映画『サバハ』の概要:とある新興宗教団体の調査を行っていた神父が団体の謎を追う一方で、女子中学生の不審な遺体が発見される。犯人が自殺にて団体の闇が徐々に浮き彫りとなり、神父は驚愕の真実を知ることになる。マタイによる福音書にあるヘロデ王の幼児虐殺をモチーフにした作品。
映画『サバハ』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:サスペンス、ミステリー、ホラー
監督:チャン・ジェヒョン
キャスト:イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン、イ・ジェイン、イ・デヴィッド etc
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映画『サバハ』の登場人物(キャスト)
- パク・ウンジェ(イ・ジョンジェ)
- 新興宗教問題を研究、密告するのを生業とするキリスト教の神父。仏教会とも密接な繋がりを持ち、宗教に関して多くの知識を持つ。友人の家族が宣教師活動により異教徒から殺害されたことから、信仰心に疑問を抱いている。
- チョン・ナハン(パク・ジョンミン)
- 東方教の教祖に養子として迎えられた青年で、広目天の地位を得る。少年時、母親に売春を斡旋する元締めの父親を殺害したことで、少年刑務所へ収監される。教祖の教えにより、99年生まれの少女を秘密裏に殺害しているが、深い罪悪感を抱いている。金髪の青年。
- イ・グムファ / それ(イ・ジェイン)
- 1999年生まれの双子。獣のような姿で6本指の異形で生まれた姉“それ”の食事係をクムファがしている。グムファは“それ”が及ぼす影響により、各地を転々とする生活に辟易としている。右足に“それ”から噛みつかれた醜い傷痕があり、少し足を引き摺っている。
- キム・ドンス(ユ・ジテ)
- 東方教の元教祖の世話をしている側近の青年。実は、本物の東方教の元教祖。かつては弥勒菩薩の化身であったが、チベットの高僧による神託によって死を恐れるようになり、悪鬼へと成り果てる。6本指で老いもせず、死にもしない。
- ファン斑長(チョン・ジニョン)
- 女子中学生殺害事件の斑長で刑事。捜査力はずば抜けているが、ウンジェの言葉を信じず蔑ろにする。
映画『サバハ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サバハ』のあらすじ【起】
1999年、カンウォン道のヨンウォル。“それ”は赤子だったイ・グムファと共に育ち、胎内で彼女の足に噛み付き、グムファよりも10分早く産まれた。産まれた時から獣のような容貌をしていた“それ”は、グムファが産まれたことで捨てられ息絶えるはずだった。母親は出産の1週間後に亡くなり、父親は交通事故で亡くなったとグムファは聞かされたが、実は自ら首を吊って命を落としたらしい。
2014年、同村。“それ”は死ぬことなく生き続け今も尚、グムファと共にいる。グムファは“それ”のことを悪鬼と呼んでおり、悪鬼はいるだけで周囲に悪影響を及ぼす。両親を失い祖父母に育てられたグムファだったが、悪鬼のせいで一つ所での滞在は許されず、各地を転々として来た。祖父は今度こそ引っ越しせずに済むようにすると言っている。
大学にて講師を務めるパク・ウンジェはキリスト教の神父であったが、極東の宗教問題を研究する研究所の所長でもある。研究所の収入は主にネットへの投稿記事で得る原稿料と大学での講演料である。他にも新興宗教団体の調査を行い、仏教会へ報告するという仕事も行っていた。
ウンジェは現在、鹿の絵を掲げる鹿野苑という団体を調査中である。
そんなある日、ヨンウォルの陸橋の壁からミイラ化した遺体が発見される。遺体は女子中学生で調査の結果、鹿野苑の教祖に殺害容疑がかけられる。
その後、鹿野苑についての調査を進め、2つの支部を発見したウンジェ。仏教会に所属する後輩の話では、支部が崇めている仏絵は仏教での四天王であるらしい。ウンジェは助手と共に発見した支部へと潜入し、壁に描かれた仏絵の調査を行った。
2つの支部では持国天と多聞天を掲げている。仏教では持国天が東を守り、多聞天は北を守っていた。これを足掛かりに残りの2つの支部が導き出される。西が広目天で南が増長天だ。
