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映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

愛する妻のために、インドで“生理用品”の開発・製造・普及に人生を掛けた男の物語。これは、実話を元にした感動の救済秘話。ボリウッドの実力者俳優たちが、この涙の奮闘記に全力を注ぎ、監督は『Cheeni Kum』などを手掛けた期待の新人監督・R・バールキ氏。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の作品情報

パッドマン 5億人の女性を救った男

タイトル
パッドマン5億人の女性を救った男
原題
Padman
製作年
2018年
日本公開日
2018年12月7日(金)
上映時間
137分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
R・バールキ
脚本
R・バールキ
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
アクシャイ・クマール
ソーナム・カプール
ラーディカー・アープテー
アミターブ・バッチャン
製作国
インド
配給
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の作品概要

現代のインドで、未だ蔓延る悪い習慣。それは、女性には必需品である生理用品の適正価格での供給と男女の相互理解。その事実を知った1人の男は、愛する妻のために自ら立ち上がる。男の名はラクシュミ。数々の困難を乗り越え、妻だけでなくインド中の女性を救うきっかけとなった男である。この感動の物語に、インドで素朴で誠実な男性を演じさせたら右に出る者はいないと言われている人気俳優、インドのジョージ・クルーニーことアクシャイ・クマールが熱演する。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の予告動画

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の登場人物(キャスト)

ラクシュミ(アクシャイ・クマール)
インドの小さな村に住む、結婚したばかりの新婚。妻が高値のナプキンを買えずに不衛生な布で生理を処理していることを知り、ショックを受ける。
ガヤトリ(ラーディカー・アープテー)
ラクシュミの妻で、インドで一般的に良く見られる「夫に従う妻」で、自身の置かれている立場や境遇に、何の疑念も抱かない。
パリー(ソーナム・カプール)
インドでは珍しく、女性だが博識で勉強熱心であり、大学まで出ている。行動派な性格で、先進的な考え方も持っている。ラクシュミの試みを応援している。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のあらすじ(ネタバレなし)

インドのとある小さな村に、ラクシュミとガヤトリの2人は晴れて夫婦となり、貧しいながらも幸せな毎日を過ごしていた。ラクシュミの漕ぐ自転車の後ろにガヤトリを乗せ、2人は歌を歌い笑いながら目配せし、愛を確かめ合う。

そんなある日、ラクシュミは妻のガヤトリが川で洗っている布が実はナプキンが割りの物だと知る。そして、インドでは女性にとって必需品であるナプキンの値段が、とても交換であることも知ってしまう。

毎月処理しなければならない生理の悩みや辛さを知らなかったラクシュミは、妻のために一大決心をする。それは、快適で安価で安心して使えるナプキンを作ること。そして、ラクシュミの妻を救うための戦いが始まる。

だが、もともとインドでは夫婦であっても男性が生理のことを口にしたり、話題にしたりすることが非常識であった。清潔なナプキンを作るために、女性がどんなことに困っていてどんなものを欲しがっているのか研究するラクシュミの姿は、やがて人々から疎まれることに。そんなとき、ラクシュミの熱意に賛同してくれる女性パリーが、彼の元を訪れる。そして、ラクシュミの念願叶い、努力が花を咲かせることとなるのだった。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?
映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の感想・評価

マックのドリンクの11倍高いナプキン

舞台は、2001年頃のインド。この頃のインドでは、新しい時代を取り込もうと躍起になっている時代で、前時代的な考え方を払拭し、先進国を目指すインドの目覚ましい進化が印象的な時代であった。

だが、この頃のインドのナプキン事情と言えば、まだ女性の立場が弱いこともあり、ナプキンが55ルピーで売られている時代でもあった。それは、コーヒー1杯5ルピーで売られている時代に対して、とても横暴で暴利なものである。分かりやすく現代日本に当て嵌めてみると、全国チェーンのハンバーガーショップ・マクドナルドのコーヒーが1杯100円であるとすると、ナプキンは1,100円もするのだ。

ドラッグストアで売っているナプキンは、少なくても10枚以上入って200円から300円程度。なので、1枚に置き換えると20円から30円程度で買えることになる。それが、1,100円もするのだから女性がナプキンを使うことに尻込みするのは、当然の心理である。

それも、毎日少なくても5枚から多いと10枚近く使う消耗品である。パッドマンの活躍がなければ、今も不衛生な布で生理を処理していたと思うと、女性からしたらゾッとする話である。

ナプキンを開発・製造・普及しただけでなく、女性の自立支援までこぎつけた男

インド女性を救った英雄「パッドマン」には、実在したモデルがいる。その名はアルナーチャラム・ムルガナンダムさん。彼は「パッドマン」としてその名が知られている実業家である。

早くに父親を亡くしていたムルガナンダムさんは、学校に通っていたが家庭を支えるために14歳で仕事に従事し、貧しい中で生活をする。その後、奥さんに巡り合い結婚するに至るが、妻が生活に必要としているナプキンは、材料費の40倍もの値段で売られていることを知り、愕然とする。

そして、映画にあるようにムルガナンダムさんは、奥さんのためにナプキンづくりに従事する。だが、彼の素晴らしところは安いナプキンが簡単に作れるようになっただけではない。それを、多くの農村の女性が自らの手で作り販売できる、女性のための自室支援プログラムとした点である。

インドの女性の立場は、まだ先進国に比べて弱く、働き口も多くない。そんな中、インドの銀行から受けられる女性対象の「マイクロ・クレジット(小規模融資)」を利用して、輸入品機械の0.1%の値段で製造できる機械を用意し、女性たちの仕事づくりに貢献する。女性にとって、まさにヒーローのような存在の人なのである。

