映画『ブロンコ・ビリー』の概要:「ブロンコ・ビリー」(原題:BRONCO BILLY)は、1980年のアメリカ映画。監督・主演は「ダーティハリー」シリーズ、「アルカトラズからの脱出」などのクリント・イーストウッド。「ガントレット」、「ダーティファイター 」などでクリント・イーストウッドと共演したソンドラ・ロックなど。
映画『ブロンコ・ビリー』 作品情報
- 製作年:1980年
- 上映時間:116分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
- 監督:クリント・イーストウッド
- キャスト:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジェフリー・ルイス、スキャットマン・クローザース etc
映画『ブロンコ・ビリー』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ブロンコ・ビリー』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ブロンコ・ビリー』のあらすじを紹介します。
ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)は、アメリカ西部の荒っぽい活劇“ワイルド・ウエスト・ショー”のリーダーだ。花形スターの彼の他には、司会役のドク、インディアン混血の美女ロレーン、彼女の夫でダンスや曲芸をこなすビック・イーグル、投げ縄の名人レオナード、左きき2丁拳銃のレフティ、それに愛馬バスターなどが主なメンバーである。彼らはアメリカの中南部をドサ廻りをしていたが経済的には常に困窮していた。一座は車で移動しカンサス州のジャンクション・シティに入ると、興業の許可をもらうためビリーは市役所に出向いた。窓口でジョン・アーリントン(ジェフリー・ルイス)とリリー(ソンドラ・ロック)のカップルが結婚許可書をもらいに来ていたが、遺産相続のためにやむなくジョンと結婚するリリーは強欲な母親アイリーンを恨みながらも、ニューヨークからカンサスに挙式の為に来ていた。結婚式を済ませモーテルで初夜を迎えることになったリリーは、どうしてもジョンとベッドを共にするのを拒み、怒ったジョンはリリーの持ちもの全てを奪い町から姿を消してしまった。翌朝目覚めて驚いたリリーはニューヨークの母に連絡するため隣りのガソリンスタンドに入るが1セントの持ち合わせもない。そこに出くわしたのがビリーであり、彼に10セントを借りることにしたリリーは、その金を返すためにビリーの一座に加わり危険なナイフ投げの的の役などを引き受けるはめになる。
一方ニューヨークでは、行方不明になったリリーにアイリーンは大慌てで、殺されたかも知れないと思った彼女は弁護士に相談し、ジョンは警官に捕まりニューヨークヘ護送される。弁護士はジョンを訪れ、リリーを殺したことにすればアイリーンに入る遺産のうち、50万ドルは分け前としてジョンに与えるという話を持ち掛け、弁護士の甘言に乗ったジョンはその計画に賛同する。リリーは生れも育ちも違うビリーと何かにつけて衝突するが、時が経つうちに彼の優しさや、子供たちから英雄視される姿に少しずつ惹かれ始めていた。ある夜、リリーは地元のカウボーイたちに暴行されそうになるが、そこへ現われたビリーやレオナードに助けられるが、レオナードが保安官に捕まり、釈放のためにビリーは貯金を悪徳保安官に差し出す。そして追い打ちを掛けるような突然の火事で残りの貯金や道具を失ったビリーは、自暴自棄になり列車強盗を計画する。
映画『ブロンコ・ビリー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ブロンコ・ビリー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
イーストウッド監督らしさが際立つ設定
イーストウッド監督7作目にして、「ダーティファイター 燃えよ鉄拳」に続くロードムービー的な作品である。本作は家族のいない人間たちが集まり、擬似的な家族のつながりみたいなものを表現しているのだろうか。へたをすれば社会的役割から逸脱した人間の集まりみたいな集団の中で、長を務めるという役柄にピッタリのシチュエーションである気がする。「ダーティファイター」二作はアウトロー的な主人公の人生を描いたところで痛快だったが、本作は痛快ながらも集団のリーダーとしての責任感につきまとわれ、それに苦悩しながらもどうにか仲間たちを養ってゆかなければと言うお父さん的な姿が印象的である。イーストウッドがプライベートでソンドラ・ロックとつき合い初め、そういった事が頭の中を占有していたのだろうか。社会派作品を作っても男気を忘れない、後出の作品に通ずる部分が出始めた感じが見受けられる。しかしながらサーカスもどきのウエスタンショーなどというワイルドな旅芸人という設定は、いかにもイーストウッドらしさが出ており、こういったひらめきは彼ならではのものだろう。そして一旦シナリオを定着させると、そこからの表現というのは実に味がある演出を見せている。旅とかスポーツとか音楽とかの映画に関しては、ここまで嵌る監督も珍しいだろう。
特殊な職業の特殊な人たちの人生
西部劇へのオマージュなのかどうかは解らないが、ウェスタン・ショーのドサ廻りというような誰も思いつかない発想が何ともユニークである。西部劇で有名になった俳優ではあるが、西部劇とは無関係の1980年代の設定であり、殆どサーカスというところが不思議と懐かしい感じすら漂わせている。「チャップリンのサーカス」や、「フェリーニの道化師」なども、サーカスの舞台裏で生きている人間のリアルな部分を描いたものだが、ニュアンス的にはそういった作品にどこか共通しているところもありながらも、あまり深く感じるものはなく、アメリカ的なドタバタ喜劇や厄介な女性問題を絡めた、一風変わったドラマ仕立てに好感が持てる。経済的に追い詰められてヤケクソで決行する列車強盗のシーンは結構笑える。
映画『ブロンコ・ビリー』 まとめ
ソンドラ・ロックが自分勝手な女性を演じており、疫病神と言われるようになるまでの悪女振りの描写に少々苛つくところはある。実生活でのイーストウッドの交際があったので観る方はちょっと老婆心を煽られるかもしれない。映画の展開的にはソンドラ・ロック抜きだった方がもっと面白いものになったのではないかと思う。この女優さんはコメディ向きではない。表情が冷淡で怒った顔しか浮かんでこないのである。例え笑顔でも目は笑っていないというかそんな感じで、あまり好きになれないタイプかなぁ。男臭い出演者の中にありながら”華”としての存在感は全くない。不満な点はそこに集中するが、それが最初からストーリーの中心にいる感じなのでちょっと減点します。
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