児島貴子はニュースキャスターとして活躍していたが、不倫騒動を起こし左遷させられる。仕事に対してのやる気をなくした貴子にある仕事が舞い込む。それは、幼い頃に暮らしたことがある、鹿児島県南大隅町の御崎祭りの取材だった。
映画『きばいやんせ!私』の作品情報
- タイトル
- きばいやんせ!私
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年3月9日(土)
- 上映時間
- 116分
- ジャンル
- コメディ
ヒューマンドラマ - 監督
- 武正晴
- 脚本
- 足立紳
山口智之 - 製作
- 村田亮
- 製作総指揮
- 高橋康夫
- キャスト
- 夏帆
太賀
岡山天音
坂田聡
眼鏡太郎
宇野祥平
鶴見辰吾
徳井優 - 製作国
- 日本
- 配給
- アイエス・フィールド
映画『きばいやんせ!私』の作品概要
映画『百円の恋』でタッグを組んだ武正晴監督と脚本家の足立紳が、再びタッグを組み制作した作品。主演を務めたのは、映画『天然コケッコー』で「第31回日本アカデミー賞・新人俳優賞」を受賞した女優の夏帆。鹿児島県南大隅町が物語の舞台になっており、伝統行事の「御崎祭り」にスポットが当てられている。花岡なつみの『Restart』が主題歌に起用されている。花岡は鬼束ちひろが作詞・作曲を担当した『夏の罪』で2015年にデビューした新人歌手で、これからの活躍が期待される人物である。
映画『きばいやんせ!私』の予告動画
映画『きばいやんせ!私』の登場人物(キャスト)
- 児島貴子(夏帆)
- ニュースキャスターとして活躍していたが、不倫騒動を起こし左遷することになる。仕事に対してのやる気はない。小学2年生の頃、1年間だけ鹿児島県南大隅町に暮らしていた。
- 橋脇太郎(太賀)
- ぶっきらぼうな性格。鹿児島県南大隅町に暮らす青年。貴子の小学2年生のときの同級生。牛を育てたり祭りの実行委員を行ったり、大隅町のために奮闘している。
- 下園洋平(岡山天音)
- 鹿児島県南大隅町に暮らす青年。貴子の小学2年生のときの同級生。ドケチな性格。ホテルマン。
映画『きばいやんせ!私』のあらすじ(ネタバレなし)
児島貴子はキー局のニュースキャスターとして活躍していた。しかし、不倫騒動が起こり、左遷させられることになる。華々しい仕事から、小さなネタを紹介するレポーターの仕事をすることになった。貴子は仕事に対してのやる気をなくしていた。
貴子は新たな仕事を行うことになる。それは、各都道府県の祭りを取材する仕事だった。貴子が担当することになったのは、幼い頃に少しだけ住んでいた鹿児島県南大隅町の「御崎祭り」だった。
貴子は南大隅町を訪れるが、相変わらず仕事に対してのやる気はなかった。そんな時、元同級生の橋脇太郎と再会する。太郎は牛を育てたり祭りの実行委員を行っていたり、南大隅町のために奮闘していた。貴子はそんな太郎を通して、自分の仕事に向き合うことになる。
映画『きばいやんせ!私』の感想・評価
鹿児島県南大隅町
主人公の児島貴子が幼い頃に1年間だけ住んでいたのは、鹿児島県南大隅町である。大隅町には日本本土最南端の佐多岬が存在する。「御崎祭り」の出発地点である御崎神社は、その佐多岬にある。国指定天然記念物のソテツ自生地や国指定天然記念物の稲尾岳があるなど、自然豊かな場所である。
人口は減少傾向にあり、2015年の調査の時点で総人口は7542人である。その内、65歳以上の人は3437人で、15歳未満の人は僅か713人しかいない。人口の減少と少子高齢化は、大隅町にとって解決しなければいけない大きな問題となっている。「御崎祭り」を存続させる上でも、若者が少ないことは大きな問題となっている。映画内でも、若者がいなくて苦心する町民達の姿が描かれている。
御崎祭り
物語の中心にあるのは、鹿児島県南大隅町で行われている「御崎祭り」である。「御崎祭り」は県無形民俗文化財に指定された、1300年余り続く伝統行事である。年に1度、御崎神社にいる妹神様が、郡近津宮神社にいる姉神様に新年の挨拶に行くために行われている。御崎神社から郡近津宮神社までは約20キロほど離れており、間に7つの集落が存在している。その約20キロの距離を、一度も地面に降ろさずに神輿をリレーして運ぶことになる。
「御崎祭り」は春を呼ぶ祭りとして有名で、無病息災や大漁などを祈願している。祭りは2日に渡って行われ、1日目は浜下り(神輿をリレーして運ぶ)、2日目は二十日祭りが行われる。約100キロの重さの神輿を担ぎ、歩くだけでも大変な山道を通ることもある。集落に暮らす人々は先祖から伝わった祭りを大切にし、後世に伝えようとしている。
武正晴監督×足立紳脚本
本作で監督を担当しているのは、映画『百円の恋』で一躍有名になった武正晴である。武は大学に在学しているときから自主映画を制作するなど、映画の世界にどっぷりと嵌っている人物だと言っても過言ではない。
本作の脚本・原作を担当したのは、足立紳である。足立と脚本を担当した山口智之は、2019年3月23日公開予定の映画『こどもしょくどう』でも足立と仕事を共にしている。足立は映画『百円の恋』の脚本を担当するなど、武と何度も仕事を共にしている。また、その『百円の恋』で、「第39回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞」を受賞している。
武と足立が再タッグを組んだ本作は、将来を見失っている女性が人生の復活を遂げられるか、伝統を失いつつある祭りが復活できるかどうかにスポットが当てられている。
