映画『無防備都市』の概要:イタリア・ネオレアリズモの先駆的作品。妊婦や神父の生々しい射殺シーンは、当時の人々に衝撃を与えた。監督はロベルト・ロッセリーニ、脚本は『道』『8 1/2』の監督フェデリコ・フェリーニが手がける。
映画『無防備都市』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:ロベルト・ロッセリーニ
キャスト:アルド・ファブリッツィ、アンナ・マニャーニ、マルチェロ・パリエーロ、マリア・ミーキ etc
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映画『無防備都市』の登場人物(キャスト)
- ジョルジオ・マンフレディ(マルチェロ・パリエーロ)
- 反ナチ解放戦線の幹部。ゲシュタポから追われ、身を隠している。最後は恋人だったマリナに裏切られ、拷問の末に命を落とす。
- ドン・ピエトロ・ペレグリニ神父(アルド・ファブリーツィ)
- ローマの司祭。レジスタンスの人々を極秘に支援する。マンフレディらと共にゲシュタポに捕まり、彼の死を見届ける。最後は子供達が見守るなか、処刑されてしまう。
- ピナ(アンナ・マニャーニ)
- シングルマザー。マンフレディを匿う。結婚を控えているうえ身籠っていたが、ドイツ軍に射殺されてしまう。
- フランチェスコ(フランチェスコ・グランジャッケ)
- 印刷工。ピナの婚約者。ドイツ軍に捕まるが、味方のレジスタンスの活躍により解放される。ゲシュタポからもうまく逃げ果せる。
- マリナ・マリ(マリア・ミーキ)
- 女優。マンフレディの恋人であったが、ゲシュタポの諜報員・イングリッドの手にかかり、彼を裏切る。
- ベルグマン少佐(ハリー・ファウスト)
- マンフレディを逮捕し、拷問にかける。「ドイツ人は支配民族である」という思想を持つ。神父に対しても処刑を命じる。
- イングリッド(ジョヴァンナ・ガレッティ)
- ゲシュタポの美しい女性諜報員。マリナを虜にし、マンフレディの逮捕に協力させる。
- マルチェロ(ヴィト・アニチアリコ)
- ピナの息子。他の少年たちと共にレジスタンスに加担しており、親の目を盗んで行動している。
映画『無防備都市』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『無防備都市』のあらすじ【起】
第二次世界大戦末期、イタリアは連合軍に降伏し、ドイツの占領下に置かれる。
反ナチスを掲げるレジスタンスの幹部・マンフレディは、ドイツ軍の来訪をいち早く察知して身を隠す。ゲシュタポの高官・ベルグマンは、彼の逮捕を待ち望んでいた。彼のいる隣の部屋からは、拷問に苦しむ人の悲鳴がひびく。
その頃、町の女たちは食料を求めて暴動を起こす。その中にはピナの姿もあった。未亡人で子持ちの彼女は、恋人であるフランチェスコとの婚約を控え、新たな子供を身籠っていた。
留守のフランチェスコを訪ねてやってきたマンフレディを、ピナは部屋に通す。彼はピエトロ紳士を呼ぶようピナに頼む。ピナは息子のマルチェロを教会へ遣わす。
教会では、少年たちが騒がしくサッカーに興じている。神父はマルチェロと共に、マンフレディの元へと向かう。ピナが明日に控えた結婚式の話をしていたところ、神父が到着する。マンフレディは、味方レジスタンスへの軍資金の運搬を、神父に託す。神父は、印刷所で働くフランチェスコに会いにいく。そこで、本に偽造した軍資金を受け取る。
映画『無防備都市』のあらすじ【承】
女優のマリナは、マンフレディからの「もう会えない」という伝言を聞く。日常的に薬を吸っているせいか、彼女の体調は優れない。そこへ、イングリッドが来訪する。美しい彼女を見て、マリナは破顔する。
