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映画『時代屋の女房(1983)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『時代屋の女房(1983)』の概要:「男と女は軽いのがいい」と考えてきた骨董屋「時代屋」の主人の安さんは、真弓というミステリアスな女と暮らし始め、彼女の不可解な行動に翻弄される。原作は直木賞を受賞した村松友視の同名小説。謎に包まれたヒロインを夏目雅子が好演している。

映画『時代屋の女房』の作品情報

時代屋の女房

製作年:1983年
上映時間:97分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:森崎東
キャスト:夏目雅子、渡瀬恒彦、大坂志郎、初井言榮 etc

映画『時代屋の女房』の登場人物(キャスト)

安さん(渡瀬恒彦)
東京の大井で「時代屋」という骨董屋を営んでいる。古い物が好きなので、8年前からこの商売を始めた。男と女は軽いのがいいと思っており、特定の女に深入りするのを避けてきた。母親とは死別し、有名なガラス作家の父親とは絶縁状態。
真弓 / 美郷(夏目雅子)
真弓は正体不明のミステリアスな美女で、素性や過去は全くわからない。突然、猫のあぶさんを抱えて時代屋へやってきて、あぶさんと共に住み着く。

美郷は、盛岡から東京へ出てきた女。故郷へ帰る前の晩、安さんと知り合い、彼に惚れてしまう。

マスター(津川雅彦)
時代屋の近所で喫茶店をしているマスター。闇市育ちで、大阪弁を話す。女と賭け事が大好きで、借金のため店を閉め、昔の仲間を頼って小樽へ行く。
今井(大坂志郎)
時代屋の近所のクリーニング屋の主人。大昔、人妻と駆け落ちしようとしたことがある。46年ぶりに再会した人妻の老いぼれた姿を見て、初恋の幻想が打ち砕かれる。
菊池松江(朝丘雪路)
安さんの父親の後妻。昔は安さんの家で働き、子供だった安さんの面倒を見ていた。詳しい事情はわからないが、安さんとも男女の関係だったらしい。
鈴木健一(平田満)
美郷の婚約者。安さんのせいで美郷に婚約を破棄され、盛岡にいた安さんに会いにくる。

映画『時代屋の女房』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『時代屋の女房(1983)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『時代屋の女房』のあらすじ【起】

東京の大井にある骨董屋の「時代屋」に、猫を抱いた若い女が入ってくる。女は店主の安さんに魅力的な笑顔を見せ、先ほど公園で拾った猫を預かって欲しいと言い出す。安さんが戸惑っていると、女は「あぶさん」と名付けた猫を安さんに抱かせ、さっさと2階へ上がってしまう。安さんは女に不思議な魅力を感じ、2階で彼女に迫る。女は「私もしばらくここへ置いて」と頼み、「真弓」という名前だけを告げ、安さんに身を委ねる。

半年後。真弓は、あぶさんと一緒に時代屋へ居着き、安さんの女房のようになっていた。真弓の詳しい素性はわからなかったが、安さんは今の生活に満足しており、彼女もそうなのだろうと思っていた。ところが、ある日、真弓が忽然と姿を消してしまう。店の録音テープには、「ちょっと出てきます、あぶさんのエサを忘れないでね」という真弓のメッセージが残されていたが、それ以上のことは何もわからない。

安さんは悶々としたまま近所の飲み屋で常連客と酒を飲み、夜遅くに帰宅する。やはり、真弓は帰っていなかった。そんな日が4日ほど続いたある朝、真弓がひょっこり帰ってくる。安さんは、あえて何も聞かず、真弓のことを受け入れる。真弓もまた、何事もなかったかのように明るく振る舞っていた。

その日、今井クリーニング店の女将さんが、主人の古いトランクを売りにくる。それは、なかなか年代物の品物で、安さんは3000円で買い取る。女将さんと入れ替わるようにして父親の後妻の松江が来て、父親が危篤だから会いに来て欲しいと安さんに頼む。しかし、安さんは母親を捨てた父親を嫌っており、松江の頼みを断る。

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映画『時代屋の女房』のあらすじ【承】

ある日、買い物に出た真弓は、自分をじっと見ている若者の視線に気づく。真弓はその若者と知り合いだったようで、彼と何か話し込んでいた。

その夜、真弓と安さんは鍋を囲み、今井のトランクに入っていた古い切符について語り合う。その切符は46年前のもので、未使用のままだった。途中、店の外に昼間の若者が来ているのに気づいた真弓は、深刻そうな顔で外へ出て、若者と何処かへ行ってしまう。そして、その夜は帰ってこなかった。

安さんは、再び悶々とした日々を過ごす。4日目の夜、安さんが銭湯から出ると、入り口で真弓が待っていた。安さんはいろいろ聞きたい気持ちを抑え、今回も真弓を受け入れる。その夜、真弓は安さんに抱かれながら泣いていた。

クリーニングに出していたズボンを取りに行った時、安さんは今井に例の切符を返しておく。妻が勝手に自分のトランクを売っていたことを知った今井は、トランクを買い戻しにくる。そのトランクは、今井が16歳の頃、人妻と駆け落ちしようとした時に使ったものだった。故郷の駅で親に見つかり、駆け落ちは失敗したが、今井にとっては忘れられない初恋の思い出だった。

そんなある日、真弓がまた姿を消してしまう。録音テープの「安さん、あんまり飲まないでね、さようなら」というメッセージを聞いた安さんは、真弓はもう帰ってこないのではないかと感じる。

