き出した。

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映画『WALKING MAN』のあらすじ【承】

山本さんに誘われ飲みに行って帰宅したアトム。ところが、深夜近くにも拘らず家にはウランの姿が見当たらない。アトムは妹を探して再び外へ。ようやく見つけたものの、妹は兄を他人扱いする。
そんなある日、病院へ向かうと意識不明の真由美を見舞っている男性がいる。直後、ウランが万引きで捕まったと知らせが入り、慌ててスーパーへと向かった。すると、そこには前回アトムを聴取した警官がおり、アトムのことを知恵遅れと馬鹿にする。連絡をもらった担任教師も駆け付けたが、彼は先ほど真由美の見舞いをしていた男性だった。ウランの話では、真由美は担任教師と不倫関係にあったらしい。

翌日、報告書の作成中、亡くなった元住人がラッパーだったことが判明。アトムはカセットプレーヤーで音楽を聴きつつ、元住人のネタ帳に目を通した。その日の夜に開催されるラップバトルに出場する予定だったようだ。興味を抱いたアトムは生まれて初めてクラブへ。

一通りラップバトルを目にしたアトムだったが、突然ステージへ上げられラップバトルをすることに。ところが、アトムは一言も発することができずバトルには惨敗してしまう。傷心したまま帰宅したものの、家の電気が止められている。ウランは友達の家に泊まるらしい。懐中電灯の明かりを頼りにネタ帳を開いたアトム。そこに残されていた言葉をスマホで調べ、ラップの動画に目を通した。

翌日も仕事中にカセットプレーヤーで音楽を聴く。しきりに山本さんが話していたが、それどころではなかった。夕食は行きつけの中華飯店で山本さんが奢ってくれる。しかし、そこへ闇金の回収屋がやって来て、山本さんが連行されてしまう。店の店員であるキム・ヘジョンが止めようとしたが、どうやらキムも借金を抱えているらしく、早く返済しろと言われるのだった。

映画『WALKING MAN』のあらすじ【転】

しばらくして、酷く痛めつけられた山本さんが戻って来る。店主の汪さんは我関せずの態度。キムは日本語を勉強するために日本へやって来て日本人男性と結婚する予定だったが、所持金を持ち逃げされ今に至るらしい。アトムは彼女を励ましたが、こんな時に酔い潰れた山本さんが嘔吐。コインランドリーの簡易シャワーで身支度を整える。アトムはキムの真摯なまなざしを受け止め切れず、その場から逃げ出してしまう。

翌日、職場へ向かったが、仕事がキャンセルになったと言われる。時間を持て余したアトムは通行量調査のアルバイトをすることに。数取機のスイッチを押すことでリズムが刻めることに気付いたアトムは、思っている言葉を口に出すことにした。以来、数取機のリズムで言葉を口にする訓練を続ける。そのお陰か次第にどもらずスムーズに言葉を話すことができるようになる。

少しばかり自信を得たアトムは、クラブを訪れラップバトルを見て勉強を続けた。すると、キャップの持ち主だった青年に声をかけられ、負けっぱなしでいいのかと発破をかけられる。そこで、アトムは以前負けた相手を前に壇上へ。数取機を押しつつ、できる限りの思いを口にする。勝負には負けてしまったが、少なからずラップができたことで自信が増した。

そんなある日、行きつけの中華飯店を訪れると、裏口から密かに荷物が運ばれて行く。アトムに気付いた汪さんは彼に1万円札を握らせ、他言しないよう告げた。その後、キムのアパートを訪れたが、会社の車の中で山本さんとキムが抱き合っている。密かに失恋してしまったアトムを追い討ちするかのように雨が降った。

映画『WALKING MAN』の結末・ラスト(ネタバレ)

心の中に憤りや不満を溜め込んだアトムは帰宅後、ノートに言葉を綴る。後にラップとして吐き出される言葉たちである。下を向いてばかりいたアトムだったが、今は顔を上げて歩くことができる。そんな時、夜の街でばったり妹と遭遇。ウランはヤクザが経営するデートクラブで働かせられていた。アトムは妹を返して欲しいと頼み込んだが、ヤクザから酷く痛めつけられてしまうのであった。

夜になって行きつけの中華飯店の前を通りかかると店先にキムが倒れている。抱き上げると店から汪さんとなぜか職場の事務方である福本光代が現れ、中へ促された。汪さんは更に店の奥へアトムを案内。その一室では加工したドラッグを袋詰めする作業が行われている。どうやらまともな仕事では借金の返済ができないと思ったキムは、ドラッグの売り子をして金を稼いでいたようだ。汪さんはアトムに純金のネックレスと50万円もの大金を渡し、口を噤めと言う。そこで、アトムは数取機を使って更に50万円を要求。すると、光代と汪さんは豪気な要求に思わず笑ってしまうのだった。

100万円を手にヤクザの元へ向かいウランを返して欲しいと頼む。すると、ヤクザかと思っていた男は、デートクラブと金貸し屋であってヤクザではないと言い、ウランを返してくれるのだった。妹は貧乏であることを恥じて不満を抱えていた様子。アトムは家族との絆はお金で買えないのだと告げ、ウランを幸せにすると決意するのだった。

アルバイトの昼休憩中、山本さんが言う。家が貧乏なのもアトムがどもりなのも、アトムのせいではない。だが、ラップをするのは自分の責任だと。どこへ行っても自己責任と責められていたが、そうではないのだと励ましてくれた。
ラップと出会ったことで顔を上げ、前向きになれたアトム。彼は数取機の役目は終わったと感じ、海へ投げ捨てる。

それから1年後、下半身不随ではあるが、真由美の意識も戻り病室にてキムとウランがスマホの使い方を教えている。ウランは兄の応援のため、クラブへ。アトムのライブがあるのだ。彼はこれまでに作り上げた言葉をラップにし、ステージで朗々と歌い上げた。自身の境遇を歌ったラップは人々の共感を誘い、人気を博したのであった。

映画『WALKING MAN』の感想・評価・レビュー

現役人気ラッパーANARCHYの初監督作品。監督の実体験なども盛り込まれ、判実話とも言える内容。
監督がラッパーであるため、音楽や演出、ファッションなどクリエイティブなシーンが多く、思わずリズムを取ってしまう。だが、作品自体は音楽映画というわけではなく、物語の中心にいるのは飽くまでも主人公で、そこがぶれることはなくラップシーンもあまり多くない。むしろ、主人公の境遇や世間からの冷たい仕打ちが主に描かれており、理不尽な責めにむっとしてしまうシーンもある。ラップと出会った主人公が、独学でラップできるようになり次第に顔を上げ自信をつけていく様子が繊細且つじっくりと描かれた、胸に響く作品となっている。(MIHOシネマ編集部)


人気ラッパーのANARCHYが監督を務めているだけあり、作中の音楽やラップバトルのシーンには強いこだわりが感じられました。野村周平演じるアトムがラップに出会い暗い生活から抜け出す姿を描いていますが、テンポが良すぎるほどスピーディーな展開なので、もう少しじっくりとアトムの成長過程も見たかったなと感じます。
ラストのライブシーンはもうANARCHYです。野村周平が歌い方をかなりANARCHYに寄せているのでもう少し野村周平らしさを残して欲しかったなと感じました。(女性 30代)

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