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映画『私の人生なのに』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『私の人生なのに』の概要:将来有望であった新体操選手が突如半身不随となり夢破れた。東きゆう著、清智英原案の小説を原作に実写化。新体操や車いすの練習にも初めて挑み、主演を務めたのは元KARAの知英。

映画『私の人生なのに』の作品情報

私の人生なのに

製作年:2017年
上映時間:103分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
監督:原桂之介
キャスト:知英、稲葉友、落合モトキ、蜷川みほ etc

映画『私の人生なのに』の登場人物(キャスト)

金城瑞穂(知英)
容姿端麗で将来有望と期待されながら、突如病に倒れてしまい夢破れた女子大生。幼馴染である淳之介と再会し、新たな人生の楽しみ方を見つけていく。
柏原淳之介(稲葉友)
瑞穂の幼馴染。中学生のときに親の事情で町を離れていたが、瑞穂が病気になったという記事を見つけ会いに戻ってきた。ギターを抱え、歌うことが好きで続けている。
本田(落合モトキ)
瑞穂の部活の顧問。病を抱え、夢を諦めざるを得ない瑞穂を常に気にかけている存在。体育大学だからこそバリアフリーが定着すべきだと理想を抱き、瑞穂と一緒に変えていこうとしている。

映画『私の人生なのに』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『私の人生なのに』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『私の人生なのに』のあらすじ【起】

誰もいない体育館で、一人黙々と練習をする瑞穂。しかし、身体が言うことを聞かず違和感を覚えた矢先、異様な痛みに襲われ病院へ運ばれてしまうのだった。病名は「脊髄梗塞」。運よく一命は取り留めたものの、新体操選手として将来を期待されていた瑞穂は、翌月には大事な大会を控えていたうえに、半身不随となった状況を受け止めきれずにいた。一番つらいのは瑞穂本人だと、必死に支える両親だったが現実はそう簡単には切り替えられない。部活の仲間の前では、無理して笑うが実は泣き続けている姿を顧問の本田は見てしまった。

その頃、淳之介は川辺でたばこをふかしていた。ふと足元に落ちている週刊誌に目をやると見覚えのある「金城瑞穂」の名前が表紙に載っている。容姿端麗で将来有望であった瑞穂の病気は記事になるほどだった。実は幼馴染である二人。瑞穂の近況を知った淳之介は物思いに更けながら、作曲し始めるのだった。

自宅療養となった瑞穂。しかし身体は一向に動かない。食事ものどを通らず、懸命に支える母親の言動全ても鬱陶しく思えて仕方なかった。父親はただ働き経済的に瑞穂を支えることしかできず、無力さを痛感していた。現実に打ちひしがれた瑞穂は「遺書」を書き始めるほどだった。

川辺で一人歌う淳之介。誰も聞いていないのが当たり前だったが、この日は一人の客がいた。下手くそだと言いながらも小さく折りたたんだ千円札をもらい、人の温かさを感じるのだった。漫画喫茶で寝泊まりする淳之介は、先日見かけた瑞穂の記事を思い返しながら「リハビリ 歌」と検索をしていた。

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映画『私の人生なのに』のあらすじ【承】

退院後初めて大学へ向かった瑞穂。部活の仲間たちに支えられ、何とか乗り切ることができた初日。本田も瑞穂の笑顔を見ることができて安堵していた。少しでも早く慣れたい瑞穂は、翌日からは電車で通学するという。両親は心配するも、見守ることにするのだった。翌日、実際に一人で電車通学を始めた瑞穂。遊歩道では障害物も多く、自転車とぶつかりそうになるところを偶然見かけた淳之介が助けるのだった。

予想以上に時間がかかり、授業に遅れてしまった瑞穂だったが部活の仲間に支えてもらい何とか乗り切ることができた。その日も本田は駅まで車で送ってくれたが、その車中で「障害者」でも学べる体育大学にしたいと理想を話すのだった。一人になった帰り道の遊歩道で、淳之介に声をかけられた瑞穂。久しぶりの再会を喜ぶ間もなく、淳之介はすぐに立ち去ろうとする。しかしすぐに戻ってきた淳之介。病気について聞くが、励ますつもりではないという。

