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映画『マイ・ブックショップ』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

この度、イギリスブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの原作を、『死ぬまでにしたい10のこと』のイザベル・コイシェ監督が映像化する、イギリスの小さな港町に、それまで街になかったとある書店の誕生の物語。

映画『マイ・ブックショップ』の作品情報

マイ・ブックショップ

タイトル
マイ・ブックショップ
原題
La libreria
製作年
2017年
日本公開日
2019年3月9日(土)
上映時間
112分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
イザベル・コイシェ
脚本
イザベル・コイシェ
製作
クリス・カーリング
製作総指揮
不明
キャスト
エミリー・モーティマー
ビル・ナイ
パトリシア・クラークソン
製作国
スペイン
配給
ココロヲ・動かす・映画社○

映画『マイ・ブックショップ』の作品概要

2003年に制作され、日本でも大ヒットを記録した『死ぬまでにしたい10のこと』の監督、イザベル・コイシェが次に仕掛けるのは、20世紀中頃、1959年のイギリスの小さな町から。これまで多くの作品に女性的感性を吹き込んできたイザベルが、保守的なイギリスの海辺の町で、これまで一軒もなかった書店を開こうと奮闘する女性を描き出す。イギリスのブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの原作で、『メリー・ポピンズ リターンズ』のエミリー・モーティマーが主人公フローレンスを演じる。

映画『マイ・ブックショップ』の予告動画

映画『マイ・ブックショップ』の登場人物(キャスト)

フローレンス・グリーン(エミリー・モーティマー)
夫を戦争で亡くした未亡人。夫の夢であった「書店を開く」ことに意欲を出し、心血を注ぐ。
エドモンド・ブランディッシュ(ビル・ナイ)
過去40年に渡って自宅に引きこもり、読書に勤しんできた老人。フローレンスの書店開店を後押しする。
バイオレット・ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)
フローレンスが住む町の有力者夫人。女性のお店開業に関して快く思っていない。

映画『マイ・ブックショップ』のあらすじ(ネタバレなし)

1959年イギリス、戦争によって夫を亡くしたフローレンスは、自身が住んでいる小さな海辺の町で、1人静かに暮らしていた。戦争によって夫を亡くし、夫のいない人生を読書によって紛らわせていた。

そんなとき、フローレンスはふと、夫が抱いていた書店を開くというたった1つの夢を思い出す。フローレンスは自らを奮い立たたせ、ありったけの書物を集めて棚に並べ、古ぼけた建物の外壁に「THE OLD HOUSE BOOK SHOP」の看板を取り付ける。

夢への第一歩を踏み出したフローレンスの表情には、思わず笑みが浮かぶ。しかし、20世紀中頃のイギリスでは、各地でまだ保守的な考え方が根強く、フローレンスの住む町でも女性の開業は快く思われていなかった。

役人には、書籍販売の経験の無さを指摘され、町の有力者夫人からはお店を潰すよう裏で手回しをされてしまう。それでも、40年以上も書物を読み漁っていたエドモンドがお客さんになってくれたことで徐々に軌道に乗り始め、フローレンスのお店を慕って本嫌いの少女が居付くようになる。

少しずつでも夫の夢を叶えるべくフローレンスは本を集め、本を売り、お店・本・夢の全てを守るべく毅然とした態度でお店のドアを開ける。

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映画『マイ・ブックショップ』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『マイ・ブックショップ』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『マイ・ブックショップ』の感想・評価

人々の心に残る演技に定評の名優たちが集結

主人公の未亡人フローレンスを演じるのは、現在日本で最新作の『メリー・ポピンズ リターンズ』が大ヒット上映しているエミリー・モーティマー。かつて子供だったジェーンが、大人の女性になったバンクス家の長女、ジェーン・バンクスを演じ、高評価を得ている。大恐慌時代のロンドンで家族に起きた悲劇から、笑顔を浮かべられないジェーンが、メリー・ポピンズの驚くべき魔法によって、徐々に前向きになっていく姿は、見ている人をも笑顔にさせる。

お店を1人で切り盛りするフローレンスの最初のお客さんとなった、読書家のエドモンドは、誰もが知る映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに登場する海の支配者デイヴィ・ジョーンズ。多くの逸話や怪談話に登場するデイヴィ・ジョーンズを、個性的な姿となりながらも演じ切った実力派俳優である。その実力は、『ラヴ・アクチュアリー』の英国アカデミー賞助演男優賞、テレビ映画『ナターシャの歌に』のゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞が物語る。

また、フローレンスを敵対視し、お店を潰そうと画策するガマート夫人は、2003年の『エイプリルの七面鳥』で、アカデミー賞・ゴールデン・グローブ賞共に助演女優賞にノミネートしたパトリシア・クラークソン。

3人とも、安定した演技で各界から高い評価を得ている名優ばかり。人間味溢れる人生の一幕に、相応しい人たちが集まったと言える。

本を取り巻く一期一会

本との出会いは、人との出会いに例えられ、一期一会と表されることがある。良い本との出会いは、長い人生の中でそう何度もあるものではない。そうしたことから、例えられた言葉である。まさにその言葉通り、本との出会いは運命的とも言える。

