この記事では、映画『ファーナス 訣別の朝』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ファーナス 訣別の朝』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ファーナス 訣別の朝』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:スコット・クーパー
キャスト:クリスチャン・ベイル、ウディ・ハレルソン、ケイシー・アフレック、フォレスト・ウィテカー etc
映画『ファーナス 訣別の朝』の登場人物(キャスト)
- ラッセル・ベイズ(クリスチャン・ベール)
- 製鉄所で真面目に働いているが、酒気帯び運転で事故を起こしてしまったことで刑務所に収監されてしまう。
- ロドニー・ベイズ・Jr(ケイシー・アフレック)
- ラッセルの弟で、イラクに何度も出征している。ジョンから借金をしたことが縁で違法の賭け拳闘にのめり込んでいく。
- ハーラン・デグロート(ウッディ・ハレルソン)
- 警察が近づくことを恐れる程の山奥の不法地帯で闇拳闘を仕切る元締め。麻薬の売買にも手を染めている。
- ジョン・ペティ(ウィレム・デフォー)
- バーの経営者で闇社会に通じており、ロドニーに闇拳闘の世界を紹介する。ハーランに金の貸しがある。
- リナ・テイラー(ゾーイ・サルダナ)
- ラッセルの恋人。ラッセルが収監され、保安官と付き合い始める。保安官の子を身籠もっている。
映画『ファーナス 訣別の朝』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ファーナス 訣別の朝』のあらすじ【起】
ラッセルは製鉄所で真面目に働く労働者で恋人のリナと幸せな生活を送っていた。ラッセルはロドニーが競馬に賭けているところに遭遇する。ロドニーはジョンから借金をしていた。ラッセルは病気の父親を見舞い、ジョンの経営するバーに行く。ジョンはハーランから金の貸しについて取り立てられているところだった。ラッセルはその後にジョンと会い、ロドニーの借金を肩代わりする。その帰り道、ラッセルは交通事故を起こし、相手を死なせてしまう。
ラッセルは収監され、ロドニーが面会にやって来る。ロドニーはイラクに従軍するところだった。ラッセルは刑務所で別の囚人に暴行されながらも厳しい生活に耐える。ジョンが面会に来て、父親が亡くなったことをラッセルに報告する。ジョンも戦争の影響で陰鬱な顔をしており、ラッセルは涙を浮かべる。ラッセルは教会に真面目に通い、刑期を終える。出所したラッセルはロドニーの出迎えを受け、早速車を運転して自由を満喫する。そして2人で父親の墓参りをする。

映画『ファーナス 訣別の朝』のあらすじ【承】
リナは保安官と付き合い始めていた。ラッセルはリナを尾行しながらその様子を観察する。一方、ロドニーは賭け拳闘に参加して金を稼いでいた。しかし、ジョンの指示通りに負けなかったために怒られてしまう。ラッセルはロドニーが拳闘をしているのを見抜き、一緒に製鉄所で働くように誘うが、ロドニーは拒む。そして、ロドニーは大金を手に入れたいので山奥で行われている拳闘に参加させてほしいとジョンに頼む。ジョンは渋々ハーランに連絡を入れる。
ラッセルはリナに会いに行き、復縁したいと告げる。しかし、リナは保安官との子供を身籠もっていることを打ち明ける。ラッセルは事故現場に花を手向け、叔父と一緒に鹿狩りに出掛ける。ラッセルは鹿を見付けても引き金を引くのをためらい、鹿をそのまま逃がす。一方、ロドニーはジョンに連れられて山奥に行き、ハーランに会う。ハーランは指示通りに負けられるかロドニーに確認するが、ロドニーは高圧的なハーランの態度に反発する。ジョンはハーランとの商談をまとめ、ロドニーに負けるように念押しをする。
映画『ファーナス 訣別の朝』のあらすじ【転】
ロドニーは試合で思わず相手をぶちのめしそうになる。しかし、ジョンの呼び掛けで我に返り、約束通りに負ける。ボロボロに殴られたロドニーをジョンが助け出し、試合は終わる。ジョンはこれで借りは帳消しだとハーランに告げ、帰ろうとする。だが途中でハーランの仲間に道を塞がれ、ジョンとロドニーはハーランに撃ち殺されてしまう。一方、ラッセルは自宅でもう足を洗うと書かれたロドニーの置き手紙を読む。
翌朝、保安官がやって来て、ラッセルにロドニーが殺された可能性のあることを告げる。ジョンの携帯電話がバーテンダーにつながっていて、殺人のやり取りが記録されていたのだ。ラッセルはバーテンダーと記録を調べ、ロドニーが山地での闇拳闘に参加していたとの目星をつける。ラッセルは叔父と共に山地に向かい、ハーランの居場所を探そうとする。そして麻薬を買う振りをしてハーランの家を突き止めるが、保安官から連絡を受けた地元警察に追い返されてしまう。街に戻ったラッセルはロドニーとの子供時代を思い出しながら苦悩する。
