映画『出口のない海』の概要:太平洋戦争末期、日本海軍の特攻兵器人間魚雷「回天」に乗り込むことになった、六大学野球、明治大学のピッチャー並木の生き様を通し、戦争の悲惨さを描く、横山秀夫の同名小説を原作とした映画。
映画『出口のない海』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、戦争
監督:佐々部清
キャスト:市川海老蔵、伊勢谷友介、上野樹里、塩谷瞬 etc
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映画『出口のない海』の登場人物(キャスト)
- 並木浩二(市川海老蔵)
- 日本海軍少尉であり、回天搭乗員。明治大学野球部ピッチャーでもある。回天出撃命令が出るも、機械の不調により出撃は叶わず、一度帰還する。その後、訓練の最中に回天ごと海底に沈み絶命。
- 北勝也(伊勢谷友介)
- 回天搭乗員。並木より早く軍へ志願をしたため、階級は並木より一つ上の中尉。並木と同じ明治大学で陸上部に所属していた。北も機械不調のため、特攻することはできなかった。
- 鳴海美奈子(上野樹里)
- 並木の恋人。軍事機密のため並木が特攻要員であることは知らない。最後の別れとなる日、並木からは「また会える」と言われ、彼を待ち続ける。
- 伊藤伸夫(塩谷瞬)
- 回天隊整備員。並木のことを慕っており、訓練場で一緒にキャッチボールをする。そのキャッチボールの中で、並木の魔球を受け止める。
- 沖田寛之(伊崎充則)
- 回天搭乗員。回天出撃前、潜航中に敵艦からの攻撃を受け、自分が乗るはずだった回天4号艇が損傷してしまい、他の3人の出撃を見送る立場になる。
映画『出口のない海』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『出口のない海』のあらすじ【起】
回天を積んだ伊号潜水艦は、敵艦に発見をされ、爆雷攻撃を受けていた。敵艦に探知されないように動力系を切り、持久戦に入る伊号潜水艦。明治大学で野球をしていた並木と、陸上をしていた北は、回天搭乗員としてその伊号潜水艦に乗船していた。
膠着状態は三時間続いていた。艦内の気温は上がり、酸素も薄くなっていた。敵艦をやり過ごしたと思った瞬間、再び爆雷攻撃が始まる。艦長は、爆雷の爆破設定水深を読み、伊号潜水艦の水深をあげて、何とか逃げ切るのだった。
並木は、学徒出陣式の日のことを思い出していた。世間の風潮は、戦争へ傾いていた。野球よりも国のために志願することの方が、良きこととなる風潮だった。並木が自宅に帰ると、美奈子が訪ねてきていた。美奈子も含め家族で食事をする並木。そして、海軍に志願することを父に打ち明けるのだった。美奈子は、志願を決意した並木の写真を欲し、それを見ながら、並木を応援するために歌うと言う。そんな美奈子を家まで送る途中、空襲警報がなるのだった。戦況は悪化する一方だった。
映画『出口のない海』のあらすじ【承】
敵艦を撒き、海面に浮上する伊号潜水艦。並木たちは回天の点検のために甲板に出る。しかし、沖田の4号艇が破損していた。沖田は整備班に泣きながら、自分の回天を修理して欲しいと訴えるのだった。
並木は海軍に入隊した時のことを思い出す。並木たちは、講堂に集められ講和を聞いていた。特攻兵器が開発されたことが告げられ、志願するものは二重丸と名前を書いて提出するように言われる。並木は二重丸を書いて提出するのだった。
志願者を集め、訓練が始まる。特攻兵器回天を見せてもらい、説明を受ける並木たち。回天は、魚雷に操舵装置をつけただけのものだった。複雑な起動操作の手順を覚える必要があった。訓練中、六大学野球を見ていたと、整備士の伊藤が声をかけてくる。夜、キャッチボールを伊藤とする並木。並木は、久しぶりにボールを握るのだった。そして、北が同じ訓練場に配属されてくる。北はすでに回天での出撃を経験しているのだった。そして、並木は訓練で、回天に初乗船する。しかし、実際の回天は想像以上にコントロールが難しく、大失敗してしまう。フラフラになり、回天から出て来た並木は、教官に殴られるのだった。
