『オズの魔法使』で一躍有名になり、47歳で人生の幕を下ろした伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランド。レニー・ゼルウィガーが彼女の人生を描き上げ、第77回ゴールデングローブ賞・主演女優賞を受賞した。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の作品情報
- タイトル
- ジュディ 虹の彼方に
- 原題
- Judy
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2020年3月6日(金)
- 上映時間
- 118分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
伝記 - 監督
- ルパート・グールド
- 脚本
- デビッド・リビングストーン
- 製作
- ローズ・ガーネット
アンドレア・スカルソ
ミッキー・リデル
ピート・シレイモン
ローレンス・マイヤーズ
リー・ディーン
アーロン・レベン
チャールズ・ダイアモンド
エリス・グッドマン
ヒラリー・ウィリアムズ - 製作総指揮
- キャメロン・マクラッケン
- キャスト
- レニー・ゼルウィガー
ジェシー・バックリー
フィン・ウィットロック
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン - 製作国
- イギリス
- 配給
- ギャガ
映画『ジュディ 虹の彼方に』の作品概要
『シカゴ』(02)や『ブリジット・ジョーンズ』シリーズなどで有名なアカデミー賞女優レニー・ゼルウィガーが、伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドを演じる伝記映画。『オズの魔法使』で人気を博し、早期から華やかなキャリアを築いたジュディだったが、その成功の後の苦悩や、晩年の様子についてはあまり知られていない。この作品では、ジュディの人間らしさ、その生き方の面からも彼女の生涯を取り上げている。原作は舞台劇『エンド・オブ・ザ・レインボー』。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の予告動画
映画『ジュディ 虹の彼方に』の登場人物(キャスト)
- ジュディ・ガーランド(レニー・ゼルウィガー)
- 伝説のミュージカル女優。美しい声の持ち主だが、やがて借金に追われいくつもの苦悩を経験してゆく。
- シドニー・ラフト(ルーファス・シーウェル)
- ジュディの歴代夫の一人で、順番では3人目。
- ローナ・ラフト(ベラ・ラムジー)
- ジュディとシドニーの間の娘。ジュディと暮らすことを拒否する。
- ライザ・ミネリ(ジェマ・リア=デヴェロー)
- ローナの前に生まれたジュディの娘。ローナと父親が違う。
映画『ジュディ 虹の彼方に』のあらすじ(ネタバレなし)
その美しい声で17歳の頃にスカウトを受け、「オズの魔法使」のミュージカルで彼女はスターとなった。しかし、誰もが知るジュディ・ガーランドの華やかな人生には、誰も知らないその後があった。
多額の借金を抱えて歌うこともできなくなり、孤独な思いに苛まれながら苦悩を続けていた彼女は、何人もの過去の夫との間にもトラブルを抱えていた。必要とされるべき娘にさえ同居を拒否され、泣きじゃくるジュディ。
ずっと歌い続けてきた彼女は、人生がうまくいかずに苦しんだあとも結局舞台へと戻ってゆく。自分の居場所はここにしかないと信じているジュディ。またマイクを握り、47歳でその命を終えるまで、ステージでスポットライトを浴び続けていた。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の感想・評価
ジュディ・ガーランドの生涯
アカデミー賞を受賞した『オズの魔法使』を皮切りに、次々とスターダムに駆け上がった女優、ジュディ・ガーランド。この映画で描かれた彼女はアメリカのミネソタ州で生まれた。1969年6月22日、47才の若さで亡くなるまで、波乱万丈の人生を過ごしている。
AFI賞、グラミー賞、ゴールデングローブ賞など、知名度のある賞を次々と獲得し、華やかに見えたその生涯。その裏では覚せい剤中毒や精神病院への入院、撮影の放棄による映画の主役降板など、様々な不幸も彼女を襲い続けていた。結婚と離婚を繰り返し、中絶や子供との不仲に悩まされ、自殺を試みたこともあった。
ハリウッドに愛され、ハリウッドを憎んだ彼女の生涯が描かれるこの作品は、改めてジュディ・ガーランドという女優の姿を見つめ直させてくれることだろう。
ジュディの娘が映画化に難色?
ジュディ・ガーランドの人生を映画化するにあたって、娘のライザ・ミネリがフェイスブックで声明を発表している。ライザはこの映画に関して、主演のレニーとは一度も会っておらず、作品そのものを支持していないと主張。順風満帆に製作されていたかに見えた矢先の予想外の出来事だ。
ライザもまた、ジュディと同じく女優となり、その歌唱力を評価されているアカデミー賞経験者だ。スキャンダル、トラブルなどの話題に事欠かない点にも母・ジュディの影を感じないでもない。その彼女からの支持が得られていないとなると、この映画の成功は危ういのだろうか?