映画『ファーナス 訣別の朝』の結末・ラスト(ネタバレ)
保安官がラッセルにロドニーの遺体が見付かったことを告げる。警察はハーランを捕まえようとするが、自宅にはおらず空振りに終わる。その報告を受けたラッセルは怒り狂い、自ら手を打つことにする。ラッセルはジョンの帳簿を探し、ハーランに連絡を入れる。そして自分が帳簿を引き継いだので、バーに来れば借金を返すと告げる。その日を境にラッセルはバーの前でずっと張り込みをする。
ハーランが乗ったバンがバーの前に止まり、ハーランが中に入る。ラッセルはバンのエンジンが掛からないように細工すると、猟銃を手にバーに飛び込む。ラッセルに気付いたハーランが発砲し、バーテンダーが殺されてしまう。ラッセルは逃げるハーランを廃工場まで追い詰める。ラッセルとハーランは殴り合いとなり、ラッセルはハーランの足を撃つ。そして逃げるハーランとの間合いを徐々に詰めていき、倒れ込んだハーランに自分がロドニーの兄であることを告げる。パトカーで駆け付けて来た保安官がラッセルを止めようとするが、ラッセルは慎重に銃を構えてハーランを撃ち殺す。
映画『ファーナス 訣別の朝』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
『クレイジー・ハート』や『ブラック・スキャンダル』でも感じたことだが、スコット・クーパーの演出は手堅過ぎて、題材のポテンシャルを活かし切れていない。決して駄作と言っている訳ではないが、抑揚がないために登場人物達の浮き沈みが感じられず、ドラマ性が希薄なのだ。同じく山奥の不法地帯に暮らす白人貧困層を描いた『ウィンターズ・ボーン』と比べるとその差は歴然だ。物語自体が興味深いだけに残念だ。(MIHOシネマ編集部)
静かな映像と音楽が物語の切なさを引き立てていて、特に兄弟の絆が壊れていく過程に胸が締め付けられました。ロドニーの無謀さと絶望に、戦争が残した傷の深さを感じました。ラッセルが復讐に走るラストは衝撃的でしたが、彼の選択に対して「仕方なかった」と思わせる演出がうまかったと思います。(30代 女性)
復讐映画として観始めたけど、これはむしろ喪失の物語。兄ラッセルの葛藤が本当に丁寧に描かれていて、ただの「復讐者」じゃないところが好きです。ロドニーが死を選ぶように闘技場へ向かうシーンは、観ていてつらかった。重くて地味だけど、心をえぐってくる映画。(20代 男性)
正直なところ、話の進行はゆっくりだし、派手さはない。でもそれが逆にリアルで、主人公の苦しみがじわじわ伝わってくる。ロドニーの死は早い段階で予想できたけど、それでも感情を抑えきれなかった。ラストの銃声が鳴り響いた時、ただの終わりじゃなく、ラッセルの人生そのものが壊れたように感じた。(50代 男性)
映像がすごく美しかったです。光の使い方が印象的で、悲しい話だけど目が離せませんでした。ラストの選択にはいろんな意見があると思いますが、私はラッセルの気持ちがわかる気がしました。暴力に走るしかなかった彼の孤独が痛いくらいに伝わってきました。(20代 女性)
ラストの復讐シーンは衝撃的だったけど、それ以上に、ロドニーの自暴自棄な生き方が悲しくて…。イラク帰還兵という設定が物語に深みを与えていて、ただの不良じゃないという背景に説得力があった。社会から取り残された人々の怒りが詰まっている作品。(30代 男性)
この映画は「沈黙の重さ」を感じる作品。セリフよりも表情や間で感情を語るタイプの映画で、演者の演技力が本当に際立ってました。ベイルの苦悩の表情がすべてを物語っていて、言葉にしないで語るってこういうことかと感心しました。観終わったあと、じわじわ来る映画。(40代 女性)
正義ってなんだろう?と考えさせられる映画でした。警察が何もしてくれない、だから自分で正義を貫くしかなかったラッセル。でもその結果、彼は何を得たのか…。観ていてやりきれない気持ちになりました。社会に対する怒りや絶望が、すごくリアルでした。(50代 女性)
劇場公開時に見逃して、今回配信で見ましたが、もっと早く観ておくべきでした。ロドニーが命を落とすまでの展開がリアルで息が詰まりました。後半のラッセルの行動は決して正しいとは言えないけど、兄としての無力感と怒りを想像すると、責められない…。良作です。(30代 女性)
クリスチャン・ベイルの演技に圧倒された。言葉少なにすべてを表現する彼の表情に目が離せなかった。暴力を肯定する話では決してないけど、それでも「やり場のない怒り」という感情は、誰にでもあるものだと感じさせるラスト。すごく静かな映画だけど、心に残る重い一撃。(20代 男性)
映画『ファーナス 訣別の朝』を見た人におすすめの映画5選
ウィンターズ・ボーン
この映画を一言で表すと?
