映画『光にふれる』の概要:2012年、東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映され注目を集めた一作。視覚障害を持つ実在の天才ピアニストと夢を諦めかけた女性ダンサーの出会いと挑戦を追う。台北映画祭では最優秀主演女優賞と観客賞をダブル受賞した。
映画『光にふれる』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春、音楽
監督:チャン・ロンジー
キャスト:ホアン・ユィシアン、サンドリーナ・ピンナ、リー・リエ、シュウ・ファンイー etc
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映画『光にふれる』の登場人物(キャスト)
- ホアン・ユィシアン(ホアン・ユィシアン)
- 生まれながら視覚障害を患い、唯一の特技であるピアノが大好きな青年。大学進学を機に、本格的に音楽を学ぼうとするが、過去のトラウマに阻まれてしまう。
- シャオジエ(サンドリーナ・ピンナ)
- ダンサーを夢見ていたが、浪費癖の酷い母親を抱え仕方なく仕事を優先している。偶然、ユィシアンと出会い、再び夢を追う熱量を取り戻す。
映画『光にふれる』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『光にふれる』のあらすじ【起】
妹に手を引かれながら手を洗いに向かうユィシアン。台中の田舎で父が営む花農家から離れ、進学のため台北に行く準備をしているのだ。不安はあるものの、才能を活かした仕事に就いてほしいと願う母親と一緒に新境地へと向かった。
生まれながら視覚障害を抱えるユィシアンは盲学校を卒業後、ピアノを本格的に学ぶために音楽大学へ進学した。寮での一人暮らしが始まる。学校も盲人を受け入れたことはなく、心配は絶えない。さらにユィシアンはしばらく表舞台を遠ざけていたのだ。それは大きな賞を受賞した幼い頃、「目が見えないから賞を獲れた」と言われたことが傷になっていたからだ。
「チャンス」と「時間」を与えてもらえるよう大学に頼み込む母親。寮の部屋を下見に行くと、ユィシアンは母親を椅子に座らせ徐にマッサージを始めた。大事な手を使わないよう止められても、ユィシアンにとって最大限の感謝の伝え方なのである。母親を見送り一人になったユィシアンは電気を付けたり、消したり、代わり映えのない世界を確認するのだった。
映画『光にふれる』のあらすじ【承】
シャオジエはダンスの勉強をしたいが、買い物依存症の母親のおかげで学校にも行けず働いてばかりだった。しまいには高給取りである軍の求人に応募するよう勧められ、うんざりした日々を送っている。
学校生活が始まったユィシアンは母親の助けがないことの不安を募らせていた。案内係の同級生に疎まれてしまい、一人で寮から演奏室まで移動する練習をしたいと母親に相談する。夜道を丁寧に案内されながら寮に向かうユィシアン。部屋に戻るとルームメイトが寝ていた。
翌朝、初めてルームメイトのチンと会話をしたユィシアン。分け隔てのない振る舞いに安堵するのだった。その日から補助指導員の授業が始まった。書き取ることのできないユィシアンに回答を求めた講師は、才能に驚く。その様子を見守った母親は、チンにユィシアンの生活を委ね、学校を離れるのだった。
配達を頼まれたシャオジエ。行き先はバレエ教室だった。ダンスへの意欲を取り戻したシャオジエは恋人がいる大学へ差し入れを持っていった。そこで自分以外の女性と親し気に過ごす姿を見てしまう。雨の中配達に出たシャオジエは、翌日風邪をひいてしまい寂しさから涙が止まらなくなるのだった。
映画『光にふれる』のあらすじ【転】
チンに誘われサークルを作ることになったユィシアン。メンバーを集めようと勧誘に出たとき、配達で通りかかったシャオジエの声に惹かれるのだった。店に戻ったシャオジエは、会いに来てくれた恋人に別れを告げた。その後配達に出ると、大きな通りで立ち止っているユィシアンを見かける。盲学校まで行くというユィシアンを送り届けるのだった。
