頭脳明晰な少女・リンは、特待生として進学校に転入することになった。リンはテスト中、友人のグレースにこっそり回答を教えて助けてあげた。それから、リンは生徒達に回答を教える、危険なビジネスに身を投じていくことになる。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の作品情報
- タイトル
- バッド・ジーニアス 危険な天才たち
- 原題
- Bad Genius
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年9月22日(土)
- 上映時間
- 130分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- ナタウット・プーンピリヤ
- 脚本
- ナタウット・プーンピリヤ
タニーダ・ハンタウィーワッタナー
ワスドーン・ピヤロンナ - 製作
- ジラ・マリクン
ワンリディー・ポンシティサック - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
チャーノン・サンティナトーンクン
ティーラドン・スパパンピンヨー
イッサヤー・ホースワン
タネート・ワラークンヌクロ - 製作国
- タイ
- 配給
- マクザム、ザジフィルムズ
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の作品概要
中国で起きた集団不正入試事件をモチーフに作られた映画。アジア各国では熾烈な受験戦争が深刻な社会問題として注目されており、替え玉受験やカンニングなどで逮捕者も出ている。本作で監督を務めたのは、バンコク出身のナタウット・プーンピリヤ。主人公のリンを演じたのは、オーディションを勝ち抜いて主人公の座を射止めたチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。チュティモンはモデルとして活躍していた人物で、本作が映画初出演となった。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の予告動画
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の登場人物(キャスト)
- リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)
- 高校生。小学生の頃から成績がオールAの秀才。父子家庭で育つ。特待奨学生として進学校に転入する。
- バクン(チャーノン・サンティナトーンクン)
- 高校生。天才苦学生。奨学金を貰っており、大学進学を目指している。生真面目な性格。
- パット(ティーラドン・スパパンピンヨー)
- 高校生。グレースの恋人。リンにカンニングビジネスの話を持ち掛ける。
- グレース(イッサヤー・ホースワン)
- 高校生。リンが転入した学校で、初めて友達になった女の子。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のあらすじ(ネタバレなし)
頭脳明晰な少女・リンが転校してきた。成績は常にオールAで、学校側はリンを特待生として受け入れることにした。リンはテスト中、友人のグレースにこっそり回答を教えて助けてあげた。グレースの恋人のパットは話を聞き、リンにある危険なビジネスを持ち掛けた。それは、報酬を受け取り、テストの回答を学生に教えるものだった。初めは消しゴムに回答を書いて回していたのだが、伝え方がどんどん巧妙になり、ピアノの鍵盤を押す指の動きを用いて回答を教えるようになった。
学生達はカンニング行為を、まるでゲームのように気軽に受け入れた。そして、そのゲームの舞台は、世界へと広がっていった。リン達は世界規模で行われる大学統一入試テストを受けるため、シドニーに行くことになった。リンは1人で回答を皆に伝えきることができないため、天才苦学生のバンクをパートナーに選ぶことにした。果たして、リンのビジネスはうまくいくのだろうか。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の感想・評価
熾烈な受験戦争
本作品は中国で起きた集団不正入試事件をモチーフにしている。その事件の背景にあるのは、アジア各国で深刻な社会問題として注目されている熾烈な受験戦争である。
中国で受験がなぜそこまで重要視されているのかと言うと、大学に進学しなかっただけで親戚や周囲から陰口を叩かれてしまうからである。それだけではなく、質が高いと言われる上位の大学に入学しないと、その後の就職で不利になってしまうのである。そのため、両親や教師達は子供達に勉強を強要するようになる。
子供達の成績が良くないと、試験監督を買収して替え玉受験を行う人や、映画のようにカンニングを行って成績を上げようとする人が出てくる。実際に逮捕者も出ており、大きな社会問題になっているのである。
ナタウット・プーンピリヤ監督
本作で監督を務めたのは、バンコク出身のナタウット・プーンピリヤ。ナタウットはタイの芸術学部がある大学に通い、演劇・舞台演出を専攻して修士号を取得している。短編映画の他、ワコールなどの大企業のテレビCMの監督を務めていた。
ナタウットの長編1作目の映画『Countdown』(12)は、タイで公開され「スパンナホン賞・最優秀脚本賞・編集賞・主演男優賞」を受賞している。また、アメリカの「アカデミー賞・外国語映画賞(タイ代表)」にも選出されている。
本作品も「第27回タイ・アカデミー賞(スパンナホン賞) 史上最多12部門」や「カナダ・ファンタジア映画祭・作品賞・監督賞」など数々の賞を受賞している。ナタウットは新進気鋭の監督として、世界中から注目を集める人物となった。
巧みなカンニング方法と、クライマックスの28分間にも及ぶカンニングシーン
主人公のリンは、主に2つの方法を使って生徒達に答えを教える。テストはマーク式のため、消しゴムに答えを書き、それを靴の中に入れて後ろの席まで軽く蹴って答えを教える方法。もう1つは「ピアノレッスン方式」と名付けられ、曲に暗号をつけたものである。リンが机の上で鍵盤を叩くかのように指を動かし、回答を教えるのだ。「ピアノレッスン方式」の方が色んな生徒に一気に答えを教えることができる。それだけ、リンのカンニングビジネスが繁盛しているのである。