少女が家族と生きるために、真実を追い求めるサバイバル・サスペンス。
どんな話?
父が失踪し、家を担保に保釈されていたことで家族が家を失う危機に直面した17歳の少女リーは、父の行方を追って危険な山岳地帯のコミュニティを一人で突き進む。ジェニファー・ローレンスの出世作でもあり、静かながらも緊張感のある展開が続きます。
ここがおすすめ!
田舎社会の閉塞感と人間関係の冷たさ、そして少女の必死の覚悟がリアルに描かれていて、『ファーナス』と同じく「家族」と「暴力」をテーマにしています。風景と音の演出も抜群で、じわじわくる重厚な作品です。
ザ・ローバー ~漂流者~
この映画を一言で表すと?
崩壊した社会の中で復讐に燃える男の静かなる狂気。
どんな話?
近未来、秩序が崩壊したオーストラリアの荒野で、ある男が車を盗まれたことをきっかけに犯人の弟を引き連れながら執念の追跡を始める。冷徹で無言の復讐者と、彼に翻弄される若者との奇妙な関係が描かれる。
ここがおすすめ!
静寂と緊張感が支配する映像美、無駄を削ぎ落としたストーリーテリングが秀逸。『ファーナス』同様、男の怒りと孤独をミニマルな演出で表現しており、ロバート・パティンソンの新境地となる演技も見どころです。
マンチェスター・バイ・ザ・シー
この映画を一言で表すと?
喪失と赦しに向き合う、不器用な男の心の旅。
どんな話?
兄の死をきっかけに故郷に戻ってきた男リーが、遺された甥の後見人を任されながら、自身が抱える過去のトラウマと向き合っていく物語。シンプルな日常の中で心の痛みを静かに描き出します。
ここがおすすめ!
ケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞を獲得した名演が光る作品。『ファーナス』にも通じる、家族との関係性や人間の「弱さ」と「償い」がテーマ。静かに涙を誘う珠玉のドラマです。
ザ・ヤクザ
この映画を一言で表すと?
裏社会と家族の間で揺れる男たちの義と報復のドラマ。
どんな話?
アメリカ人の元軍人が、日本でかつて命を救ってくれた恩人の娘を救うために、ヤクザ社会へ足を踏み入れる。かつての義兄弟との再会と、血の契約に巻き込まれていく中で、男たちの絆と運命が交錯していく。
ここがおすすめ!
東洋と西洋の価値観の衝突、男の義理人情、静かながらも激しい戦いなど、『ファーナス』のような哀しみと怒りを抱えた主人公の苦悩が堪能できます。名優ロバート・ミッチャムの渋さが光る隠れた名作。
ノー・カントリー
この映画を一言で表すと?
善と悪の境界を問う、無情で静かなクライム・サスペンス。
どんな話?
テキサスの荒野で、偶然麻薬取引の金を手にした男と、冷酷無比な殺し屋、そして彼らを追う老保安官が織り成す逃亡と追跡の物語。運命と暴力の無慈悲さを、淡々とした語り口で描いていく異色のサスペンス。
ここがおすすめ!
無音の恐怖、淡々とした暴力描写、そして救いのない現実。『ファーナス』が持つ「正義と復讐の境界線」の問いを、さらに深く突き詰めた作品。観終わった後に重く残るテーマがクセになります。
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