この記事では、映画『パーマネント野ばら』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『パーマネント野ばら』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『パーマネント野ばら』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:100分
- ジャンル:ラブストーリー、ファンタジー
- 監督:吉田大八
- キャスト:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、本田博太郎 etc
映画『パーマネント野ばら』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『パーマネント野ばら』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『パーマネント野ばら』のあらすじを紹介します。
田舎の港町にある美容室「パーマネント野ばら」。
この店の主人はまさこ(夏木マリ)で、その娘のなおこ(菅野美穂)は娘のももを連れてで戻ってきていた。
キャバクラを経営するミッチャン(小池栄子)、貧乏なトモチャン(池脇千鶴)、そして母まさこはそれぞれ男運が悪くいつも不運な役回りだった。
なおこはというと高校時代から付き合っていた教師のカシマと付き合っていた。
高校に忍び込んで食事をしたり、飲みに行ったり。
あるとき家族が全員いなくて、カシマと温泉旅行へいったなおこ。
しかしうたた寝してしまい夕方起きるとカシマが帰ってしまったことに気が付く。
そしてまた別の日、浜辺をデートしている2人。
しかしミッチャンに声をかけられ振り向くとカシマの姿はない。
実はカシマはなおこが高校の時に水難事故で死んでいたのだ。
あまりのショックで忘れられなかった彼女は度々カシマの幻想を見ていたのだった。
このことはまさこをはじめ周囲はみんなしっていた。
そのうえでなおこを見守っていたのだ。
カシマが死んでいたのだという事実を受け入れたとき、娘のももが迎えにきた。

映画『パーマネント野ばら』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『パーマネント野ばら』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
気が付けば立っていた死亡フラグ
まさかそんなオチが用意されていたとは。
全く気にしていなかった。
というのも邦画で実は死んでいたというのはあまりイメージに無かったからである。
以前ハリウッド映画でシックス・センスという、実は主人公は死んでいたというオチの映画が大ブームとなったことがあったがアメリカ映画なら何となくやりそうであるという推測がその後つき出した。
しかしまさかの邦画である。
しかも菅野美穂という明るくて天然な感じの女優さんを起用しておいて、その推測は深野だった。
しかし今思い返してみると色々おかしい。
二人で歩いているとき途中で聞こえなくなる足音や姿など、それにあたるだろう。
まんまと騙されたといっても良い不意をつかれたラストシーンだった。
全体的には明るくほのぼのとした映画
上記で書いたように実は死んではいるが、決して暗くない作品。
それは菅野美穂という天性の明るいオーラをもった女優が主人公であるからではないかと思う。
彼女の演技の特性は悲しいものであってもどこか癒され温かみがあること。
それが心地よく、見ている側も彼女を必要としてしまう所以なのかもしれない。
登場人物のキャラがみんな良すぎて笑える
内容としては悲しい話ではあるが母まさこをはじめ、友人たちもまたパーマネント野ばらを取り巻く人たちのキャラクターが良すぎて笑えるシーンが多い。
これも物語の流れを作る大事な要素であり、タイトルのパーマネント野ばらを見事に光らせて意味のあるものにしてくれている構成である。
なぜか男運の悪い女ばかりが集まり、みんなであーでもないこーでもないとくだらない話で盛り上がっているだけでなく、実は傷ついたなおこを暖かく見守り続けてくれる居心地のよい場所であり羨ましささえ感じてしまう。
カシマの秘密が明かされた時、かなりの衝撃を受けた。ほのぼのとした作品で、そんな悲しい物語が隠されているとは微塵も思っていなかった。衝撃の大きさは、今まで見た作品の中で一番だった。
主演を務めた菅野美穂さんを始め、出演している女優&俳優の演技が全員素晴らしかった。悲しい物語が根底にあるのに、心が温まる人間の優しさも感じられる作品だった。見たら泣いてしまうのに、もう一度見たくなる大好きな作品。(女性 30代)