普段は決して立ち寄らない書店に、ふらりと足を運んだとき、家の倉庫や屋根裏で身辺整理をしていたとき、そんな特別なものではなくふと友人や知り合いから勧められたときなど。本はとても身近にある存在でありながら、表紙を開くまで決して物言わぬ堅物で、自身の手の内を明かさない。しかし、一度表紙を捲ってみると、あっという間に人の心の奥底へ、大変な贈り物をしてくれる粋なやつなのである。

本に書かれていることは、作者の過去であり、知識であり、夢である。本が好きな人の中には、素敵な本を誰かに届けたいと思う人もいるだろう。しかし、字を読むことが苦痛な人も世の中に入る。そんな人に本を強要することなく、楽しみながら宝物を発見するかのように本を楽しんでもらいたい。

そうして、本屋は町に誕生する。誰かが通った過去、誰かが得た知識、誰かが叶えたかった夢を本棚に散りばめて。フローレンスが亡き夫のために奮起し、本を並べ、最高の1冊を誰かに届ける。本との一期一会は、誰かとの一期一会でもあるのだ。

映画『マイ・ブックショップ』の公開前に見ておきたい映画

映画『マイ・ブックショップ』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『マイ・ブックショップ』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

レオニー

今作の主人公フローレンスを演じているエミリー・モーティマーが、日本とアメリカの合作映画に出演したのが2010年に公開された松井久子監督作品『レオニー』である。世界的に有名な彫刻家であるイサム・ノグチを育てた母親のレオニー・ギルモアの半生を描いた作品で、ドウス昌代の『イサム・ノグチ 宿命の越境者』にインスパイアされた松井監督が7年の歳月をかけて制作した。

明治後期の日本でも人種差別が激化する困難な時代を、遠い異国の日本で過ごしたレオニー。アメリカで出会った青年詩人の野口米次郎と、未婚のまま子供を設け、はるばる日本へ渡り、激動の時代の中を生き抜いていく。

早くから子供の才能に気付き、学校へ通わずとも子供の芸術的才能を伸ばすことに意欲を見せ、戦争の荒波にもまれながらも子供の可能性を信じ、支え続けた母。

エミリー・モーティマーは、主人公レオニー・ギルモアを熱演し、レオニーの相手役には中村獅童が出演している。原田美枝子や竹下景子、中村雅俊、山中聡、温水洋一、六角精児など、錚々たる日本の俳優陣が揃い、日米合わせて13都市での撮影に挑んだ。

詳細 レオニー

ナターシャの歌に

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』、『タイタンの逆襲』、『トータル・リコール』など、話題作に登場するイギリスの俳優、ビル・ナイ。2003年の『ラブ・アクチュアリー』で英国アカデミー賞助演男優賞を受賞し、話題となる。

2006年公開のテレビ映画『ナターシャの歌に』では、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞した。この映画には、日本でも大ヒットを記録している『メリー・ポピンズ リターンズ』の主人公メリー・ポピンズを演じたエミリー・ブラントも出演し、彼女もゴールデン・グローブ賞を受賞している。

この作品では、各界から絶大な支持を受けている一流コンサルタントのギデオンを演じる。エミリー・ブラントは、そのギデオンの娘ナターシャ役で、ギデオンの妻でありナターシャの母を病気で亡くして以来、父娘の関係はギスギスしている。

仕事人間のギデオンと、自身の将来を案じているナターシャ、そしてギデオンが出会う新たな女性ステラとの三角関係が、それぞれの人間関係を見直していくきっかけを与えてくれる。いろいろな親子の形があって、本当は互いを理解し合いたいと思っている家族の絆が印象的な映画である。

詳細 ナターシャの歌に

エイプリルの七面鳥

『マイ・ブックショップ』で、主人公フローレンスが経営する本屋を良く思わない、町の権力者夫人バイオレットを演じているパトリシア・クラークソンの出演する映画。アカデミー賞助演女優賞、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞など、数々の賞にノミネートし、そのうち全米・ボストン・シカゴ・フロリダなどの映画批評家協会賞の助演女優賞を受賞した。

パトリシアが演じたのは、主人公エイプリルの母親ジョーイ役。娘のエイプリルと母のジョーイは、ケンカばかりしている親子であった。そして、ふとしたきっかけでエイプリルは家を飛び出し、それ以降ジョーイとは連絡を取らずニューヨークでボーイフレンドと暮らしている。

だが、母親のジョーイががんを患い、余命僅かであることを知ってしまったエイプリルは、家族と和解するために家族をニューヨークに呼び寄せ、ジョーイの好物であるロースト・ターキーを作ることを決める。

何年も家を出たまま帰ってこない娘を心配しつつも、自分の人生だと娘を信じている母親ジョーイ。彼女の健気さが、がんを患い余命幾ばくかでありながらも、娘と和解するきっかけとなり、誤解したまま終わる人生を覆させた親子のハートフルドラマである。

詳細 エイプリルの七面鳥

映画『マイ・ブックショップ』の評判・口コミ・レビュー

映画『マイ・ブックショップ』のまとめ

主人公フローレンスが住んでいる海辺の田舎町は、昔の古き良きイギリスの風景を如実に表している。20世紀中頃、まだマクドナルドもスターバックスもなかった時代の、素朴で自然の美しさが視界に広がり、人々の力強い生命力に溢れている。あの懐かしき頃のイギリスでは、当時当たり前にあったコットンの肌触りを感じさせるケープや、ポットカバーや、古い紙の本包みなど、雑貨好きの女性にはたまらないアイテムが所狭しに映し出されている映画である。

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