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映画『愛人 ラマン』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『愛人 ラマン』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愛人 ラマン』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『愛人 ラマン』の結末までのストーリー
  • 『愛人 ラマン』を見た感想・レビュー
  • 『愛人 ラマン』を見た人におすすめの映画5選

映画『愛人 ラマン』 作品情報

愛人 ラマン

  • 製作年:1992年
  • 上映時間:116分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、伝記
  • 監督:ジャン=ジャック・アノー
  • キャスト:ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ、メルヴィル・プポー、リサ・フォークナー etc

映画『愛人 ラマン』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

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映画『愛人 ラマン』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『愛人 ラマン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『愛人 ラマン』 あらすじ【起・承】

ベトナムがフランス植民地インドシナだった1929年。

少女はフランス人だが、母と兄二人と一緒にベトナムに住んでいた。母は教師をしていたが、騙されてほとんどが海水につかってしまう土地を買わされる。三人は貧しく暮らしていた。
母は長男ばかりをかわいがり、長男は母の金でアヘンを買い、次男と少女にはいつも暴力を振るった。

田舎の自宅から学校の寄宿舎に帰る途中の少女は、中国の資産家の青年と出会う。男は32歳。

黒塗りの高級車に乗ったその男に呼び止められ、好奇心から少女はその車に乗り込む。少女はそれから毎日男に車で送り迎えをしてもらうようになる。
やがて少女は街中にある薄暗い部屋に連れていかれ、快楽のままに男と愛人関係になる。
二人の関係は秘密だが、その後何度もその部屋で体を交わした。

少女の母は、男に食事に招待されたとき娘との関係にうすうす気づいているが、お金のために黙認する。相手の方が裕福で地位もあるのにもかかわらず、母と長兄は青年を「中国人」だと差別し無視を貫いた。

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映画『愛人 ラマン』 結末・ラスト(ネタバレ)

男はやがて本気で少女を愛するようになっていた。しかし、父親によって中国の大富豪の娘との結婚が決まっていた。
男は父親に結婚したい人がいると懇願するが、聞き入れてもらえない。
そして少女の方でもフランスへ帰ることが決まった。

少女と別れることを決めた男は、未練を断ち切るために「金のために抱かれたと言ってくれ」と頼む。少女は無表情で、「お金の為にあなたに抱かれた」と答えた。この時、少女はまだ男と会っている理由が何なのかはっきりわからないでいた。

男の結婚式で、男は少女がそこにいることに気付く。二人はしばらく見つめ合う。
それから、少女は男と会っていた部屋で男を待つが、何時間待っても男は現れなかった。

フランスへ発つ日が来た。
少女は船の上から黒塗りの車を見た。フランスへ向かう船の中で、男と会っているときによく聴いていたショパンのワルツが流れた。
少女はこれを聴きながら涙を流した。この涙が男を愛していたから流れたのではない。でも、自分は男を愛していたのかもしれない、と思う。

それから何十年か過ぎたある日。有名作家となった少女の元に一本の電話がかかってくる。電話口の男の話す声は、聞き覚えのある中国訛りだった。男は、「声が聞きたかった。あなたを忘れられず、死ぬまで愛している」と告げた。

映画『愛人 ラマン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『愛人 ラマン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

ただの官能映画ではない

この映画は官能的なベッドシーンが多くて、確か日本での公開当時はR15指定で、セックスシーンの過激さばかりが話題になり、今でもそういうことから敬遠してしまうとか、それ目当てでしか観ないということも多いのではないかと思う。
確かにそういう要素はかなり目立つが、そのせいで作品の良さまでかすんでいるように思う。
この映画の大事なところは別にある。年が離れた男女が、最初は快楽目当てで愛人関係になるけれど、それが本当の愛に変わっていく過程もいいし、男と少女の愛に気付くタイミングのすれ違いもいい。
あとは家族の事も。デュラスの自伝では家族の事に触れているエピソードがかなり多いので、そのあたりの要素も増やしてくれたらまだ良かったのかな、と思う。
確かに過激シーンがなければもっとたくさんの人に評価されたのかもしれないが、一度先入観はとっぱらって観てみれば作品の良さに気付くはず。

