この記事では、映画『いつか晴れた日に』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『いつか晴れた日に』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『いつか晴れた日に』 作品情報
- 製作年:1995年
- 上映時間:136分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、青春
- 監督:アン・リー
- キャスト:エマ・トンプソン、アラン・リックマン、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グラント etc
映画『いつか晴れた日に』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
映画『いつか晴れた日に』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『いつか晴れた日に』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『いつか晴れた日に』 あらすじ【起・承】
19世紀の英国。ノーランド・パーク邸に住む、ダッシュウッド夫人と3人の娘たちは、つつましく暮らしていた。ところが、ダッシュウッド氏が亡くなり、遺産がほとんど貰えず困窮してしまう。
3人の娘の紹介をしょう。長女エリノア(エマ・トンプソン)は、優しくしっかり者。次女マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)は、ピアノが上手。恋に1番熱心だ。3女マーガレットは、明るくみんなの心を和ませる存在で、ツリーハウスがお気に入り。
ダッシュウッド氏の死後、彼の先妻がノーランド・パークへやってきます。先妻の弟である、エドワード・フェラース(ヒュー・グラント)とエリノアは心を通わせます。しかし、ほどなくして彼はロンドンへ戻ってしまう。
その後、ダッシュウッド夫人と3人の娘たちは、わずかな使用人と共に、ミドルトン卿に用意してもらったバートン・コテージへ引っ越すのだった。バートン・コテージに移ってからも、相変わらずマリアンヌはピアノを弾いていた。
ある日、ブランドン大佐(アラン・リュックマン)がコテージを訪れ、ピアノを弾きながら歌うマリアンヌに一目ぼれするが、マリアンヌはブランドン大佐に興味を持たなかった。その後も何度か2人は会うが、友人どまりだった。
ジェニングス夫人が、ブランドン大佐とマリアンヌを結びつけようとお節介を焼くが、マリアンヌは怒ってしまう。そして、気持ちを静めようと散歩に出かけたマリアンヌは、突然振り出した雨の中、足を取られ、くじいてしまう。
そんなマリアンヌを助けたのが、ジョン・ウィロビーだった。マリアンヌは一目みて彼に恋してしまう。2人はすぐに恋人同士になるが、同時に悪い噂も立ってしまう。ブランドン大佐に対して、ウィロビーは嫉妬するのだった。
ある日、ブランドン大佐からエリノアとマリアンヌは、ピクニックに誘われます。行きたくなさそうにしているマリアンヌを見て、ウィロビーも誘う。ところが、電報が届き、ブランドン大佐はロンドンに戻ることになってしまう。
ウィロビーにも大変な事態がおき、マリアンヌと約束を交わすことなく、早急にロンドンへ旅立った。残されたマリアンヌはただ泣くばかり。

映画『いつか晴れた日に』 結末・ラスト(ネタバレ)
女たちは、カードゲームを楽しんでいた。そこで、エリノアは、ルーシーから驚くべき事を聞いてしまう。エドワードには、秘密の婚約者がいるという。しかもその相手はルーシーだった。
おしゃべりなジェニングス夫人から、話の内容を追究され、”ロンドンでの楽しい話”だとエリノアははぐらかした。しかし、みながロンドンに興味を持ち、実際にロンドン行きが決まってしまう。
エリノアとマリアンヌは、ロンドンへ。あるパーティで、エドワードの弟、ロバートに会う。ロバートとダンスをした後で、偶然にもウィロビーとエリノアは再会。マリアンヌも彼に気づき、駆け寄った。
”どうして会ってくれないの?”と問い詰める、マリアンヌ。しかし、彼から他の人と結婚すると別れの手紙が届く。エリノアは、マリアンヌに”彼と約束していたんじゃないの?”と聞くが、結局はマリアンヌの思い違いだったようだ。
傷心のまま、バートン・コテージへ戻った2人。マリアンヌは体調を崩してしまう。ブランドン大佐は、マリアンヌを心配し、見守っていた。やがて、彼は自分の過去とピクニックに行く直前、ロンドンへいった理由をエリノアに話す。
ブランドン大佐は、20年前愛した人の子供をベスと名付け、大切にしていたが、ある日、ベスが家出をし行方不明になったという。ピクニックの日、やっとベスの居場所が分かったが、同時に彼女が妊娠していたと知るのだった。
実はベスの子の父親が、マリアンヌが恋したジョン・ウィロビーだった。ベスは田舎で、子供を出産した。事実を伝えるべきか?エリノアは、マリアンヌが元気になってから、その事実を伝えた。
”彼は、ベスの妊娠を知るまで、あなたの事を愛していたのよ。”と慰めます。一方、エリノアは、ルーシーがエドワードと正式に結婚することを聞きます。失意の中、バートン・コテージへ、エドワードがやってきます。
彼に結婚生活について尋ねると、結婚が決まったのはエドワードではなく、弟ロバートなのだと言う。そして、エリノアにルーシーとの秘密の婚約は解消した事、真実の想い人はエリノアだと告白するのだった。
”僕の心はいつまでも、エリノア・・あなたに捧げます!”と。村では、マリアンヌとブランドン大佐の結婚式が盛大に行われた。
映画『いつか晴れた日に』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『いつか晴れた日に』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