翌朝も同じ遊歩道の階段で瑞穂を待っていた。中学の文化祭の時の話をし、「橋の下で一緒に歌おう」と誘いに来たのだった。「もう上手く歌えない」と断りながら避けるように車いすで黙々と進む瑞穂。何度断っても諦めない淳之介は、瑞穂の病気のことを気にしていない様子であった。歌に救われた経験がある淳之介は、瑞穂にも同じ経験をさせてあげようと目論んでいた。

映画『私の人生なのに』のあらすじ【転】

淳之介を気にかけながら一日を過ごした瑞穂。その日の放課後も本田は一緒に帰ってくれた。それは「アシスタントコーチとして一緒に練習に参加してほしい」という、瑞穂の将来を見据えた誘いのためだった。

本田と別れた瑞穂は淳之介が歌っているという橋に寄ってから帰ることにした。決して上手とは言えないが大声で歌い続ける淳之介。その歌詞は若者の苦悩を語っている。あえて声をかけずに帰宅した瑞穂。翌日も本田は瑞穂に対して、障害者がぶつかる心理の変化について話をした。懸命に自分の病気について調べ、向き合ってくれる本田。しかし、「障害者」として扱われることに瑞穂は懸念していた。

帰り道、瑞穂は再び淳之介の歌を聞きに行った。声をかけずに帰宅しようとしたとき、淳之介は瑞穂を見かけ走って追いかける。どうして自分にかまうのか理由を聞くも、淳之介は「会いたかった」の一点張り。ただ、自信のあった新体操を失い、物足りなさを感じている瑞穂には分け隔てなく接してくれる淳之介の言葉は刺さった。

徐に学校に戻り体育館に出向いた瑞穂。失ったものは新体操だけではないと涙する姿を見かけた本田は車で送りながら「瑞穂の足になる」と支え続けることを宣言するが、瑞穂が欲しかった言葉はこれではなかった。

映画『私の人生なのに』の結末・ラスト(ネタバレ)

帰宅してからギターを手に取った瑞穂は、淳之介がいる橋に向かった。一緒に歌う中で本来の明るさを取り戻し始めた瑞穂。実は淳之介は中学の時、引っ越しではなく夜逃げで町を出ざるを得なかった事情を話した。支えてくれる両親がいることに感謝すべきだと気づかされた瑞穂は、帰宅してから両親を抱きしめお礼を言うのだった。

その日から連日、瑞穂と淳之介は一緒に歌った。二度と走ることができない自分が、人を応援する歌を歌えないと卑下する瑞穂に喝を入れた淳之介。少しずつ瑞穂は変わり始め、車いすで生活する人たちと交流を持ち始めた。徐に入院していた期間に書き留めた日記を読み返した瑞穂。前を向くために自分に与えた言葉が、歌詞となり瑞穂は曲を作り始めた。淳之介と一緒に路上ライブを始め、たくさんの人に認められている実感を得た瑞穂はリハビリにもより一層熱心に取り組み始めた。そんな瑞穂の姿を傍で見ていた淳之介は、「好きだ」と気持ちを伝えた。しかし自分はもう「普通」ではないから人を好きなれないと答える瑞穂。淳之介は生半可な気持ちではなく、全て受け止める覚悟の上だと真摯に伝える。「障害者」としてではなく、「金城瑞穂」として接してくれる淳之介の気持ちに涙が止まらない瑞穂。二人は並んで歩み始める。瑞穂は淳之介の作った歌を口ずさみながら、人生についての歌を書き始めるのだった。

映画『私の人生なのに』の感想・評価・レビュー

「形のあるものは必ず壊れる。しかし、形のないものは誰にも壊せない。」終盤で車いす生活を強いられる男性が瑞穂に言ったセリフが印象的であった。奈落の底にいた瑞穂が、再び活力を取り戻すまでのプロセスに何があったのか、両親との掛け合いや友人とのやり取り、挫折した夢への希望があまり描かれないが日記を振り返るシーンで断片的に伝わってくることでじんわりと感情を温めてくれる演出であった。「食べることは生きること」何気ない日常に感謝し、周囲の人を大切にしようと思わせてくれる一作であった。(MIHOシネマ編集部)

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