神父がレジスタンスに金を届けにいった頃、フランチェスコは帰宅し、マンフレディと合流する。ゲシュタポの動きを警戒する二人。そこへピナが入ってくる。帰ってこないマルチェロを一同が案じていたところ、外で爆撃音がする。その暴動には、マルチェロ含む少年たちが加担していたのだ。遅くに帰ってきたマルチェロを、ピナは激しく叱る。一方、フランチェスコは彼に優しく話しかける。マルチェロはすっかりフランチェスコに懐き、彼をパパと呼ぶ。
ベルグマンを筆頭に、ゲシュタポはマンフレディを逮捕すべく話し合う。そこにはイングリッドの姿もあった。彼女はマリナを通じて、マンフレディの動向を探っていたのだ。
ピナの結婚式当日、ドイツ軍がピナのアパートを包囲する。住民は全員外に出され、ドイツ軍はマンフレディたちの姿を探す。マルチェロたちは、アパートに隠した爆弾を回収すべく、神父と共に奔走する。そんな中、逃げ遅れたフランチェスコが捕まってしまう。彼を乗せたトラックを追いかけたピナは、ドイツ軍に射殺されてしまう。母の死に、マルチェロは泣き叫ぶ。
映画『無防備都市』のあらすじ【転】
レジスタンスの逆襲により、フランチェスコはうまく逃げ果せる。マンフレディと落ち合うと、マリナの家に匿ってもらうことにする。だがマリナは、すでにイングリッドの手に落ちていた。マンフレディとの関係がすっかり冷え切っていたマリナは、その夜イングリッドに密告の電話をかける。
翌日、マンフレディたちは神父と合流する。フランチェスコは、マルチェロからピナの遺品を託され、見送られる。ところが、先に出発したマンフレディと神父は、マリナの密告によりゲシュタポに見つかり、捕まってしまう。彼らの逮捕の知らせを受け、ベルグマンとイングリッドは満足げな様子だ。イングリッドは別室にいるマリナに、褒美として自分のコートを与える。
マンフレディは味方を売ることなどしないと宣言し、一切口を割らない。神父はレジスタンスに加担した罪に問われるが、神の意向に従ったまでだという主張を崩さない。彼はマンフレディの拷問の様子を見学させられ、心痛に苦しむ。マンフレディは鞭で殴られたり、火で炙られたりと厳しい拷問に耐える。
映画『無防備都市』の結末・ラスト(ネタバレ)
ベルグマンは拷問の間、優雅な音楽のかかった部屋で過ごす。そこにはマリナとイングリッドの姿もあり、二人はくつろいだ様子を見せる。ベルグマンは、ドイツ人こそ支配民族であると高らかに語る。皮肉にも、マンフレディがもし口を割らなければ、彼らを対等の人種であると認め、戦う意味もなくなると豪語する。それを聞いていたある将校は、ベルグマンの偏った考えを否定する。戦争は憎悪しか生まず、自分達に待っているのは絶望だけだと諭す。
マンフレディは一向に口を割らなかった。焦るベルグマンは、気絶した彼を無理やり注射で起こし、拷問を続ける。やがて彼は息を引き取る。神父は彼に祈りを捧げ、涙を流してベルグマンを責める。一方、マンフレディの遺体を見たマリナは意識を失ってしまう。イングリッドは非情にも、倒れているマリナのコートを剥ぎ取る。
神父は処刑されることになる。フェンスの外から少年たちが眺めている中で、神父は射殺される。そこにいたマルチェロは肩を落として、少年たちと刑場を去ってゆく。
映画『無防備都市』の感想・評価・レビュー
ネオレアリズモが肌に合わないことはさておき、ロッセリーニの強い使命感なるものをひしひしと感じた。妊婦と神父の有名な射殺シーンは、救いようのない社会の絶望を象徴している。淡々とした撮影でありながら、ものを言わせぬ訴えを投げかけている。見るのにとても体力を要する映画であった。
フィルムの破損が激しいため、多くのカットが白飛びしたり黒く潰れたりしていた。ぜひデジタル・リマスター版での鑑賞をおすすめしたい。(MIHOシネマ編集部)
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