ほのぼの日常系の話かと思って観たら、まさかの大きな仕掛けがあった作品。それでもその仕掛けが悪目立ちしていない。日常の中の小さな狂気が自然に描かれた邦画らしい邦画だ。女優陣も魅力的だ。菅野美穂には以前(といっても大分以前)はどこかバラのトゲのようなものを感じていたが、それがなくなっていてこの作品に必要だったであろう喪失感の向こうの透明感が感じられ好印象だった。小池栄子もその役どころと相まって人間味溢れる素敵な近所のお姉さん感が良かった。そして夏木マリ、まさかパンチも似合うとは・・・(男性 40代)
つかみどころがないまま終わっていくのかなと思っていたらラストでグッと引き込まれ、視界がクリアになった感じでした。カシマの存在感がどことなくふわふわしていたのはそういう事だったのですね。なおこの結婚と離婚のタイミングは分かりませんが、本当に好きだったのはカシマなんだろうなと思うと切ない。狂っているかもしれないけれど、女性ならなおこを理解できる人も多いのではないでしょうか。何も言わずなおこのことを見守っているミッチャンとトモチャンの友情も良かったです。(女性 40代)
離婚して港町に娘も連れて戻ってきたナオコが、幼馴染たちや母親、そして“存在しないカシマ”との関係を通じて、自分の内側にある寂しさと幻想と向き合う物語。最終的に判明するのが、カシマはすでに水難事故で亡くなっていたということ。ナオコが「狂ってる?」と問いかけ、「この町の女はみんな狂ってる」という答えを受け入れるラストは痛い。彼女は幻想の相手を追い続け、自分と娘の居場所を探していたのだと痛感する。(20代 男性)
港町の小さな美容室「パーマネント野ばら」が、ただの風景以上の意味を持つ。登場人物たち—母、幼馴染、ナオコ—みんながそれぞれに男との関係で傷を抱えていて、それでも日常を繋ごうとする強さがある。特にナオコとカシマの“逢瀬”の描写は幻想と現実が曖昧で、夢のようでいて、どこか切ない。ラストで真実が明かされたとき、その曖昧な幸福の重さを改めて思い知らされる作品。(30代 女性)
ナオコの言動が「現実逃避」ともとれる一方で、それを責め切れない。彼女がカシマを失った後も、幻影とともに日々を過ごしてきた姿は、寂しさの深さを示している。もも(娘)が迎えに来るラストシーンには少し希望が見えるが、カシマの不在が現実であることを観客は否応なく感じる。そのギリギリのラインで揺れるナオコの心理が、菅野美穂の演技で静かに、しかし確実に心に響いた。(40代 男性)
母親まさこや幼馴染みっちゃん、ともちゃんらの“男運の悪さ”や、女の立場の苦さがあちこちに散りばめられていて、笑いと悲しみが混ざった独特のトーンが良かった。ナオコが「カシマはもともと死んでいた」というどんでん返しには、本当に驚いた。最初の方のシーンで聞こえなくなる足音や、カシマがいるはずの場面でぼんやりしてる気配など、伏線が丁寧に張られていたことにも感心した。幻想の中で生きていたことを受け入れるラストは、救いも苦みも含んでいた。(20代 女性)
この作品の静かだけど強いのは、「誰かを想うこと」や「過去を手放すこと」の難しさを、美しく映し出している点。ナオコとカシマの旅館での夜、カシマが先に出て行く場面、公衆電話で泣くナオコのシーンは、観客として胸が痛む。幻想を抱き続けることが日常になっていたナオコが、最後に少しずつ現実を見つめようとする姿に共感する。単純に「女性の強さ」の映画ではなく、「弱さを抱く強さ」の映画だと思う。(30代 男性)
友情や母娘関係が、この映画のもうひとつの柱としてきちんと機能していた。幼馴染のともちゃん、みっちゃんの苦悩や再出発、それを受け入れる街の雰囲気。ナオコの母まさこも、豪快だけど実は繊細で、娘のことを黙って見守るやり方が胸を打つ。カシマがもう亡くなっていたという事実に直面したあと、もも(娘)の存在がナオコにとって“生きる根拠”になっているんだということが伝わってくる。涙も笑いもある、こういう“日常の中の非日常”が魅力だ。(50代 女性)
物語の構造として、幻想と現実の曖昧さが重要で、それが観ていて不安な気持ちを生む。ナオコが「カシマはまだ生きている」と思い込んでいたのは、自分自身の孤独と、失った愛への執着のあらわれだろう。幻想と重なるシーンが多く、どこまでが“本当”か観る者も揺さぶられる。最終的に「狂ってるかもしれない」と言いながらも笑顔を見せるラストは、希望とも諦めともつかない。そういう混ざりあった感情を受け入れられる人には深い体験になる映画。(40代 男性)
映画『パーマネント野ばら』を見た人におすすめの映画5選
ジョゼと虎と魚たち
この映画を一言で表すと?
