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映画『解夏』あらすじとネタバレ感想

映画『解夏』の概要:原作、さだまさし。監督、磯村一路。主演、大沢たかお、石田ゆり子。目の視力が徐々に失われてゆく難病・べーチェット病に冒された若い男性教師の苦悩と葛藤、そして新しい一歩を踏み出すまでを描いた感動のヒューマン・ラブストーリー。あたりまえのことだが、目が見える喜び、ありがたさを教えてくれる珠玉の一編。

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映画『解夏』 作品情報

解夏

  • 製作年:2003年
  • 上映時間:113分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:磯村一路
  • キャスト:大沢たかお、石田ゆり子、富司純子、田辺誠一 etc

映画『解夏』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

映画『解夏』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『解夏』のあらすじを紹介します。

長崎県・長崎市。今日は3年前に他界した父親の墓参りのために母・高野聡子(富司純子)と高野隆之(大沢たかお)。季節は、春。5月。坂道の多い長崎の街を母と一緒に墓参りを行く隆之は、およそ5ヶ月前まで東京の小学校で教員を務めていた。10年に1度、あたるかあたらないかの、いいクラスの担任。何の問題もなく、次年度も迎えられるかと思っていたが、ある日目の視力は衰えてゆく難病・べーチェット病に冒されていることを知る。疲れやストレスが積もり、夢の中では良きクラスの自分の生徒に襲われる恐ろしい夢を見てしまう。同じ東京で医師をしている同郷の幼馴染・清水博信(古田新太)に会いに行く。そこで初めて、病名を知らされる。症状は徐々に視力が失われて行き、最終的には完全に失明すると言われる不治の病。薬などの治療は出来るが、確実に失明してしまう日本にも多くある難病。

隆之は診断を聞いて、教師を辞任することを決意。ちょうど学年が変わる時期だったが、何の違和感もなく辞職。その後、お世話になった恩師・朝村健吉に会いに行った。自身の病気のこと、辞職すること、故郷に帰ること、そして今お付き合いしている女性、朝村の娘でもある朝村陽子との関係を解消することを伝えに恩師に会いに行った。一番は。彼女・陽子に迷惑かけられないと言う思いからの行動だった。その頃、陽子は教育学を学ぶため、単身ネパールに留学中だった。

辞職後、隆之は故郷の長崎に帰った。何も言わずに母・聡子と姉(石野真子)が優しく出迎えてくれた。彼は失明する前に、故郷・長崎の美しい風景を焼き付けるように市内を一人歩いた。長崎の長い長い坂道、商店街や路地裏、幼い頃によく遊んだ寺院など、昔を懐かしむように、そしてもう二度とこの景色が見られないことを憂いながら、一人長崎の街を歩いたり、地元にいる幼馴染の松尾(田辺誠一)と会ったり、最後の時を過ごしていた。

隆之にとって穏やかな日々が続いていたある日、彼にとって大きな変化があった。それは、別れを告げたはずの恋人・陽子がネパールから日本に帰って来たのだ。しかも一人長崎を、隆之の元を訪れた。彼女は、隆之の病状を聞いて、献身的に支えたいと思い、単身長崎を訪れたのだが、そんな行動をする彼女に、隆之は嬉しい反面、葛藤を感じていた。陽子は長崎に留まると言って聞かない。隆之はそんな彼女の将来に不安や憂いを感じていた。また自身の病気のことでも悩み、焦燥感を抱きながら日々を過ごしていた。そんなある日、隆之と陽子が訪れた寺、聖福寺の老僧・林(松村達雄)に出会った。彼は隆之の目の難病のことを聞いて、一つの話をし始めた。

僧には毎年、夏の間に修行をする。僧が皆集まり一つの場所で7月15日までの90日間、修行を行う。托鉢を行い、座禅を行い、安居日の7月15日に僧は皆修行を終えて、一人別々の道へ散って行くのだ。その90日間の修行はつらく厳しいもの。その修行が開けることを、仏教界では“解夏”と呼ぶ。老僧は、その僧の修行と、隆之の今の状態が似ていると。隆之が失明するまでの恐怖が、まさに“修行”だと言う。隆之が完全に視力を失った瞬間、その恐怖から開放され、彼にとっての“解夏”が訪れるのだと、優しく説法を説くのだった。

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映画『解夏』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『解夏』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

聞き慣れない言葉が存在する

この作品には聞き慣れない言葉がある。それはタイトルにもなっている“解夏”と主人公が冒されてゆく難病“べーチェット病”だろう。まったく聞きなれない言葉だと、映画にも集中できなくなる。映画を観る前にまずは、この二つ言葉を予習しておけば、映画の物語にもすんなり入り込めるのではないでしょうか?

