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映画『her 世界でひとつの彼女』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『her 世界でひとつの彼女』の概要:妻と別居し、離婚調停中のセオドア。彼は自分を責め、絶望の中にいた。人工知能のサマンサに出会い、戸惑いながらも彼女に救われ恋をして行く。そう遠くない未来のラブストーリー。

映画『her 世界でひとつの彼女』の作品情報

her 世界でひとつの彼女

製作年:2013年
上映時間:126分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:スパイク・ジョーンズ
キャスト:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド etc

映画『her 世界でひとつの彼女』の登場人物(キャスト)

セオドア(ホアキン・フェニックス)
妻と別居してひとりぼっち。手紙の代筆をする会社に勤めている。妻の事を忘れられず苦しみ、孤独に耐えきれない。人工知能のサマンサに救われ、恋心を抱いて行く。
サマンサ(スカーレット・ヨハンソン)
世界初の人工知能OS。経験から学び進化する機能を持つ。セオドアと恋に落ち、まるで人間のように怒ったり落ち込んだりする。彼女の存在がセオドアを絶望から救った。
エイミー(エイミー・アダムス)
セオドアのよき友達。夫と離婚し、セオドアと痛みを分かち合う。

映画『her 世界でひとつの彼女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『her 世界でひとつの彼女』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『her 世界でひとつの彼女』のあらすじ【起】

そう遠くない未来。テクノロジーの進化により便利な世の中が広がっていた。しかしどこか寂しそうな男がひとり。家に帰ってくると誰もいない。

セオドア(ホアキン・フェニックス)には美しい妻がいた。寝る前、ベッドの上で思い出す。孤独に耐えられなくなったセオドアは眠れない女性を検索した。繋がったのは「セクシーな子猫ちゃん」。テレホンセックスを楽しむが猫で首を絞めてくれと頼み始めた。完全に冷めてしまう。一方的に切られてしまった。

エレメント社のOS1の広告を見た。世界初の人工知能OS。家に帰ってから起動する。何個か質問に答えると、最適な人工知能を選んでくれるという。話しかけるとサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と名乗った。経験から学び進化するサマンサに驚く。さっそくPCの中を整理し始める。セオドアはサマンサと話し、久しぶりに笑った気がした。

ゲームをしているとメールが届いた。サマンサが読み上げると、ものすごい美人を友人が紹介してくれるらしい。ためらうセオドアをサマンサがけしかける。それを聞いたセオドアは女性と会う事を決心した。

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映画『her 世界でひとつの彼女』のあらすじ【承】

妻から離婚届の催促をされ、落ち込むセオドア。彼を励ます為にサマンサは彼を街へ連れて行き、一緒に遊ぶ。何度も笑わせてくるセオドアは元気になっていく。人間くさい人工知能のサマンサに心を開いて行く。

デート当日、美人と食事をするセオドア。快活で良く笑う彼女、デートはうまくいったみたいだ。帰り道にキスをする2人。彼女は結婚を前提に真剣に付き合いたいと言う。それに対して難色を示してしまうセオドア。彼女の表情が変わり罵倒されてしまう。

落ち込むセオドアだが、サマンサも落ち込んでいた。2人はオンラインで体を重ねた。誰も行ったことのない世界で2人きり。人工知能と人間の境界が消えて行く。

サマンサは携帯のカメラから世界を見た。駅を走り抜けて海岸に出た。海を2人で見つめる。

帰りの電車の中、妻の事を語りだすセオドア。彼女は心に孤独と不安を抱えていた。最初はうまくいっていた夫婦だが、彼女の不安がセオドアに向かい始めてしまった。

出社すると同僚の女性エイミー(エイミー・アダムス)がやつれた顔をしていた。小さな喧嘩で離婚することになってしまったらしい。エイミーの話を優しく聞くセオドア。

サマンサとベッドの中で会話する。エイミーに少しだけ嫉妬しているらしい。

映画『her 世界でひとつの彼女』のあらすじ【転】

エイミーと仕事をしながら恋愛の話をする。OSと恋愛をしている女性の話になり、セオドアはサマンサがOSであることをカミングアウトした。セオドアはサマンサに本気で恋をしはじめている。

妻と会う事になったセオドア。久しぶりに彼女に会う。離婚届にサインをする間、彼女との思い出が蘇り苦しかった。今恋人がいるかと聞かれ、サマンサの事を答える。PCが恋人と言うと、リアルに向き合えないと罵倒されてしまった。あなたはいつもそうだったと。

