映画『ハクソー・リッジ』の概要:太平洋戦争中の沖縄戦において、ハクソー・リッジと呼ばれた前田高地での激戦の中、良心的兵役拒否者として銃を持たず従軍し、それでも衛生兵として、多くの傷ついた兵士を救ったデズモンド・トーマス・ドスの半生を描いた戦争映画。
映画『ハクソー・リッジ』の作品情報
上映時間:139分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記、戦争
監督:メル・ギブソン
キャスト:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー etc
映画『ハクソー・リッジ』の登場人物(キャスト)
- デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)
- セブンスデー・アドベンチスト教会の敬虔な信徒であり、良心的兵役拒否者である。本人は良心的兵役協力者であると語る。他人のことを思いやる性格で、衛生兵として、戦場で敵味方を問わず治療にあたる。
- ドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)
- デズモンドの妻。ドスに一目惚れされ、強引なアプローチに戸惑いはするものの、お互いに惹かれ合う。ドスが軍規違反で投獄され、結婚式をキャンセルすることになってしまうが、それでも夫の信念を信じ、彼に寄り添う。
- トーマス・ドス(ヒューゴ・ウィーヴィング)
- デズモンドの父親。第一次世界大戦に出兵した過去を持ち、その後遺症で心を病み、酒に溺れ、家族に暴力を振っている。ドスの軍事法廷の時に、かつての上官を訪ね、信書を取り付け、息子の名誉を回復する
- ハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)
- デズモンドが配属された部隊の直属上官。新兵たちを罵倒し、過酷な訓練を課す。ハクソー・リッジの戦いで、デズモンドに命を救われる。
- ジャック・グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)
- デズモンドの配属された師団の師団長。良心的兵役拒否者であるデズモンドを何とか除隊させたいと、彼を軍事法廷にかける。しかし、沖縄戦でのデズモンドの行動に心を打たれ、謝罪をし、彼のために礼拝の時間を用意する。
- スミティ・ライカー(ルーク・ブレイシー)
- デズモンドと同じ部隊に配属された新兵の一人。デズモンドの行動を心良くは思っておらず、彼に厳しく当たり、時には暴行を加えることもあった。沖縄戦の最中、デズモンドと境遇が似ていることから和解するが、直後に銃弾に倒れる。
映画『ハクソー・リッジ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ハクソー・リッジ』のあらすじ【起】
太平洋戦争沖縄戦の真っ只中、負傷したデズモンドは担架で運ばれていた。彼の頭には聖書の言葉がよぎっていた。
16年前、デズモンドは自然豊かなヴァージニア州で幼少期を過ごしていた。父、トーマスは第一次世界大戦の後遺症で酒浸り、DVが日常的に行われていた。ある日、デズモンドは喧嘩の勢いで兄を煉瓦で殴ってしまう。両親からの叱責の中、デズモンドは十戒のポスターの前で「汝、殺すなかれ」という言葉を心に深く刻むのだった。
そんな少年期から15年後、デズモンドは教会で働いていた。ある日、事故にあった知人を病院に搬送し、そこでドロシーと出会う。ドロシーに一目惚れしたデズモンドは、その想いを彼女に告げ、二人は交際を始める。しかし、時は戦争の時代、デズモンドの兄は父の反対を押し切り出征をしていた。そして、デズモンド自身も衛生兵であれば自分も国のために働けると入隊を決意し、そのことをドロシーに告げる。「プロポーズもされてないのに、私を置いていくの?」とドロシーに言われたデズモンドは彼女に求婚をし、休暇の時に結婚式をあげる約束をし、入隊をする。
映画『ハクソー・リッジ』のあらすじ【承】