映画『サバハ』のあらすじ【承】
仏絵を調べ、隠し扉を発見したウンジェ。奥の部屋は四方の壁に仏教絵が描かれており、持国天の経典もあった。
同日の同時刻。警察は女子中学生を殺害した実行犯の自宅を見つけ出し、犯人の帰宅を待っていたが、犯人はアパートの屋上から首を吊って自殺してしまう。
自殺した実行犯が鹿野苑と関係があると見たウンジェは、警察の知り合いから犯人の経歴を密かに入手。犯人が殺人を犯し揚州少年刑務所に入っていたことが分かった。
その頃、広目天と呼ばれる金髪の青年チョン・ナハンは、教育庁からグムファの情報を入手し、彼女が住む村へと向かった。
グムファの祖父母は犬を育てて売買することで生計を立てており、家の裏には犬舎がある。その奥の物置に悪鬼を囲っており、グムファは双子の姉である“それ”に恐れを抱いている。名もなく言葉も教えず外にも出さず育てられた“それ”は夜毎、不気味な声で泣き叫んでいた。
持国天の経典を仏教会の後輩に見てもらう。すると、経典には降魔経というものが記されていることが分かった。降魔経はキリスト教で言うところのヨハネの黙示録であり、予言書だ。四天王は元々インドの神であったが、仏と出会って改心し悪鬼を葬って昇天する。降魔経ではいずれ現れる蛇を滅し、天に迎えられると書かれていた。この経典を書いたのは東方教の教祖であるらしい。
仏教会の高僧の元へ東方教の教祖のことを聞きに向かう。すると、東方教の教祖は経典を作るために教団を解散し、姿を消したと言う。更に、彼が揚州少年刑務所を支援していたことが分かる。そこで、ウンジェは食糧の差し入れと称して少年刑務所へ。刑務所所長曰く、東方教の元教祖はある施設を作り、父親を殺した4人の受刑者に目をかけ、養子にまで迎えたらしい。
元教祖はこの4人の養子の名を降魔経に記している。そこで鹿野苑の壁画だ。壁画ではすでに多聞天と増長天に後光が描かれている。恐らく4人の養子の内、2人はすでに命を落としたのだろう。今回、自殺した犯人が持国天とすれば、残ったのは広目天のチョン・ナハンのみであった。
映画『サバハ』のあらすじ【転】
ウンジェは警察にてナハンの経歴を調べ、彼の居場所を見つけ出す。深夜にナハンが車で移動したため、ウンジェもその後を追った。車は雪深い山奥の鹿野園という施設へ。
ナハンは養父の側近キム・ドンスから、悪鬼は美しい容貌をしているグムファこそが蛇だと言われる。東方教の元教祖は生きていれば116歳の長寿ですでに亡くなったと思われていたが、鹿野園にて延命措置を受け、どうにか生き永らえていた。ドンスは元教祖が亡くなる前に悪鬼を滅しろと言うのだった。
その頃、ウンジェはナハンの車を探り、施設の奥にある倉庫を調べていた。しかし、敢無くドンスに見つかってしまい早々に退散。ナハンが出発したため、尾行したが、気付かれてしまい車をぶつけられたウンジェ。ナハンはグムファの情報を奪い返し去って行った。
ウンジェはその足で事件の担当刑事であるファン斑長の元へ向かい、必死に捜査を依頼するが、聞いてもらえず。仕方ないので降魔経の掘り下げを行い、果たして蛇が悪魔なのか疑問を抱く。仏教会の後輩に聞くと、仏教にはそもそも悪は存在しないと言う。後輩は聖誕節の行事でチベットの高僧を迎えるため、これ以上は付き合えないと電話を切ってしまうのだった。
確か東方教の元教祖もチベットの高僧と会っていたはず。ウンジェは後輩に再度連絡を入れ、訪韓している高僧と会わせてもらうことにした。高僧曰く、元教祖は弥勒菩薩の化身らしい。彼の手には指が6本あり現在も生きている。蛇は弥勒菩薩の天敵であり、天敵が血を流した時、元教祖は命を落とすということだった。
ウンジェが高僧から話を聞いている頃、ナハンは家出しようとしていたグムファを拉致。グムファは家を出る前、“それ”に毒を混ぜた食事を与えたが、思い直して食事を捨て上着を置いて家を出た。ナハンに捕らえられた彼女は、人気のない枯れた原っぱを運ばれて行く。
世間はクリスマスで浮かれている。ウンジェは、クリスマスは悲しい日だと言う。それは、キリストが産まれたことで存在を恐れたヘロデ王が、一帯に住む2歳以下の男の子を無差別に皆殺しにしたからだ。そこでふと、これまでの経緯から高僧の神託を思い出す。灯火が産まれた場所に100年後、天敵が産まれる。その場所は、グムファと“それ”が産まれたヨンウォルであった。1999年にヨンウォルで生まれた子供を四天王は無差別に殺していたのである。そうして、グムファへと辿り着いたのだ。
