1970年代のアメリカ。女性は仕事を選ぶことができず、男性は専業主夫になることができなかった。ルース・ギンズバーグはハーバード法科大学院を首席で卒業するが、女性であるがために弁護士として雇ってくれるところが見つからなかった。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の作品情報
- タイトル
- ビリーブ 未来への大逆転
- 原題
- On the Basis of Sex
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年3月22日(金)
- 上映時間
- 120分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- ミミ・レダー
- 脚本
- ダニエル・スティエプルマン
- 製作
- ロバート・コート
ジョナサン・キング - 製作総指揮
- ダニエル・スティエプルマン
ジェフ・スコール
ベッツィー・ダンバリー
カレン・ループ - キャスト
- フェリシティ・ジョーンズ
アーミー・ハマー
ジャスティン・セロー
キャシー・ベイツ
サム・ウォーターストン
スティーブン・ルート
ジャック・レイナー
カイリー・スパイニー - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ギャガ
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の作品概要
85歳の現在でも最高裁判所判事として活躍する実在の女性ルース・ギンズバーグを、実話を元に描いている。主演を務めたのは、映画『博士と彼女のセオリー』(14)で「第87回アカデミー賞・主演女優賞」にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズ。自由と平等についての歌を歌うなど、社会に対して強いメッセージを放ち続けているシンガー・ソングライターのKESHAが主題歌を担当している。脚本を担当したのは、ルース・ギンズバーグの甥であるダニエル・スティエプルマン。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の予告動画
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の登場人物(キャスト)
- ルース・ベイダー・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)
- ユダヤ人の家庭に生まれる。子供の頃は貧困だったため、勉強も満足にできない状態だった。ハーバード法科大学院を首席で卒業する。弁護士になるのが夢。
- マーティン・ギンズバーグ(アーミー・ハマー)
- ルースの夫。自分と一緒に大学院に進学したルースのサポートを行う。ルースの良き理解者。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』のあらすじ(ネタバレなし)
1970年代のアメリカでは、女性はクレジットカードを作れず、仕事を選ぶこともできなかった。そして、男性は専業主夫になることができなかった。そんな時代に、1人の女性弁護士が立ち上がった。
ルース・ギンズバーグはハーバード法科大学院を首席で卒業するが、女性であるがために就職先探しに難航していた。結局、弁護士として働くことができなかったルースは、大学教授になった。しかし、弁護士になるという夢を捨てたわけではなかった。
ルースは史上初の男女平等裁判に挑んだ。周囲は必ず負けると反対し、裁判を行うには10年早いと諭した。だが、彼女はこの裁判に勝てば歴史が変わると思い、諦めることなく立ち向かっていった。これはたった50年前に起こった真実の物語である。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の感想・評価
実在の女性、ルース・ギンズバーグ
物語の主人公になっているのは、実在する女性ルース・ギンズバーグである。ルースはユダヤ人の家に生まれ、勉強することもままならないほどの貧困を経験している。そんな中、努力を積み重ねた彼女はコーネル大学に入学する。そこで、後に夫となる男性マーティン・ギンズバーグと出会う。
ルースはマーティンと共にハーバード法科大学院に入学するが、そこからも困難が待ち受けていた。当時、女性の入学率は低く、500人の生徒の内女性は僅か9人しかいなかった。女性トイレも設置されておらず、そんな状況で勉学に励まなければならなかったのである。さらに、卒業後も女性であることを理由に就職先探しに難航し、弁護士として働くことができずにいた。女性であるがために様々な困難に見舞われたルースだからこそ、男女平等裁判の重要性を誰よりも感じていたのである。
ルース・ギンズバーグの甥が脚本を担当
本作で脚本・製作総指揮を担当しているのは、ルース・ギンズバーグの甥のダニエル・スティエプルマンである。ダニエルはルースの個人ファイルやアメリカ議会図書館にある資料を元に、脚本を執筆している。また、文章を見ただけではなくルース本人にもインタビューを行っているため、彼女の「男女平等裁判」に対する熱量を感じられるような作品になっている。「ルース・ギンズバーグ」という人物を描く上で、これ以上ない人物が脚本を担当しているのである。
ルース・ギンズバーグは85歳の現在も最高裁判所判事として活躍しており、常にパワフルに活動し続けている。2018年にアメリカで行われた調査では、「最も尊敬される女性」第4位に選ばれている。そんな彼女がどのような気持ちで裁判に立ち向かっていったのか、ぜひ注目してもらいたい。
ミミ・レダー監督×主演フェリシティ・ジョーンズ
監督を務めたミミ・レダーは、テレビドラマ『ER緊急救命室』で演出を担当し、「第47回プライムタイム・エミー賞・ドラマ・シリーズ部門・監督賞」を受賞している。彼女もまたルース・ギンズバーグと同じように、男性社会だった映画・ドラマ業界で奮闘し苦労してきた女性である。だからこそ、作品内の「ルース・ギンズバーグ」という女性がとてもリアルに描かれている。
「ルース・ギンズバーグ」を演じたのは、イギリスの実力派女優フェリシティ・ジョーンズである。彼女は映画『今日、キミに会えたら』(11)では「エンパイア賞・新人女優賞」を受賞し、映画『博士と彼女のセオリー』(14)では「第87回アカデミー賞・主演女優賞」にノミネートされている。美しさだけではなく、女優として確かな実力を持っている。そんなフェリシティ・ジョーンが、法廷での5分32秒のスピーチに挑んでいる。彼女だからこそ、観客の心が揺さぶられるようなシーンに仕上がっているはずである。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の公開前に見ておきたい映画
ピースメーカー
ミミ・レダー監督の代表的な作品で、長編映画監督デビュー作品。ジョージ・クルーニーが主演を務めており、アメリカ陸軍中佐のトム・デヴォーを演じている。トムの相棒である原子力科学者のジュリア・ケリーを演じたのは、ニコール・キッドマン。テロリストに奪われた核兵器を、トムとジュリアが取り返す物語となっている。
北米防空司令部は核爆発を探知し、調査に乗り出した。列車の事故による暴発だと思われていたが、テロリストによる犯行ではないかという意見が浮上する。アメリカ陸軍中佐のトム・デヴォーと原子力科学者のジュリア・ケリーは、協力して捜査に当たることになった。その結果、ロシアから10発の核弾頭が盗まれたことが判明する。列車で起こった核爆発は、その内の1発だった。テロリストの目的とは一体!?