不器用な男女の関係に潜む孤独と愛を、優しくも切なく描く珠玉のラブストーリー。
どんな話?
足の不自由な少女・ジョゼと、平凡な大学生・恒夫の出会いから始まる恋愛模様。距離を縮めていく中で、互いの心に触れ、傷つき、成長していく。社会の片隅で生きる2人の不完全な関係が、観る者の心をじわじわと打つ作品。
ここがおすすめ!
現実と夢の間で揺れる感情を描いた演出が秀逸。池脇千鶴の圧巻の演技と、抑えたトーンで描かれるラストの余韻が印象的。『パーマネント野ばら』同様、“愛すること”のもろさと美しさに胸が締め付けられます。
かもめ食堂
この映画を一言で表すと?
北欧の風に包まれながら、心がほぐれるような優しさに満ちた物語。
どんな話?
フィンランド・ヘルシンキで日本食堂を開いたサチエ。偶然集まった女性たちとともに、少しずつ心の距離が縮まっていく。日々の営みのなかにある静かな癒しを描いた、ほのぼのとした人間ドラマ。
ここがおすすめ!
テンションの高いドラマではないが、丁寧に描かれる人と人との関わりが温かい。自分の居場所や人生の意味を模索する姿は、『パーマネント野ばら』の登場人物たちと重なります。日常の中の小さな希望を感じられる一作。
しあわせのパン
この映画を一言で表すと?
美しい北海道の風景とともに、心に沁みる再生の物語。
どんな話?
北海道・洞爺湖の湖畔にあるパンカフェ「マーニ」を舞台に、夫婦と訪れる客たちが、それぞれの人生の傷を癒していく。季節ごとのエピソードが重なり合い、少しずつ登場人物の心が解かれていく。
ここがおすすめ!
映像美と音楽が素晴らしく、観ているだけで心が穏やかになる映画。誰もが抱える喪失や悩みを、食と自然と会話で包みこむ優しい作品。『パーマネント野ばら』のような人生の“痛みと癒し”を求める人にぴったり。
紙の月
この映画を一言で表すと?
平凡な女性がたどる、崩壊と欲望の果て。
どんな話?
銀行員の主婦・梅澤梨花が、一人の青年との出会いをきっかけに、横領という犯罪に手を染めていく。ごく普通の女性の中に潜む孤独と欲求が徐々に暴かれていくヒューマンサスペンス。
ここがおすすめ!
宮沢りえの演技力が光る一作。静かに崩れていく女性の心情が丁寧に描かれ、観ている側も共感と恐怖のはざまで揺さぶられる。『パーマネント野ばら』にある“女性の孤独”をもっと突き詰めたい方におすすめです。
リリィ・シュシュのすべて
この映画を一言で表すと?
思春期の痛みと幻想を、静かに残酷に描き出した傑作。
どんな話?
中学生の少年たちが経験するいじめ、暴力、愛、裏切り、そして音楽。リリィ・シュシュという架空の歌手を崇拝しながら、現実の苦しみに耐える姿を詩的に描いた青春映画。
ここがおすすめ!
岩井俊二監督による映像詩。美しくも陰鬱な空気感が『パーマネント野ばら』の持つ幻想性や痛みに通じる。心に触れるセリフや映像が多く、観た後にしばらく余韻が残ります。音楽も素晴らしい。
みんなの感想・レビュー
PTSDという言葉がある批評にあった。そうかもしれない。菅野はその役を演じきったのかもしれない。でも、そんな枠付けを超える切なさを感じる。涙を誘う。江口の現世の人ではない雰囲気にも惚れる。シックスセンスとは異なる身震いするラストの展開に拍手。
何度見ても泣いてしまう
切ない映画
小池栄子や夏木マリが、とてもいい感じの役所
なぜか美容院のお客さんが
みんなパンチパーマみたいな笑い所もあり
ただの悲しい物語りにならない
菅野美穂の透明感のあるヒロインが、また切なくて泣かせる
恋人役の江口洋介が、こんなにも素敵に描かれている
ナイスキャスティングの映画だと思う♪