ハリウッドが現在最も注目する女優の一人、ジェシー・バックリーが主演を務めるミュージカル作品が誕生。二人の子供を抱えながら、歌手という自らの夢を真っ直ぐ突き進む熱い女性を見事に演じ切った。
映画『ワイルド・ローズ』の作品情報
- タイトル
- ワイルド・ローズ
- 原題
- Wild Rose
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2020年6月26日(金)
- 上映時間
- 102分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- トム・ハーパー
- 脚本
- ニコール・テイラー
- 製作
- フェイ・ウォード
- 製作総指揮
- ナターシャ・ワートン
レスリー・フィンレイ
アリソン・オーウェン
ザビエル・マーチャンド
ポリー・ストークス - キャスト
- ジェシー・バックリー
ジュリー・ウォルターズ
ソフィー・オコネドー
ジェイミー・シーベス
クレイグ・パーキンソン
ジェームズ・ハークネス
ジャネイ・ゴドリー
ディジー・リトルフィールド - 製作国
- イギリス
- 配給
- ショウゲート
映画『ワイルド・ローズ』の作品概要
一般の視聴者はともかく、批評家達から高評価を得るということは非常に難しい。しかし、本作は何と、そんな批評家達から支持率93%という高い数字を勝ち取った期待作。家族と自分の夢の間で大きく揺れ動く主人公の繊細な感情、そして、彼女の圧倒的なカリスマ感に目を奪われる。これまでは脇役として映画を彩ることの多かった主演、ジェシー・バックリーにとっても、間違いなく出世作とも呼べる一本になった。恐らく、今作をきっかけに彼女はより多くの映画に出演していくこととなるだろう。そんな、新たな大女優の誕生をスクリーンで見守ろう。
映画『ワイルド・ローズ』の予告動画
映画『ワイルド・ローズ』の登場人物(キャスト)
- ローズ=リン・ハーラン(ジェシー・バックリー)
- 長年、カントリー歌手になることを夢見てきたシングルマザー。二人の子供を抱え、日々を精一杯生きてきた。
- マリオン(ジュリー・ウォルターズ)
- ローズの母親。ローズに対して、歌手になる夢を諦めて、もっと着実にキャリアを積んでいけとアドバイスする。
- スザンナ(ソフィー・オコネドー)
- 地元の資産家で、ローズが家政婦として働くことになる家の家主。ローズの歌唱力とカリスマ性に魅了される。
映画『ワイルド・ローズ』のあらすじ(ネタバレなし)
ローズ=リン・ハーランは、カントリー歌手になることを夢見ている女性。しかし、彼女には大きな問題があった。2人の子供を抱えるシングルマザー、さらに、なんと彼女は刑務所から出所したばかり。そんな彼女にとって、その夢はまさに、夢のその夢であった。日々、家政婦として懸命に働く彼女。しかし、そんな彼女にチャンスが突如やってくる。彼女の勤め先の主人であるスザンナが、彼女の歌に惚れ込んだのだ。資産家であるスザンナが支援をしてくれることが決まり、着実に夢へと近づいていくローズ。類稀なる彼女の歌声とそのカリスマ性に、人々は魅了されていく。しかし、スターダムを駆け上がっていく一方で、家族との時間が少しずつ無くなっていく。長年の夢であった歌手という人生と、大切な家族の間で板挟みになったローズ。果たして、彼女は家族と自分の夢、どちらを選ぶのか。大切なものの間で揺れ動くローズの葛藤を描く。
映画『ワイルド・ローズ』の感想・評価
自分のキャリアで迷う女性
近年、女性の社会進出が進んでいる。仕事は男性、家事育児は女性の仕事という考え方は、最早古い常識となった。しかし、女性がキャリアアップしていく上で大きな悩みの種となるものがある。それが、結婚、出産である。それらをすることで、自分の出世が遅れてしまうかもしれない、子供を産んでもサポートが足りず、仕事に復帰できないかもしれない。そういった悩みを抱える人は、実はとても多い。そのため、近年の晩婚化、出産の高齢化に繋がっているのかもしれない。本作の主人公であるローズも、自分の夢と家族との間で葛藤を抱えている。しかも、彼女はシングルマザー。自分一人で子供達を支えていかなければいけない分、そのプレッシャーは大きい。同じような悩みを抱える女性であれば、深く共感しながら見ることができるのではないだろうか。
圧倒的な歌唱力
幼い頃、将来の夢として歌手を挙げていた人は、案外多いのではないだろうか。スポットライトを浴び、人々に喝采されるような歌手になりたい。その夢は、成長するにつれ他の夢へと変わっていくことになる。しかし、何年経っても変わることなく、その夢を大事に持ち続けている人もいる。本作の主人公もその一人。しかし、その夢を叶えられるのは本当に一握り。実力は勿論のこと、幸運に恵まれなければ、歌手という夢は中々叶わない。これまで幸運とは無縁だった彼女。しかし、彼女の歌唱力はまさに折り紙付き。例え幸運に恵まれなくとも、その実力で、自らチャンスを呼び込んで見せたのだ。運も実力のうちという言葉があるが、まさにその言葉を体現して見せた彼女の実力は必見。
映画『ワイルド・ローズ』の公開前に見ておきたい映画
ジュディ 虹の彼方に
