食欲、それは人間の三大欲求に数えられるほどに人間が生きてく上で欠かせない行為である。そんな食をより良いものとするために、日々己と向き合う料理人の姿を描いたドキュメンタリー作品。
映画『世界が愛した料理人』の作品情報
- タイトル
- 世界が愛した料理人
- 原題
- Soul
- 製作年
- 2016年
- 日本公開日
- 2018年9月22日(土)
- 上映時間
- 75分
- ジャンル
- ドキュメンタリー
- 監督
- アンヘル・パラ
ホセ・アントニオ・ブランコ - 脚本
- 不明
- 製作
- ペドロ・ペイラ
ハビエル・プルアニョ - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- エネコ・アチャ
マルティン・ベラサテギ
カルメ・ルスカイェーダ
ジョエル・ロブション
石田廣義
石田登美子
山本征治
小野二郎 - 製作国
- スペイン
- 配給
- アンプラグド
映画『世界が愛した料理人』の作品概要
料理、それは答えのない広大な世界。そんな果てなき料理の世界で、少しでも自らの作品を昇華しようと日々もがく料理人達がいる。今作は、そんな料理人が様々な食、人、世界との出会いを通じて自らの見聞を広め、料理と改めて向き合って行くドキュメンタリー。自分達が普段口にしている美味しい料理が、どんな想いを経て作り出されたものなのか、料理人への感謝と食材への感謝を改めて感じさせられる。さらに食事が好きになる一本。
映画『世界が愛した料理人』の予告動画
映画『世界が愛した料理人』の登場人物(キャスト)
- エネコ・アチャ
- スペインで、当時史上最年少でミシュランの三つ星を獲得した天才的シェフ。自らの料理をより高めるため、料理の旅に出る。
- 石田廣義
- 世界にその名を轟かせる日本料理屋「壬生」のオーナー。エネコが旅の途中で訪れる店の一つ。
- 山本征治
- 六本木に「龍吟」という日本料理屋を構える料理人。ミシュランガイドで6年連続で三つ星を獲得する実力を持つ。
- 小野二郎
- ミシュランガイドで史上最高齢の三つ星シェフ。銀座に「すきやばし次郎」という寿司店を構える。
映画『世界が愛した料理人』のあらすじ(ネタバレなし)
世界各国で取り入れられている、その料理店のレベルを表す基準となっているのがミシュランガイドである。素材の質や独創性、調理技術の高さなどありとあらゆる側面から評価されるこの厳しいミシュランガイドで、最高評価の三つ星を与えられた料理人がスペインにいた。スペイン史上最年少で三つ星を得た天才料理人エネコ・アチャだったが、まだ自らの料理に対して満足はしていなかった。彼は至高の料理を追い求めスペインを飛び出し、なんと我らが日本へとやってくる。そこで彼は、奥の深い和食の世界、そんな和食を調理する様々な料理人と出会いと触れ合い、新しい食の境地を見出していく。料理人の熱い情熱と、食事への深い愛情に心打たれる一作。
映画『世界が愛した料理人』の感想・評価
日本人でよかった!日本が益々好きになる
和食、それは日本が世界に誇る宝である。旬の食べ物を取り入れ四季折々の季節感を大切にしている和食は、その味は勿論のこと、目でも楽しめる完成度の高い品に仕上がっている。そんな和食は、なんと2013年に無形文化遺産に登録されるという快挙を成し遂げている。しかし、私達は日本人でありながら、ついついそんな日本食の魅力を忘れてしまいがちである。今作の主人公はスペインの天才シェフであるが、自らを高めるために数々の料理店を巡る中で、彼は多数の日本食の名店にも訪れている。ミシュラン三つ星という実力を持つシェフでも、一流の日本食から学ぶことは多いのである。見終わったあと、日本人に生まれたこと、そして、日常的に日本食を口にできることに感謝することになるだろう。
思わずお腹が減る!美しい料理の数々
三ツ星レストラン、それは一般の人であれば中々気軽には行くことのできない少々格式の高い場所。記念日や頑張った自分へのご褒美など、特別な機会にしか口にする機会もあまりないことだろう。そんな中、今作ではそんな三ツ星料理の数々が多く登場する。三ツ星を獲得するためには、味だけでなくその見た目の美しさも重要となる。一見、実際の味が伝わらないことから視聴者をひき込むことが難しいと思われる料理映画であるが、そのあまりに洗練された見栄えのする品々は、実際には食べていないにも関わらず、口の中に美味しさが広がってくる。主人公はスペインの料理人であるが、そんな主人公が自国を飛び出し世界の料理を追い求めることで話が進んでいく今作。世界中の料理を楽しめるチャンス。
人はどこまでいけるのか、圧倒的な情熱