詳細 ピースメーカー
博士と彼女のセオリー
フェリシティ・ジョーンズの代表的な作品で、実在する天才科学者スティーブン・ホーキング博士の妻であるジェーン・ホーキングを演じている。スティーブン・ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインは、本作で「第87回アカデミー賞・主演男優賞」に輝いた。
1960年代。スティーヴン・ホーキングは物理学で博士号を取ることを目標に、勉学に励んでいた。そんなある日、文学を学ぶジェーン・ワイルドと出会い恋に落ちる。2人は温かで幸せな日々を送った。そんな時、スティーヴンは難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症してしまう。医師からは余命2年だと宣告された。スティーヴンは迷惑をかけるのが嫌で離れることを考えるが、ジェーンは傍にいて支えることを決意する。結婚した2人の間に、子供が誕生した。スティーヴンは徐々に体が動かなくなりながらも、宇宙の誕生がブラックホールだという論文を執筆した。
詳細 博士と彼女のセオリー
君の名前で僕を呼んで
アーミー・ハマーの代表的な作品で、ティモシー・シャラメと共に主演を務めている。アンドレ・アシマンの小説『Call Me by Your Name』を元に制作されている。続編について構想が既に練られており、『君の名前で僕を呼んで』(17)は小説の途中までしか描かれていない。時代の変更など、原作と多少の相違点はある。
1983年夏。17歳のエリオは家族と共に、避暑地として北イタリアを訪れた。そこで、大学教授である父の助手を務める、24歳の大学院生・オリヴァーと出会う。エリオは始めオリヴァーに自信家っぽい雰囲気を感じ、馴染むことができなかった。しかし、一緒に出かけたり話したりしている内に、惹かれていくのを感じた。
詳細 君の名前で僕を呼んで
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の評判・口コミ・レビュー
『ビリーブ 未来への大逆転』鑑賞。性差別をなくそうとした女性弁護士を描いたミミ・レダー監督作品。劇中で引用される『アラバマ物語』を彷彿させるクラシカルな作風が「時代の変革」という題材に合致していないように感じられてしまった。ラストの演説も今ひとつ心に響くものがなくて残念。 pic.twitter.com/88t4MGuzhu
— だよしぃ (@purity_hair) 2019年3月23日
“ビリーブ 未来への大逆転”
フェリシティ・ジョーンズ演じる、ルース・キンズバーグ。今でも無くならない、性差別に、勤勉さと、情熱で戦いを挑んだ女性の物語は、裁判シーン以上に、支えあう夫婦の絆と、母から娘、そしてその娘へ、知識と情熱のリレーに、胸が熱くなる、幸せな映画でもありました。 pic.twitter.com/Jb4lzTVDug— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2019年3月23日
「ビリーブ 未来への大逆転」
アメリカの現役最高裁判事であるRGBの実話映画。法律が女性を差別していることを認めさせるために、男性も法律に差別されていることを証明するという賢い方法に驚いた。夫のアーミー・ハマーの献身的に支える姿も印象的で良かった。ビスタサイズだったのは二人の身長差? pic.twitter.com/5SZHeCB4oM— ゴズ (@Gos2049) 2019年3月23日
【ビリーブ 未来への大逆転】
ルースとマーティンたちが、無限に広がる女性と男性の可能性をこじ開けてくれた。
今でも、変えられないことを壁にされて、いかに多くの人が悔し涙に濡れ、息苦しさと闘っているんだろう。
「当たり前」を感謝し、「当たり前」に疑問をもつ力を。
素晴らしい作品でした。 pic.twitter.com/xC8V08Vuv8— リブラ (@ooolibra05ooo) 2019年3月23日
「ビリーブ 未来への大逆転」鑑賞
現在連邦最高裁に3人いる女性判事の1人ルース・ベイダー・ギンズバーグの実話に基づいた作品
当時の性差別と懸命に闘う姿に胸を打たれた
フェリシティ・ジョーンズって小柄でとても可愛らしい
男らしく女らしくと性に囚われる時代は終わった!自由な姿であるべき pic.twitter.com/exyWBDsWcW— (@o_atexgmtnnn) 2019年3月23日
映画『ビリーブ 未来への大逆転』のまとめ
やはり今の時代から考えると、「女性はクレジットカードを作れず、仕事を選ぶこともできない」という言葉は強い衝撃を受ける。きっと男性が専業主夫になることも、今の時代以上の困難があったのだと思う。周囲に反対されながらも男女平等のために立ち向かったルース・ギンズバーグは、本当に勇敢な女性である。ルース・ギンズバーグを演じたフェリシティ・ジョーンズの凛とした雰囲気が役柄と物語にピッタリ合っているため、最高の作品に仕上がっているのではないかと思う。
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