ベトナムの雰囲気と音楽がいい

舞台のベトナムは熱帯の国。映画の中でも暑そうなのが分かるし、ものすごく気怠い雰囲気がある。ストーリーの展開や主役二人のしぐさはやけにゆっくりだし、言葉少なで表情だけで演技している方が多くて、そういうのがベトナムの雰囲気によく合っていると思った。『サヨナライツカ』のタイもそうだが、東南アジアの雰囲気はいやに禁断の恋愛物に合っている気がする。
音楽は映画の大事な要素でもある。二人が一緒に過ごしているときに聞いていたショパンのワルツがラストで少女に涙を流させる。感動的な演出がうまい。


映像美に圧倒される一方で、描かれる愛と欲望の関係に心が揺さぶられました。年の差、階級差、人種差――あらゆる「違い」を越えて結びつく二人の関係は、一見するとスキャンダラスですが、心の奥底にある孤独と渇望が交差する切ない物語です。ラストの別れのシーンは静かな余韻が胸に残りました。(20代 女性)


ジャン=ジャック・アノー監督の映像は官能的でありながら詩的で、少女と中国人青年の関係がまるで夢のように描かれていました。セリフよりも表情や静かな空気で語る演出が美しく、ベトナムの湿度や空気まで感じるようなリアリティがあります。禁断の関係というより、時代に押し流される儚い愛の物語。(40代 男性)


『愛人 ラマン』は、単なる官能映画ではなく、少女の視点で語られる淡く痛々しい初恋の記憶が中心にあります。裕福な中国人青年との出会いは、彼女にとって性的な目覚めでもあり、同時に人生に対する皮肉な成長でもある。その後、彼が結婚を選ぶことで、現実と幻想の決定的な差を突きつけられました。(30代 女性)


思春期の少女の視点から描かれる性愛と自我の目覚めは、美しさと同時に苦しさを伴っていました。見ていて背徳感を感じつつも、抑えきれない感情の奔流がリアルで胸に迫ります。彼の「愛している」という言葉が、少女にとって救いだったのか、呪いだったのか、最後まで答えは出ませんでした。(20代 男性)


『愛人 ラマン』は、少女の記憶として描かれている点が非常に効果的で、すべてがぼんやりと、しかし確実に胸を打つ形で表現されています。愛というより「依存」や「逃避」に近い関係性が印象的で、どこかフロイト的な構造すら感じさせる濃密な心理劇。音楽と映像の調和もすばらしかったです。(50代 男性)


この作品を初めて観たのは若い頃でしたが、今観直してみると、少女の視点にだけ寄り添わない大人の余白が見えてきました。彼女は彼を通じて何を得て、何を失ったのか。そして彼の「愛」とは一体何だったのか。ただのロマンスではない、人生の傷と再生を描いた静かな傑作だと改めて感じました。(60代 女性)


『愛人 ラマン』には、誰にも言えない秘密のような匂いがあって、観終わったあと心に残るのは官能ではなく切なさでした。少女の視点だからこそ、全てが不完全で、未完成で、それでも強く記憶に焼き付く。成就しない関係だからこそ、愛という感情がこんなにも痛々しく描けたのだと思います。(30代 男性)


舞台となる1930年代のフランス領インドシナという設定が、社会的背景に深みを与えています。女性としての自立、階級や民族の差別、家族との関係といったテーマが交錯し、少女の成長物語としても重厚でした。エロスよりもむしろ、人間関係の複雑さと時代に翻弄される若さの危うさが印象的でした。(40代 女性)


この映画の魅力は、語られない部分にこそあります。まなざし、沈黙、ベッドでの距離感が何を物語っているか。それはセリフより雄弁です。彼女にとって彼は“愛人”ではなく、人生を分かつ影そのものだったのかもしれません。人は時に、短くても深い記憶に支配されて生きていく。そんな映画でした。(50代 女性)


この作品は、まるで少女の回想録を映像化したような構成がとても美しいです。記憶だからこそ曖昧で、甘美で、そして痛い。ベトナムの蒸し暑さと雨が、まるで感情そのもののように画面に流れ込んできて、その没入感に酔いました。生涯忘れ得ぬ恋とは、こういうものなのかもしれません。(20代 女性)

映画『愛人 ラマン』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愛人 ラマン』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

マリアンヌ

この映画を一言で表すと?

愛と疑念が交差する、運命に翻弄された男女の物語。

どんな話?

