『ロード・オブ・ザ・リング』、『ホビット』の監督として知られるピーター・ジャクソンが、フィリップ・リーブ原作『移動都市』を映像化。指輪に込めた希望を、今度は“都市”に込め、『キング・コング』のクリスチャン・リヴァーズがメガホンを取る。
映画『移動都市 モータル・エンジン』の作品情報
- タイトル
- 移動都市 モータル・エンジン
- 原題
- Mortal Engines
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2019年3月1日(金)
- 上映時間
- 129分
- ジャンル
- SF
ファンタジー
アクション - 監督
- クリスチャン・リヴァーズ
- 脚本
- フラン・ウォルシュ
フィリッパ・ボウエン
ピーター・ジャクソン - 製作
- ゼイン・ウェイナー
アマンダ・ウォーカー
デボラ・フォルテ
フラン・ウォルシュ
ピーター・ジャクソン - 製作総指揮
- フィリッパ・ボウエン
ケン・カミンズ - キャスト
- ヘラ・ヒルマー
ロバート・シーハン
ヒューゴ・ウィービング
ジヘ
ローナン・ラフテリー
レイラ・ジョージ
パトリック・マラハイド
スティーブン・ラング - 製作国
- アメリカ
- 配給
- 東宝東和
映画『移動都市 モータル・エンジン』の作品概要
イギリスの小説家フィリップ・リーブの『移動都市』を基に、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』シリーズで監督・製作・脚本を務めたピーター・ジャクソンが、壮大なスチームパンク的な世界観を作り上げる。映像化には、これまでピーター・ジャクソン作品の映像部門に携わり、自身も2005年の『キング・コング』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リヴァーズ監督を筆頭に、最高のスタッフが勢揃いする。キャストは、アイルランド出身の新鋭の俳優ヘラ・ヒルマー他、『ホビット』シリーズにも出演するヒューゴ・ウィービングが登場する。
映画『移動都市 モータル・エンジン』の予告動画
映画『移動都市 モータル・エンジン』の登場人物(キャスト)
- ヘスター・ショウ(ヘラ・ヒルマー)
- 幼い頃に母親を目の前で殺害され、移動都市ロンドンへの復讐に身を焦がす少女。放浪の旅を続けながら、復讐を遂げるまで戦い続ける。
- サディアス・ヴァレンタイン(ヒューゴ・ウィービング)
- 世界の全てを破壊しつくす考古学者。ロンドンを最凶の都市とするべく画策し、表の顔と裏の顔を使い分け人々の尊敬をほしいままにする。
- トム・ナッツワーシー(ロバート・シーアン)
- 移動都市ロンドンで育った青年。外の世界を知らずに生きてきたが、ヘスターとの出会いが、彼のロンドンへの信頼を打ち砕く。
- シュライク(スティーヴン・ラング)
- 母親を亡くし、怯えていたヘスターを育てた人物。何百年も前に人間と機械の体を融合されて作られた人造人間。
- アナ・ファン(ジヘ)
- 移動都市ロンドンから高額の懸賞金がかけられた空賊で、反移動都市同盟の中心人物。
映画『移動都市 モータル・エンジン』のあらすじ(ネタバレなし)
最終戦争に要した時間は、たったの60分であった。その60分の間に起きた戦いで、地球上に存在している文明のほとんどは壊滅し、世界は荒廃してしまった。僅かに残された人類は、空や海や地上を移動しながら暮らすようになる。
ある者は巨大な空挺を作り上げて大空を翔け、ある者は巨大な戦艦で海上を進む。そして、地を這う者たちは、巨大な車輪の上に移動型の都市を作り上げた。地球は人類の愚かな戦争により壊滅的なダメージを受け、人類は残った僅かな物資を奪い合う生活を強いられる。
都市が都市を食う、そんな弱肉強食の世界へと変貌した地上では、世界最凶で最悪の巨大移動都市“ロンドン”による圧倒的な支配が始まっていた。他の都市を次々と飲み込み、捕食し、資源や労働力を奪い成長しているロンドンを前に、小さな都市に住む人々は逃げ、絶望的な日々を送る。
そんな中、母を殺され自身も顔に深い傷を負った少女ヘスター・ショウが、ロンドンへの深い復讐のために巨大な移動要塞都市に戦いを挑む。
映画『移動都市 モータル・エンジン』の感想・評価
巨大要塞都市“ロンドン”
主人公ヘスター・ショウが復讐を誓う、地上を支配している巨大な都市“ロンドン”。圧倒的な力で地上の全てを支配しようと目論んでいるサディアス・ヴァレンタインが都市を強化し続け、他の都市を捕食し物資や労働力を得ている。
ロンドンは7つの層から構成されており、最下層のガットと呼ばれている「腸」の部分では、捕食した他の都市からの資源や労働力となる奴隷を取り込み、不要な物の廃棄や処理を担当している。1つ層が上がるごとに、人々の暮らしは豊かになり、最上階では上流階級の人々が暮らしている。
元々出身階級が高くなかったサディアス・ヴァレンタインは、ロンドンを代表する考古学者として、その高い頭脳を駆使し、市長から特別階級と特権を与えられた人物。現在では、娘のキャサリン・ヴァレンタインと共に最上階に住む。
最上階層に暮らす人々は、優雅化暮らしを送りながら捕食される他の都市や人々を嬉々として眺めている。人間のヒエラルキーを図示したような、圧倒的な階級差別によるある意味完成された社会様相は、現代の人間社会を表しているかのようである。
