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映画『ゾラの生涯』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ゾラの生涯』の概要:自然主義文学を定義したフランスの文豪、エミール・ゾラの生涯を元にした伝記映画。ゾラが真相を世間に訴え続けたドレフュス事件についても詳しく描かれている。第10回アカデミー賞では作品賞をはじめ3部門で受賞した。

映画『ゾラの生涯』の作品情報

ゾラの生涯

製作年:1937年
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:ウィリアム・ディターレ
キャスト:ポール・ムニ、ジョセフ・シルドクラウト、ゲイル・ソンダーガード、グロリア・ホールデン etc

映画『ゾラの生涯』の登場人物(キャスト)

エミール・ゾラ(ポール・ムニ)
フランスの文豪。自然主義文学を定義し、「ナナ」「ルーゴン・マッカール叢書」などを著した。ドレフュス事件では、反逆罪で有罪となったドレフュス大尉の無実を訴え続けた。
アルフレド・ドレフュス(ジョゼフ・シルドクラウト)
フランス陸軍参謀本部の大尉。スパイ容疑をかけられ、反逆罪で終身刑となる。ゾラたちの働きによって再審が行われ、無実が認められて軍に復帰した。
リュシー・ドレフュス(ゲイル・ソンダーガード)
ドレフュス大尉の妻。夫の無実を信じて証拠書類を集め、ゾラに協力を仰いだ。
ポール・セザンヌ(ウラジミール・ソコロフ)
画家。ゾラの親友で、かつては同居していた。富と名声を得たゾラに対し、芸術は貧乏であるべきだと言い残して故郷へ帰る。

映画『ゾラの生涯』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ゾラの生涯』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ゾラの生涯』のあらすじ【起】

1862年のパリ。当時は無名の作家だったエミール・ゾラは、小さな部屋で画家のポール・セザンヌと同居していた。暮らしは貧乏でも、芸術への情熱を燃やす毎日だった。真実をありのままに描くゾラの作品は、しばしば検事局から扇動的だと批判された。そのことで勤めていた出版社の社長とも対立し、ようやく手にした職を失ってしまう。

ある日、ゾラは街中で警察に追われていた娼婦のナナを助ける。彼女の身の上話を聞いたゾラは、それを題材に「ナナ」という小説を執筆した。この小説はベストセラーとなり、ゾラの名は一躍有名になる。

戦争が始まると、ゾラは軍の上層部を批判する本を出版した。検閲局に呼び出され注意を受けても屈しなかった。それからも、ゾラは自分が書きたいと思うものを執筆していった。そして、富と名声を手に入れ、小説家としての地位を揺るぎないものにする。一方親友のセザンヌは、豪遊を繰り返し芸術に対する情熱を失ってしまったゾラに、芸術は貧乏であるべきだと告げて故郷へ帰っていった。

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映画『ゾラの生涯』のあらすじ【承】

そんな中、かのドレフュス事件が起きる。フランス陸軍の機密情報を記した手紙を参謀本部の何者かがドイツ大使館の武官に送っていた。上層部は無実のアルフレド・ドレフュス大尉が犯人だと断定し、反逆罪で逮捕した。有罪判決が下され、終身刑が言い渡される。ドレフュス大尉は軍の階級を剥奪され、流刑地の悪魔島に送られた。

ピカール中佐はエステラジー伯爵が真犯人であることを突き止めるが、上層部は聞く耳を持たなかった。ピカールが告発をすると仕方なく裁判が行われたが、エステラジーは無罪となり、ピカールが逮捕される事態となった。

同じ頃、ゾラはアカデミー・フランセーズの会員に選出された。すべてを手に入れ満足げなゾラのもとへ、ドレフュス夫人が訪れる。夫の無実を訴えるため、真実と正義のために書いてきたゾラに協力を仰ぎに来たのだった。ドレフュスを擁護すれば自分まで反逆者扱いされる恐れがあるため、ゾラは断る。夫人が帰ったあと、ゾラはセザンヌの言葉を思い出していた。そして、アカデミー・フランセーズからの手紙を破き、夫人が置き忘れていった証拠書類に目を通した。