登場するインド女性たちのそれぞれ

『パッドマン』には、メインとなる女性が2人登場する。「パッドマン」であるラクシュミの妻のガヤトリと、ラクシュミのビジネスパートナーのパリーである。ガヤトリは、インド女性特有の「夫に従事する妻」であり、実家が決めた嫁ぎ先に嫁ぎ、家事に従事し献身的に夫を支える良き妻である。

そして、流血を伴う生理は穢れを伴うものとして認知しており、自身が家庭の中で一番下の立場であることに疑念を抱かない。これは、生まれた時からの環境や教育がガヤトリをそうさせており、ガヤトリが特別なことでない。

一方で、ラクシュミのビジネスパートナーとなるパリーは、大学教授である父親の影響で自身も大学で学び、有名な企業への就職も決めるなど、先進的な女性である。この2人の違いは、間違いなく「教育」である。

更に、物語には第3のヒロインが登場する。ラクシュミの開発した機械を使って、ナプキンを製造し、自らの手で販売する農村の女性たちである。ガヤトリ然り、農村の女性たち然り、彼女たちはこれまで何も「知らなかった」のだ。自分たちの置かれている状況が、世界的に見たら決して普通ではないことを。

そして、「パッドマン」であるラクシュミを通じて、彼女たちは大きな成長と変貌を遂げる。インド女性の自立応援作品でもある『パッドマン』は、世界中の女性たちに大きな希望を与えるものである。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の公開前に見ておきたい映画

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

Cheeni Kum

2007年に発表されたR・バールキ監督の、初長編映画監督作品である。意味は、「甘さ控えめ」で、舞台はロンドンの高級インド料理やで働く初老シェフと、美しい女性カスタマーの年の差ラブストーリーである。

「スパイス6」は、ロンドンにある高級インド料理レストランで、オーナーシェフのブッダデーブは腕利きのシェフとして、多くのお客様に料理の腕を振るっていた。だが、ある日本来甘くないはずの料理が「甘い」とお客様からクレームが入り、突き返されてしまう。

だが、ブッダデーブは突き返したクレーム客に嫌味を言い、お客様を追い返してしまった。それから数日後、そのお客様がなんと自分で調理した料理をお店まで届けるという離れ業を披露する。料理にいたく感激したブッダデーブは、料理を持ってきた美女、ニーナーに心奪われ、60代と30代の年の差恋愛物語が幕を上げる。

主人公の60代オーナーシェフ、ブッダデーブは、R・バールキの作品にも何度も出演している、インド映画界の中心地ボリウッドの帝王として知られる、アミターブ・バッチャンが演じる。

詳細 Cheeni Kum(原題)

ルストムの裁判

『パッドマン』の主演を務める、アクシャイ・クマールが国家映画賞主演男優賞を受賞した、クマールの代表作である。海軍将校であるクマール演じるルスタムは、妻の浮気に嫉妬し、相手の男を射殺する。だが、ルスタムはあくまでも無実を主張するという、単純な故殺事件のはずが、面白い程の展開を見せる法廷映画である。

男女の地上のもつれによって起きる事件は、どの年代でもどの国でもいかように起きる事件である。それには揺るぎ難い程の確固たる理由があり、ほとんどの場合証拠が残っており、裁判は単純明確に進んでいくものである。

だが、海軍将校であるルスタムは、自らの手で男の殺人を犯したことを認め自首しておきながら、あくまでも「無罪である」と主張する。この矛盾はいったいどこからやって来るのかが、この映画の最大の見どころである。

1年に3作品以上出演し、常にボリウッドの話題作の中心にいたクマールの、ニヒルな表情が印象的なこの作品は、予想できない展開を経て結末へ向かうため、一瞬たりとも目が離せない。

詳細 ルストムの裁判

小さな命が呼ぶとき

この映画は、インド映画とは全く関係がなく、更にR・バールキ監督や出演者たちとも全く関連性がない。2010年にアメリカで発表された映画である。

ハリソン・フォードが大学で博士を演じている映画で、『ハムナプトラ』シリーズや『G.I.ジョー』や『センター・オブ・ジ・アース』などにも出演しているブレンダン・フレイザーがエリートビジネスマンを演じたダブル主演作品。

フレイザーが扮したジョン・クラウリーには、3人の子供たちがおり、そのうちの2人は難病に指定されているポンペ病に侵されていた。ポンペ病とは、糖原病の一種で先天代謝異存疾患のことである。

生まれた時から余命9年を宣告されていた子供たちが、8歳を迎える頃、クラウリーは大学博士のロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)に出会う。そして、知識も技術もない男が、子供たちを救うためにすべてを捨てて投薬治療開発の研究を進めるため、製薬会社を設立するのだった。

『パッドマン』同様、愛すべき家族の危機に直面したとき、立ち上がる勇気ある男の物語であり、この作品も実話を元にしている。子供たちが救われるその瞬間は、ぜひ見逃さないでいただきたい。

詳細 小さな命が呼ぶとき

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』の評判・口コミ・レビュー

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』のまとめ

日本で生活していると、ここでの当たり前が世界の当たり前のように感じてしまうときがある。だがそれは、世界中で暮らしている人たちにもまた、同じようなことが言えるのだ。良妻であることに努めているガヤトリは、日本人女性のような自由や逞しさや選択を知らない。この映画は、世界中で上映されたが、未だ女性に対する意識や立場が低いパキスタンやクウェートでは上映が禁止されてしまった。インドで社会現象まで引き起こしたこの映画は、ぜひ日本でも多くの人が目にして欲しい題材である。

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