これまで名作を数多く生んできた劇団、ヨーロッパ企画。そんなヨーロッパ企画にとって初となる、オリジナル長編映画がここに誕生した。長年劇団で育まれてきた、質の高いコメディを楽しもう。
映画『ドロステのはてで僕ら』の作品情報
- タイトル
- ドロステの果てで僕らは
- 原題
- なし
- 製作年
- 2020年
- 日本公開日
- 2020年6月5日(金)
- 上映時間
- 70分
- ジャンル
- コメディ
SF - 監督
- 山口淳太
- 脚本
- 上田誠
- 製作
- 大槻貴宏
吉田和睦 - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 土佐和成
朝倉あき
藤谷理子
石田剛太
酒井善史
諏訪雅
角田貴史
中川晴樹 - 製作国
- 日本
- 配給
- トリウッド
映画『ドロステのはてで僕ら』の作品概要
20年以上の歴史を誇る、知る人ぞ知る劇団集団、ヨーロッパ企画。所属している俳優が、演技だけでなくイベント企画や小道具、ロボット製作なども行うという、オールマイティな集団である。そんな彼らのキャリア上初となる、オリジナル長編映画作品の制作が決定した。過去には元々舞台で上演していたサマータイムマシン・ブルースが映画化されているが、映画作品として書き下ろされた物は本作が初となる。ヨーロッパ企画の持ち味である、キレのあるコメディが存分に発揮された作品に仕上がっている。
映画『ドロステのはてで僕ら』の予告動画
映画『ドロステのはてで僕ら』の登場人物(キャスト)
- カトウ(土佐和成)
- 普段はカフェのマスターをしている男性。彼の元に、2分後の世界の自分からの連絡が来たことで物語が動き出す。
- メグミ(朝倉あき)
- 本作のヒロイン的存在。美容師をやっており、カトウと共に、未来を知るために作戦を練る。
映画『ドロステのはてで僕ら』のあらすじ(ネタバレなし)
これまで平凡な毎日を送っていたカトウは、ある日信じられない出来事に遭遇する。それは、カトウがとある雑居ビルの二階にいた時のことだった。自分しかいないはずの部屋で、どこからか声が聞こえたのだ。その声は、テレビから聞こえてきた。そして、そのテレビにはなぜかカトウの姿が写っていたのだ。さらに、テレビの中のカトウがカトウに話しかけてきた。テレビの中のカトウは、なんと2分後の世界のカトウだという。実は、カトウのいる部屋と1階にあるカフェが、2分の時差で繋がっていたのだ。それを知ったカトウの仲間達。彼らは、なんとかして2分よりも先の未来を知ることができないか、と躍起になり様々な取り組みを始めるのだったが……?
映画『ドロステのはてで僕ら』の感想・評価
ヨーロッパ企画初長編作品
ヨーロッパ企画、という団体を知っているだろうか。ヨーロッパ企画とは98年に結成された、長年活躍し続けている日本の劇団である。SFやファンタジーなども手がけてはいるものの、その主路線はコメディ作品。最新作も2分後の未来の自分とコンタクトを取るなどSF風でありながら、コメディ要素も多く盛り込まれている。実際に劇場に足を運ばないと見られないのが舞台作品の特徴ではあるが、映画化されることで、その魅力がより多くの人の目に留まりやすくなる。日頃、劇団を見ることがないという人も、この機会にぜひ劇団の世界に足を踏み入れてみよう。そして、魅力を感じた人は是非、実際に劇場にも足を運んでみよう。
奇想天外な手法
前述したように、ヨーロッパ企画の持ち味はコメディのクオリティの高さ。長年劇団で磨かれてきたその技術は、本作においても存分に活かされている。元々は、2分後の自分が話しかけてくる、というSFチックではあるもののシンプルな設定であるこの話。しかし、本作を面白くしているのは、『いかに2分より先の未来を見るか』という目標の元主人公達が四苦八苦する姿。主人公達が、普通では思いつかないような奇想天外な手法を次々と繰り広げていく姿は見ていて爽快。SF作品が苦手という人も、コメディ色が強い本作であれば楽しめるかもしれない。
高い演技力
これまで一度も、舞台作品を観に行ったことがない、という人も案外多いのではないだろうか。勿論、演劇に興味がある、はたまた好きな俳優やアイドルが舞台に出演している、といった理由から、劇場に足を運んだことがある人もいるだろう。しかし、映画作品などと比べると、どうしても舞台作品は馴染みがない存在になるだろう。だが、藤原竜也や阿部サダヲなど、今や数多くのテレビドラマや映画に必要不可欠な存在も、本来は舞台を中心として活躍する舞台俳優である。CGなどに頼ることができない分、自分達の演技力、表現力で見ているものを納得させなければいけない。そのため、舞台出身の俳優の演技力はずば抜けていることが多い。最新作にも多数の舞台俳優が出演している。コメディだけでなく、高い演技合戦も楽しむことができるかもしれない。
映画『ドロステのはてで僕ら』の公開前に見ておきたい映画