安さんは父親の見舞いへ行き、松江と話をする。2人は過去に男女の関係だったことがあるようで、松江は「お父さんより、あんたが好き」と告白する。松江の告白を聞いた安さんは、不愉快そうな顔をして帰ってしまう。松江は、安さんのそういう薄情なところがいいのだと言っていた。

映画『時代屋の女房』のあらすじ【転】

その夜、行きつけの飲み屋で喫茶店のマスターと飲んでいた安さんは、美郷という奇妙な女と出会う。真弓の話を聞いた美郷は、蒸発する女の心理を語り始め、マスターに気に入られる。結局、その夜は飲み屋の主人や女将も加わり、5人で大酒を飲んで騒ぐ。

泥酔した安さんと美郷は、一緒に飲み屋を出る。美郷はそのまま時代屋に上がり込み、自分の事情を話し始める。美郷は、明日故郷の盛岡へ帰ることになっており、東京での最後の夜を安さんと過ごしたがっていた。そして、自ら下着姿になってベッドに入る。安さんは、そんな美郷を抱いてやる。

美郷は初めてだったようで、シーツの汚れを気にしていた。美郷がどうしてもシーツを洗いたがるので、安さんは彼女とコインランドリーに行く。洗濯が終わるのを待つ間、美郷は自分の最後の願いを聞いて欲しいと安さんに頼む。その願いとは、明日駅まで美郷を見送り、泣きながら手を振って、ホームの端まで走って欲しいというものだった。安さんは、そうしてやると約束する。

その夜、マスターのところに「のぞきからくりを売ってくれると安さんに伝えて欲しい」と、真弓から電話がある。マスターが居場所を聞こうとすると、真弓は電話を切ってしまう。

翌朝、安さんは美郷と駅へ行き、田舎へ帰る彼女を見送ってやる。電車が出る直前、美郷は1週間後に結婚するのだと打ち明ける。安さんは、彼女が望んだ通り、ホームの端まで走る。

時代屋へ戻るとマスターが来ていた。借金が返済できず、喫茶店を閉めることになったマスターは、これから小樽へ逃げるらしい。マスターから真弓の伝言を聞いた安さんは、車で盛岡市にある平野旅館へ向かう。小樽へ行くマスターも、盛岡まで同行する。

映画『時代屋の女房』の結末・ラスト(ネタバレ)

平野旅館は、安さんと真弓が旅行中に訪れた宿で、そこにはのぞきからくりの屋台があった。その時、安さんはこの屋台と囲炉裏にかかっていた南部鉄瓶を売って欲しいと交渉したが、宿の主人は売ってくれなかった。その主人は先日亡くなったらしい。

宿に到着した安さんとマスターは、客の男と酒を飲みながら、今は1人で宿を切り盛りしているお婆さんに、真弓のことを聞く。お婆さんは、一昨日、男と2人連れで来た女の客がいたと話してくれる。安さんはショックだった。

安さんが風呂へ入っていると、鈴木健一という男が「時代屋のご主人ですね、新妻がいろいろとお世話になったそうで」と安さんに挨拶し始める。安さんとマスターは、鈴木が真弓の夫なのかと勘ぐるが、彼は美郷の婚約者だった。盛岡に帰った美郷は、「好きな人ができたから結婚する気になれない」と鈴木に告げ、また東京へ戻ってしまったらしい。結局、その夜は男4人でしこたま飲み、囲炉裏の周りで雑魚寝する。

翌日、マスターは電車で小樽へ旅立つ。マスターの見送りを終え、安さんが宿へ戻ると、昨日の話はお婆さんの勘違いだったと客の男が教えてくれる。女が男連れだったのは半年前(相手は安さん)のことで、一昨日は1人だったらしい。安さんはホッとして、売ってもらったのぞきからくりの屋台を車に積み、東京へ戻る。

東京で、安さんは真弓と消えた若者と遭遇し、彼から事情を聞く。母親の葬儀の直後、自殺を図ろうとしていた若者は真弓に声をかけられ、彼女を売春している人妻だと勘違いする。真弓は何も言わず身を委ね、若者を励ましたらしい。真弓はそれきりのつもりだったが、若者はしつこく彼女につきまとい、「死んでやる」と脅して、彼女を連れ回した。しかし、彼女が本気で死のうとしたのを見て、彼女を諦めた。別れ際、真弓は「旅に出て、もとの家に戻る」と言っていたらしい。

安さんが時代屋へ戻ると、店に明かりが点いていた。しかし、中にいたのは喪服姿の松江だった。松江は安さんに恨み言を言って、店を出ていく。店前に出していた張り紙には、「やっぱり盛岡に帰ります、さようなら」という美郷からのメッセージが書き込まれていた。そして、真弓が大事にしていたあぶさんまでいなくなってしまう。

ところが、翌日、あぶさんが帰ってくる。あぶさんを抱き上げた安さんは、歩道橋を歩いてくる真弓を見る。安さんに気づいた真弓は、安さんが欲しがっていた南部鉄瓶を高々と掲げ、美しい笑顔を見せるのだった。

映画『時代屋の女房』の感想・評価・レビュー

いつの時代もこういう掴みどころのない「小悪魔」のような女は男の心を魅了するのだと感じる作品でした。真弓を演じたのは夏目雅子。彼女の自由奔放で、天真爛漫な雰囲気は真弓のイメージにぴったりで、その明るさと謎めいた部分のギャップが男を虜にしてしまうのだと思いました。
女に本気にならないと決めていた安さんが真弓に翻弄されてしまうのはなんだか笑えてしまいましたが、とてもほっこりする終わり方だったので思わず顔がほころんでしまいました。(女性 30代)

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