盲学校で歌を教えているユィシアン。音楽を楽しむユィシアンと小学生の姿を見てシャオジエは感動する。ダンスに夢を抱いていることを話したシャオジエ。親族以外の女性と話すことはなかったユィシアンは、寮に戻ってからチンにダンスについて問うのだった。
ユィシアンと出会い、シャオジエは再びダンスと向かい合う勇気をもらった。まずは体験レッスンへ出向くのである。そこでオーディションがあることを知った。参加費に頭を抱えるシャオジエを見兼ねて、職場の店長が背中を押してくれるのだった。
チンと一緒に過ごすようになり、ユィシアンには仲間ができた。しかしクラスメイトとの溝は埋まらず、コンクールのメンバーから外されてしまう。学生時代に実績を残すべきだと諭す講師に心配をかけないよう遠慮するが、幼い頃のトラウマをぶり返し始めていた。そこへ配達に来たシャオジエが通りかかり声をかけてくれる。落ち込んだ様子のユィシアンを気遣い、夜な夜なとある場所へ連れ出すのだった。
埃まみれのピアノがある小さな会場にユィシアンを案内したシャオジエ。「普通のこと」がしてみたいと話すユィシアンと一緒に夢について語り合うのだった。
映画『光にふれる』の結末・ラスト(ネタバレ)
とある日、シャオジエはユィシアンの帰省に付き合った。ユィシアンの家族はシャオジエを歓迎する。幼い頃の写真を見せた母親は、ピアノがユィシアンを変えてくれたと話す。同時に、ユィシアンの過去のトラウマについても教えてくれた。
ユィシアンの両親が営む農場を見せてもらったシャオジエ。何も障害物になる物がない海へユィシアンを連れ出したシャオジエは、自分の顔に触れさせるのだった。思っていた通りの女性だと話すユィシアンの目には、光の中で踊るシャオジエの姿が映っていた。
サークルの期末公演を控える中、チン達は音楽科のコンクールがあることを知った。ユィシアンの才能を誰より近くで見ているメンバーは、コンクールを優先するように諭すがユィシアンは期末公演を選ぶのだった。一方でシャオジエはダンサーとしての夢を再び追う決意をする。ユィシアンへの感謝を込めたカセットテープのメッセージを残して、シャオジエは会場へ向かうのだった。
期末公演当日、ユィシアンはステージには出なかった。それはチン達の発案でコンクールに参加する目論見があったからである。母親に事情を説明したチン達は、会場へ急いだ。舞台袖に立ったユィシアンはトラウマから尻込みしてしまうが、ピアノを前にした瞬間に覚悟を決めた。一音奏でた瞬間に審査員の心を掴んだユィシアン達。一方でシャオジエも堂々としたパフォーマンスで審査員の前で披露した。
ユィシアンはシャオジエとの時間を思い返しながら、黙々と鍵盤に向かった。会場は一時停電したが、ユィシアンは気づくことはない。暗闇の中で演奏しきったユィシアン達に、会場はスタンディングオベーションで称えるのだった。
シャオジエはオーディションでは結果を残せなかった。しかし、母親も夢を追うことに賛同し始め、環境は少しだけ変わり始めた。ユィシアンはあるプロデューサーの目に留まり、CDデビューが決まった。二人はゆっくりと前に進みながら、交流を重ねている。
映画『光にふれる』の感想・評価・レビュー
誰と出会うかで人生は大きく変わると実感した一作。例えばユィシアンの目が見えていたならそもそもこの物語は生まれない。シャオジエが声をかけた日、道路が空いていたら…そんなことを考えるとキリはないが、二人の出会いは必然にも思える。ウォン・カーウァイの企画により、ホアン・ユィシアンが本名のまま出演しているインパクトも与えつつ、丁寧に「ジ・エンド・オブ・ザ・トンネル(黒天)」を長編化した作品であった。(MIHOシネマ編集部)
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