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映画『コーヒーが冷めないうちに』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

そこは、思いを馳せる時間に行ける不思議な席のある喫茶店。「フニクリフニクラ」で働く数は、今日もまた、奇跡のような出来事を体験するために訪れるお客様に珈琲を淹れる。「本屋大賞2017」にノミネートされた川口俊和の話題作が、有村架純主演で実写映画化。

映画『コーヒーが冷めないうちに』の作品情報

コーヒーが冷めないうちに

タイトル
コーヒーが冷めないうちに
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年9月21日(金)
上映時間
不明
ジャンル
ヒューマンドラマ
ファンタジー
監督
塚原あゆ子
脚本
奥寺佐渡子
製作
奥田有正
進藤淳一
製作総指揮
不明
キャスト
有村架純
伊藤健太郎
波瑠
林遣都
深水元基
松本若菜
薬師丸ひろ子
吉田羊
製作国
日本
配給
東宝

映画『コーヒーが冷めないうちに』の作品概要

コーヒーが覚めてしまうまでの短い時間、そこに座った人は自分が望んだ時間へタイムスリップすることができる。2017年に発表され話題となった川口俊和のベストセラーを、有村架純が主演を務め、その脇を波瑠・薬師丸ひろ子・林遣都・吉田羊どの実力派俳優陣が固める。今作で監督を務める塚原あゆ子は、『アンナチュラル』『夜行観覧車』などの人気ドラマで演出家として活躍しており、『コーヒーが冷めないうちに』で初映画監督デビューとなる。

映画『コーヒーが冷めないうちに』の予告動画

映画『コーヒーが冷めないうちに』の登場人物(キャスト)

時田数(有村架純)
喫茶店「フニクリフニクラ」で働く女性。タイムスリップをするためのコーヒーをお客様に淹れる。
清川二美子(波瑠)
30歳手前のキャリアウーマンで、フニクリフニクラの都市伝説を聞きつけ、お店に訪れる。お店の常連客で幼馴染の五郎に懸想している。
賀田多五郎(林遣都)
二美子の幼馴染で、エンジニアとして働いており、フニクリフニクラの常連客。以前からの夢である留学を考えている。
新谷亮介(健太郎)
数に想いを寄せている美大生。数に会いに、喫茶店「フニクリフニクラ」を訪れる。

映画『コーヒーが冷めないうちに』のあらすじ(ネタバレなし)

時田数は、喫茶店「フニクリフニクラ」で働いている。この喫茶店には、昔から都市伝説のような、知っている人しか知らない話がある。それは、「過去に戻れる」という眉唾のような話し。

喫茶店には、そんな話を聞きつけて今日もまた誰かがお店の扉を開ける。数は、そうして過去に戻りたいお客様のためにいつもと同じくコーヒーを淹れる。このコーヒーが覚めてしまうまでのほんの短い間、お客様が自身の大切なものを取り戻せたらと願いを込めて。

好きな人に想いを上手く伝えられない女性や、近くて遠い存在になってしまった問題を抱えている夫婦、姉妹、親子。様々人たちの様々人生に触れ、数は温かい気持ちを覚えていく。そして、数自身もまた自分を見つめ直し、自分を取り巻く人たちと共に過去と向き合っていく。

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映画『コーヒーが冷めないうちに』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『コーヒーが冷めないうちに』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『コーヒーが冷めないうちに』の感想・評価

タイムループとは違う、時間移動

フニクリフニクラでは、数の入れるコーヒーによって自分が思い描いた時間に戻ることができる。しかし、ただ戻るのではなく、戻るためにはいくつかの条件が決められている。

1. 過去に戻るのはカップにコーヒーが注がれてから冷めるまでの間。コーヒーは飲み干すこと。
2. 過去に戻ることができても、現在は変えられない。
3. 過去に戻っても、「フニクリフニクラ」を知らない人には会えない。
4. 過去に戻っても、「フニクリフニクラ」から出ることはできない。
5. 過去に戻るには決められた席に座らなければならないが、その席には必ず先客がおり、先客が席を立つまでは座れない。

一見して面倒な条件でしかないこの設定が、この物語に深みを与えるスパイスとなっている。

この物語は、「時間を巻き戻して過去に戻れる」こと自体はさほど重要ではない。ポイントは、この面倒な条件を飲み込んでもなお過去に戻りたい人たちがおり、伝えたいことがあると言うこと。まるで「藁にもすがる思い」のような、一見してとても無意味に思えるような行為に、人間臭さが出ており、それがこの物語の醍醐味となるのだろう。

4つの物語が紡ぐ、1つの物語

公開されているビジュアルポスターにも、「4回泣ける」との文言がある通り、この物語は4つの短編が絡み合って構成されている。どのお話も1話完結のような構成で、繋がりがないように思えるが、最後にはきちんとまとめられているので、4つのお話を楽しむと同時に、物語の大枠も楽しむことができる。

こう言った連作小説と呼ばれる作品では、その他にも長嶋恵美著の傑作ミステリ『明日の話はしない』や朝井リョウの青春小説『もういちど生まれる』などがある。どの本も共通していることは、一つ一つが短編であるがゆえに読みやすく、内容が頭に入り易い。だが、全体の共通している要点を落とすことなく読者に伝えて、ミステリではどんでん返しが、ヒューマンドラマでは大きな幸福感と満足感を与えている。

