コロナ禍。俳優の木村誠は、還暦を目前に映画の制作に乗り出す。しかし、主役を務めていた俳優が怪我をしてしまい、撮影の続行が困難になる。その一方で、娘のアサミから連絡が入り、驚きの内容を告げられる。
映画『GINAGINA ぎなぎな』の作品情報
- タイトル
- GINAGINA ぎなぎな
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年12月19日(月)
- 上映時間
- 44分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- 高川裕也
- 脚本
- 高川裕也
- 製作
- 高川裕也
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 高川裕也
八十川真由野
田村義晃
元気屋エイジ
橋本拓也
海部剛史
森岡弘一郎
伊藤俊 - 製作国
- 日本
- 配給
- 不明
映画『GINAGINA ぎなぎな』の作品概要
ナレーターや俳優として活躍している高川裕也の初監督&初脚本作品で、主演も務めている。その他、映画『ハウルの動く城』(04)の八十川真由野、映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)の永宝千晶、映画『元気屋の戯言』(13)で注目を集めた元気屋エイジ、テレビドラマ『家政夫のミタゾノ』を始め話題作に出演している田村義晃らが出演している。挿入曲とテーマ曲は、藤原愛の『寂しさが痺れのやうに稲光』と『愛とあんたと私』。
映画『GINAGINA ぎなぎな』の予告動画
映画『GINAGINA ぎなぎな』の登場人物(キャスト)
- 木村誠(高川裕也)
- 59歳。俳優。後輩の常岡が営む居酒屋で働いている。仲間の協力を得ながら、映画の制作に乗り出す。
- 渡邊雪乃(八十川真由野)
- 59歳。木村誠の中学生時代の同級生。マドンナ的存在だった。同窓会で誠と再会を果たす。
- 恵介(元気屋エイジ)
- 43歳。木村誠の俳優仲間。誠が制作する映画の主演を務めていたが、撮影中に怪我をしてしまう。
- 木村アサミ(永宝千晶)
- 31歳。木村誠の娘。離婚間近の夫との間に子供ができる。一人で子供を産み、育てることを決意する。
映画『GINAGINA ぎなぎな』のあらすじ(ネタバレなし)
コロナが広まり、日常が大きく変わったある日。59歳の木村誠は、一念発起して映画の制作に乗り出す。しかし、主演を務めていた恵介が、撮影中に大怪我を負ってしまう。診察の結果、全治3ヵ月だった。恵介のマネージャーである牧からは嫌味を言われ、遠回しに損害賠償金を請求される。当てにしていた補助金や助成金の申請は却下され、誠はこれからのことを考えて苦悩する。
誠は撮影を延期することにした。延期とは言っても、再開の目途は立っていない。一方、誠の娘であるアサミから電話が入った。離婚間近の夫との間に、子供ができたとのことだった。誠は驚き、娘の今後を案じた。
誠は様々なことに悩みながら、同窓会に顔を出す。そこで、マドンナ的存在だった渡邊雪乃と再会を果たす。
映画『GINAGINA ぎなぎな』の感想・評価
監督・主演・脚本・製作、高川裕也
本作の監督・主演・脚本・製作を務めたのは、俳優、ナレーター、演出家とマルチな才能を見せる高川裕也。テレビ東京系列で放送されている『日経スペシャル カンブリア宮殿』で、レギュラーナレーションを務めていることでも有名である。その他ナレーターとしては、情報・旅番組の『昼めし旅』、スポーツ・エンターテインメント番組『SASUKE』、ドキュメンタリー深夜番組『NNNドキュメント』などの番組に携わっている。
俳優としても精力的に活動しており、映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』(15)や映画『空飛ぶタイヤ』(18)などのヒット作に多数出演している。さらに、1995年に出演した舞台『パパのデモクラシー』では、「第50回 文化庁芸術祭・公演部門」の大賞を受賞している。
初老
言葉の意味を調べると、「初老」という言葉は40歳ぐらいの人を指す言葉とある。現在よりも寿命が短かったため、40歳ぐらいの異称として使われていたのだと考えられる。では現在では、「初老」は何歳ぐらいの人達を指す言葉なのか?正確なものではないが、だいたい50歳~60歳ぐらいを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