映画『ゾラの生涯』のあらすじ【転】

ゾラは、ドレフュスの無実を訴え、軍を批判する「我弾劾す」という文書を公開した。しかし、世論は軍に味方し、店頭に並ぶゾラの著作が荒らされるなどした。ゾラは軍から名誉毀損で起訴され、裁判が行われることとなった。

1度有罪判決を出したものを無罪にすれば、軍の威信に関わる。軍はドレフュスの無実と真犯人について把握していながらも、それを認めるつもりはなかった。始まった裁判は、軍の関係者をゾラ側の証人として許可しない、そもそもドレフュス事件に触れさせないなど、非常に不公平なものだった。軍側は真実を隠蔽するため、証拠をでっちあげ、都合の悪いことには黙秘を貫いた。

いよいよ結審を迎えた。最後に、ゾラに話す機会が与えられた。ゾラは陪審員に向かって、真実と正義のため、そしてフランスに自由を取り戻すために自分は行動したのだと説いた。判決は有罪で、禁固1年と罰金が言い渡された。判決に湧き上がる傍聴人を睨み、獣同然だとゾラは吐き捨てた。

映画『ゾラの生涯』の結末・ラスト(ネタバレ)

ゾラは友人からイギリスへの亡命を勧められた。ゾラは難色を示したが、フランスにいればこのまま服役、イギリスでならドレフュスのために執筆活動を続けられると説得され、亡命を決意する。亡命後もゾラは執筆し続け、ドレフュス事件の真相に世界中から注目が集まるようになった。これ以上の隠し立てはできないと観念した軍は罪を認めた。大佐は逮捕され、上層部は続々と辞任が決まった。再審が行われることになり、ドレフュスはフランスへ戻ることになった。

イギリスのゾラにもその知らせが届いた。ゾラは、真実は前進するのだと呟いた。その後、エステラジー伯爵が自白したことにより、ゾラたちはフランスへ帰国できることになる。帰国後のゾラは、自由の次は正義を追求したいのだと、寝るのも忘れて執筆に励んだ。

ドレフュスが軍に復帰する式典が執り行われた。しかし、ゾラの姿はそこにはない。ドレフュスたちのもとへ届いた号外には、昨夜ゾラが一酸化中毒で死亡したと書かれていた。ゾラの葬儀には大勢の人々が集い、彼の生き様を讃えた。遺体はパンテオンに埋葬された。

映画『ゾラの生涯』の感想・評価・レビュー

芸術は貧乏であるべきだと言ってセザンヌがゾラのもとから去るシーンと、後にその言葉を思い出したゾラがドレフュス夫人への協力を決意するシーンが印象深かった。また、法廷でゾラが行うスピーチは説得力があり感動的だった。しかし、それにすら心を動かされることなく、有罪判決に傍聴人が歓喜する光景は異様なものに感じられる。ジョゼフ・シルドクラウトが演じるドレフュス大尉は、悪魔島に送られボロボロの状態になっても失われない気品があり素晴らしいと思った。(MIHOシネマ編集部)


本作は、19世紀のフランスを舞台に、フランスの文豪エミール・ゾラの半生とドレフュス事件を描いた伝記ヒューマンドラマ作品。
ゾラの真実を追い続けた人生や正義感の強い人柄が魅力的でかっこよく、特に冤罪と闘う法廷でのシーンは目が離せなかった。また、ゾラを演じたポール・ムニの熱演は、役に取りつかれているような感じがして圧倒された。
内容もさることながら、この時代の衣装や小道具など視覚的にも見応え充分で2時間があっという間だった。(女性 20代)


フランスの文豪エミール・ゾラの生涯を描いた作品と言うよりも、彼が長年訴え続けていた「ドレフュス事件」に焦点を当てた作品でした。
ゾラのことも知らないし、教科書に出てきたというドレフュス事件のことも知らない私にとってこの作品はとても難しいストーリーでしたが、ドレフュスを救うために国家に立ち向かう勇ましさはしっかりと感じとれました。
語られていない部分も多いとは思いますが、この作品を見る限りエミール・ゾラはとてもかっこよくて、勇気のある人だと思いました。(女性 30代)

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