映画『夜のピクニック』の概要:『夜のピクニック』は、恩田陸の同名小説を原作とする映画。恩田陸の母校で行われる伝統行事をモチーフに、高校生が夜を徹して80kmを歩く中での青春ドラマを描き出す。主演は多部未華子。
映画『夜のピクニック』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:117分
- ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
- 監督:長澤雅彦
- キャスト:多部未華子、石田卓也、郭智博、西原亜希 etc
映画『夜のピクニック』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『夜のピクニック』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『夜のピクニック』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『夜のピクニック』 あらすじ【起・承】
甲田貴子の高校では、毎年全校生徒が24時間かけて80kmを歩く「歩行祭」という行事が行われる。年に一度のこの行事、三年生の貴子にとってこれが最後。生徒それぞれがいろんな思いをもって歩行祭に臨む。好きな人に告白する、などがよくある思いだろう。貴子には絶対に成し遂げようと決めたある思いがあった。
それは、同級生の西脇融に声をかけることだ。三年間ずっと実行しようと思っていたが、これは最後のチャンスだと感じた。
貴子がこれほどまでに融のことを考えるのは、好きだからというのではない。実は、融は貴子の異母兄弟なのだ。しかし、同じクラスであるにも関わらず一度も会話したことはなかった。
このことは、親友である美和子と、アメリカに行った杏奈にも打ち明けたことのない、貴子の秘密だった。
こうして、強い決意と共に最後の歩行祭は始まった。
貴子はいつ融に話しかけようかと考えるが、今までずっと会話したこともない相手だ。どう接していいかがわからない。
映画『夜のピクニック』 結末・ラスト(ネタバレ)
この歩行祭では、夜になるとカップルが誕生するのが伝統のようになっている。
貴子が、そして融も、お互いを妙に意識しながらある程度の距離を持っている様子を見て、クラスの面々は勘違いする。
貴子が恥ずかしがって融に話しかけられずにいると思い込んだ友人たちは、二人をくっつけようとする。
だが、それは貴子の気まずさを助長させるだけだった。
このままでは歩行祭が終わってしまう。空は白んでいき、残りの距離も短くなっている。
もう朝になった。融との距離はかなり離れてしまった。しかし、いよいよゴールに近づくころ、二人は自然に距離が近くなる。貴子は意を決して融に話しかける。
自分と融の父親は同じで、異母兄弟であること。貴子がそのことで融を意識しすぎて、三年間も話しかけられずにいたこと。
打ち明けられた融は、実は自分も貴子との関係を知っていたことを打ち明ける。
三年に渡る長い間、心に秘めていた思いを打ち明けることができた二人は、すっきりした気持ちでゴールを迎えた。
映画『夜のピクニック』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『夜のピクニック』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
恩田陸の青春ストーリー
恩田陸の小説と言えば、『六番目の小夜子』や『ネバーランド』など、ティーンが読んで楽しめる小説が思い浮かぶ。この小説もまさにそれである。
貴子のような悩みは、中高生ならではのものだと思う。毎日顔を合わせるのに、気になっているのに、話しかけることができない相手。恋愛・友情、どちらでもあり得る。
傍から見れば、なぜすぐに話しかけないのか、と疑問に思うような簡単なことでも、本人にとっては一大事。それが高校生らしい。
自分が高校生だとして、同じような行事をやったとしても、多分仲のいい友達とどうでもいい話を延々として過ごすだけで終わると思うが、後になって思い返してみるとそれが一番楽しかったと思える。
現役の中高生が観れば共感できるだろうし、大人になって観ると自分の高校時代と照らし合わせて懐かしくなる。もう一度高校生やってみたいなあと思うような作品だ。
主人公二人以外の登場人物もいい
メインとなるのは貴子と融の話だが、それをとりまくクラスメイトたちのキャラクターもいいなあと思った。
キャストは、西原亜希や貫地谷しほり、柄本佑、池松壮亮、加藤ローサなど。もう30代か、それに近い年齢の俳優ばかり。10年も前の映画なので当たり前だが、この頃これだけすごい俳優が10代だったんだと思うとびっくりする。
登場人物の中で、特に印象的なのは池松壮亮演じる榊純弥だった。杏奈の弟で、アメリカに住んでいるのにこの行事に参加した。どれだけ年が離れている設定なのかよくわからないが、かなり幼く見える。登場人物は多いけど、中でも特に光る存在だった。
映画『夜のピクニック』 まとめ
こういう行事、全く同じではないが、似たようなのがあったという人も多いのではないだろうか。中学生の頃かもしれないし、高校生の頃かもしれない。自分が経験したことを思い出しながら観ると、本当に懐かしく、切なく感じる。
普段教室で接している友達と同じはずなのに、すこし環境が変わるだけで違って見える。こういう行事で思うことも人それぞれ。この映画には、前日譚もあり、それでは親友のストーリーが描かれている。貴子じゃなくとも、あの中にはいろんな思いを持った人がいたのだと想像すると面白い。
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