river
日本には、数多くの劇団が存在する。最新作を制作した『ヨーロッパ企画』もその一つ。しかし、日本において現在最も有名な劇団は、『TEAM NACS』と言っても過言ではないだろう。TEAM NACSに所属しているメンバーと言えば、大泉洋や安田顕、音尾琢真に戸次重幸、さらにはリーダーの森崎博之と、どのメンバーも映画やドラマに引っ張りだこの人気者ばかり。長く活躍している劇団ではあるものの、実は全員が同じ映画作品に出演しているというのは、長い歴史の中で本作だけ。しかも、今やこのあらゆる作品に出演している大泉洋の、記念すべき映画初主演も本作。今や全員が同じ作品に出演することは、ギャラ的な問題からも難しいかもしれない。もう実現は難しいかもしれない、豪華な一作。
詳細 river
インセプション
何も考えない映画、というのは疲れている時などに最適。しかし、たまには真剣に映画と向き合い、考えながら見るというのもいいものである。クリストファー・ノーラン監督作品であり、2010年の賞レースを総なめにした名作である。本作を複雑にしているのは、タイムラグの設定。本作の登場人物達は、他者の深層意識に潜ることができるのだが、潜る階層の違いによって、時間のズレが生じていくのだ。最新作も、5秒後の未来という時間設定をうまく活用したストーリー運びとなっており、本作と共通している。途中で整理しながら出なければ、置いていかれてしまう。しかし、その分理解できた時の爽快感は格別。日本からは渡辺謙も出演している名作、しっかりと腰を据えて見届けよう。
詳細 インセプション
サマータイムマシン・ブルース
瑛太や上野樹里が出演した、2005年に製作された本作。実は、本作は元々はヨーロッパ企画が第8回公演として上演していた作品を映画化した物なのである。実は、今や大人気の俳優、ムロツヨシにとっての映画初出演作品でもある。2018年には続編となる『サマータイムマシン・ワンスモア』が上演されており、もしかすると、そちらも今後映像化されるかもしれない。ストーリーは、SF研究会の前にタイムマシンが突然現れたところから始まる。タイムトラベルができることに調子に乗った面々は、あらゆる悪戯を仕掛けていく。しかし、過去の世界を変えることで、現在に影響が出ることに気がついた一行。慌てて自分達が犯したいたずらを帳消しにしようと躍起になるが…?
映画『ドロステのはてで僕ら』の評判・口コミ・レビュー
ヨーロッパ企画の映画『ドロステのはてで僕ら』を京都シネマで観た。仮に思いついても1日寝て冷静になれば実行に移さないようなアイデアをそのまま具現化したような作品なんだけど映画としては不思議と綺麗にまとまっている……というマジックみたいな映画だった。(今後全国でもじわじわ公開されます) pic.twitter.com/IuNVyLSsFH
— hitsujino ayumi (@hitsuayu) June 6, 2020
営業再開後、初映画は「ドロステのはてで僕ら」でした!めっちゃ面白かった…。「どうやって撮ってんだ!?」と思わせる長回しSF展開にビックリだし、今までありそうでなかったアイデアで埋め尽くされてた!時間差でゆっくりじわじわと、最後は怒涛のように笑わせてくるので堪えるのに必死です!笑 pic.twitter.com/obUrfkugvy
— オレンジ🍊 (@Yomeishu_41) June 6, 2020
映画『ドロステのはてで僕ら』観てきた。
面白かった!カメ止めのときと同じく、映画館で観てこそより面白くなるコンテンツ!この際どう撮ったのとか、辻褄合わせとかはどうでもよくって、物語に没頭するのがgood。でもこの訳分からんくなる感覚、サマータイムマシンブルース以来で、懐かしくなった。— 余っちゃん (@yocchan1207) June 5, 2020
「ドロステのはてで僕ら」見た!すごい!複雑で完璧に辻褄を理解するのは難しいけど話は分かる!話が進んでいくにつれて理解が深まっていって面白い!「この映画すごっ!」ってなる!長回しやから引き込まれ具合もすごい!すごいとしか言えない!wすごい体験した!舞台ではできない映画ならではの作品
— 手を洗うベッチー🍄📦 (@bechi0226) June 6, 2020
映画『ドロステのはてで僕ら』のまとめ
俳優達の活躍する場所は、映画やドラマだけではない。舞台も、一流の演劇が見られる場所の一つである。ヨーロッパ企画は、長年その舞台という場所で輝き続けてきた団体。本作を見て、脚本や俳優陣の演技に魅力を感じた人であれば、ヨーロッパ企画の舞台上演も必ず楽しめるはず。基本的に年一回のペースで新作舞台が発表されているヨーロッパ企画。2020年の公演はまだこれからであるため、本作で興味を持った人もそのまま公演に足を運ぶことができる。中々足を踏み入れづらい劇団の世界。そんなディープな世界に、本作をきっかけに踏み入れてみよう。
みんなの感想・レビュー