物語のクライマックスには、28分間にも及ぶカンニングシーンが収録されている。アクション映画とは違い爆撃や銃撃戦があるわけではないが、緊張感のあるやり取りがずっと続くため、とても見応えのあるシーンになっている。
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の公開前に見ておきたい映画
ALWAYS 三丁目の夕日
ヒューマンドラマ映画。西岸良平原作の漫画『三丁目の夕日』を元に作られた作品。昭和33年(1958年)の東京が舞台になっており、下町に暮らす人々の様子が描かれている。建設中の東京タワーや上野駅などの懐かしい町並みはミニチュアとVFXで再現されており、住宅や商店街などはセットを使って再現されている。
夕日町三丁目には個性的な人達が暮らしていた。有限会社鈴木オートの社長の鈴木則文は、怒りっぽくて口より先に手が出る性格だった。そして、その鈴木オートの向かいには、茶川竜之介が経営する駄菓子屋があった。茶川は近くで居酒屋を経営する石崎ヒロミのことが大好きだった。豊かではないけれども、夢に溢れた時代に生きた人々の姿が描かれている。
かもめ食堂
ヒューマンドラマ映画。群ようこ原作の小説『かもめ食堂』を元に作られた作品。フィンランドの首都ヘルシンキで経営されている日本食の食堂を舞台に、店主や客達との穏やかな日々が描かれている。荻上直子監督はこの作品で「新藤兼人賞2006・銀賞」を受賞している。
サチエはフィンランドで「かもめ食堂」という日本食の食堂を経営していた。客の入りは悪かったが、毎日真面目に頑張っていればいつか客が来ると信じていた。もしダメだったら店を閉めればいいのだと、おおらかな感情で日々を過ごしていた。ある日、サチエはミドリという日本人女性を書店で見掛け、彼女に食堂で働いてもらうことにした。ミドリは真面目な性格で、「かもめ食堂」の店がどうすれば繁盛するか真剣に考えた。
詳細 かもめ食堂
映画 ビリギャル
ヒューマンドラマ×学生映画。坪田信貴原作のノンフィクション小説、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』を元に作られた作品。有村架純が主人公を演じ、伊藤淳史や吉田羊などそうそうたる面々が脇を固めている。「第39回日本アカデミー賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・新人俳優賞」を受賞している。
名古屋の女子高に通う工藤さやかは、派手な化粧やファッションに興味がいくばかりで勉強は全然できなかった。さやかの母は娘を心配し、塾に行くことを進めた。さやかはそこで坪田という素晴らしい先生に出会う。坪田先生はさやかのことを馬鹿にすることなく、慶應大学への受験合格を目指して真剣に指導を行った。
詳細 映画 ビリギャル
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の評判・口コミ・レビュー
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」ヒロインがクソカッコええ。クライムサスペンスをベースに青春、友情、格差社会、倫理、親子、学歴が混ざり合って一瞬も気が抜けない。天才でも十代に踏みとどまる描写が響く。オススメ。 pic.twitter.com/Yqaj8NKwj7
— とと (@t0t08) 2018年9月23日
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』天才的に勉強ができるタイの女子高生主人公によるカンニング内職の話。後半のここまで追い詰めるのかというヒリヒリするようなサスペンス展開は圧巻。特筆すべきはこの女の子、取り巻く周囲の友達、みんなきらめいて青春物語になってる点。オススメします。8.8点
— ジャックと豆の木 (@ayumiotomo) 2018年9月23日
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』鑑賞。名だたるケイパー映画ばりのサスペンスを「カンニング」という行為で体感させる面白さ。加えて、アジアの熾烈な受験戦争や学歴社会を背景に、それを形作る教育機関や経済格差から、家庭内の問題にまで多層的に、かつスマートに切り込んでみせる。見事だ! pic.twitter.com/pItKPsWSlz
— しの (@mouse15278) 2018年9月23日
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」、想像の遥か斜め上を超えて面白かった!単なるカンニング・サスペンスかと思えば、金!金!金!実像は資本やキャリアに買い叩かれ搾取される経済的弱者たちの話なのだ!この映画の幕引きに私は号泣せずにいられなかった…。 pic.twitter.com/wm17TGqKHA
— BATI (バティ) (@BATI_NIGHTCAP) 2018年9月23日
#0759 新宿武蔵野館「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」。カンニングを題材としたタイのナタウット・プーンピリヤ監督作品。天才的頭脳により進学校に特待奨学生として転入した女子高生が、試験中に親友に答えを教えたことをきっかけに不正に手を染めていく。カンニングシーンがリアルでスリリング
— rightwide (@rightwide) 2018年9月22日
映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のまとめ
頭脳明晰な少女・リンが、友人にテストの回答を教えたのを機に、カンニングビジネスに身を投じていく様子が描かれている。「消しゴム方式」や「ピアノレッスン方式」などを使い、巧妙に生徒達に回答を教えていく。しかも、それは学校内に留まらず、世界規模で行われるテストでも行おうとする。リン達はカンニングを成功させて全員で良い点数を取ることになるのか、見つかって罰せられてしまうのか、最後まで手に汗握る展開になっている。
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