映画『ライフ・イズ・ミラクル』の概要:ボスニア紛争を舞台にしたエミール・クストリッツァ監督作。息子を捕虜にされたセルビア人の男が、捕虜交換のために敵対するムスリムの女と共同生活を送るようになる物語。男と女が恋に落ちることで、ドタバタ劇が繰り広げられる。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』の作品情報
上映時間:154分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:エミール・クストリッツァ
キャスト:スラヴコ・スティマチ、ナターシャ・ソラック、ヴク・コスティッチ、ヴェスナ・トリヴァリッチ etc
映画『ライフ・イズ・ミラクル』の登場人物(キャスト)
- ルカ(スラヴコ・スティマチ)
- 鉄道建設に情熱を燃やしているセルビア人。妻に逃げられた上に、息子のミロシュを捕虜にされてしまう。捕虜交換のために共同生活を送るようになったサバーハに恋してしまう。
- サバーハ(ナターシャ・ソラック)
- ムスリムの女性で、戦前は看護師として病院で働いていた。セルビア兵に捕まり、ルカの元に捕虜として預けられる。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ライフ・イズ・ミラクル』のあらすじ【起】
郵便配達員が知人宅に郵便を届けに行くと、家には熊がいて知人は殺されていた。郵便配達員は慌ててルカの元に報告に向かう。一方、ルカは息子とボール遊びをした後に、音楽団の練習に参加する。そこに市長が訪ねて来る。ルカは市長にセルビアに通じる鉄道の模型を見せ、建設の進行具合を説明する。ルカの息子は友人と一緒にドライブに出かけ、悪ふざけに興じる。
オペラ歌手のルカの妻は精神が不安定で、田舎暮らしに嫌気が刺していた。ルカは妻を連れて病院に診察にやって来る。そこで働いていたサバーハは2人の夫婦愛を見て羨ましがる。ルカの息子が出場するサッカーの試合が行われ、ルカと妻は観戦する。ルカの妻は監督に息子のことを売り込もうとして自慢の歌声を披露する。そうしたドタバタの中で、ルカの息子は見事にゴールを決める。しかし、試合場で観客も入り交じっての乱闘が勃発してしまう。その後、市長の号令で熊狩りが行われることになるが、その最中に市長は撃ち殺されてしまう。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』のあらすじ【承】
新市長が就任し、式典で新しい機関車がお披露目される。国内では民族対立が激しくなり、ルカの息子宛てに軍の召集令状が届く。妻はそのことで取り乱してしまう。そこに息子がサッカーのスカウトの連絡があったとの知らせを持ってくる。自宅でルカの息子のお別れパーティーが開かれ、ルカの妻はハンガリー人の音楽家と踊って楽しむ。その時に新市長の元に戦争が勃発したとの連絡が入ってくる。
翌朝、ルカは息子をバス停まで見送る。2人はしっかりと抱き締め合ってお別れをする。そして、ルカは涙を浮かべながらバスに手を振り続ける。一人になったルカは荒れ狂い、戦況を伝えるニュースに苛立ってテレビを壊してしまう。実はルカの妻はハンガリー人とどこかに姿を消えてしまっていたのだ。
戦況が益々激しくなる中、ルカの息子が一時的に帰宅してくる。ルカは息子の寝顔を幸せそうに見つめながら眠りにつく。翌朝、息子はソファで眠っているルカに毛布を掛けて、戦場に向けて出発してしまう。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』のあらすじ【転】
郵便配達員がやって来て、ルカに息子が捕虜になったことを告げる。2人は軍の中隊長に事情を聞きに行き、中隊長はルカの息子を取り戻すと約束する。軍隊にいるミロシュの友人がサバーハを捕虜にしてルカの元に届けてくる。そして、サバーハに手紙を書かせてミロシュと捕虜交換させようと提案する。ルカはサバーハを家に滞在させる。サバーハは家事を色々とするが、妻の服を着たらルカは怒ってしまう。ルカは義姉の服をサバーハにあげる。
爆撃が激しくなったある晩、怖くなったサバーハはルカと同じベッドに入ってくる。そして、2人はキスを交わす。戦闘が激しくなって住民が避難を開始したため、ルカもサバーハを連れて逃げる。避難先に産気づいた人が出て、サバーハはお産を手伝ってあげる。ルカはサバーハのことが愛おしくなってきたと告げる。しかし、サバーハが有力者ではなく貧しい家庭の出身と明かすと、ルカは怒ってしまう。ルカはサバーハを置いて出て行くが、サバーハは懸命に後を追う。そして、ルカがいる山小屋に辿り着き、2人はそこで愛し合う。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルカとサバーハが山小屋で生活しているところに、ルカの妻が戻って来る。ルカの妻とサバーハは殴り合いの喧嘩を始め、修羅場となる。サバーハは逃げだしてしまうが、ルカは妻を縛り付けて追い掛ける。ルカはサバーハに追いつくと、2人でオーストラリアに行こうと誘う。2人で川を渡って逃げようとしている時にサバーハは狙撃手に撃たれてしまう。ルカは足を怪我したサバーハを抱きかかえて逃げる。ルカはサバーハをソリで中隊長の元まで運び、治療してもらう。意識を失いつつあるサバーハのために、ルカは自らの血を輸血させ、オーストラリアでの新生活について語り続ける。
国連の主導で捕虜交換が行われることになり、サバーハは橋で川の対岸に運ばれていってしまう。ルカは懸命に追い掛けようとするが、対岸からルカの息子がやって来たために息子と抱き締め合う。ルカは妻と息子と共に家に帰ってくる。家は完全に荒らされていた。しかし、ルカはサバーハを失った悲しみで落ち込んでしまう。そして、一人で線路を移動して列車に轢かれようとする。しかし、ロバのお陰で列車が止まり、そこにサバーハが現れる。ルカはサバーハとロバに乗ってトンネルをくぐる。
映画『ライフ・イズ・ミラクル』の感想・評価・レビュー
エミール・クストリッツァ監督の傑作である『アンダーグラウンド』の風刺と『黒猫白猫』と軽快なノリを合わせたような作品だが、結果的に中途半端に終わってしまっている。サバーハが捕虜としてやってくるまでの展開がダラダラしており、飽きさせる。また、サバーハに対するルカの態度がコロコロと変わるために、愛の重みが全く伝わってこない。クストリッツァ監督らしく動物が良いアクセントとなっており、特にロバの存在が印象的だった。(MIHOシネマ編集部)
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