映画『男と女 人生最良の日々』の概要:前作『男と女』から53年後、元レーシング・ドライバーのジャン・ルイは老いていく中でどうしてもアンヌを忘れられないでいた。父親の願いを叶えるため息子のアントワーヌはアンヌを探し遂に2人は再会を果たす。カンヌ国際映画祭、最高賞パルムドール、アカデミー賞、最優秀外国語映画賞を受賞した上質な大人の恋愛映画。
映画『男と女 人生最良の日々』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:ラブストーリー
監督:クロード・ルルーシュ
キャスト:アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、モニカ・ベルッチ、マリアンヌ・ドニクール etc
映画『男と女 人生最良の日々』の登場人物(キャスト)
- アンヌ(アヌーク・エーメ)
- かつては映画業界で記録係として働いていたが、現在はフランスの田舎町で雑貨店を開き、獣医である娘と愛孫娘と暮らしている。ある日、ジャン・ルイの息子から父親があなたのことだけは忘れないでいるのでぜひ一度会ってほしいと相談を受け、53年ぶりに再会を果たす。
- ジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)
- 優勝歴のある元レーシング・ドライバー。現在はとある老人ホームで暮らしている。夢と現実を行ったり来たりしている中でかつて最も愛した女性アンヌのことが忘れられないでいる。
- エレナ(モニカ・ベルッチ)
- ジャン・ルイの娘。今作で初めてジャン・ルイはアンヌにイタリアに娘が1人いると告白する。
- アントワーヌ(アントワーヌ・シレ)
- ジャン・ルイの息子。子供時代の夢は消防士。現在は映画に関するレビューを執筆している。
- フランソワーズ(スアド・アミドゥ)
- アヌークの娘。動物が好きだったため獣医となり活躍している。
- 老人ホームの医者(マリアンヌ・ドニクール)
- ジャン=ルイが入院している老人ホームの医者。アントワーヌにアンヌとの再会を促す。
映画『男と女 人生最良の日々』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『男と女 人生最良の日々』のあらすじ【起】
前作『男と女』のいち場面、モンテカルロ・ラリーで優勝したジャン・ルイへ電報を通してアンヌが愛を告白するシーン、「ブラボー、あなたのことを愛しています。アンヌ」で物語はスタートする。それから53年後、アンヌはフランスの田舎町で雑貨店を営み、60歳になる娘と愛孫娘と一緒に平和に暮らしている。
ある日、彼女の店に見知らぬ男性がやってくる。誰も見覚えのない顔に戸惑いを隠せないアンヌ。すると男性は「覚えていませんか。アントワーヌです。ドーヴィルの寄宿学校でお嬢さんと一緒でした」と自らを紹介する。ジャン・ルイの息子かと尋ねるとそうだと答えた。アントワーヌの話によると、父であるジャン・ルイの記憶力が最近衰えており、自分1人では看病できず老人ホームに任せている。父が思い出すことといったらアンヌのことばかり。どうか一度父のために会ってほしいと申し出る。突然のお願いに困惑するアンヌであったが、渋々了解し、ジャン・ルイの老人ホームへと向かう。
映画『男と女 人生最良の日々』のあらすじ【承】
かつてモンテカルロ・ラリーで優勝するほどの腕前をもったレーシング・ドライバーのジャン・ルイも今は車椅子に頼らざるを得ない生活をしている。老人ホームで開かれる記憶力テストも他の入居者は自ら進んで発言するも彼だけは黙り込み、よく庭へ出かけては1人の時間を好み、かつて最も愛し忘れられずにいるアンヌのことを思い出していた。
アンヌが老人ホームに到着し、ジャン・ルイの隣へ着席するも全くアンヌ本人だとは思いもせずに「俺たちは知り合いか」と接するジャン・ルイ。しかし、アンヌが髪の毛をかきあげる仕草をみて、かつて沢山の女性を愛してきたが「特にあなたのような女性を」最も愛したと言い、2人が写っている写真を見せる。その瞬間アンヌは自分がどれほどまでに彼に愛されてきたのかを知るのであった。2人で他愛のない話をしているうちにジャン・ルイは「俺と逃亡したいか」とアンヌを誘う。店もあるし無謀だわ、と答えるアンヌに、いつから無謀さを忘れた、と言い少年らしさを見せるジャン・ルイ。そんな彼を見てアンヌはくすっと微笑むのであった。