短いお話しはテンポ感も重要になってくるが、観ている人たちを4回泣かせるストーリーを演出家・塚原あゆ子がどのように作り出しているのかとても気になって仕方がない。

キャストが豪華!ベテランから若手まで話題性の俳優が勢揃い

主演を務める有村架純は、2010年に『ハガネの女』でドラマ初出演を果たし、その後2013年の連続テレビ小説『あまちゃん』でブレイクして以来怒涛の勢いで急成長している。これまでドラマやCM・映画はもちろんのこと、声優や紅白歌合戦の司会を務めるなど、数々の功績を残している。その人柄や演技力は、既に若手からベテランへと変貌を遂げていると言っても過言ではない程、有村架純の実力には定評がある。

更に、脇を固めているモデル兼女優・波瑠も2015年の『あさが来た』以降、話題に事欠かない人物となっている。林遣都も同じく、初主演映画『バッテリー』では日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲得しており、有村架純と並んで実力派俳優と呼ばれる若手俳優である。

このように、若手俳優陣を見ただけでも豪華だと感じるが、30代以降の登場人物を演じている出演者も豪華だ。薬師丸ひろ子や松重豊、吉田羊に石田ゆり子、これだけの名俳優名女優が揃うと、彼ら彼女らの一挙手一投足に目が離せなくなりそうである。

映画『コーヒーが冷めないうちに』の公開前に見ておきたい映画

映画『コーヒーが冷めないうちに』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『コーヒーが冷めないうちに』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ビリギャル

有村架純が出演し、第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、新人俳優賞などを受賞したヒット作。それまで映画やテレビドラマにも何作か出演しており、更にスタジオジブリ作品思い出のマーニー』ではダブルヒロインであるマーニーの声優も演じていたが、一躍有名になってからの『ビリギャル』は、それまでの黒髪清純派の有村架純とは打って変わって、金髪の女子高生に大変身している。

ド底辺と言われる程頭が悪く、偏差値の低い落ちこぼれ女子高生さやか(有村架純)が、人生の一発逆転を掛け偏差値30から40以上上げて、慶應義塾大学に現役合格したと言う話し。元々出来の良さそうな清純派の女優有村架純がギャルを演じるだけあって、配役には当初「?」が浮かんだ人もいただろう。

何せ、ギャルと言うだけあってその恰好は金髪パーマで耳にはピアスを開け、高校生にして厚化粧とおまけに制服はミニスカートでへそまで出している出で立ち。普通ならこんなギャルが塾に行っても門前払いされそうなものだが、有村架純演じるさやかがこれまでしてこなかった勉強に奮闘する姿は、見ていて応援したくなる。

詳細 ビリギャル

デメキン

こちらは『コーヒーが冷めないうちに』で、有村架純が演じる数に恋心を寄せている美大生新谷を演じる健太郎が主演として出ている映画。先の記述にある『ビリギャル』が有村架純のギャップを描いているとしたら、この『デメキン』は健太郎のその容姿からは想像がつきにくい暴走族の役を演じている。

お笑いコンビ「バッドボーイズ」の佐田正樹は、過去に暴走族の総長を務めていた。映画化された『デメキン』は、その佐田正樹の自伝を元に制作されている。健太郎は、その佐田正樹を演じ、幼いころ自分をいじめていたいじめっ子を返り討ちにし、無敵のケンカ不良少年となる。髪の毛を真っ赤に染め、リーゼントをトレードマークにした姿は、とても有村架純に懸想している人物と同一人物とは想像もつかない。

映画の内容は、不良少年のケンカに明け暮れる日々と、暴走族の総長になるまでを描いた青春映画となっている。健太郎という俳優が、こう言う役も演じられるのだと思ってみると、なかなかに興味深い。

詳細 デメキン

長い長い殺人

「連作小説」とは、短い小話しが続き、一見して全て関係がないように思えるが、最後には全て繋がっている形態の小説のことである。今作の『コーヒーが冷めないうちに』は、まさにこの連作小説と言われるものを映画化した作品にあたる。他にも人気作家宮部みゆきの作品で、1992年に単行本化され実際に映画化された連作小説『長い長い殺人』もまた、同じ形態の映画化としてぜひお勧めしたい見どころがある。

語り部は、なんと登場人物の「財布」。この時点で、この作品に食いつく要素があるとは言えないだろうか。ある晩男が轢き逃げに遭い、男に3億円の保険金が掛けられていたことから、世間を賑わす大きな事件へと発展する。警察は、事件に関連のある人物たちの捜査に当たるが、捜査は思いがけず難航する。その様子を、それぞれの「財布」たちが淡々と語る。

連作小説の面白いところは、一つ一つの作品も面白く、それが最後に集約された時もスッキリ感を味わうことができ、ストンと胸に落ちてくる感覚を味わえるところだろう。ある意味で、普通の小説を執筆するよりも難しく、読者への挑戦とも言えるのかもしれないが、さすがプロの小説家、この作品も、最後には「なるほど」と納得する結末が待っているはず。

詳細 長い長い殺人

映画『コーヒーが冷めないうちに』の評判・口コミ・レビュー

映画『コーヒーが冷めないうちに』のまとめ

この映画の主人公・時田数を演じる有村架純は、コメントで「自分にしかできない自分の仕事を、彼女(時田数)はどう感じているのか」と話している。自分がきっかけで、他人が人生の岐路に立たされる。長い人生の中で、そんな場面はそうそう経験できるものではないだろう。数の淹れてくれる一杯のコーヒーが、訪れるお客様の心を少しずつ温めていく。そして最後には、お客様が笑顔になって帰って行く。そんな場面に出会えたら、なんて素敵なことだろうと思わずにはいられない。ビジュアルポスターの優し気な数を見て、彼女の淹れるコーヒーを映画を観ながら堪能したくなる。

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