圧倒的な歌唱力で観ている者を魅了した作品。そんな作品群の先輩として、近年最も注目されたのは本作ではないだろうか。本作は、ハリウッドで実際に活躍したジュディ・ガーランドという女性に着目した伝記作品。女優でありながら、グラミー賞の最優秀アルバム賞を獲得するなど歌唱力が高く評価された彼女。しかし、そんな彼女の人生は決して順風満帆とは言えなかった。47歳という若さでこの世を去った彼女の激動の人生に迫る。本作でジュディを演じたレネー・ゼルヴィガーは全ての歌唱シーンを自身で演じ、『キャリアベスト』と称されたほどの実力を見せつけアカデミー賞主演女優賞を獲得した。そして、本作には最新作で主演を務めているジェシー・バックリーも出演しているのだ。音楽が持つ力を、改めて教えてくれる一本。
詳細 ジュディ 虹の彼方に
オペラ座の怪人(2004)
ハリウッドと言えば、アメリカカリフォルニア州にある、映画好きでなかったとしてもその名前を知っている、まさに映画の聖地である。多くの演者、スタッフ達が、ハリウッドを目指し、その場に集っている。そんなハリウッドは、まさしく人材の宝庫。あらゆる役に対応できるように、あらゆる特技を持った人材が所属しているのだ。最新作同様、本作のヒロインを演じたエミー・ロッサムもその一人。本作は、元々がアンドリュー・ロイド・ウェバー作のミュージカルを映画化したもの。圧倒的な歌唱力を持ったヒロイン、クリスティーヌとオペラ座の地下に住む謎の怪人の交流を描いた作品。そんなクリスティーヌ役を演じたエミーは、幼い頃からオペラを嗜み、7歳にしてメトロポリタン歌劇場の舞台に立ったというまさに歌のスペシャリスト。クリスティーヌ役を演じるのに、まさにこれ以上ないほどの逸材だったのだ。ハリウッドの持つポテンシャルの高さを見せつけてくれる一本に仕上がっている。
ワン チャンス
人生は決して、楽なことばかりではない。辛いことの連続、挫けそうな心。しかし、努力をしていれば、必ずいつかチャンスはやってくる。そのチャンスを逃さずに、勇気を持って飛び込めるか。それこそが、自分の夢を叶えるための秘訣なのだ。最新作では、主人公が自分の才能を認めてくれる人物に出会ったように、本作の主人公も、ある日チャンスを手にすることとなる。主人公のポール・ポッツは、幼少の頃よりオペラ歌手になるという夢を抱いていた。しかし、中々その夢も叶わず、彼の夢は最早、夢のままで終わる寸前だった。しかし、ある日彼にチャンスが訪れる。なんと、超有名番組、ブリテンズ・ゴッド・タレントへの出場権を手にしたのだ。これは、実際に同番組に出演し、後にプロの歌手としてデビューすることとなる、ポール・ポッツの伝記作品。
詳細 ワン チャンス
映画『ワイルド・ローズ』の評判・口コミ・レビュー
“歌手として成功する夢”か”母親として夢を諦めるか”の選択を迫られる18歳で子を産んだシングルマザーを描く「ワイルドローズ」試写で鑑賞。
すごくよかった…すべての”母”に観てほしい。母と娘の会話で引くほど泣いた。そしてラスト5分…!力強い歌声に勇気をもらえる最高の音楽映画が誕生。6/26公開 pic.twitter.com/yEHDQAMCK7— (@DIZfilms) June 22, 2020
『ワイルド・ローズ』鑑賞。
タイトルがシンプルで、ハマっててキマってるって
スッゴイカッコいい!
強い個性はとても強い魅力であり同時に毒でもある。
素のローズは素敵。
でも、家族と自分に向き合うローズはもっと強く光り輝いていた!
そして素晴らしき子供と母ちゃんの強さ!
家族っていいね。 pic.twitter.com/sx6VWdxBZJ— とりから (@torikara14) June 28, 2020
『ワイルド・ローズ』’18
“ 夢を追いかけるヒロイン ”の無謀さや迷走、挫折ってどうしてこうも心惹かれてしまうんだろう。
そしてそれを見てしまうと彼女がどんな結論を出しても無条件で応援したくなります。ローズのお母さんのように。
夢をつかむジェシー・バックリーの歌が、声が、最高でした!! pic.twitter.com/ovjlJQxlAr— Mondays (@raintree730) June 28, 2020
『ワイルド・ローズ』
良い!夢を追うにはいろいろ背負い過ぎてしまったものの全部抱えて尚走るローズ。カントリー歌手としての成功最優先に度胸と負けん気でもって挑む彼女が突きつけられる己の甘え、より良き自分とは?の距離を痛感し今一度模索する。その先の彼女の答え、渾身の真実に揺さぶられた pic.twitter.com/NM7WTkYulC— コーディー (@_co_dy) June 27, 2020
『ワイルド・ローズ』映画館にて74本目。
夢を叶えるため現実に抗いもがく刑務所出の母親。家庭と夢との葛藤に苛まれながら突き進む姿は同じような境遇の人にとってエールに。ジェシー・バックリーの圧倒的歌唱力に心震え、ジュリー・ウォルターズの聖母的存在感が彼女を後押しする。 #EDDIE映画2020 pic.twitter.com/6WptIvZ001— EDDIE@Kings28-36 (@eddie2yuji) June 27, 2020
映画『ワイルド・ローズ』のまとめ
人にとって、大切なもの、優先したいものはそれぞれ。例えどの選択をしたとしても、他者がそれを批判する権利はない。しかし、そんな大切なものが一つだけとは限らない。どちらにも平等に愛を捧げたい、優劣など付けようのない大切なものが、人には数多くある。しかし、その中でどちらかを選択しなければいけないと言われた時、果たして人はどのような行動に出るのだろうか。家族か、長年の自分の夢か。そんな究極の選択を迫られた主人公の葛藤と、そんな彼女を支える周りの愛に思わず共感してしまうはず。
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