「悪の偶像」のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

ひき逃げ事件が起きた。加害者の父は市議会議員、被害者の父はしがない民間人だった。被害者の妻の行方がわからなくなっていることから、互いにその真相を追ってゆく。イ・スジン監督による衝撃のクライム・ムービー。

悪の偶像の作品情報

悪の偶像

タイトル
悪の偶像
原題
idol
製作年
2017年
日本公開日
2020年6月26日(金)
上映時間
144分
ジャンル
サスペンス
フィルム・ノワール
監督
イ・スジン
脚本
イ・スジン
製作
アン・ウンミ
製作総指揮
ミキー・リー
キャスト
ハン・ソッキュ
ソル・ギョング
チョン・ウヒ
ユ・スンモク
ジョー・ビョンギュ
キム・ジェファ
製作国
韓国
配給
アルバトロス・フィルム

悪の偶像の作品概要

韓国の人気俳優ハン・ソッキュとソル・ギョングが共演する実力派のコラボが実現。率いるのは「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」(2013)でノンフィクションの衝撃作を送り出したイ・スジン。ひき逃げ事件で関わることになった加害者の父親と被害者の父親が、それぞれに行方不明の被害者の妻を捜索していくことになる。二人がたどり着く「闇」とは?

悪の偶像の予告動画

悪の偶像の登場人物(キャスト)

ミョンヒ(ハン・ソッキュ)
市議会議員。息子が飲酒運転でひき逃げを起こしたことを知り、事件の目撃者を探すことに。
ジュンシク(ソル・ギョング)
工具店の主。被害者の父親。息子の嫁が行方不明になっていることを知り、その行方を追う。
リョナ(チョン・ウヒ)
被害者の妻。事件を目撃していたはずだが、行方不明になっている。妊娠していた。

悪の偶像のあらすじ(ネタバレなし)

市議会議員のミョンヒは、自分の息子ヨハンが飲酒運転とひき逃げで人を殺したことを知る。息子の自首で盛大に報道されることになり、大勢の前で頭を下げるミョンヒ。被害者の父親であるジュンシクは、ミョンヒを激しく責め立てる。

死んだ彼の息子には、結婚したばかりの妻がいたはずだった。妊娠している彼女は彼と一緒にいたはずなのに行方をくらましており、事故後にどうなったのかわからない。ミョンヒは彼女が決定的な瞬間を目撃していたかもしれないと思い、彼女を探すことにした。防犯カメラにはそれらしき人物が逃走する様子が映っている。なにかから逃げているようだ。そしてジュンシクもまた、別の方法で彼女を探し出そうとしていた。

悪の偶像の感想・評価

見るものに衝撃を与える怒涛の展開

韓国映画らしい鬱屈としたテーマ、次々と訪れる暴力的な展開。事故の時に、本当は一体何が起きていたのか?という真実への興味に引っ張られながら、ハラハラが継続する。長めの映画ではあるが、登場人物も多く各々いろいろな意思で動いていくため、真実への必要な情報を揃えるにはこの尺でも短いくらいだろう。

事実に翻弄されつつも、人間らしい葛藤や嘘がそれぞれにある。ただのサスペンスではなく、そこに関わる人々の感情も強く描かれているので、誰かに感情移入することも、また逆に反感を持つこともあるかもしれない。どちらにせよ、過激とさえ言える描写のパワーで感情を揺さぶられ、圧倒されるであろうことは間違いない。

マーティン・スコセッシが絶賛

MCUシリーズに対して苦言を呈した巨匠、マーティン・スコセッシが、本作に関しては絶賛をしている。具体的な内容としては、「この映画から多くのことを学んだ。イ・スジン監督による次回作を待ち遠しく思う」という趣旨のコメントだ。

MCUシリーズに関してのコメントを擁護するわけではないが、人を問わず楽しませられるエンタメ的な作品であった部分を辛口に批評していたのだろう。本作の評価はまさに対照的なほめ方である。彼の評価の中では「学びがあること」が重要な指針であり、「楽しむだけで終わることができない」という本作の重厚な仕上がりを浮き彫りにさせている。本作は、私たちに何を学ばせてくれる作品なのだろうか?