映画『きばいやんせ!私』の公開前に見ておきたい映画
天然コケッコー
夏帆の映画初主演作品。くらもちふさこ原作の少女漫画を元に制作された。原作の漫画は「第20回講談社・漫画賞」を受賞している。夏帆は本作品で、「第31回日本アカデミー賞・新人俳優賞」や「第29回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞」など、数々の賞に輝いている。くるりの『言葉はさんかく こころは四角』が主題歌に起用された。
木村町は田舎町で、中学校は小学校と同じ校舎を使っていた。全校生徒は6人しかおらず、皆家族のように暮らしていた。そんな学校に、東京からの転校生・大沢広海がやってきた。木村町の学校に通っていた右田そよは、同級生が来てくれたことを喜んだ。始めは会話もままならなかったが、次第に仲良くなり付き合うようになる。しかし、大沢は東京の学校に進学することを考えていた。
詳細 天然コケッコー
アズミ・ハルコは行方不明
太賀の代表作。蒼井優×高畑充希が共演している。太賀は高畑が演じる木南愛菜と関係を持ち、蒼井が演じる春子の顔のグラフィティを拡散する青年・富樫ユキオを演じている。山内マリコ原作の小説を元に制作されている。シンガーソングライターの石崎ひゅーいが、本作で映画デビューを果たした。2018年7月に解散したチャットモンチーの『消えない星』が主題歌に起用されており、PVに蒼井優が出演している。
28歳の安曇春子は、実家に暮らしていた。家では母が介護で苛々しており、会社に行くと上司からのセクハラを受けた。楽しみも特になく淡々と日々を生きていたある日、幼馴染の曽我と再会する。春子は曽我と体の関係を持つが、あっさりと捨てられてしまう。平成27年5月11日、春子は失踪した。
詳細 アズミ・ハルコは行方不明
百円の恋
武正晴監督の代表作。「第88回アカデミー外国語・映画賞」に選出されるなど、高い評価を受けた作品。安藤サクラが主演を務め、興味を持った男性をきっかけにボクシングを始める女性を演じている。クリープハイプの『百八円の恋』が主題歌に起用されている。この曲は、ボーカルの尾崎世界観が映画のために書き下ろしたものである。
32歳の斎藤一子は、妹の二三子が出戻ってきたのを機に実家から出ることになった。百円ショップで働きながら、1人暮らしを始めた。一子の楽しみは、ボクシングの練習を行っている狩野祐二の姿を眺めることだった。そんなある日、ひょんなことから狩野と話すことになり、デートに誘われる。一子は狩野を通じて、ボクシングに興味を持つようになる。
詳細 百円の恋
映画『きばいやんせ!私』の評判・口コミ・レビュー
きばいやんせ!私
仕事と祭りは似ている。
1つの事を成功させる為に皆で汗水流して重い物を担いで周りに笑顔を届ける点において。
仕事を舐め腐った女子アナが面白い番組を作りたい一心で仕事への考えや態度が変化して行く展開が面白い。
夏帆の最後の泥だらけの笑顔素敵。
地方の祭りは良いっすね。 pic.twitter.com/C4xgoqgXfv— ディーン・フクヤマ (@masuyou1005) 2019年3月10日
待ちに待ったきばいやんせ!私、見てきました~!
がっつりの鹿児島弁と御崎祭りが魅力たっぷりで感動でした。だんだんとお祭りに本気になっていく姿がかっこよくて、自分も何かに本気で頑張りたいって思えた作品。見応え大ありでした!#きばいやんせ私— おはる (@KNBKandTIG) 2019年3月10日
「きばいやんせ!私」
最近観た作品の中でこれほど画面と連動して自分が力んだ作品はないのではないだろうか。クライマックスの御輿を落としそうなシーンや大賀クン岡本クンが祭の象徴物を持つシーンは演技を超えてその大変さが伝わってきた。貴重な地方のお祭りをまたひとつ覚えさせてもらった。— Yukinobu Shigeta (@Cinemafun) 2019年3月9日
きばいやんせ!私
観て来た🎬全然あらすじ知らないで観に行ってしまって鹿児島弁難しいところもあったけど面白かった😂
お祭りのシーンは見てる側もグッと力が入っちゃう感じで太賀くん天音くん達役者さんの命がけでやってるのが伝わって本当ドキュメンタリーだった。
観に行けて良かった✨ pic.twitter.com/oqVtGFkrTy
— ✧*。sae⋆。˚✩ (@sae574) 2019年3月9日
『きばいやんせ!私』鑑賞
スキャンダルで干された女子アナが仕事に誇りを取り戻そうと、消えつつある祭りを復活させようとする
祭りのシーンは迫力があり目が離せません
夏帆さんは鼻持ちならないクソ女でした😁
眼さんは地味ですが印象に残るいい役でしたね
「なあ、野田くん」#きばいやんせ私 pic.twitter.com/VgWVCx2JKH— 杢之助 (@mokunosuke_0921) 2019年3月9日
映画『きばいやんせ!私』のまとめ
ポスターでは、主人公の児島貴子のことを「クソ女」と表現している。なかなか衝撃的な言葉ではある。だが、仕事に対してやる気がなく周囲への気遣いもできない未熟な貴子のことを、この言葉は的確に表していると思う。不倫騒動やニュースキャスターとして活躍していたなど共感できない部分もあるが、思っていた未来を歩めなかったり仕事にやる気を見出せなかったりすることは誰にでもあることだと思う。貴子を通じて自分自身のことも、ふと振り返ってみようと思える作品になっている。
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