60分戦争
現代よりも100年ほど進んだ先の未来、2118年に勃発した地球上を巻き込む最後の戦争である。“メデューサ”と呼ばれる量子エネルギー兵器を用いたことで、地殻は粉々に砕け散り、全ての文明がシャットダウンした。
運よく生き残った人々は、放浪民“ノマド”となり、エンジンを作り出し車輪に取り付け移動することによって、最初の移動都市が誕生する。その後、都市はあらゆる箇所で成長を遂げ、現在のロンドンに至るまでになる。
ロンドンの考え方に反発する、反移動都市同盟も後に結成され、弱い都市を捕食するロンドンのやり方に真っ向から対抗する。彼らはノマドとはならず、飛行艇を作り上げ大空を翔けながら、ロンドンに戦いを挑んでいる。
ノマドと反移動都市同盟、そして全てを飲み込むロンドン。更に、戦争によって地球を壊滅状態にさせた人間を抹殺するために作られた人造人間のストーカー<復活者>。彼らの関係が密接に絡み合い、地上で最後の戦いが始まろうとしている。
楯の壁
幅約1,500m、奥行き2,500m、高さ860mの超巨大な移動都市、ロンドン。時速160kmで地表を駆け回り、あらゆる都市を捕食する地上最凶の移動要塞である。その移動都市ロンドンから、放浪者ノマドを守るために建設されたのが平和を望む静止都市“シャングオ”を囲む高さ1,800mもの巨大な防壁である。
幾度となくロンドンからの猛攻を防ぎ、文字通り人々の楯となった壁は、ノマドの最後の拠点であり、反移動都市同盟にとっても重要な拠点である。数世紀にわたり、ロンドンから人々を守って来た壁が、この最後の戦いでもその威力をいかんなく発揮するのか、とても気になるポイントである。
日本の少年コミックスに颯爽と現れ、人気を博した諫山創の『進撃の巨人』に登場する巨大な壁のように、人々の生活を守る絶対的な壁。今回の映画で、この壁がどれほど重要な役どころなのかは映画を見てからのお楽しみだが、少なくとも漫画『進撃の巨人』に登場する巨人たちのように、移動都市ロンドンを倒さなければ、人類に未来がないのも確かである。
映画『移動都市 モータル・エンジン』の公開前に見ておきたい映画
ロード・オブ・ザ・リング シリーズ
ピーター・ジャクソンの手掛けた作品のうち、最もヒットしたと言われている作品が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズである。2001年に小説家J・R・Rトールキンが執筆した『指輪物語』を実写映画化したものである。
ピーター・ジャクソンはシリーズの3部作とも監督の他に、製作・脚本も手掛け、映画に出演もしている。映画は2001年から2002年2003年と続けて公開され、そのどれも大ヒットを記録している。
遥か遠い昔に、闇の冥王サウロンが世界を滅ぼすために魔力を秘めた“指輪”を作り出す。冥王サウロンは、自らの欲の全てを指輪に込め、やがて指輪はサウロンの思いの通りあらゆる地を支配するようになる。
サウロンを倒すべく1人の勇者が立ち上がり、サウロンの指を切り落とす。しかし勇者は指輪を破壊せず、そのせいで勇者は指輪に裏切られ死を迎える。指輪は時と共に所在を変え、主を変え、いつしか神話になっていくのである。
この神話に登場する指輪を巡って、仲間たちが集い、冒険し、戦い、感動をもたらしていく。深い物語はもちろんのこと、個性的な数々のキャラクターや、美しい映像など、見応え十分な映画である。
詳細 ロード・オブ・ザ・リング
詳細 ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
詳細 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
ホビット シリーズ
ちなみに、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの前日譚に当たる『ホビット』シリーズもまた、同じようにおススメできるピーター・ジャクソンの映画である。更に言うなら、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのエルロンド役で登場しているヒューゴ・ウィービングも、『ホビット』シリーズに出演している。
ヒューゴ・ウィービングは、『移動都市 モータル・エンジン』で、物語の要に当たる敵の中心役サディアス・ヴァレンタインを演じている。ピーター・ジャクソンの作品に多く登場しているヒューゴ・ウィービングの演技も、作品を作り上げる中で欠かせない要素の1つである。
『ホビット』シリーズは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズと同じJ・R・Rトールキンの小説『ホビット』が原作となっており、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズよりもより原作に忠実に描かれている。
シリーズ初の回想形式で物語が始まり、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでは僅かにしか描かれなかったホビット族のビルボ・バキンズが『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの主人公ガンダルフと共に、魔法の指輪を手に入れるまでが描かれた、ファンタジー映画である。
