映画『墨東綺譚(1992)』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「墨東綺譚(1992)」のネタバレあらすじ結末と感想

墨東綺譚(1992)の概要:永井荷風の同名小説を、新藤兼人監督が映画化。主人公を永井荷風自身に置き換え、墨東、玉ノ井の娼婦お雪とのロマンスを中心に、荷風の半生を描いていく。配給の日本アート・シアター・ギルド(ATG)はこの作品を最後に活動停止する。

墨東綺譚の作品情報

墨東綺譚

製作年:1992年
上映時間:116分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、戦争
監督:新藤兼人
キャスト:津川雅彦、墨田ユキ、宮崎淑子、八神康子 etc

墨東綺譚の登場人物(キャスト)

永井荷風(津川雅彦)
良家の長男として生まれ育つ。父親の意向に反し、小説家になり、結婚もしないで放蕩暮らしを続けている。母親には頭が上がらず、訪ねてくることを拒まない。
お雪(墨田ユキ)
墨東、玉ノ井の娼婦。荷風が小説家だということを知らず、エロ写真屋か何かだと思っている。しかし、荷風に惚れ、お嫁さんにして欲しいと言う。
お久(宮崎美子)
カフェタイガーの女給。客に絡まれた荷風を裏口から逃がしてやる。荷風と一夜を共にするが、その後金をせびりに押しかけてくる。
まさ(乙羽信子)
玉ノ井の娼館の女将。息子が一人いるが、学徒出陣で兵隊に取られてしまう。出征前夜、息子にお雪を抱かせる。
黒沢きみ(八神康子)
永井荷風自身が芝浦の待合で出会い、後に深く関係を持つようになった私娼。荷風の『ひかげの花』のお千代のモデルとされている人物。原作にはないキャラクターである。

墨東綺譚のネタバレあらすじ

映画『墨東綺譚(1992)』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

墨東綺譚のあらすじ【起】

荷風は「断腸亭日乗」を書いている。その荷風のモノローグで物語は始まる。

大正9年、住まいを麻布の「偏奇館」に移し、そこに母が来る。大正15年正月、墓参りしたのちに、囲い者のお歌の所へ行き、身体を重ねる。お歌には、色紙を一枚書いて渡す。

8月、本の虫干しをする荷風。タイガーというカフェに行く。カフェで客に絡まれるが、女給のお久の手引きで裏口から逃げ出す。家に帰るとお久が来ていたので、荷風はそのお久と寝るのだった。

数日後、お久が金をせびりに来る。少しばかりの金を渡して帰すが、その夜、再びやって来る。庭で騒ぐお久。荷風は、警察に連絡して来てもらうが、逆に警察署で、男女の痴話喧嘩に警察を巻き込むなと説教をされる。

お歌が、実家のある金沢に帰ることになり、荷風は自宅で別れの夜を過ごす。翌朝、母がアイスを買ってやって来る。お歌を送り出した荷風は、アイスを食べながら母と色々話す。母は、荷風の放蕩、色好きを指摘するが、最後にはやりたいようにやれと言うのだった。

墨東綺譚のあらすじ【承】

お歌のいなくなった荷風は、私娼のきみと出会う。そして、「断腸亭日乗」に名器と記す。荷風はきみに惚れ、彼女の住まいを探すが見つからない。探偵に頼んでも見つからないのだった。

時は、昭和11年になっていた。荷風は、しばらく色事とはご無沙汰だった。バスの中で、きみを見つけたと思い近づくが人違い。荷風は、墨東の色街玉ノ井を漂うのだった。これといった女にも出会えず彷徨っているうちに、雨が降り出す。荷風は傘を持っていなかった。通りがかったお雪は、コウモリ傘に荷風を入れてやり、自分の部屋に行く。しかし、荷風はまた来るからと、お雪を抱かずに帰るのだった。

翌日、改めてお雪の元を訪ねる荷風。戸を開けると、お雪は飯を食っていた。ついさっき、一人終わって、食事をしていたのであった。疲れているなら、また日を改めると言う家風に、お雪はあっけらかんと、「お腹に客を乗っけてるだけだから疲れちゃいない」と言い、荷風を二階に連れていく。部屋には、北斎の枕絵が飾ってあるのだった。

お雪と交わる荷風。荷風は、久しぶりに良い女と出会えたようだ。そして、お雪も久しぶりに満足したのだった。

墨東綺譚のあらすじ【転】

数日後、荷風がお雪に会いに行くと、彼女は歯が痛いと言って寝込んでいるのだった。荷風は、留守番を頼まれる。お雪は、その間に歯医者へ行くと言う。お雪の留守中、女将のまさがやって来て、息子が出征するから、お雪が帰ってきたら、まさの家に来るように伝えて欲しいと言われる。医者から帰ってきたお雪はそのまま、まさの所へ行く。お雪は、帰って来ると荷風に、女将さんから、出征前に息子と寝てやってほしいと言われたことを伝える。荷風は納得し、まさの家に行って、待つことにするのだった。まさとは血の繋がらない息子だが、彼女にとっては宝だったのだ。お雪を抱いた息子が帰って来て、荷風は再度、お雪の所にいく。すると彼女は、まさの息子のことを思い、泣き崩れるのだった。荷風は、今日は帰るというが、お雪は荷風を引き止め、そのまま交わるのだった。

荷風は服装を変えてお雪の元を訪れる。お雪は荷風のことを、エロ写真屋だと勘違いしたままだった。二人は浅草へ行く。カフェでビールを飲んだり、お参りしたり、芝居を見たりして楽しむのだった。

荷風に母危篤の知らせが届く。しかし、意地もあって、母の元に駆けつけない荷風。そして母は他界し、荷風は死に目には立ち会えなかったのであった。

墨東綺譚のあらすじ【結】

荷風は、久しぶりにお雪の所を訪れる。そして、まさの息子の戦死を聞き、線香をあげにいく。まさは、ただボーゼンとしているのだった。

お雪の家の二階に上がる二人。お雪は荷風に、おかみさんにして欲しいと言う。荷風は、もっと若い人と結ばれるべきだと、もう10年若ければと、その申し出を断る。しかし、お雪の健気さに打たれ、ついには「お嫁さんになってくれるかい」と荷風は言うのだった。二人は愛し合い、翌朝、朝食をとった後、お雪はまさに荷風とのことを報告する。それを聞いたまさは、お雪の証文を火鉢で焼くのだった。

翌日、約束の時間に現れない荷風。荷風は自宅で行くのをためらっていた。お雪は、一晩中待ち続けたが、荷風は来なかった。一度は諦めた荷風だったが、どうしてもお雪のことが忘れられなかった。今一度お雪の元に行こうと思ったその時、空襲警報が鳴り響く。東京大空襲で、荷風の家も、お雪の家も焼けてしまうのだった。

まさとお雪は空襲を生き延びていた。戦後、浅草を歩く荷風らしき男を見かける。荷風は文化勲章を受賞し、新聞に顔写真が出るが、彼女たちは同じ男とは気がつかないのだった。荷風は衰えていっていた。「断腸亭日乗」に「4/29祭日曇り」と書き残し、荷風は息をひきとる。

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