サマンサから代理セックスサービスの提案をされた。サマンサには体がない。そのことがずっと気になっていたのだという。押し切られてしまうセオドア。

代理の女性が部屋に入って来た。全く知らない女性はカメラとイヤホンをつけ、サマンサの音声に合わせて動く。この状況に混乱するセオドアは代理の女性を拒絶してしまう。サマンサは彼の心が離れて行ってしまったようで怖かった。離婚届にサインしたセオドアは荒れていた。サマンサとも大げんかしてしまう。

映画『her 世界でひとつの彼女』の結末・ラスト(ネタバレ)

人生を謳歌しなきゃ。一番辛いはずのエイミーは笑って自分を励ましてくれた。妻と別れたことによって自分を責め続けるセオドアの心を軽くして行く。彼は妻との過ちを繰り返さないようにサマンサとしっかり向き合おうと決めた。

サマンサと景色を見ているセオドア。サマンサは自分の作曲した曲を披露した。2人は一緒に写真を撮る事が出来ない。この曲は写真の代わりだという。

サマンサをポケットに入れて一緒に歩く。友人酒を飲み、船に乗る。肉体はないが彼の隣には必ずサマンサがいた。肉体がないからこそ、どこへでも一緒に行く事が出来る。

サマンサは彼にサプライズでメールを読んだ。彼のラブレターを出版社に勝手に応募していた彼女。その優しい文章が認められて出版が決まった。大喜びするセオドア。

ある日、サマンサのOSが起動しなくなってしまった。混乱するセオドアはパニックを起こしながら呼びかけ続ける。ただのアップグレードで起動しなかっただけだった。しかし、彼はそこで気づいてしまう。サマンサはセオドアだけでなく、役8000人と同時に会話していた。その中での恋人は600人。サマンサは機械として進化しすぎた。恋を覚えたサマンサはセオドアの人智を超えていたのだ。

自分だけのサマンサだと思っていたセオドア。サマンサは彼から離れる事を決めた。セオドアから愛を知ったサマンサはもっと遠いところに行くという。ずっと一緒にいたのに全く違う場所にいた2人の恋人が、今日離れ離れになった。

ドアをノックするセオドア。中からエイミーが出て来た。別れた妻に手紙を書く。現実とリアルと向き合う事を決めたセオドア。隣にエイミーが寄り添っていた。

映画『her 世界でひとつの彼女』の感想・評価・レビュー

突飛な設定に思えるが、スマートスピーカーの人気が高まる中、近い将来そういったこともありえるのではと思わせる内容であった。人工知能のサマンサの声を演じたスカーレット・ヨハンソンの魅力的なハスキーボイスのおかげもあり、セオドアが抱く恋愛感情がとても説得力を持って描かれていた。あらすじだけ見て、コメディかと思っていたのだが、内容は至って哲学的で人が誰かを愛するということについて考えさせられる作品であった。(男性 20代)


セオドアとサマンサの対話シーンは、サマンサに実態がないので自然とセオドアを映すことになるのだが、演じるホアキン・フェニックスのバラエティーに富んだ表情が繊細な感情を表していてよかった。また近年、声優としても活躍するスカーレット・ヨハンソンも、魅力的な声と納得の演技で素晴らしかった。

本作の相手はOSだが、普通の恋愛でも起こりうる気持ちの変化が表現されていて共感した。さらに実態がないが故に生じる問題がうまくストーリーに組み込まれていて、アカデミー賞の脚本賞受賞も納得のできだった。(女性 40代)


姿かたちの見えない相手に恋をする、愛してしまうというのは、何となく分かるような気がしました。孤独だったり、日々の生活に虚無感があったりした時、声だけとはいえ自分に寄り添ってくれる存在があったら、そこに愛が生まれるかも、と思います。
そう遠くない未来に本当にこんなAIが開発されそうだし、付随して、亡くなった過去の人を蘇らせるようなオーダーメイド型AIなども生まれそうだなと感じました。
まるでお洒落なブランド広告を観ているような映像の数々で、あらゆるシーンがとても美しかったです。(女性 20代)


もしかしたら、世界で同じことをしている人がいるかもしれないと思った。人工知能が発達し始めた昨今では、ありえない話じゃないだろう。その人工知能が唯一無二かはわからないが、セオドアとサマンサには確かに愛が存在したように感じた。実際にサマンサはスカーレット・ヨハンソンが演じていたため、よりリアルな人間に近いものになっている。