ジュディそっくりに仕上がったビジュアル、吹き替えなしで歌いきったジュディの往年の歌の数々。レニーの完成度の高さに期待の集まる本作公開後、ライザがどのような声明を出すのかもまた、気になるところだ。
レニーの歌唱力
ジュディ・ガーランドを演じるレニー・ゼルウィガーは、「シカゴ」(02)でゴールデングローブ賞、アカデミー賞の主演女優賞に輝いた。ミュージカル映画での実績があり、その歌声にも期待が集まっている。また、本作でも英国アカデミー賞を受賞済だ。
役に入り込むための体重の増減や、人種の違う役どころなど難易度の高い役にも次々と挑戦してきた彼女は、今作でも有名な「オーバー・ザ・レインボー 虹の彼方に」をはじめとした全ての曲を自らの声で歌い上げている。レニーのキャリア上、今作が一番の傑作であると批評家からも高い評価を得ており、高い再現度やエモーショナルな画面作りの観点からも期待ができそうだ。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の公開前に見ておきたい映画
ブリジット・ジョーンズの日記
3作通してレニー・ゼルウィガーが主人公をやり通した人気シリーズで、見た目、言語のリアリティから役作りを行ったという、彼女の女優としての努力がよく現れた作品。レニーはこの映画のために9キロの増量を行い、またイギリス英語を習得した。
可愛らしさを残しながらも、コメディとして恋愛映画を描き上げるには抜群のキャスティングであり、人気シリーズとなったのはまさに彼女のキャラクターとしての魅力が大きい。魅力的な二人の男の間で霞まないキャラクター性、ドタバタと愛くるしくドラマを繰り広げるレニーを堪能し、またその人を惹きつけてやまない、彼女の圧倒的な才能を感じておくべきかもしれない。
サンセット大通り
かつて大女優だった女、ノーマの豪華で切ない晩年を描くフィクション映画。過去の栄光にすがりつき、落ちぶれてしまった今から目をそらしたまま生きる彼女の姿を見ながら、女優という職業が人生を狂わせていくことについて、しみじみと感じさせられる。
栄光を一度得た者のなかで、栄光を持ち続けることができる者はさらにひと握りもいないだろう。過去の栄光に振り回されたり、その落差で心を病んだり、また栄光に寄ってくる者たちのせいで不幸になることもあるだろう。もしかすると、夢を掴んだ後に待ち受けている人生のほうが、波乱万丈でドラマティックだったということもあるのかもしれない。
しかし、一度舞台に立った者がそこでしか生きられないのはやはり魅力的である。ステージから降りても、ステージに再び上がることを考えている者たちの人生を、私たちは見たいと思ってしまうのだろう。
詳細 サンセット大通り
レスラー
リングの上でしか生きられない男が、リングの下に降りてきた。かつてはレスラーとして戦っていたラムの、落ちぶれて悲惨な現状を延々と見せられる本作は、そんな不器用な彼に苛立ったり、同情したり、しかしやはり惹かれてやまない気持ちを思い起こさせられる。
自分の居場所があり、そこにいるときだけ生き生きと輝くことのできる人種は、もちろん俳優・女優だけではない。レスラーもそうであり、また私たちも多かれ少なかれそういった面がある。本領を発揮できる舞台に立つまでの苦悩、そこから降りてしまったときの絶望を本作でも感じることができる。
ゴールデングローブ賞、アカデミー賞など様々な賞を獲得した、リングとその外で戦う男の映画。生き方の物語である。
詳細 レスラー
映画『ジュディ 虹の彼方に』の評判・口コミ・レビュー
「ジュディ 虹の彼方に」観た。
伝説のミュージカル女優の光と闇、胸を衝く過去と壮年期を相対的に映し出し、ジュディにとっての愛の所在を考えさせる。
人生という背景を乗せて情感を揺さぶる歌唱はド直球に心を刺激し、切なさと愛おしさが込み上げた。
何かしらの痛みを抱える人は強い。 pic.twitter.com/YhkI8D8SFo— レク (@m_o_v_i_e_) 2020年3月7日
『ジュディ 虹の彼方に』
早過ぎる晩年を迎えるも最後に渾身の火を灯すジュディ!華々しさと引き換えの搾取により10代にして乱れ、不安定な心は更に孤独に追い遣る。そんな重なる悲壮に削られながらも気迫のステージで輝きを放つスターの気質、ただ愛を求め疾走した彼女のありのままを捉える良作です pic.twitter.com/L0SlLhVWl5— コーディー (@_co_dy) 2020年3月6日
『ジュディ 虹の彼方に』鑑賞。伝説のミュージカル女優の晩年を描いたルパート・グールド監督作品。レネー・ゼルウィガーの演技は圧巻。ロンドン公演に焦点を絞った構成とはいえ、時折挟み込まれる子役時代の回想も胸に刺さるものがあった。ジュディが作り物ではないケーキを食べるシーンで号泣。 pic.twitter.com/1x1Pfik5Yy
— だよしぃ (@purity_hair) 2020年3月7日
ジュディ 虹の彼方に
自身がボロボロに壊れ切っても、舞台でひとたび輝けば人々を夢の世界へ誘ってくれるジュディ。不安定な面ばかりでなく彼女なりの不器用な優しさも描かれてたのが嬉しくて切なかった。「虹の彼方に」の夢うつつな歌詞が今までで一番心に刺さったな。もっとジュディが好きになった。 pic.twitter.com/Qo8jyMPxdK— holly (@jm22610) 2020年3月7日
「ジュディ 虹の彼方に」
幼い頃からスターであったがために、普通に歩めなかった人生。
彼女は弱い。弱いがゆえに、人の心を掴む歌が歌えたのか?
声だけでなく、命を振り絞るように生き急いたジュディが憑依したかのような、レネー・ゼルウィガー渾身の演技。間違いなく彼女の最高の作品。
痺れた! pic.twitter.com/KTKkzsRu04— CINEMA de 森の音 (@5GhOKjn9YuThlYa) 2020年3月6日
映画『ジュディ 虹の彼方に』のまとめ
ジュディ・ガーランドという女優を再現するために呼ばれた女優が、レニー・ゼルウィガーである。ということで、この映画がジュディを再現するために本気であるということが伝わってくる。もちろん歌をしっかりと楽しみながら、知られている人生、それ以外の人生、彼女のすべてをきちんと受け止めていきたい。生き方を知ることで、彼女の華やかな部分に関しても、より深く理解することができるのではないだろうか。
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