映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の概要:未開の地に憧れる北軍の中尉が辺境の駐屯地でネイティブ・アメリカンと交流し、本来の自分を見付けていく人間ドラマ。ケビン・コスナーの初監督作。第63 回アカデミー賞で作品賞や監督賞など7部門を受賞した。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の作品情報
上映時間:181分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、西部劇
監督:ケヴィン・コスナー
キャスト:ケヴィン・コスナー、メアリー・マクドネル、グレアム・グリーン、ロドニー・A・グラント etc
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の登場人物(キャスト)
- ジョン・ダンバー / 狼と踊る男(ケビン・コスナー)
- 北軍の中尉。未開の地が失われる前に見ておきたいと願っている。
- 拳を握って立つ女(メアリー・マクドネル)
- ポーニー族に家族を殺され、スー族によって育てられた白人女性。
- 蹴る鳥(グレアム・グリーン)
- スー族の聖人。寡黙な賢人で、ダンバーが他の白人と違うことを見抜く。
- 風になびく髪(ロドニー・A・グラント)
- スー族の戦士。最初はダンバーを敵視するが、次第に心を開いていく。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のあらすじ【起】
1863年、南北戦争で足を負傷したダンバーは、死ぬつもりで北軍と南軍がにらみ合いを続ける前線を馬で駆け抜ける。すると、その姿に鼓舞された北軍が一気に攻め込み南軍を蹴散らす。一躍英雄となったダンバーは希望する駐屯地に行けることになり、開拓の最前線を目指す。
駐屯地は廃虚となっており誰もいなかったが、ダンバーは一人で留まる決意をする。駐屯地の近くに足が白い狼が姿を見せるようになり、ダンバーとの間に不思議な絆を育んでいく。
ダンバーが川で入浴していると、蹴る鳥が駐屯地に現れて馬を盗もうとする。ダンバーは裸のまま飛び出して行き、蹴る鳥は慌てて逃げ去る。ダンバーは武器を地中に埋めて隠し、襲撃に備えるようにする。
スー族によってダンバーの馬は2度盗まれそうになるが、その度に馬は自力で戻ってくる。ダンバーは自らスー族の元に乗り込むことを決意する。その途中で、腕を切って血を流している拳を握って立つ女を見付ける。拳を握って立つ女はダンバーに驚いて気を失ってしまい、ダンバーは彼女をスー族の村まで送り届けてあげる。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のあらすじ【承】
スー族は会議を開き、ダンバーと話をしてみることを決める。蹴る鳥と風になびく髪が代表として駐屯地を訪れ。ダンバーは身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取り始める。双方は次第に友好関係を築いていく。
蹴る鳥はダンバーと深い話をするために、拳を握り立つ女に英語を思い出すように頼む。拳を握り立つ女は、ポーニー族に家族を殺されて懸命に逃げた少女の頃の記憶を思い出す。ダンバーがスー族の村に呼ばれることになり、そこでダンバーは拳を握り立つ女と片言の英語で話すようになる。
ある夜、ダンバーはすさまじい地響きを聞き、野を駆けるバッファローの群れを目撃する。直ぐにスー族に知らせ、皆で群れを追う。ダンバーはスー族と共にバッファローを狩る。バッファローがスー族の子供に突進していくところを見たダンバーは、間一髪のところでバッファローを仕留める。その夜、ダンバーは風になびく髪と、軍服と族の装具とを交換する。ダンバーは次第にスー族から信頼される存在となっていく。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のあらすじ【転】
ダンバーは仲間を思いやり、自然との調和を大切にするスー族の生き方に感銘を受けていく。ある日、ダンバーが狼と野を走り回っている姿を目撃したスー族は、ダンバーを狼と踊る男と名付ける。スー族が敵対するポーニー族との戦いが近づき、ダンバーは男たちが戦で村を離れる間に家族を守るように頼まれる。
スー族の言葉を習得していったダンバーは、拳を握る女の夫が戦死し、彼女が喪に服していることを知る。互いに惹かれ合うようになったダンバーと拳を握り立つ女は人目を忍んで愛し合うようになる。
ポーニー族が村を攻めに近づいていることが分かり、ダンバーは駐屯地に武器を取りに戻る。スー族は銃を使い、ポーニー族を撃退することに成功する。ダンバーは政治や冨と関係なく家族と食料を守るだけの戦いに誇りを感じ、本当の自分を見いだしていく。
ダンバーと拳を握り立つ女が愛し合っていることを知った蹴る鳥は、拳を握り立つ女に喪が明けたと宣言する。ダンバーはスー族のしきたりに従って拳を握り立つ女と結婚式を挙げる。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ダンバーは蹴る鳥にいずれ大量の白人がやって来るであろうことを告げ、スー族の未来を案じる。相談の結果、スー族は土地を守るために、冬の住処に移動することにする。
移動を前に、駐屯地にスー族のことを記した日記を置き忘れたことに気付いたダンバーは、慌てて取りに戻る。しかし、駐屯地には白人の部隊が到着しており、ダンバーは捕らえられてしまう。通訳として軍に協力することを拒んだダンバーは司令部に移送されることになる。ダンバーを移送する一行が川に差し掛かったところで、ずっと追跡していたスー族の仲間が襲撃を仕掛けてダンバーを救い出す。
スー族の冬の住処に戻ったダンバーは、兵隊が自分を追って来るので皆と別れて白人の理解者を探しに行くと告げる。拳を握り立つ女もダンバーと共に歩むことを決める。ダンバーは蹴る鳥に手作りのパイプを渡し、別れの挨拶を交わす。皆に見送られてダンバーと拳を握り立つ女は雪山を後にする。しかし、白人の追っ手はスー族の冬の住処まで確実に迫ってくる。
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』の感想・評価・レビュー
それまで西部劇の中で野蛮な存在として描かれてきたネイティブ・アメリカンのイメージを完全に変えた映画史に残る名作。自然と調和して生きるネイティブ・アメリカンの魅力がストレートに伝わってくる。米国西部の広大な景観も目を見張る美しさで、バッファロー狩りのシーンは圧巻の迫力だ。ケビン・コスナーが私財をなげうってまで完成させた作品で、役者たちにラコタ語を話させるなど、徹底したこだわりを感じることができる。(MIHOシネマ編集部)
ネイティブアメリカン達への尊敬が感じられる作品です。自然と調和する彼らの生き方、誇り、逞しさが伝わってきます。動物たちもCGは使っておらず、生々しい力強さに圧倒されます。軍人として聖地へやってきた主人公が、ネイティブアメリカンと少しずつコミュニケーションを取り、互いの意思が伝わる場面は嬉しくてニヤニヤしてしまいます。また、映画のタイトルが「狼と踊る男」であることに観終えてから気づき、凄い伏線だなと感動しました。(男性 20代)
西部開拓時代を語る上で欠かせないネイティブ・アメリカンの存在。私が知る知識はほんの上辺だけですが、この作品はネイティブ・アメリカンに対するイメージを大きく変えてくれました。
ケヴィン・コスナーの初監督作品であり、自身が主演を務めていることからこの作品への熱量は強く感じていましたが、ネイティブ・アメリカンのスー族との交流を3時間にわたり描いているのでとにかく見応えがあります。
スー族の人たちのネーミングセンスが秀逸でクスッと笑ってしまいましたが、ネイティブ・アメリカンとの生活や交流を通して、様々なことを考えさせられる作品でした。(女性 30代)
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