自尊心や周囲の環境など、人を突き動かすものは多々あるだろうが、一番根本にあるのはやはり尽きることのない「好奇心」ではないだろうか。食の世界の極致とも呼ぶべきミシュランガイドで最上級評価である三ツ星を獲得した主人公。普通であれば、そこで満足してもおかしくはない状況だが、彼はそこで立ち止まることなく、なんと世界に飛び出すのである。こうして、今作のドキュメンタリーが作られた。どうすれば自らの料理をより良くできるか、世界にはどのような料理や技術があるのか、こういった純粋な好奇心が、彼をより高みへと押し上げたのである。その、あと一歩の好奇心を、一般人は中々持てないものである。天才と称される料理人の背景には、純粋な好奇心からくる絶え間ない努力があった。自分の物事への向き合い方を考え直させられる一作。
映画『世界が愛した料理人』の公開前に見ておきたい映画
シェフ 三ツ星フードトラック始めました
『世界が愛した料理人』同様、三ツ星レストランという食の世界における第一線で働く料理人を主人公に描いた映画。しかし、こちらは『世界が愛した料理人』とは異なり、主人公が店で大トラブルを起こし、オーナーと決別し勤務していたレストランを辞めるという大波乱から幕を開ける。つい先日までは三ツ星レストランのシェフとして活躍していた人物が、どこにも雇ってもらえずに無職に陥るという苦境に立たされる。しかし、そんな彼を救ったのもまた料理だった。これまで格式高い料理を多く作ってきた彼が出会ったのは、なんとサンドウィッチ。仲間や家族と共に、バンに乗りサンドウィッチを売る旅に出かけた主人公。そんな彼の店は、たちまち話題となっていくのだった。
ノーマ、世界を変える料理
「noma」、それはデンマークのコペンハーゲンにあるレストランの名前である。2003年にひっそりとオープンしたノーマのシェフを務めることとなったのは、当時まだ25歳という若くしてその才能を開花させた天才シェフ、クラウス・マイヤーだった。マイヤーは、世界では知名度が低く、あまり認知されていない祖国の料理のイメージを変えようと、日々料理に向き合い続けた。そして、あくまでの自国の食材にこだわり続けたマイヤーの努力は、最高の形で認められる。なんと、あのミシュランをも超える「世界のベストレストラン50」で、堂々の一位を獲得したのである。しかし、その先もマイヤーとノーマには厳しい現実が待ち受ける。『世界が愛した料理人』同様、頂点に輝いた料理人が、尚も料理と向き合うドキュメンタリー作品。
詳細 ノーマ、世界を変える料理
大統領の料理人
とある南極地域。物資も限られ、身を切るような寒さが毎日襲うその場所で、一人の女性がシェフとして勤務していた。彼女の名前はオルタンス・ラボリ。男性に混じり厳しい環境に身を置く彼女には、とある過去があった。4年前、叔父と共に農場を営む平和な日々を送っていたラボリだったが、そんな彼女の元に一人の男性がやってくる。そして、男に連れられるままラボリが辿り着いたのは、なんとエリザ宮だった。実は、ラボリは大統領の料理人として選抜されたのである。その仕事を受けることとなったラボリ。しかし、彼女に待ち受けているのは厳しい現実だった。シェフは仕事仲間との連携、そして、客との関係性の構築が必要不可欠。様々な壁に阻まれながらも、それでも自分の料理を突き詰めようとした一人の女性の奮闘を描いた物語。
詳細 大統領の料理人
映画『世界が愛した料理人』の評判・口コミ・レビュー
『世界が愛した料理人』解説(スペインの料理人の探求が日本で究極に辿り着く)と内容が違うんだが。三ッ星レストランのシェフ達5-6人、内半分日本、が語る料理論という感じ。料理自体がさほど映らず画面が美味しそうではないのと日本は寿司の次郎以外話が面白くないので残念。 #映画
— サリー (@garancear) 2018年9月22日
世界が愛した料理人…世界とタイトルはついているけど、実際はスペインの2人のシェフと日本の高級有名店の料理人数名。日本を持ち上げてくれるので、日本人が作ったのかと思ったら違った。個人的には名前は知っていても料理をみたことのない壬生が見れたのが良かった。
— R.Miura (@Ruriko_Miura) 2018年9月22日
映画『世界が愛した料理人』のまとめ
人間にとって欠かせない行為、食事。今作を通して、世界中の料理人が料理に対して向ける並々ならぬ熱意や苦労、努力を目の当たりにすることができる。そんな食事を、忙しい時など「とりあえず腹が満たされればいいや」と投げやりになってしまっていたことがあることを反省させられる。食事に対する感謝と楽しさを改めて思い出させてくれる一本。また、洋食など海外の料理も生活の一部となっている今、和食の素晴らしさも改めて感じることができる。この映画を見終わった後は、是非普段頑張っている自分へのご褒美として美味しい食事を楽しんで欲しい。
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