日本では「2030年問題」が注目を集めている。人口の1/3が65歳以上の高齢者になり、人口の減少が現在よりもさらに進行していく。そして、それらによって様々な社会問題が表面化し、労働力不足が深刻化することが予測されている。そのため、「初老」と呼ばれている世代を含めた高齢者は、大切な労働力として期待されている。
主人公は59歳の俳優、木村誠
本作の主人公である木村誠は59歳で、「初老」と呼ばれる世代の一人である。コロナが収束する気配がない中、俳優である彼は仲間達の助けを借りながら映画の制作に乗り出す。しかし、当てにしていた補助金が出ず、映画の主演を任せていた仲間の後輩が全治3ヵ月の怪我を負うという不運に見舞われる。さらに、娘の予期せぬ妊娠という事態に、頭を悩ませることになる。
特別派手なシーンや大きく盛り上がるシーンがあるわけではない。どちらかというと、日常が淡々と描かれた作品である。だからこそ、観客の心の琴線にそっと響く作品に仕上がっている。主人公と同じ世代の人達はもちろんのこと、高齢化社会を生きる若者世代にもぜひ見て欲しい作品である。
映画『GINAGINA ぎなぎな』の公開前に見ておきたい映画
ソロモンの偽証 前篇・事件
高川裕也が主要人物の一人である大出俊次の父親・大出勝役で出演している。宮部みゆき原作の小説を基に制作された作品で、「第40回報知映画賞 作品賞」を始め、様々な賞に輝いている。原作の小説は「2013年 このミステリーがすごい!国内編」で第2位にランクインした話題作。2016年に韓国でリメイクされた他、2021年には日本でテレビドラマ化もされている。
クリスマスの朝。中学生の藤野涼子は、雪に埋もれた同級生・柏木卓也の遺体を発見する。警察は自殺と判断するが、ある告発状が涼子の家に届く。そこには、卓也は自殺ではなく殺されたことが書かれていた。犯人として書かれていたのは、同級生の大出俊次らの名前。果たして告発状に書かれていることは真実なのか。全てを明らかにするため、涼子は事件の調査に乗り出す。
マリーゴールド・ホテルで会いましょう
シニア世代の7人がとあるホテルを訪れ、これからの人生に思いを馳せる姿が描かれている。デボラ・モガー原作の小説『These Foolish Things』を基に制作された作品。日本では2016年に続編となる『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』が公開されている。ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、ペネロープ・ウィルトンら、豪華なキャストが集結した。
イブリンは心臓発作で夫を失い、悲しみの中にいた。しかし、ある事情から家を手放さなければならず、インドに引っ越すことを決意する。豪華なホテルで暮らすことを予定していたが、向かった先にあったのは、廃墟同然のおんぼろホテルだった。そして、イブリンはそのホテルで、様々な事情を抱えた6人の男女と暮らすことになる。
キネマの神様
かつて映画監督を夢見ていた高齢男性の現在と、若かりし日々が描かれている。原田マハ原作の小説を基に制作された。松竹映画100周年記念作品。沢田研二×菅田将暉が主演を務めており、主人公・円山郷直の晩年と青年期をそれぞれ演じている。主題歌はRADWIMPS feat.菅田将暉の楽曲『うたかた歌』。
円山郷直(通称ゴウ)は、酒飲みでギャンブル好きのダメ親父だった。家族には迷惑ばかりかけており、見放されていた。若い頃のゴウは映画監督になることを夢見ており、やる気に満ち溢れ、仲間達とキラキラ輝く毎日を送っていた。ある日、チャンスが巡ってきて、ゴウは映画の監督を務めることになる。しかし、怪我を負ってしまい、撮影は中止に。ゴウに思いを寄せていた淑子は、落ち込む彼の傍にいる覚悟を決める。
詳細 キネマの神様
映画『GINAGINA ぎなぎな』の評判・口コミ・レビュー
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映画『GINAGINA ぎなぎな』のまとめ
「初老」と呼ばれる世代の一人である木村誠を主人公にした物語。閉塞感が漂うコロナ禍。映画を制作しようと一念発起した誠の身に、様々な問題がふりかかる。一体彼はどのような決断を下すのか。誠の娘や友人、仲間や後輩など様々な人物が登場することで、現実の世界に誠が生きているかのような、リアリティさがある物語になっている。誠の視点だけではなく、それぞれの視点に立って思いを巡らせながら作品を堪能して欲しい。
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