詳細 ホビット 思いがけない冒険
詳細 ホビット 竜に奪われた王国
詳細 ホビット 決戦のゆくえ
進撃の巨人
日本の漫画家諌山創氏が現在『別冊マガジン』で連載中の、ファンタジー作品。連載が始まるや否や、ティーンエージャーを中心に爆発的な人気を博し、小説・テレビアニメ・ゲームなどのメディア展開がされ、日本を代表するテーマパークUSJでは、期間限定で作品のテーマブースが設けられるなどした。2015年には、前後編2部作にて実写映画化もされている。
監督は、『日本沈没』や『のぼうの城』などを手掛け、『シン・ゴジラ』でも高い評価を得た樋口真嗣が担当し、脚本は『GANTZ』の渡辺雄介が書き下ろした。原作と違い、主人公のエレンは青年として登場し、主演を三浦春馬が演じる。更に、原作には登場しない映画オリジナルのキャラクターが数多く登場し、原作で登場していたはずのキャラクターが登場しなかったこともあり、賛否を呼んだ映画でもある。
今回の映画とスタッフやキャストが関係している訳ではないが、「人類VS巨人」のテーマが、今回の映画のテーマと実に酷似している。数々の都市を捕食して歩く移動都市ロンドンは、人類を捕食する巨人に例えられ、ロンドンに対抗する反移動都市同盟は、巨人に立ち向かう調査兵団そのものである。更に、楯の壁の中で平和を求める静止都市シャングオは、3つの壁の中に住む住民たちと似ている。
テーマが似通うばかりでなく、『進撃の巨人』の原作に登場する主人公のエレンは、巨人に母親を殺されたことで復讐心に身を焦がし、調査兵団への入団を決意する。『移動都市 モータル・エンジン』の主人公ヘスター・ショウと同じである。
同じ境遇の中で描かれる人々の様子は、日本とアメリカで差があるかもしれないが、それを見つけ出すのも面白いかもしれない。
詳細 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
詳細 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンドオブザワールド
映画『移動都市 モータル・エンジン』の評判・口コミ・レビュー
『移動都市/モータル・エンジン』観た。「何もかも飲み込み大きなキャタピラで走るロンドンの大聖堂から伸びる古代兵器の圧倒的破壊力」や「やたら強いリーゼントヤクザ女」、「FF12とマッドマックスとトランプ政権が融合したスチームパンクな世界観」などどれもこれも最高なポンコツ映画。大好物! pic.twitter.com/PXILrW1yxa
— 社畜のよーだ (@no_shachiku_no) 2019年3月2日
「移動都市/モータル・エンジン」
何気無いシーンにいつものピーター・ジャクソン監督感が詰まっていて面白かった!
過去の様であり未来の様でもある不思議な世界観の移動都市の数々、次々現れる登場人物にワクワクした反面情報が一杯でパンクしそうでした
初登場時からアナ姐さんがとにかく格好良い♡ pic.twitter.com/onFINI3U6u— 柚子 (@Yuzu_s) 2019年3月3日
『移動都市 モータル・エンジン』鑑賞。最終戦争から数百年後の地球を舞台としたクリスチャン・リヴァーズ監督作品。『翔んで埼玉』との共通点が多くデジャヴを感じさせる一本。いくらでも面白くなりそうな設定を蹂躙していくシナリオに不満。『コマンドー』の平田勝茂による吹替翻訳は素晴らしい。 pic.twitter.com/6rVJGJv3rh
— だよしぃ (@purity_hair) 2019年3月3日
『移動都市/モータル・エンジン』
60分戦争を経て奇想天外な歴史を歩んだのが窺える独特なガジェットの数々とそれでも過去に囚われ古風な雰囲気漂う世界観、そして王道復讐劇。外観はとても好きやけどキャラ含め動機の描写はアッサリしてるので誰かの感情に乗っかる間もなく展開するwなんか惜しい! pic.twitter.com/EVkPUdqrGn— コーディー (@_co_dy) 2019年3月3日
【移動都市 モータル・エンジン】鑑賞
遥か未来の話でありながら荒廃し退化した弱肉強食の世界をピーター・ジャクソンが描く。
広大な大地でロンドンが他都市を猛スピードで追いかけ回すシーンの恐怖は「マッドマックスFR」のような感覚。
やや説明不足感は否めないが、なかなか面白い作品でした👍 pic.twitter.com/6DAmH8Ji8P
— BILLY’S-MOVIE(グレイテストショーマン部:CEO)通知不具合発生中😭 (@BILLYsMOVIE) 2019年3月2日
映画『移動都市 モータル・エンジン』のまとめ
この映画に登場する主人公ヘスター・ショウを演じているヘラ・ヒルマーは、『アンナ・カレーニナ』などに登場しているが、まだそこまで知名度高くない。しかし、彼女の演技力は、既にベテラン人のそれとほぼ変わりない。監督のクリスチャン・リヴァーズも、ヘラについての演技を「完璧」だと評している。ヘラの持つ独特の個性が、ヘスター・ショウの強さ・脆弱さ・謎・魂などと噛み合った様子をスクリーンで見るのが楽しみである。
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