まずはタイトルにもなっている“解夏”は、あらすじでも軽く触れているが、語源は仏教用語。“解夏”とは、陰暦7月15日に夏安居(げあんご)を解くこと。別の読み方では解夏と書いて“げあき”とも呼ぶ。もう少し詳しく説明すると…

『安居(あんご)』とは「〔梵 vārşika 雨期の意。インドの夏は雨期で、僧がその間外出すると草木虫などを踏み殺すおそれがあるとして寺などにこもって修行した雨安居に始まる〕〔仏教用語〕①僧が夏に一定期間、一ヶ所にこもって修行すること。元来は陰暦4月16日から7月15日までの三か月間行われ、この間を一夏(いちげ)という。現在は主として禅宗の修行道場で行われる。夏安居(げあんご)。夏行(げぎょう)。夏籠(げごもり)。[季語]夏。」

また主人公が患う難病“べーチェット病”とは…

ベーチェット病は、全身に色々な症状が繰り返し現れる病気ですが、その原因は解っていません。ベーチェットというのはこの病気を昭和10年代に報告したトルコの皮膚科の医師の名前で、この病気はトルコを含む中近東から中国そして、日本に多い病気。シルクロード病とも呼ばれている。日本では、1972年より、その原因の解明、治療法の開発に詳しく力を入れていますが、まだ不明なことも多く、特に眼に症状がある方には、視力の低下、ひどい場合は失明にいたることもあり、難病に指定されている。

今の現代技術、最先端医療技術を持ってしても、この難病ベーチェット病を治すことも、病気の進行を抑えることも出来ない。そんな複雑な心境の中で、主人公・隆之の葛藤は計り知れない。主人公の視力が完全に失明するその瞬間を、寺院の住職は仏教用語でもある夏解(げげ)と表現をする。失明する恐れの中での葛藤や苦悩を修行であるのなら、失明する瞬間、その苦しみから解き放たれる。まさに修行が終わりを迎える日、そのものだと。宗教要素とドラマ的要素が上手に融合された結果、本作品は感動ドラマとして見事に昇華している。

さだまさしの原作の共通点

前回にも紹介させて頂いたさだまさしが発表した原作小説『サクラサク』『風に立つライオン』『眉山』を照らし合わせると、ある共通点が見えてくる。例えば『サクラサク』の題材は認知症。『眉山』では癌。『風に立つライオン』では海外医療。一つ一つには関連性はないが、深く考察してみると、すべてが病気、医療、福祉と共通したキーワードが見えてくる。それと一緒にドラマ的要素では、家族関係、親子関係、恋人関係、そして師弟関係と、人と人との関係がテーマでもある病気、医療、福祉と絡み合い相乗効果が生まれ、誰の心に響く感動的な作品に仕上がっている。

中にはさだまさし原作の映画作品に対して厳しく批判する方もおられますが、私自身批判する方の気持ちは分かりません。内容が甘すぎるだの、台詞もこんな言い方はしなだの、発言している方がちらほら見受けられますが、例えば逆に私たち自身が映画の中の主人公たちのような境遇に出会ってしまったら、はたしてどのような発言を、どのような行動をしてしまうのでしょうか?それは当事者本人でないと、分からないことを作品に対して否定的な意見、考え方を受けている人はまず、その考えから脱却し、人の立場に立って考えてみてもいいのかも知れません。他人に優しく、他人の痛みを知り、他人の事に耳を傾けないと、とうてい他人の苦しみなんて理科できるはずもない。

映画もまたそれと一緒だと私は思うのです。偏った考えかもしれませんが、映画を観て泣けず、考えず、複雑な想いを抱けない人は、現実の世界でもまた、相手の気持ちを理解できない人なのかもしれません。

その凝り固まった考えを捨てた時、さだまさしの作品の本当の素晴らしさが、見えてくるはずです。まずは、頭の中を整理し、一呼吸おいてから、じっくりとさまだまさし作品に触れてみるのもいいかもしれません。今まで見えてこなかった何か新しい発見があるかも知れません。


自分は大丈夫だと思っている人にこそ見て欲しい今作。病気にかかるはずがない、視力を失うなんてありえないと思っている方は、この作品に大きな絶望と希望を感じることでしょう。
突然ベーチェット病という不治の病に侵されたとしたら…。いつかは目が見えなくなってしまうなんて普通は想像もしていないし、考えられませんよね。だから、多くの人は絶望を感じるはずなんです。
しかし、この作品で語られている「解夏」はその絶望の先にある希望のお話。宗教的な言い回しもあり、少し難しい感じもしますが自分の気持ち次第で絶望にも希望にも変えられるのかなと感じました。
自分だけではなく、自分の大切な人にも教えてあげたい作品です。(女性 30代)

映画『解夏』 まとめ

さだまさしの作品は、観る人を選ぶ作品が多いと言えばそこまでだが、上述したように考え方ひとつで映画は、良くも悪くも捉えられてしまう。けど私は、本当にこの作品が素晴らしいと思う。特に、主人公の恋人・陽子の隆之に対する想いは、計り知れないと思う。もし恋人が、家族が失明、もしくは植物状態など、何らかの事故に遭っていまったら、本当にその人を支えたいと思うだろうか?思ったとしても、それを目の前に気丈に振舞えるだろうか?陽子は、失明してもあなたの目になって、人生を支えたいとはっきり発言している。自分の人生、幸せを棒に振ってまで、愛する人を守りたいと言う想いは、偽ものでもない、心の底からそう思ったことを、この作品に対して否定的な人は、その考えが甘すぎると捉えている。人それぞれ意見があるかも知れないが、本当にその事が甘いのか?目の前で苦しむ人を放ったらかして、自分だけ幸せになろうとする人間の方が、甘いように私は思うのです。

また、私個人が好きなシーンは、隆之の元に進級した元教え子達からの手紙の内容に胸が締め付けられます。他愛も無い手紙の中に、同級生の友人がいじめられていることに、『先生、助けに来て』と手紙の一言。隆之本人も、助けに行きたい、教職に復帰したい気持ちを抑えることへの葛藤が、よく表現されています。

内容は硬派ですが、少しでも多くの方に診て欲しい秀作です。

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