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映画『愛情物語(1956)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『愛情物語(1956)』の概要:1930~40年代にかけて活躍したアメリカの天才ピアニスト、エディ・デューチンの半生を描いた作品。正式な音楽教育を受けていないにも関わらず、幸運にも恵まれ、スターの座を獲得したエディ。しかし、その絶頂のさなか、予期せぬ悲劇が彼を待ち受けていた。

映画『愛情物語』の作品情報

愛情物語

製作年:1956年
上映時間:123分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、伝記
監督:ジョージ・シドニー
キャスト:タイロン・パワー、キム・ノヴァク、ヴィクトリア・ショウ、ジェームズ・ホイットモア etc

映画『愛情物語』の登場人物(キャスト)

エディ・デューチン(タイロン・パワー)
アメリカで一世を風靡した天才ピアニスト。もともと大学で薬学を学び、両親からは地元ボストンでドラッグストアを経営するよう勧められていたが、ピアニストとしての成功を夢見てニューヨークにやって来る。幸運もあって、徐々に成功を収め、その夢を現実のものにするが、思いもかけぬ悲劇に見舞われる。
マージョリー(キム・ノヴァク)
資産家の姪。セントラル・パーク・カジノでエディのピアノを聞き、その才能を買って彼が世に出るきっかけを作る。その後、エディと結婚し、彼との間に息子のピーターを儲けるが、出産後のクリスマスの日に病院で亡くなる。
チキータ(ヴィクトリア・ショウ)
マージョリーの死後、エディがピーターを叔父夫婦に預けたままニューヨークを離れている間に、ピーターの教育係として雇われた英国人女性。両親は戦争で死亡。ピーターはすっかり彼女になついており、それを快く思わないエディとしばしば対立する。しかし、実はエディのことを尊敬しており、悲劇に見舞われたエディの再婚相手となる。
ルー(ジェームズ・ホイットモア)
エディのマネージャーであり、家族ぐるみの付き合いをしている友人。マージョリーの死後、ピーターに会おうとしないエディを説得して、息子と再会させる。
ピーター(レックス・トンプスン)
エディとマージョリーの息子。生まれてすぐにマージョリーの叔父夫婦に預けられ、エディの顔を知らずに育つ。何年間も自分に会おうとしなかったエディに最初はそっけない態度をとるが、徐々に打ち解けて親子の仲を取り戻していく。エディの才能を受け継ぎ、幼いながらピアノの演奏に天才の片鱗を覗かせる。

映画『愛情物語』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『愛情物語(1956)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『愛情物語』のあらすじ【起】

ピアニストとしての成功を夢見てニューヨークにやってきたエディ・デューチンは、有名なセントラル・パーク・カジノで楽団を率いて演奏を行うライスマンを訪ねる。

ボストンの貧しい家庭に生まれたエディ・デューチンは、両親の苦労によって大学まで出してもらい、薬剤師の資格を取得した。両親はエディに地元のドラックストアで働くよう勧めるが、ピアニストして成功する夢を捨てきれないエディは、両親を説得し、夢をかなえるべくニューヨークにやってきたのだった。

ライスマンを訪ねたのは、ライスマンがバークシャの避暑地で雨宿りをしているときに、たまたまそこで演奏していたエディのピアノを聞いたのがきっかけだった。ライスマンはその時、エディの個性的な奏法を称賛し、ニューヨークに来た時には遊びに来いとエディに声をかける。しかしエディは、それを楽団への誘いだと勘違いし、意気揚々とライスマンを訪ねて来たのだった。

エディに会ったライスマンは、「君の才能は褒めたが、楽団に入れるつもりはない」と、エディを冷たく突き放す。あっさりと夢を打ち砕かれて失意のデューチンは、帰り際にカジノにあったグランド・ピアノを見つけ、静かにショパンの「夜想曲(ノクターン)」を弾き始める。

そのとき、エディの演奏を聞いていたのが、銀行家の姪、マージョリーだった。彼女はエディの演奏に才能を感じ取り、ライスマンに、エディにも演奏をさせるよう依頼する。上顧客の令嬢の頼みを聞き入れないわけにはいかず、ライスマンは彼女の申し出をあっさり引き受ける。

こうして、オーケストラの演奏の合間ではあったが、エディはカジノで初めての演奏をすることになった。ところが、メインの演奏で踊っていたゲストたちは、演奏の合間にそれぞれのテーブルに戻り、エディの演奏には誰も耳を貸さない。