家族愛、そして真実の愛を見つける物語
この映画では、よく雨が降ります。恋する人の日常は、きっと雨降りなんでしょうね。感情を抑え気味な姉エリノアと、対照的に感情を抑えられない妹マリアンヌ。2人の恋愛に共感する人が多いと思いますが、問題はその相手です。
19世紀の英国では、弱々しい男性が好まれたのでしょうか?ヒュー・グラントやアラン・リックマンが演じた男性像を観ていると、草食系男子です。現代でも、草食系男子が多いし、晩婚化が進んでいます。
つまり、”急がば回れ!”で草食系男子を見つけることが結婚への近道かもしれません。このように結婚という視点で観てもいいし、英国らしい雰囲気や自然、会話の速さなどに注目するとゆったりとした時間の流れを感じることができます。
また、愛とは移ろいやすいもの。たとえ、事情があって別れたとしても、ある時点まではあなたを愛していたのよ、と慰める姉エリノアの言葉に大きな救いがあるように思えてなりません。
英国女流作家、ジェーン・オースティンの魅力
サマセット・モームが、「世界の十大小説」で第2位に選んだのが、ジェーン・オースティンの小説「高慢と偏見」でした。彼は、オースティンの作品について、”ユーモアのある文章”だと褒めています。
彼女の作品は6作あり、そのほとんどが映画化ないしドラマ化されています。英国では、彼女の名前を知らない人がいないほど、今も人気で読まれています。本作「いつか晴れた日に」の原作は、「分別と多感」です。
主演のエマ・トンプソンが自ら脚本を書いており、アカデミー脚本賞も受賞。オースティンの人気の高さがうかがえます。ジェーン・オースティン作品の魅力とは何か。
一言で言えば、時代性にとらわれず、普遍的な愛の形が描かれているからだと思います。今も昔も、女子の1番の関心事は、”恋愛と結婚”なのではないでしょうか。
彼女の小説の主人公はみな、女性ですし、一般の恋愛小説として難しくなく楽しめる点に惹かれるのかもしれません。皮肉な事にオースティン自身は生涯独身であったと言われています。
特に男性の登場人物に対して、個人的には少し退屈に感じました。映画から、英国文学を知るのには本作とジョー・ライト監督の「プライドと偏見」がおすすめです。
血の繋がった姉妹でも性格が正反対なんてことはよくある話。しかし、恋愛のこととなると誰もが同じように悩み苦しみ、心に雨が降るのだと感じました。この作品は全体的に雨のシーンが多く『いつか晴れた日に』というタイトル通り、幸せを見つけるために雨の中をもがきながら進んでいく女性の姿が描かれています。
第一印象は顔だと思うので、自分の好みのタイプではない人と恋愛をするには時間がかかると思いますが、内面を愛せる人に出会えた時にはその人のことは絶対に逃してはいけないなと感じました。(女性 30代)
19世紀のイギリスを舞台に、ダッシュウッド姉妹の繊細な恋と葛藤が美しく描かれていて、感情移入しながら最後まで観てしまいました。特に理性派のエリノアが感情を抑え続け、最後に涙を流す場面には胸が詰まりました。マリアンヌも痛みを経て成長し、最終的に大佐との穏やかな愛を選ぶ展開も納得のいくものでした。(30代 女性)
ジェーン・オースティン原作の文学的な雰囲気がそのまま映像化されており、淡い色彩と控えめな演出が印象的でした。登場人物たちの抑制された感情の描写がとても丁寧で、特にエリノアの切なさが強く心に残りました。マリアンヌの恋の顛末には胸を打たれました。静かな感動が広がる一作です。(50代 男性)
女性の人生が結婚に大きく左右される時代背景の中で、それでも誇り高く生きようとする姉妹の姿が胸に刺さりました。マリアンヌの激しい恋が破れた後、大佐との静かな愛を受け入れる姿は感動的。理性と感情の対比がとてもよく描かれていて、特にラストのエリノアの告白シーンには涙が止まりませんでした。(20代 女性)
若い頃に見たときは少し退屈に感じたのに、今観るとその奥深さに驚かされました。人間関係や感情の機微をじっくり描いていて、演技も素晴らしい。エマ・トンプソンとケイト・ウィンスレットの姉妹がそれぞれの個性で時代を生き抜く姿に感銘を受けました。人生経験を重ねた人ほど染みる映画です。(60代 男性)
イギリスの田園風景とクラシカルな衣装が美しく、ビジュアル的にも魅力満載でした。恋に一途なマリアンヌが失恋を経て少しずつ変わっていく過程がとても丁寧に描かれていて、大佐との関係が進展するラストは意外ながらも心温まりました。純粋で深い愛を描いた名作だと思います。(30代 女性)
淡々と進む展開の中に、強い感情のうねりを感じさせる映画でした。特に、エリノアがずっと胸の内に秘めていた愛を、ようやく告白するラストは圧巻。自分の感情を抑えて生きることが美徳とされた時代に、彼女の涙はとてもリアルで、共感を誘いました。静かながら、深く心に残る作品です。(40代 男性)
当時の女性が抱える不安や希望が繊細に描かれていて、特にマリアンヌの失恋と再生の物語は共感しかありませんでした。若さゆえの盲目的な愛と、それを乗り越えてから見える真実の愛。最後に彼女が大佐の優しさに気づく展開は涙なしには見られません。どの年代の女性にも刺さると思います。(20代 女性)
文学的な言葉遣いや会話の妙に最初はやや難しさを感じましたが、観ていくうちにそれが逆に心地よくなっていきました。キャラクターたちの慎み深い態度や静かな葛藤が、現代ではあまり見られない気高さを感じさせてくれます。ラストのハッピーエンドが控えめで上品なのも良かったです。(50代 女性)
自分が男だからこそ、マリアンヌのような情熱的な女性がなぜ最終的に大佐を選んだのかが最初は理解できませんでした。でも見終わった後、その「本当の愛」に気づく姿にとても説得力があり、深く納得できました。エリノアもまた、感情を抑えながらも誠実に生き抜いた姿に強く惹かれました。(30代 男性)
映画『いつか晴れた日に』を見た人におすすめの映画5選
プライドと偏見(2005)
この映画を一言で表すと?
