『英国王のスピーチ』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

イギリス王家の次男アルバートは吃音症に悩まされ、人前でのスピーチがまともにできない。妻エリザベスの勧めで、言語療法士ライオネルのもとで治療を始める。キャッチコピーは「英国史上、もっとも内気な王。」

あらすじ

英国王のスピーチ』のあらすじを紹介します。

1934年の大英帝国博覧会にて、父王ジョージ5世の代理で閉会式のスピーチを行うアルバート王子。しかし幼少時代から悩まされている吃音症のせいで大失敗、聴衆や周囲の人間からも落胆の声があがる。吃音症を治すため何人もの専門家に診てもらい様々な治療法を試すアルバートだが、どれもひどいものばかりで一向に改善の余地がない。そんな姿を心配し見かねたエリザベス妃はアルバートを連れて、平民であるオーストラリア出身の言語療法士、ライオネル・ローグの元を訪ねる。ライオネルは独自の経験から私たちは平等だと言い放ち、お互いを愛称で呼び合うこと、ヘビースモーカーのアルバートに禁煙することを了承させようとするがアルバートはこれに反発、さらにこの方法は私に合わないと言って立ち去ろうとする。そんなアルバートにライオネルは1シリングを賭けて、自身の声が聞こえないよう大音量のヘッドホンをしながら『ハムレット』の台詞を朗読させる。しかしまたもや最悪な朗読になったと思い込んだアルバートは途中で腹を立て、もう二度とここには来ないと告げる。ライオネルは朗読を録音したレコードを持たせ、治療部屋の外でずっと待っていたエリザベスはまたダメだったのかと落ち込む。後日そのレコードを聞いてみると、そこには吃音の症状など見られないスムーズな『ハムレット』の朗読が入っていた。驚くアルバートとエリザベス。2人はライオネルを再び訪ね、発音の練習などの治療を日々受けるのだった。

それでも、できることなら兄のデイヴィットに王位を継いでもらいたいと願うアルバート。女癖の悪いデイヴィットは時期国王に相応しくないとされていたが、1936年ジョージ5世の崩御によりデイヴィッドがエドワード8世として即位。とはいえ女癖の悪さは治りそうもない兄の姿を見て、より一層治療に励もうとするアルバートはライオネルに自分が吃音症になったと思われる経緯を話し始める。心を明かしたことで信頼関係が一歩進み友情が芽生え始める2人だったが、デイヴィットに代わって即位するべきではと指摘するライオネルに対し、それは反逆罪にあたると辛くその意見を跳ね除けるアルバート。その日以来アルバートは治療をやめ、ライオネルのところへは行かなくなってしまった。

結局デイヴィットは離婚暦のある女性と許されない結婚を望み、1年も経たずに退位。アルバートはジョージ6世と名乗り即位することを余儀なくされた。しかし悩みの吃音症は以前深刻なまま。アルバートは再びライオネルの元へ訪ねる決意を固める…。

評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2011年2月26日
  • 上映時間:118分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:トム・フーパー
  • キャスト:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、デレク・ジャコビ etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『英国王のスピーチ』のついて、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

史実を基にした歴史ドラマ映画

実際の歴史や人物を基に忠実に製作された作品で、数々の波乱が起きたりそこまでドラマチックな展開が待っているわけではないので見方によってはつまらないという意見もあるかと思います。しかし吃音症の悩みだけではなく王家の深刻な内情まで考えなくてはならなかったジョージ6世に対し、思わず感情移入してしまうと思います。史実の観点から見ると、実際のジョージ6世の吃音症はそこまで声高らかにされた事実でもなく、内気だったかどうかも分かりません。でもアルバートとライオネルの友情関係に偽りはないようで安心しましたし、最後の演説を終えた際の「wの音で少しどもりがあった」「私だと分かるように、わざとどもったのだ」というやり取りは本当にあったことをそのまま盛り込んだそうです。序盤のアルバートからは考えつかない台詞に、ライオネルの力の偉大さを感じます。

吃音症の治療法

ライオネルがアルバートに行った治療は現代でも有効なのでしょうか?実際に克服した人の経験談を見ると、やはり呼吸法や言語療法が鍵を握るようです。しかしその効果も千差万別、症状にもよりますし”絶対”というのはなかなか難しいようです。ただ共通しているのは、心の治療が必要だということ。アルバートのように幼少の頃の体験が災いして吃音持ちになる人は多く、またそれからの恐怖や不安が更に回復を妨げてしまうそうです。まずはアルバートとライオネルのように信頼関係やリラックスできる環境下で治療を行うこと、そしてエリザベスのように温かく見守る存在がいることも大切なのです。

まとめ

最後にアルバートが見事完璧なスピーチを行う姿は、感動の一言です。少し焦ったときでも、目の前にいるライオネルがいることでどれだけ大きな支えになっているかが伝わります。スピーチ後、アルバートは「ありがとう、友よ」とライオネルに素直に感謝し、ライオネルはアルバートを「陛下」と呼び敬意を示します。お互いへの本心を初めて打ち明け合う素晴らしいラストです。2人の関係に関しては、大きな波がありハラハラさせられました。全く分かり合えなかった初対面、治療を始めるも効果が表れず怒りをぶつけるアルバート、罵倒する時はどもらないじゃないかと飄々と接するライオネル。治療に真剣になり心の闇を打ち明けるアルバートに、真剣な面持ちで治療を試みるライオネル。ある日の治療の帰り道、兄の代わりに即位するべきだと正直に忠告するライオネルに対し、反逆罪になるからそれはできないと辛く跳ね除けるアルバート。ここで一本道を正反対に歩いていく別れのシーンはとても切なく、2人の身分の差や様々な心情のすれ違いを描くような印象に残るシーンでした。結果的にアルバートはライオネルに謝罪し再び治療を続け、ラストシーンへとつながります。最後のナレーションの一文では、「戦争スピーチには毎回ローグが立ち会い、ジョージ6世は抵抗運動のシンボルとなった。ライオネルとバーティは生涯にわたりよき友であった」と流れます。身分の垣根を越え、自らの障害をも乗り越えた、勇気と感動をもらえる作品です。

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