そこでマージョリーが、「もう一度踊りませんか」とゲストを誘い、会場にいた他のゲストたちもエディの演奏で踊り出した。こうしたマージョリーの助けもあって、エディの演奏はカジノの中でも評判になっていき、エディはオーケストラの演奏に参加するようになった。そしていつしか、エディはソロでも演奏するようになり、そのエディの演奏を聞くためにカジノを訪れるファンも増えていった。

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映画『愛情物語』のあらすじ【承】

ある日、エディはマージョリーの叔父夫婦からパーティーに呼ばれる。叔父夫婦は、そのパーティー会場でエディにピアノの演奏をしてほしかったのだが、エディは有名になった自分が、ついに社交界にも招かれるようになったかと勘違いする。

中古ながらマイカーを用意して意気揚々とパーティーに向かうエディ。しかし、パーティー会場で、実は自分が招待客ではなく、演奏を頼まれただけだと知り、失望する。仕方なく会場にあったピアノを弾き始めるエディ。マージョリーはエディの気持ちを悟り、演奏するエディの隣に座ってエディを励ます。

エディとマージョリーの関係は、このようにして徐々に親密になっていった。度々セントラルパークに出かけてはデートを重ねる2人。そして、エディはカジノでの演奏会に両親を招き、両親の前でマージョリーにプロポーズをする。マージョリーもそれを受け入れ、2人は結婚することになった。

華やかな披露宴の後、セントラルパークを見下ろす摩天楼の新居に戻った2人は、永遠の愛を誓い合う。エディは、自分には幸運の天使がついているとマージョリーに告げる。

突然、突風が吹いてベランダの調度品が風に煽られる。マージョリーはその風のせいで急にうずくまり、震え始める。心配したエディが訳を尋ねると、マージョリーは、風がエディを遠くに連れ去る夢を見てから、風が恐ろしくて仕方ないのだという。そんなことはないとマージョリーを抱きしめて安心させようとするエディ。しかし、マージョリーの不安は、やがて現実のものとなる。

数カ月後、エディの子供を身ごもったマージョリーは、エディからカジノ・セントラル・パークに呼び出される。そこには、エディと、新たにエディのために編成された楽団が彼女を待っていた。楽団の初めての演奏で踊る2人。踊りながら、身重でなければもっとエディに近づけるのに、と冗談を言うマージョリー。2人は幸せの絶頂にいた。

やがてマージョリーは男の子を出産する。クリスマスの夜、エディはその知らせを演奏会の最中に聞く。エディは「デューチン家に1人息子が生まれました」と聴衆に紹介すると、妻と息子のために「ノクターン」を演奏する。演奏はラジオで放送され、病室のマージョリーにも届いた。

演奏会が終わり、急いで病院に向かうエディ。プレゼントを手に、喜び勇んで病室に向かうエディを、医師が呼び止める。そして、マージョリーの容態が悪化し、危篤状態にあることを告げる。

愕然とするエディ。しかし、わざと明るい笑顔で病室に入り、マージョリーを見舞う。マージョリーは、少し疲れた、早く家に帰りたいとエディに告げる。そして、これからはクリスマスツリーに靴下を3つ飾らなければいけないと、明るく将来のことを語る。

涙をこらえながら笑顔でマージョリーの話を聞くエディ。そして、自分に手を差し伸べてくれ、支え続けてきてくれたことへのお礼を告げた。「これからも支え続ける」と誓うマージョリー。

そのとき突然、マージョリーの耳に風の音が聞こえ、彼女は恐怖でベッドから身を起こした。エディはそんなマージョリーを抱きしめ、心配ないと諭す。安心したマージョリーは安らかな表情で再びベッドに横になる。彼女の手から床に、金の鍵が滑り落ちる。エディが結婚式の夜にプレゼントしたものだ。そして、マージョリーは永遠の眠りについた。

エディは1人、演奏会の会場に戻る。そこには華やかな宴の後の静寂が漂っていた。エディは、何かに憑かれたように「メリー・クリスマス」と呟き続ける。そして最後に、「メリー・クリスマス」と叫ぶと、ピアノにもたれかかり眠ってしまう。

映画『愛情物語』のあらすじ【転】

マージョリーが亡くなった後の、エディの落胆ぶりはすさまじかった。そして、考えたくはなかったが、どうしてもピーターを生んだせいでマージョリーが死んだのだと考えてしまい、ピーターに全く会おうとしなかった。そして彼は、叔父夫婦にピーターを預けると、バンドを率いて演奏旅行に出かけてしまう。