息子のアントワーヌは、アンヌと再会したことで父親の経過が良くなったと感謝し、大きな花束をアンヌにプレゼントする。デザートでもいかが、というアンヌの誘いを受け、アンヌの娘であるフランソワーズとドーヴィルの寄宿学校で歌った歌を息ぴったりに歌うのであった。
映画『男と女 人生最良の日々』のあらすじ【転】
老人ホームで医師がジャン・ルイの車椅子を押しながら様々あるアクティビティに参加してみないかと提案する。それに対しジャン・ルイはどれも興味がないと答え、アンヌの来訪がなかったかを尋ねると、来訪していてもジャン・ルイが昼寝をしているのでいつも帰っているとの回答が返ってくる。落胆するジャン・ルイ。医師は息子のアントワーヌにジャン・ルイの記憶力テストが満点なことを例にあげ、実は忘れたふりをして人をからかっているのではないかと打ち明ける。実は自分もそうなのではないかと思っていたと答えるアントワーヌ。ジャン・ルイの記憶をより明確に呼び起こすためにも一度アンヌと出かけてはどうかと医師は提案する。
ある日、ジャン・ルイはイタリアから来たというエレナと名乗る黒髪の女性と面会をしていた。彼女はジャン・ルイがかつてレーシング・ドライバーとして活躍していた時代にイタリアで出会った女性との間にできた子供であった。パパ、会えて嬉しい、と涙ぐむエレナであったが、全く身に覚えが無い、とジャン・ルイは答える。かつてこんな歌を歌ってくれたと口ずさむエレナにこんな素敵な女性が子供にいたなんて嬉しい、と発言するジャン・ルイ。部屋の窓を雨が強く打ちつけていた。
映画『男と女 人生最良の日々』の結末・ラスト(ネタバレ)
医師の提案もあってアンヌの愛車2CVでジャン・ルイと共に2人の過去をめぐる旅が始まった。アンヌの愛の告白を受けて全速力で車を走らせ再会を果たしたノルマンディの浜辺や、初めて愛を確かめ合ったホテルなどが『男と女』のモノクロの場面と交互に映し出されていく。車から降りて突然ジャン・ルイはアンヌに「すまなかった」と謝る。何に対してかと問うと、色々なこと、とジャン・ルイは答える。
ドーヴィルの板張道で車を停車させていると警官がやってきて、ここでの停車は禁止だと言う。いつからかと聞くと「50年前バカがマスタングで疾走してから」だとの答えが返ってくる。それは俺だ、と得意そうにジャン・ルイは笑う。浜辺を歩きながらアンヌはスマートフォンを取り出しジャン・ルイと写真を撮る。2人のバックで夕日は静かにゆっくりと沈んでいくのであった。
2人の日帰り旅行後もアンヌは定期的にジャン・ルイを訪れていた。ジャン・ルイは車椅子から立ち上がりアンヌの手を借りながら数歩歩けるようにまでなっていた。
映画『男と女 人生最良の日々』の感想・評価・レビュー
前作ではそれぞれに複雑な事情を抱えた男女の駆け引きのようなハラハラする恋模様が描かれていたが、53年後に描かれた今回の映画はまさに木漏れ日が似合うような大人のラブストーリーになっている。少年らしさを時々見せるジャン・ルイ、そんな彼を聖母のような優しさで見守るアンヌ。そこには1つのイメージでは縛られない愛の形があった。恋愛に年齢制限は存在しない、何歳になってもしていいものだと背中を押してくれる作品である。(MIHOシネマ編集部)
1966年に公開された『男と女』の53年後を描いた今作。『男と女Ⅱ』のストーリーはほとんど語られることは無く、あくまでも一作目のストーリーの53年後が舞台です。
運命の出会いをし、深く愛し合った2人が離れ離れになり、もう一度再会を果たすストーリー。
心から愛した相手のことを忘れられない気持ちは男も女も同じで、いくら時が経っても「愛」は変わらないのだと感じました。
フランス映画らしい雰囲気が楽しめる素敵な作品です。(女性 30代)
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