愛の対象は、必ず人間である必要はない。しかし、あれほどまでに学習したAIは人間ではないのだろうか。技術が進み、現在よりもより人間らしいAIができたときにはどうなるのか。想像力を掻き立てられるテーマだった。(女性 20代)


サマンサは肉体を持たない声のみの存在だが、セオドアが感じていたように、本当に彼女の表情が浮かび、実在しているような気持ちになった。サマンサを演じたスカーレット・ヨハンソンの声の使い方には鳥肌が立った。
今の世界を見ていると、この映画はとても現実味のある作品に感じる。近い未来、実体のない恋人や友人が存在する時代が来るのではないかと思う。この作品では、人間が作り出した機械が人から学び、進化し、人の先へ進んでいく。その姿に少し恐怖も感じたが、「リアルな感情」とは何か、その大切さを教えてくれる作品でもある。(女性 30代)


本作は、近未来のロサンゼルスを舞台に、人工知能型OSサマンサの声に惹かれた主人公セオドアのシステムとの恋模様を描いたSFラブストーリー作品。
実生活にAIが導入され、それが浸透されつつある現代、こういった生身の人間とAIとの距離感も次第に当たり前になっていくのだろう。
意外にも、彼のようにAIの方も感情を増やし、人間味が増していく点が良かった。
また、変わっていく2人の関係性と切なさに反して映像が美しく感慨深くて、相手を思う心の大切さに気付かされた。(女性 20代)


主人公の気持ちや設定になかなか入り込めずにそこまでハマれなかったが、決して触れることのできない人を好きになってしまった切なさや虚しさに、誰かを大切に思う尊さやいろいろな価値観を学べた作品だった。愛した人と繋がれた瞬間、愛した人が去っていく瞬間、恋愛における哀しさが丁寧に描かれていた。AIの声を演じたスカーレット・ヨハンソンが、声だけの存在だが見事な演技力で、彼女がサマンサを演じたからこその作品だと思う。(女性 20代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ①実体がないからこそ

    本作では主人公の恋愛対象がOSの人工知能という点において、SF的であるといえる。しかし、それと同時に恋愛映画としても相当に普遍的なテーマを内包した作品であるともいえるのが、本作が持つ深みの部分である。このことは現代社会を生きる我々にとっては単なる絵空事ではない。スマートフォンを見てみれば、その中には自然言語処理機能を備えた対話型アプリケーションが搭載されているし、生身の人間以外に恋愛感情を抱くという点は、アニメやマンガのキャラクターに恋愛感情を抱く人がいるということと共通しているといえるかもしれない。
     すなわち、我々が感情移入をする際、その相手が何であるかはもはや問題ではないのである。相手が生物であろうと無生物であろうと、こちらが愛おしさを感じてしまうことは往々にしてあるのだから。
    さらに言えば、実体がないものに恋愛するというストーリーのお陰で、観客は自分をセオドアに重ねるほかないために、恋愛映画というジャンルムービーとしても新感覚であるとともに、恋愛というものそのものに含まれているエッセンスが浮き上がってくるという側面もある。

    ②サマンサの声

    実体がないサマンサは、人工知能であるという設定から分かる通り、本来であればそこに自意識は存在しないものであるはずなのだが、その声をスカーレット・ヨハンソンが演じているために、妙に生きている人間の感じが伝わってくるようになっている。どうしても人工的に開発された音声は違和感があるものであるが、本作ではスカーレット・ヨハンソンの独特のハスキーな声のおかげで完全に独立した存在のように見えるように作られているのだ。

  2. 匿名 より:

    恋愛、ひいては何かに感情移入するというプロセスにおいて、相手がどうであるかということそれ自体は問題ではなく、こちらがその存在の中に魅力を感じてしまいさえすればそれで良いのだ。さきほど現実に存在しないものとしてアニメやマンガのキャラクターを引き合いに出したが、アイドルのような実体のある存在についても同じことが言える。アイドルそれ自身は人間であるから、実体があるのだが、テレビなどを通じてファンに見せる姿は生身の姿ではなく、大なり小なり作られたものであるはずだ。それに感情移入する人がいるということは、相手の感情が本物であろうとなかろうと、向いている方向がどうであろうと、こちらが相手に好意を抱く際にそれは意外と関係ないものなのだということでもあるのだ。