ジャクソン基地に入営したデズモンドには過酷な日々が待っていた。新兵たちは直属の上司ハウエル軍曹から罵倒され、厳しい訓練を行なっていた。その訓練の中、ライフルが支給されるが、デズモンドは銃を触ることを拒否する。「宗教上の信念から銃を持って人を殺すことはできない」と師団長のグローヴァー大尉に申告するデズモンド。グローヴァー大尉は「戦争とは人を殺すことだ」とその申告は聞かず、「嫌なら除隊しろ」と告げる。除隊する気持ちはないデズモンドは銃に触らないまま、訓練に参加し続ける。それがきっかけとなり上官、同僚からのイジメが始まるが、デズモンドはひたすら耐えていた。規律違反で収監され、ドロシーとの結婚式にも出席できず、ついには軍事法廷の場に晒されることになっても、彼は自分の信念を貫き通すのだった。
軍事法廷において、デズモンドは圧倒的に不利だった。しかし、息子の身を案じた父トーマスはかつての軍服に袖を通し、大戦時の上官であったマスグローブ准将の元を訪れ、デズモンドを助ける信書を受け取る。信書には「良心的兵役拒否は憲法で認められており、デズモンドが信教上の理由から武器に触らないことには何の問題もない」とあり、軍事法廷でのデズモンドに対する告訴は取り下げられた。そして、デズモンドはドロシーと結ばれ、衛生兵として沖縄へ出兵するのだった。
映画『ハクソー・リッジ』のあらすじ【転】
デズモンドたちが所属する、グローヴァー大尉率いる第77師団はハクソー・リッジに到着する。縄梯子を登った高地には死体の山が散乱していた。前進する第77師団に、日本軍の攻撃が始まる。戦火の中、デズモンドは衛生兵として傷ついた兵士たちの救護を続けていた。訓練中デズモンドを目の敵にしていたスミティは、そんな彼の姿を見て考えを変える。野営の塹壕の中で二人は語り合い、お互いの境遇が似ていることに共感し、分かり合うのだった。
翌日、師団は日本軍の襲撃を受ける。地下から次々と出てくる日本兵に彼らは怯え、撤退を余儀なくされる。撤退の中、スミッティは凶弾に倒れる。デズモンドの必死の救護の甲斐なくスミッティは戦死してしまうのだった。師団はハクソー・リッジまで後退、本隊は崖を降りてしまうが、デズモンドは助けを求める傷ついた仲間たちの声を聞き、崖を降りることを思い留まり、再び戦場へ向かうのだった。
一人、戦場を走り回り、息のある兵を次々と助けるデズモンド。ロープに負傷した兵を結び崖の下に降ろしていく。日本兵に見つからないように、味方兵を土に埋め、自分の上に死体をかぶせ敵が通り過ぎるのを待ち、戦場を走り回っていたデズモンドだったが、誤って日本兵の地下通路に紛れ込んでしまう。彼は、そこで出会った負傷した日本兵にも治療を施すのだった。
映画『ハクソー・リッジ』の結末・ラスト(ネタバレ)
撤退した師団でも、異変に気がつき始めていた。崖の上で見捨ててしまったはずの負傷兵たちが、次々と救護テントに運ばれているのだった。
崖の上では、デズモンドがハウエル軍曹を救助していた。銃として使わないのなら、触ることができると、布に銃を巻きつけ、その上にハウエル軍曹を乗せて引きずるデズモンド。日本兵はすぐそこまで迫っていた。ハウエル軍曹を崖の際まで引きずり、ロープに括り、一緒に崖から飛び降りるデズモンド。彼は崖の下で、英雄として仲間たちに優しく迎えられるのだった。
グローヴァー大尉は今までの非礼を謝罪し、翌日土曜日の総攻撃に参加することをデズモンドに依頼する。土曜日は彼の宗派にとっては安息日だったが、礼拝を済ませた後、デズモンドは作戦に参加をする。そして、再びハクソー・リッジで壮絶な戦いが始まる。銃を持たないデズモンドは素手で次々と仲間を助けていくが、日本兵の手榴弾によって足を負傷してしまう。担架で運ばれる途中、デズモンドは自分の聖書がないことに気がつく。自分を支えてくれた聖書、その聖書には愛するドロシーの写真も挟んであった。だが、仲間の兵士が彼の聖書を戦場の中で見つけ、彼の元に届ける。その聖書を抱いて、彼は戦場を後にするのだった。
映画『ハクソー・リッジ』の感想・評価・レビュー
この時代の実話としては、とても驚くべき作品だった。銃を持たないことが成り立つのは、多様多種な人々が暮らすアメリカならではだと感じた。「ハクソー・リッジ」が日本の場所のことだと知って驚いたが、この作品で、アメリカや海外の人からの日本の映り方がわかり、とても面白かった。日本人の戦う姿勢や心理はある意味異常であり、アメリカが脅威を感じていた事実はとてもすごいことだと思う。
戦闘シーンがとても長時間かつ細かく描かれており、戦争という緊迫感や迫力がとても伝わってくる作品。(女性 30代)
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