第二次世界大戦下の北アフリカで出会ったスパイの男女。激しい恋に落ち、結婚するも、妻にスパイ容疑がかけられ、夫は彼女の真実を追うことになる。ラブロマンスとサスペンスが見事に融合した作品で、時代背景と人間ドラマが交差します。

ここがおすすめ!

戦時中という厳しい時代のなかで芽生える愛の儚さが、『ラマン』に通じる切なさを感じさせます。特に、信じたいのに疑ってしまう心理描写が秀逸。ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの美しい共演も見どころです。

ベティ・ブルー/愛と激情の日々

この映画を一言で表すと?

狂おしいまでの愛が心をえぐる、フランス映画の金字塔。

どんな話?

孤独な作家と自由奔放な女性ベティの恋愛を描く物語。愛し合いながらもすれ違っていく二人の関係は、情熱と破滅の紙一重。愛するがゆえに深く傷つき、やがて精神のバランスを崩していくベティの姿が胸を打ちます。

ここがおすすめ!

『愛人 ラマン』と同様、愛が美しくも残酷であることを描いています。エロティシズムだけでなく、魂のぶつかり合いとしての恋愛に重きを置いた構成は、観る者の感情を揺さぶります。音楽と映像美も絶品です。

ブロークバック・マウンテン

この映画を一言で表すと?

許されない愛が静かに心を壊していく、究極のラブストーリー。

どんな話?

1960年代のアメリカ西部で出会った二人のカウボーイ。友情から芽生えた恋は、保守的な社会の中では受け入れられず、互いに別の人生を歩むが、心は離れないまま長い年月が過ぎていく。静かで切ない愛の物語です。

ここがおすすめ!

性的なテーマを扱いながら、過激さよりも抑制された演出が胸を打つ名作。『ラマン』と同じく、社会の枠に抑えつけられる愛の不条理を繊細に描いており、ラストの余韻が深く残ります。ヒース・レジャーの演技は圧巻。

コレット

この映画を一言で表すと?

自由と表現を求めて闘った、実在女性作家の官能的半生。

どんな話?

19世紀末のフランス。才能ある作家コレットは、夫の名前で発表した小説が大ヒット。だが、次第に自分の名前で生きることを望み、芸術家としても女性としても解放されていく姿を描く。自己実現と愛の葛藤がテーマ。

ここがおすすめ!

『愛人 ラマン』同様、女性の内面と欲望が丁寧に描かれています。階級や性別の制限を超えて生きる姿に勇気づけられる人も多いはず。キーラ・ナイトレイの気品ある演技が、知的で官能的な世界観にぴったりです。

青いパパイヤの香り

この映画を一言で表すと?

視覚と嗅覚で味わう、詩のように静かな愛の記憶。

どんな話?

1950年代のサイゴン。少女ムイが雇われ先の家庭で成長し、やがてピアニストの青年に仕えるようになる。彼との静かな交流の中で芽生える感情と、日常の中にある美しさを、映像と音で繊細に描いた作品です。

ここがおすすめ!

『ラマン』と同じインドシナを舞台にし、官能的でありながらどこか敬虔な雰囲気が漂います。せりふは最小限、映像と光、音で感情を語る作風は、心の深い部分に触れるような体験。静かで美しい愛の映画を求める人に最適です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. マーチ より:

    私は公開当時見たのですが、若かったため不快な映画に感じました。お金のためにこんなことするなんてー、本当に愛人って感じと。大抵絶賛するのは大人たちで、やっぱり官能シーンがいいのかなぁとか。でも、私も当時の大人たちと同じ年齢になり、最近ホーチミンに行く前に鑑賞。

    色々と刺さるシーンや胸が痛くなるシーン満載です。二人が肉体から結ばれたせいでお互いの将来について話し合えないとか、少女を女にしたのは彼なのにあなたとは結婚できないと無神経に言い放ち中国人は嫌いだからよかったなどと、お互い傷つけ合ってしまうシーンやら、お金があるために愛する人がいても結婚相手が選べない男の苦悩やら、結婚式後部屋で待っても男が来ない少女の痛み、その背景のサイゴンの雑踏や景色。俳優さんの演技も所々ハッとするものがあり、本当にいい映画です。成熟してこそ理解できる映画ですね。多くの人がハマるのもわかります。官能シーンに関してはちょっと品がないと思うところも。原作がベストセラーになってしまったので、映画製作もヒットさせるために話題を呼ぼうとそうせざるを得なかったのかも。

