映画『呪怨 終わりの始まり』の概要:清水崇による、Jホラーの長寿シリーズである「呪怨」シリーズの一本。主演に佐々木希を迎え、監督を「感染」「シャッター」などで知られる落合正幸が担当。
映画『呪怨 終わりの始まり』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:91分
- ジャンル:ホラー
- 監督:落合正幸
- キャスト:佐々木希、青柳翔、トリンドル玲奈、金澤美穂 etc
映画『呪怨 終わりの始まり』 評価
- 点数:10点/100点
- オススメ度:★☆☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★☆☆☆
- 映像技術:★☆☆☆☆
- 演出:★☆☆☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『呪怨 終わりの始まり』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『呪怨 終わりの始まり』のあらすじを紹介します。
ある小学校で3年生のクラスの学級担任を務めていた結衣(佐々木希)は、自分のクラスの生徒である佐伯俊雄が全く登校してこないことを不審に思っていた。
ある日、結衣は佐伯俊男の自宅を訪れようとする。しかし、彼女が訪れたその家は呪われた家だった。
また、呪われた家の噂を聞きつけた女子高生三人組が怖いもの見たさで呪われた家に接近する。
俊雄や伽椰子のエピソードを加えながら、時系列を交錯させ、結衣たちの運命を描いていく。
映画『呪怨 終わりの始まり』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『呪怨 終わりの始まり』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
「呪怨」という作品
ジャパニーズホラーが隆盛を極めたのは90年代後半から2,000年代にかけてある。そのジェイホラー黄金期とも言える時代においてさまざまな試行錯誤が繰り返され、ホラー映画として観客を怖がらせるためにどのような演出をとればいいかの研究が盛んになされてきた。そんな中、その試行錯誤を繰り返す上で、黄金律とも言うべきホラー映画の論理体系が構築されてきたのだ。その理論は小中理論(こなかりろん)と呼ばれ、今なおホラー映画を制作する上で有効な手段となっている。呪怨と言うシリーズはそういったジャパニーズホラー黄金期において図らずも小中理論で禁止されているような禁じ手を巧妙に使った作品であった。小中理論では幽霊と言う存在は実態がなく、人間が持っている論理が通用しない存在として描くべきものというふうに定義されている。そのため、この理論に則った作られたホラー映画では、幽霊そのものの存在をはっきりと見せることを避けるか、コンピューターグラフィックスなどの映像処理によって生身の人間とは異なったものとして描いているのだ。例えば、黒沢清監督の「回路」では登場する幽霊を真正面から捉えているもののコンピューターグラフィックス処理に屋で黒い謎の物体のように表現している。
対して、呪怨では登場する俊雄や伽椰子といった恐怖の対象を生身の人間である役者に演じさせ、それをカメラで真正面から捉えると言うある種の禁じ手を使ったホラー映画であった。もちろん最初のビデオシリーズである呪怨ではそれは大いなる驚きと恐怖でもって受け入れられたが、昨今においてはもはや通用しなくなっているというのも事実である。例として、「リング」においても言えることであるが当時は恐ろしいものとして捕らえられていた貞子が昨今ではキャラクター化してしまっている。現に、野球の始球式に登場したこともあるくらいである。呪怨においても同じことが言え、恐怖の対象である存在がキャラクター化するとそれはもはや恐怖の対象でなくなるのだ。
恐怖は時代によって変わる
呪怨と言うシリーズを成立させる上で俊雄と伽椰子を登場させないと言うわけにはいかないので、そういったキャラクター化してしまった恐怖の対象を登場させるということは致し方ないのだが、その上で新たな恐怖を成立させようと思うと、ある程度は理論に則った上で新しいホラー映画というものを模索していかなくてはならない。しかし、本作ではそういった努力がなされず、言ってしまえば、呪怨というシリーズの初期作品が持っているケレン味をそのまま引用してしまっている。
佐々木希と青柳翔。美男美女の組み合わせはホラー映画にはあまり似合いませんが、キャスト以外の見どころが見つかりませんでした。
ジャパニーズホラーを代表する大人気シリーズである『呪怨』ですが、どの作品も同じような内容を繰り返し描いているので、どうしても飽きが来てしまいます。
今作にも特に特別感やこだわりが感じられず、昔のやり方を変えないままでした。多くのファンがいるので、それが悪いとは一概には言えませんがもう少し新しいものを見たい気もします。(女性 30代)
映画『呪怨 終わりの始まり』 まとめ
観客を怖がらせるという点においてはもはや呪怨と言うシリーズは適切な作品ではないのかもしれない。もちろん、呪怨という世界線上で展開されるユニバースそれ自体を愛でる人にとってみれば、恐怖自体が第一の目的ではないのかもしれないが。しかし、本作では、これまでの呪怨作品群との連関性は薄く、どちらかと言えばアトラクション的要素を追求しようとしている。しかしながら、先述の理由もあってか観客の温度はみな一様に低いものであった。
純粋に恐怖を表現しようとするのであれば、まったく新しい作品を撮ったほうが良いかもしれない。しかし、集客という観点で見れば、呪怨というブランドが未だに根強い人気を誇っているというのもこれまた事実である。
関連作品
次作 呪怨 ザ・ファイナル
前作 呪怨 白い老女
前作 呪怨 黒い少女
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