マネージャーのルーは、その間に何度もエディを訪ねては、ピーターに会うよう彼を説得した。そして、5年の月日がたった後、エディの宿泊するホテルを訪ねたルーは、いい加減にマージョリーが死んだ現実を受け止め、ピーターに会うよう説得する。

おりしも第二次世界大戦の気配が近づいていた。戦争が始まれば息子に会う機会がなくなるというルーの説得で、エディは叔父の家を訪ね、ピーターに会う。親子とはいえ、初めて会うエディに、ピーターは心を開かなかった。2人で公園を散歩するが、話が全く弾まない。

散歩から帰り、ピーターは叔父夫婦にハグをする。エディも別れ際に彼を抱きしめようとするが、ピーターは右手を差し出すだけだった。握手して別れるエディ。ピーターは「楽しかったです」と他人行儀な挨拶をする。5年の歳月が親子の間に大きな壁を生んでいたことに、エディは愕然とするのだった。

第二次世界大戦が始まり、エディは何を思ったか海軍に入隊する。そして、戦地の慰問に回れという誘いを断り、駆逐艦に乗り込んで、あえて前線へ出る。なぜわざわざ前線に出て戦うのかという上官の問いに対し、エディは、戦争は地獄だが、今の自分にとっては「救い」なのだと説明する。

艦がフィリピンに寄港した際、上陸して戦火の跡を歩いていたエディは、廃屋の中で焼け焦げた1台のピアノを見つける。鍵盤を叩くと、まだ音が出る。そこでピアノを弾き始めると、現地の少年が覗いていた。エディは少年にガムを与えると、隣に座らせ、両手の人差し指で鍵盤を交互に叩かせ、単純なリズムを刻ませた。エディはそのリズムに合わせてメロディを奏でる。

少年がリズムを刻む速度は一定しないが、エディはその不規則なリズムに合わせて見事にメロディを奏でる。いつの間にか、廃屋の周りには兵士と地元の住民が集まっており、2人の演奏に聞き惚れていた。そして演奏が終わると、拍手喝采し、エディはその少年と抱き合う。

エディは少年にピーターの面影を見出していた。そして、帰国したらもう一度ピーターに会ってすべてを話そうと、洋上でピーターに手紙を書く。その時、終戦を告げる艦内放送が流れ、兵士たちは歓声を上げる。

帰国したエディは、ピーターと再会するために、叔父夫婦の家を訪れる。ピーターはちょうどチキータと出かけていた。エディは、ピーターにチキータという友達ができたということを聞いていたので、戦地からピーターには日本刀を、チキータには日本人形をプレゼントとして贈っていた。

エディは叔父から、チキータの両親が英国人で、戦争で亡くなったと聞き、顔色を曇らせる。そこへピーターとチキータが帰ってくる。チキータはエディの予想に反し、成人した女性だった。そして、ピーターはチキータを母親のように慕っていた。一方でエディに対しては警戒感を露わにしていた。

チキータは、エディに聞かせるようにと、ピーターにピアノを弾かせる。ピーターは見事に「ノクターン」を演奏する。ピアノはチキータから習ったという。しかし、演奏の途中でピーターは、「頭痛がする」と言って逃げるように2階に上がってしまう。呆然とするエディに、チキータは、ピーターがエディとの再会を受け止めきれずにいるのだと説明する。

エディはニューヨークでピーターと一緒に暮らそうと決意する。しかし、10年も離れて暮らしていた親子の仲はうまくいかない。代わりにチキータとは楽しそうに遊ぶピーター。面白くないエディは、庭でチキータとキャッチボールをしているピーターを部屋の中に呼び寄せる。

チキータはエディに、「あなたは私に息子を奪われると思っているようですが、それは誤解です」という。そして、自分たちの関係が不仲だと、ピーターとの関係にも影響すると諭す。さらにチキータは、ピーターのことに対しては異常なほどの嫉妬深さを見せるエディを「想像していた人物とは違う」と評する。

そこでエディは、今までのことをピーターに謝りたいと打ち明ける。そのために、今までのピーターのことを話してほしいとチキータに懇願する。チキータは、「厳しいことも言いますよ」と前置きをして、ピーターのことを話し始める。

映画『愛情物語』の結末・ラスト(ネタバレ)