気品と情熱が交差する、英国文学の名作を美しく映像化したラブストーリー。
どんな話?
ジェーン・オースティン原作の同名小説を基に、誇り高きダービー氏と快活なエリザベスの恋模様を描いた物語。身分や誤解、家族との関係などの障害を乗り越え、二人が互いに心を開いていく姿が繊細に描かれています。美しい田園風景も魅力。
ここがおすすめ!
『いつか晴れた日に』と同じオースティン作品ということで、登場人物の心理描写の深さや抑制された恋愛の妙が共通しています。映像美、衣装、音楽も秀逸で、時代劇ラブストーリーとして完成度が非常に高い名作です。
エマ(2020)
この映画を一言で表すと?
おしゃれでキュート、でも中身は深い、令嬢の恋と成長の物語。
どんな話?
裕福で自信家のエマ・ウッドハウスが、自分の恋愛感情に鈍感なまま周囲の人間の恋を取り持とうと奮闘するコメディタッチの恋愛劇。失敗やすれ違いを重ねながら、エマ自身も少しずつ本当の愛と自分の気持ちに気づいていきます。
ここがおすすめ!
本作はジェーン・オースティン原作の中でも明るく華やかでありながら、女性の自立や人間関係の難しさも描いています。色彩豊かな美術、洗練された演出、そしてユーモアも効いていて、『いつか晴れた日に』が好きな方には特におすすめです。
眺めのいい部屋
この映画を一言で表すと?
古き良き時代のヨーロッパで揺れる、自由と愛をめぐる上品な恋愛ドラマ。
どんな話?
イタリア旅行中の令嬢ルーシーが、型破りな青年ジョージと出会い、婚約者との板挟みに苦しみながらも自分の心と向き合っていく物語。エドワード朝の価値観と個人の自由のはざまで揺れる彼女の姿が、繊細に描かれています。
ここがおすすめ!
風景、衣装、音楽などすべてがクラシカルで美しく、心を穏やかにしてくれる作品。『いつか晴れた日に』同様、女性の内面の成長と恋の葛藤を丁寧に描いており、静かで上品な愛の物語を求めている人にはぴったりの一作です。
若草物語(2019)
この映画を一言で表すと?
4姉妹の絆と夢、そして恋を鮮やかに描いた、時代を超えて共感できる青春物語。
どんな話?
アメリカ南北戦争時代を背景に、マーチ家の4姉妹がそれぞれの夢や愛に向かって成長していく姿を描いた作品。特に主人公ジョーの強い意志と独立心が印象的で、結婚以外の人生の価値についても問いかけられる内容になっています。
ここがおすすめ!
時代劇としての美しさとともに、女性の自立、家族愛、そして恋愛というテーマが丁寧に扱われています。感情の機微や選択の尊さが描かれており、『いつか晴れた日に』のような繊細な感情描写が好きな方におすすめです。
ジェイン・エア(2011)
この映画を一言で表すと?
運命に抗いながらも純粋な愛を貫く、孤独な女性の強く美しい物語。
どんな話?
孤児として育ったジェイン・エアが家庭教師として赴いた屋敷で、主人ロチェスターとの間に芽生える愛。しかし彼には大きな秘密があり、彼女は自らの尊厳と愛の狭間で苦悩しながらも、自分の意志で運命を切り拓いていきます。
ここがおすすめ!
女性の自立と尊厳を主軸にしながら、情熱的かつ静かな愛の物語を展開する本作は、まさに『いつか晴れた日に』のファンにぴったり。映像のトーンもシックで抑制された演出が胸に沁みます。恋愛と人間性の深さを味わえる珠玉の一作です。
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