映画『サバハ』の結末・ラスト(ネタバレ)
そこで、ウンジェは再びファン斑長へ連絡。渡した資料を見るよう怒鳴った。被害者は皆、1999年生まれの少女で四天王は10年以上もの間、該当者と思われる者を殺し続けているのだと。そこで、ウンジェは経典に書かれていた蛇の数字をようやく解読する。99年に生まれた少女は81人。経典にも81の魔軍が現れると記されており、数字は住民登録番号だった。
ファン斑長はウンジェから知らせを受け、慌てて資料に目を通す。彼はヨンウォルで生まれた中学3年生の女子の人数を調べさせた。更にこれまで行方不明となっていた少女も全員が99年生まれであった。
一方、グムファを生き埋めにしようとしていたナハンは、寸前で彼女に唆され家に双子の姉がいることを知る。彼は“それ”がいる小屋へ。“それ”は座禅を組み、6本の指を持つ少女だった。獣のようだった姿はその時を迎え美しく変貌し、蛇を従えた彼女は教えられていないはずの言葉を話す。蛇は自分ではなく、彼の養父だと。“それ”は養父を殺せと告げ意識を失うのだった。
ナハンは鹿野園へ急ぎ、今にも死にそうな養父の手を確かめる。6本あるはずの指は5本しかなかった。だが、そこへドンスが現れ蛇に騙されたのだと言う。彼は飼っているゾウの元へナハンを誘い、ショットガンでゾウとナハンを撃った。
ナハンの後を追って鹿野園へやって来たウンジェは、延命中の元教祖と対面。そこへ、ドンスが来たため、身を隠すことにする。ドンスは元教祖の延命装置を外し出掛けて行った。
ウンジェは重傷のナハンを救出し、彼から“それ”と会ったことを聞く。
ウンジェはドンスを追い、彼の正体を突き止める。東方教の教祖は側近しか知らず、ほとんどの者が素顔を知らない。ドンスが実は本物の教祖であったことなど、知るはずがないのだ。彼は老いもせず死ぬこともない不死者であった。6本の指を持ちチベットの高僧から神託を受けた彼は、その瞬間に竜から蛇へと身を堕としてしまったのだ。
走り出した車の後部席にナハンが乗っている。ドンスは蛇を滅するために多くの無垢な命を奪った。彼は最早、神ではなく蛇だ。ナハンはドンスの首を絞め、車は崖から転落した。
ナハンは虫の息となりながらも“それ”から受け取ったライターで火を点ける。神託は“それ”がドンスを殺すと告げていた。ガソリンに引火した火がドンスだけに襲い掛かる。グムファから与えられた毒を既に口にしていた“それ”もまた、ドンスが息を引き取ると同時に息を引き取った。ウンジェはナハンの最期の言葉を聞き、彼の死を看取る。幸い、グムファは無事だったようだ。
ウンジェはその帰り、信仰する自らの神へと神意を問い、祈りを捧げるのであった。
映画『サバハ』の感想・評価・レビュー
マタイによる福音書に記されているヘロデ王の幼児虐殺をモチーフにした作品で、宗教大国韓国ならではの視点で描かれている。
冒頭のシーンからすると、獣姿という禍々しい容貌で産まれた“それ”という存在が悪かと思うだが、終盤ではその印象が覆される。非常に良く練られた脚本であると同時に謎の伏線もしっかりと回収され、内容の濃い満足のいく映画である。今作で根底にあるのは信仰心の揺らぎであり、何を信じるかだ。殺人を続けた四天王たちも主人公の神父も全員が神の存在を問い、自問自答を繰り返している。故に“それ”の存在が強く際立つ。宗教とは何か、何を信じ生きるのか。そう言った問いかけがあったのではないかと思わされる素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)
かなり難しくて、よく理解できませんでした。宗教というものとの関わりが薄い日本は、信仰するということに対して抵抗があるのかもしれません。そのため、宗教によって自分の進む道を決めるような生き方は理解出来ず、何かある度に宗教を頼ったり、縋る姿にも共感は出来ませんでした。
オウム真理教や麻原彰晃と言った日本ではタブー視されている題材が出てくることに驚きましたが、とにかく理解するのが難しかったです。(女性 30代)
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