エディは楽団のリハーサルにピーターとその友達、そして、チキータを呼んでいた。リハーサルの休憩時間に、ピーターはエディが使っていたピアノを弾き始め、友達もドラムや管楽器で演奏する。

ピーターたちの演奏を邪魔しないように、エディはこっそり楽団のメンバーに指示して、合奏させる。ピーターは楽団のアドリブにも即興で合わせるなど、父親譲りの天才の片鱗をうかがわせる演奏を見せる。ピーターとその友達を加えた楽団の演奏は実に見事なものとなり、団員たちは拍手喝采で盛り上がる。そして、エディとピーターの距離も少しずつ近づいていく。

ピーターは母親譲りで、風の音が苦手だった。ある風の強い夜、ピーターは風が怖くてエディの部屋に行き、ベッドに潜り込む。そこでピーターはエディに「大好きだよ」と言って心の内を打ち明ける。その日から親子の間の壁は取り払われた。

エディは楽団の演奏会にピーターとチキータ、そして、叔母夫婦と両親を招いた。ニューヨークの名士たちが集まり、エディの復帰を心から祝福する。その祝福に応えるように、いつにも増して熱のこもった演奏を続けるエディ。

しかし突然、エディは左の指に痛みを覚え、演奏を楽団のメンバーに代わってもらう。心配するマネージャーのルーに、心配ないことを告げるが、ルーは40代になったルーに、病院に検診に行くよう勧める。

ピーター、ルーと一緒に病院へ行き、家に戻ってきたエディを、チキータが迎える。食事の支度をするために台所へ行くチキータを見て、ルーは「君にお似合いだ」という。しかしエディは、「今更遅いよ」と寂しく呟く。ルーは、ピーターには検診の結果は問題なかったと言っていたが、ルーに対しては「人生は残酷だな」とポツリと告げる。

チキータは、エディとピーターがすっかり打ち解けるようになったことで、自分の役目は終わったので、英国に帰るとエディに告げる。エディは、自分とピーターにとってチキータがかけがえのない存在であることを告げ、チキータにプロポーズしようとする。しかし、その言葉を飲み込んで、エディは突然出て行ってしまう。

エディの様子がおかしいことに気づいたチキータは、エディの後を追う。川のほとり、追ってきたチキータに、エディは自分が病に侵され、長くてあと1年しか生きられないことを告げる。だからチキータのことを愛しているが、一緒にはなれないと。

チキータは、それでもエディの妻になりたいと打ち明ける。エディは、「同情はいらない」と断るが、チキータはずっと以前からエディのことを愛していたという。そして2人は、過酷な運命に逆らい、ピーターと3人で暮らす決意をする。

チキータはエディに、病気のことをピーターに話すよう勧める。最初はためらっていたエディだが、ついに決心してピーターを懐かしいセントラルパークに連れ出し、自分が病に侵されていること、もう長くは一緒に暮らせないということを告げる。しっかり者のピーターは、現実を受け止め、泣きながら「チーターは僕が守る」と誓うのだった。

家に帰り、出迎えるチキータに頷くエディ。久しぶりにピーターを誘い、2人で「ノクターン」を弾く。自分はリズムを取り、主旋律をピーターに任せる。演奏がクライマックスに近づいたとき、エディの両手は動かなくなった…。

映画『愛情物語』の感想・評価・レビュー

ピアノが弾ける人ってかっこよくて、人気者で憧れで。そんなイメージがあった私も、ピアノを弾けるようになりたくて子供の頃に習いました。この作品はとにかくピアノの音色がいい。それだけでも観る価値があります。
甘く、美しい演奏で全米を風靡したエディ・デューチンの伝記映画であるこの作品ですが、ロマンスありドラマ要素もあり、とても楽しめる作品でした。
ラストの雰囲気のある演出は鳥肌モノです。最後までしっかり観て欲しい作品でした。(女性 30代)


ながら見しようとして再生したものの、冒頭の音楽で一気に心を掴まれ、そのまま最後まで鑑賞してしまいました。主人公の二転三転する人生がドラマとしては綺麗に仕上がりすぎていて、共感できるとは言えませんが、ハリウッドらしい美しいシーンもあり、名曲ありで、観て聴いているだけで十分満足できます。主人公のピアノ伴奏のシーンは、カメラの撮り方で弾いていないのが分かりますが、かなり自然に弾いているように観えます。相当練習したのでしょうね。(男性 20代)

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