  2. 匿名 より:

    あの苦さと切なさ、何度も見ました。
    風土もお話に厚みを持たせ、人種に差があるものの、それを超えるものがあり、色々考えました。素敵な映画ですね。

  3. ゆみこ より:

    10何年か前に観た時より、今回の方が心に沁みる映画だった。レオン・カーフェイがいい。初めて少女に話しかける時のドギマギした様子、最初無視されたのに、帽子を褒めたら少女の方から話しかけられた時の嬉しそうな顔、寮に着いて別れる時の、もうすっかり恋に落ちてしまったような表情。32才のおじさんが15才の少女に。彼は女性経験は多くても、本当の恋は恐らく初めてだったのだろう。二人のキレイな身体がセックスシーンも美しく見せる。音楽もいい。大人になってから観る方が、良さが解る映画ですね。

  4. L より:

    今に生まれてよかった!と思いました

  5. ノリカ より:

    一度でも肌を合わせると情が移る。切なさの残る話ですな。

  6. みー より:

    映画はまだ見ていません。
    ふとしたことで、四半世紀も前の古い原作本を手に取りました。
    表紙の少女のなんとも言えない不思議な魅力的。寂しそうで、生意気そうで、幸せではないのに生き生きとした、見たことのない美しい顔。
    そして、一気に読みました。非常に高尚な文学小説でしたが、最後は涙がとまりません。

  7. 思いつき より:

    人を好きになるって制限できないですよね。青年が父親に好きな人がいて結婚したいと懇願するシーンが真剣んな純愛を感じます。キュンキュンきました。愛のない結婚をした彼が気の毒です。ってそれは嫁にもいえるかな…。最後の電話も心にしみました。

  8. ひらかた より:

    私はもう高齢者ですが、しかしそれでもこの映画は忘れられないですね。
    最後のシーンも史上に残る場面だと思っています。

  9. みあ より:

    10代後半に、似たような経験をした。

    それは、何となく頭の中から無くなっていたように思っていたけれど、この映画を観てから、フラッシュバックして、どうして頭の中から追いやっていたか分かった。

    当時は まだ若く未熟だった為、その関係自体が悪いことであるということに意識し過ぎていたが、今から思えば、それが最初の愛が込もった関係だった。

    これを思い出してからは、どの関係も
    これ以上には感じられず。

    映画を観た後も、何度かDVD で観る度に
    自分の当時を思い出し、また少女の気持ちと重ねて胸の奥に鈍い痛みを感じる。

    この作品は、女性の方が その繊細な感情をより感じ取れるのではないかと思う。
    特に私は、男と少女の皮膚の感触が心に残っている。肌が合う感じを、サウンドと共に巧みに表現していた。
    そして、男が少女を大切に扱うところが、
    その愛情の深さを物語っているように感じた。 誰もが知る名作とはまた違った、知る人ぞ知る名作だと思う。少女を演じたジェーン マーチは、これで有名になり、その後はパッとしないが、独特の雰囲気を持つ魅力溢れる女優だと思う。この映画の後に撮った ブルース ウィリス共演の映画も、性描写が話題になったが、変わった雰囲気の映画で、こちらは特に良い評価でもなかったが、私には なぜか心に残る映画である。それは、派手な性描写でありながら、いやらしさがサラっとしているから。

  10. ひぃ より:

    ダメ。人前では泣かない私がこの映画では涙腺崩壊します。
    何度見返してもその度に新たな感想が生まれ切なく苦しくなります。

  11. のりこ より:

    私もこの映画で流れてくる音楽をきくと、今でも胸が締め付けられます。

    私は20代前半の時、17歳も上の既婚者の男性と不倫をしていました。その当時は相手の男性の方が自分を好きでいてくれていたので無邪気に甘えていて、気持ちもどこかうつろ気でしたが、別れてからなぜだか無性に切なくなって、涙がでてきて身体が震えていたのを覚えています。
    この映画を観ると、その時の事が思い出されます。

  12. ちぃ より:

    私も大好きな作品です。ラストシーンを思い出しただけで、切なくて泣けてきます。

  13. ナカジマ より:

    まったく同感です。
    こんなにすばらしい映画はなかなかないとずっと思っていました。