映画『トータル・リコール(2012)』の概要:「トータル・リコール」(原題:Total Recall)は、2012年のアメリカ映画。監督は「アンダーワールド」シリーズ、「ダイ・ハード4.0」のレン・ワイズマン。主演は「アレキサンダー」、「プライド&グローリー」のコリン・ファレル。共演には「アンダーワールド」シリーズ、「ホワイトアウト」のケイト・ベッキンセイル。「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」のジェシカ・ビール。「ジョン・カーター」、「アルゴ」のブライアン・クランストンなど。
映画『トータル・リコール』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:118分
- ジャンル:SF、アクション
- 監督:レン・ワイズマン
- キャスト:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセイル、ジェシカ・ビール、ブライアン・クランストン etc
映画『トータル・リコール』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『トータル・リコール』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『トータル・リコール』のあらすじを紹介します。
大きな戦争により正常な環境を失った近未来の地球では、「記憶」というものが簡単に売買されるようになっていた。人々は僅かな土地を富裕層の住むブリテン(UFB)と、貧しいコロニーという二つの地域に分けて生活しており、退屈な日常に飽きて刺激を求める人々は、人工記憶センターであるリコール社の人工記憶を買って不満を解消していた。コロニーで暮らす工場労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も、毎日あくせくと工場で働く日常にふと嫌気が差しリコール社を訪れる。しかし彼が記憶を移植しようとした時、ブリテン連邦のロボット警官隊から突然に襲撃を受ける。クエイドは自分でも身に覚えのない戦闘能力を発揮して逃げ切るが、帰宅すると今度は彼の妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)が襲ってくる。ローリーはクエイドに、記憶を消されて新しい記憶を植え付けられただけで、この世にダグラス・クエイドという人物は存在しないと告げる。ローリーを振り切ったクエイドは、行く先で数々の謎のメッセージを受け取り、メリーナ(ジェシカ・ビール)と出会う。メリーナは信用できるのか。そして自分は一体誰なのか。クエイドはその答えを見つけられないまま、ブリテン連邦とコロニーの運命を握る戦いに巻き込まれてゆく。
映画『トータル・リコール』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『トータル・リコール(2012)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
シュワルツェネッガー主演作とは別物
オリジナル版の火星とかではなく地球の中での設定であり、オリジナル版とは別物と考えた方が良いかもしれない。特撮技術も今の時代を反映した最新のものであり、イメージ的には『ブレードランナー』の方が近く、映像ではリメイク版の本作が馴染み易い。富裕層の住むブリテン(UFB)と、そのUFBのための労働者たちの住むコロニーは、ブリテンがイギリス、コロニーがオーストラリアで、その両者をつなぐ地球の中を通過する“フォール”というエレベーター的乗り物もユニークだ。カーチェイスやアクションシーンもスピード感あり、その他の細かな未来的なシチュエーションもSFらしい。シュワちゃんバージョンの方は役者の個性が強過ぎだったが、こちらは特徴があるようでないようなコリン・ファレルというのも、作品のバランス的には良かったかもしれない。
奇抜さや未来的な発想もユニークな良作
SF的なギミックも申し分なく、スケールはシュワちゃんバージョンの火星のコロニーを凌ぐのではないだろうか。SF映画は技術の進化と共に近作の方がやはり作りがしっかりしており、カメラアングルなども充分に計算された、スピード感溢れるアクションは見応えが多い。リメイクという部分より役者のインパクトで語られてしまうところが多いのかも知れないが、イノベーション的な部分として前作の方が話題になったというところは確かに感じる。しかしながら本作の出来が良いとか悪いとかはそう気になるものでもなく、突出した作品ではないが、元のシナリオが同じというだけで、別の作品として観る分には何の抵抗もなく観られる良作だと感じた。
原作のある作品で且つリメイクとのことだが、この作品単体で問題なく楽しめる。記憶を自由に出し入れできるという設定が肝で、ここから先はほぼほぼオリジナルだ。ストーリー的にも映像的にも重要なのは地球を貫いて二つの居住区を結ぶ巨大なエレベーターの存在だ。SF物として見栄えのする巨大なマシンが地中深く反対側まで突き抜けるのだが、中間地点で重力が反転することを上手にストーリーに取り入れている。目新しさはないが全体にそつなくまとまった正統派のSFで気軽に楽しめる。(男性 40代)
映画『トータル・リコール』 まとめ
本作の原作となったフィリップ・K・ディックの小説は読んだ事がないが、映画というものが原作を超えることはまずないといっていいだろう。いい例が小説が世界的なベストセラーとなった「ジュラシック・パーク」であり、スピルバーグ監督が映像であれほどのものを作りながらも、原作には遙か及ばなかったという無責任な批判も多かったのは、人間の想像力というものを映像で具現化するというのは相当困難であるという事だろう。映画の場合はそれが時代と共に相当なスピードで技術進化しているにも拘わらずである。特にSFというジャンルにおいては、言語のみによって脳内で構築される不確かな虚像の方が、実際の映像より遙かに豊かな表現力を誇っているのだ。その反面、映像的な部分で、これから先にどのような進化が見られるかが最も期待できる分野でもあるだろう。本作はオリジナルもリメイク版も、映画としてはその時代の最先端を行く充分な魅力を備えた作品に間違いはない。
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