映画『出口のない海』のあらすじ【転】
並木は出撃前最後の休暇を取り、東京の実家に帰ってくる。日々の空襲が激しくなっており、恋人の美奈子も焼け出され八王子にいる。並木は、大学野球部のマネージャーだった小畑が戦死していることを聞き、形見のグローブを受け取るのだった。美奈子には、会わない方が良いという並木に、妹の幸代は、何としても美奈子に会うべきだと言い、八王子にいる美奈子に電報を打つのだった。
並木は、国のために行くことを父に告げる。父はから「国とは何だ?」と問われるのだが、並木はまだその答えを持っていなかった。休暇も終わり、駅での最後の別れ、走り出す列車に美奈子は何とか間に合った。並木は彼女に、「安全だ、また会える」と嘘をついて別れるのだった。
回天を積んだ伊号潜水艦は、つかの間の休息をとっていた。艦内では沖田が歌う。皆も声を合わせて歌う。その時、敵艦発見の知らせが入り、沖田を残して、3人は出撃準備をする。並木も回天に乗り込む。北の乗る1号艇の発進許可が出るが、トラブルが発生し、発進ができない。続いて2号艇が発進する。2号艇が敵艦を沈没させ作戦は終了、伊号潜水艦は、戦闘海域を離れるのだった。
映画『出口のない海』の結末・ラスト(ネタバレ)
伊号潜水艦は、別の海域で敵艦を発見、回天搭乗員に出撃命令が下る。回天に乗船する並木。発進直前、操縦席に持ち込んだボールを見つめる並木。家族、恋人、野球部の仲間たちの顔が頭をよぎる。そして、3号艇は発進しようとするが、再びトラブルが発生し、発進ができない。そうこうしている間に、伊号潜水艦は敵艦に発見され、攻撃は中止となる。出撃できなかった並木は、艦内に戻ってくる。その並木を笑顔で出迎えた整備兵伊藤を、並木は殴るのだった。
伊号潜水艦は基地に戻ってくる。陸に上がった伊藤は、並木をキャッチボールに誘う。キャッチボールをしながら二人は、戦争が終わった後のことを話す。そして、並木は回天を伝えるために死ぬと伊藤に告げるのだった。並木は伊藤に向かって、「次、変化球だ」と言って自分の考案した握りで投球を行う。並木の投げたボールは、伊藤の手元でスッと落ちたのだった。
翌日、訓練中に並木は回天ごと海底に沈んでしまう。そしてそのまま終戦。終戦後、その回天は引き上げられる。伊藤は、占領軍の検分に同行させられ、回天のハッチを開ける。伊藤は、並木の死体を見つけ、泣き叫ぶのだった。
回天の中に残された遺書には、伊藤への謝罪が書かれていた。本当は死ぬのが怖かった、自分自身を殴りたかったと。更に、家族への遺言、美奈子へ遺言が書いてあった。
現代、回天の訓練施設があった大津島を訪れる一人の老人の姿あった。記念館で写真に写るあの日のみんなの姿を見るこの老人は、伊藤だった。伊藤は、あの日並木が変化球を投げたボールを海へ投げる。そして、東京では今年も六大学野球が行われているのだった。
映画『出口のない海』の感想・評価・レビュー
派手さの無い戦争映画で、淡々と展開が描かれています。”回天”というあまりにも不安定な兵器、乗り込む人間の恐怖、最早死を待つしかない絶望、とにかく淡々と描かれます。これほどやるせない命の散り方は無いでしょう。海老蔵さんや他の俳優の方々の演技も良く、苦しみや悲しみが画面から痛いほど伝わってきます。
展開は内容が良い分、セットが気になってしまいました。全体的にピカピカです。戦争中、ましてや”回天”が出てくるほどの終盤の日本ですので、もう少し汚れているのでは。(男性 20代)
心がずしんと重くなるような作品で、私が今暮らしている日本で過去にこのようなことが行われていたのだと考えるとゾッとしました。
当時は回天に乗ることを志願するという彼らの行動は勇敢で誇り高きものであったのだと思いますが、心の中も同じ気持ちだったわけではないのだと知りました。
死を待つしかない状況なのに、死を恐れてはいけない空気感は見ていて心が押しつぶされそうになります。戦争の悲惨さを改めて感じる作品でした。(女性 30代)
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