韓国クライム映画

韓国のクライム映画といえば、ポン・ジュノ監督による「パラサイト 半地下の家族」(2019)がアカデミー賞を受賞したことも記憶に新しい、今話題のジャンルである。韓国の現代社会に沿った内容であり、国内での共感を得つつも諸外国にその風刺性を伝えることのできるものである。

韓国ではこういったジャンルの映画が比較的よく製作されており、そのクオリティも高いものが多い。ハラハラさせながらも考えさせてくれる内容。先ほどの項でも述べた通り、しっかり描けば非常にとれ高のいい作品となってくれるジャンルだ。注目されているこのタイミングで、次の「パラサイト」になれるかどうか?といったところも、密かな見所かもしれない。

悪の偶像の公開前に見ておきたい映画

映画『悪の偶像』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。『悪の偶像』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ハン・ゴンジュ 17歳の涙

イ・スジン監督が2013年に制作した作品。本作にも出演しているチョン・ウヒが主演を務めている。女子中学生が集団に暴行された、実際の事件を元にしたノンフィクション・クライム映画だ。

主人公のハン・ゴンジュは、中学生の頃に暴行を受けたことで人生がねじ曲がり、今でもその影響でまともな生活に戻れずにいる。頼れる人もおらず、心の拠り所がないままで暮らしていた彼女は、とある同級生と出会い、少しずつ打ち解けていく。ただ、事件は終わっていなかった。

淡々と、しかし普通に暮らす中にも忍び寄る事件の陰に悩まされる描写が実に繊細に描かれる。息苦しくなるつらい映画ではなるが、こちらも目を背けられない残酷な韓国社会の一面である。

詳細 ハン・ゴンジュ 17歳の涙

殺人者の記憶法

2017年にウォン・シニョン監督によって制作されたクライム映画。アルツハイマー病にかかった連続殺人鬼が、心もとない記憶の中で真実に向けて進んでゆくという一風変わったストーリー。ジャンルとしては本作に近く、韓国らしい尖った描写を多く含む。

見ているものの予想を裏切る展開が何度も用意されており、飽きずに見ることができる。主演のソル・ギョングの鬼気迫る演技も作品の迫力へとつながっており、その表現力には脱帽すること間違いなし。スピード感のある展開、衝撃のラスト。本作の鑑賞前にモチベーションを高めるなら、韓国映画のよさが詰まったこの作品で決まりだ。

詳細 殺人者の記憶法

哭声 コクソン

本作にも出演しているチョン・ウヒが重要人物として出演している。カンヌ国際映画祭で絶賛された作品で、奇抜な作風が多い韓国映画界においてもなお、一風変わった作風である。

村人の間に広まる謎の病は一体なんなのか?いつからかもわからないが、どこからかやってきたよそ者は、一体何者なのか?この二つには、関連性があるのか?何もわからないままで話は進み、衝撃のクライマックスへと向かってゆく。

國村隼がキーパーソンとして出演しており、奇々怪々な演技を見せている。彼なしではこの作品は成り立たなかったと言っても過言ではない。韓国映画としても異色ではあるが、韓国でしか作れなかっただろうというのもまた事実である。本作ならではの空気感を、一度体感してみてほしい。

詳細 哭声 コクソン

悪の偶像の評判・口コミ・レビュー

悪の偶像のまとめ

今勢いのある韓国映画のなかでも、とくに注目を集めるにふさわしいのが本作である。スコセッシ監督のコメントのように、まさしく「映画」らしい見ごたえが得られるだけではない。本作を見終わった後には、きっと一言では言い表せない複雑な感情を抱えている自分に気づくだろう。是非この作品の熱量に触れて、考え、答えを探し、そしてその面白さにもノックアウトされてほしい。

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